【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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第四十九話

フサリアを自分の養女として引き取ってからは、それはそれは大変な後始末が待っていた。

ジュディとグロリアには伝えない訳にはいかないので、おっかなびっくりでコールをするとジュディには罵られ、グロリアは褒めたら良いのか怒って良いのか分からない、ない交ぜの表情をされてから泣かれてしまった。

これにはさしもの私も参ってしまったが、懇切丁寧にことの経緯と次第を告げて、激昂するジュディにもこのまま孤児でナイトシティに居たらどうなるかを想像して欲しいと言ったところ、容易に想像出来てしまう自分に参ったのか、怒り過ぎてその事が頭に浮かばなかった自分に参ってしまったのか、一瞬で鎮火して2人とも許可をくれたのだった。

ちなみに、マッマは無表情だったけれども後で日本に必ず連れてこいと言われ、パッパはフサリアの顔を見たらもうデレデレなってマッマに首根っこを掴まれてどこかに消えてしまった。

お労しやおもう様…

 

そうやって、毎日後輩ちゃんの様子見とフィクサーからの依頼、デラマンとの事業計画などをこなしつつ、フサリアと2人でコーポプラザの自宅で暫く暮らしていると、ついに昏睡していた後輩ちゃんが一度覚醒したとヴィクターから連絡が入った。

結構長かったなぁ。

本来の想定では、TPRが作動してから長くても2日で覚醒するはずなんだけど、やはり人体実験をしてからでないと理論値はあくまでも理論値に過ぎなかったわけだ。

我々の想定していなかった動作をしたのか、何かが脳に負担を掛けた結果昏睡が長引いたのか…あとでヴィクターからデータを共有してもらって、デラマンに演算してもらう必要がある。

それから、研究所の方で製薬界の天才ジャン・サン・テール(第十話初登場)に相談もしなきゃな。

後輩ちゃんが覚醒しただけなのに、仕事が一気に増えた気がする。

 

「リア、これからヴィクターおじさんの所に行くけど、一緒に行くかい?」

 

ソファーに座って、外付けの視覚機器でアニメを観ていたフサリアが、頭に被っていた視覚機器をパッと外して小さなあんよをパタパタさせながらこっちに走って来た。

 

「いく!!うぃくおいたんにあいにいくー!」

 

「よしよし、じゃあお洋服をお出掛け着に着替えようね」

 

「あい!」

 

フサリアを伴って、デラマンタクシーでヴィクターのリパーに向かい、入り口から入るといつもの様に手前のリクライニングチェアにヴィクターが座っている。

ふと違和感のようなものを感じて、後輩ちゃんの寝ているベッドの方を見ると、ゲームで何度も何度も見た草臥れたキアヌ・リーブスの見た目をした髭面の男が、腕を組んで壁に寄りかかりながら下を向いているでは無いか。

どうやら、寄生先の後輩ちゃんが昏睡しているので、本人も身動きが取れないらしい。

うーん、どう見てもジョニー・シルヴァーハンドだよなぁ。

 

いや、待て待て、そもそもなんで私がジョニーの姿を見れるんだ?

私にはrelicどころかTPRも入ってないけど…

 

しかし、よくよく考えてみれば、ソミもジョニーの事をきちんと認識出来ていたので、後輩ちゃんに直接アクセスしたりネットワークに自在にアクセス出来るような感じであれば、補正して自分の視覚にもジョニーを投影出来たりするのでは…?

カント君が勝手にTPRに対してハックを仕掛けて、姿を見れるようにしているとかもあるかもしれない。

私の重瞳のキロシが特別で多機能だからって線も捨てがたいし、そもそもこの身体が元々はMODが当たっていたゲームのVの身体だからっていう線もある。

思いつく要因が多過ぎて謎が謎を呼んでいる。

うーむ、わからん!

まぁ、取り敢えず後輩ちゃんだけが見えてる訳じゃ無いってだけでも良しとしましょう。

別に、私にデメリットがあるわけでもないからOK!

 

「?」

 

いつもなら、ヴィクターに駆け寄って行くはずのフサリアも後輩ちゃんの寝ているベッドの方を見つめて、首を傾げてからヴィクターの方に走って行った。

もしかしてジョニーの姿が見えている?

まさか、視覚機器も持っていないのに、後輩ちゃんの頭の中の住民の姿が見えるはずが無い。

そう思いたい。

 

「おいたん!」

 

「おお、今日も一緒に来たのか。元気いっぱいで何よりだな」

 

椅子に座ったまま、脚に抱きついているフサリアの頭を撫でてヴィクターもニコニコしている。

 

「やぁヴィク。後輩ちゃんの様子はどうかな?」

 

「おう、今日も来たのか。そうだな…ここの数値を見る限りだと、短い時間だが一度覚醒したようだな」

 

ヴィクターが、モニターの画面に映っている後輩ちゃんの脳波のグラフを指差す。

ずっと夢を見ていたかのようにゆっくりと規則的に揺れていた曲線が、そこの一瞬だけ跳ね上がって不規則に乱高下しているのが見えた。

それを見て、ヴィクターも連絡をくれたようだ。

 

「おや、やっとお目覚めかな?しかし、後輩ちゃんがヴァレリーだったとは」

 

私もとんだマヌケだな。

こんなに近くにVが居ただなんて…

しかも、身内のような感じの後輩ちゃんがねぇ。

 

「しかも彼のコンストラクトが入ったモノだしなぁ…。これは一体なんの因果か」

 

Vだった後輩ちゃんに、本物では無いが試験試作型のrelicがぶち込まれ…いや、入れたのは自分なんだけど、まさか入っていたコンストラクトがジョニー・シルヴァーハンドだったなんて。

なんて強い運命力、因果律なんだろうか。

これには必然的なものを感じざるを得ない。

 

「ネイト、お前さんにとっては今回は不本意だろうな」

 

まだ人体実験をも済んでいない、本当に最初の試作品で、どんな副作用があるかもわからないような物が後輩ちゃんに入ってしまった事を同情されているようだ。

まぁ確かにその通りなんだけどね…

しかも、よりにもよってジョニー付きだし。

大変不本意です。

 

「そうだね。まさか、こんな事で試作品を使わざるを得なくなるなんてね……まだあと一年くらいは猶予があると思っていたのに」

 

ヴィクターがフサリアを抱っこしながら、私に椅子を勧めてくるので有り難く座る。

ついでに、デスクの上にあったセンツォンの瓶を引き寄せてショットグラスに注ぐ。

 

「おいおい、子供がいるのに良いのか?」

 

「一口くらいは飲まないとやってられなくてね」

 

手酌でぐびっと一息に呷る。

フサリアを預かって、ヴィクターにも飲むように勧めた。

 

「あの場にアレがあっただけでも、良しとするしかないんじゃないのか?この後、この娘に何が起きるか分からんが、あのまま死ぬよりはずっとマシだろう。このまま置き換わると思うか?」

 

ヴィクターもロックグラスに注いで、モニターの数値を詳しく見ながら中身を飲む。

もちろん、ヴィクターも関係者なのでTPRには人のコンストラクトが入っている事を知っている。

ただし、全部が全部知っているわけでは無いので、アラサカの出した初期案である健康体の脳の乗っ取りをTPRもするのでは無いかと思っているらしい。

 

「いや、試作品にはそこまでの機能はないよ。元々脳死状態の被験体に使用するはずだったからね。機能を修復するだけのナノマシンしか入ってない。きっと、今は2人とも混乱しているはずさ」

 

もっとも、Vとジョニーの邂逅が良い物でなかったのは周知の事実なので、この世界の後輩ちゃんとジョニーもきっと良い邂逅では無いに違いない。

ジョニーって子供がそのまま大きくなっちゃったような感じだしなぁ。

イタリア人かな?(偏見)

 

「ソイツは良かったのか悪かったのか…恨まれるかもしれんぞ」

 

私が約束を守れなかった所為なのだから、恨まれて当然である。

ちゃんと出来ていたら、ジョニーなんかと同居しなくてもよかったのだ。

それでも、たまたま後輩ちゃんがTPRの回収任務をしていて、しかもジャッキーやデイビッドが居たから私が到着するまで粘れたわけだし、私もナイトシティに来ていたから助けられた。

いや、そうなるようになったのか…

そう考えざるを得ない。

 

「それは承知の上さ。どちらにせよ、私は約束したのに間に合わなかった。パンチくらいは甘んじて受ける気ではいるよ。それ以上は、私にも背負うものがあるから無理だろうけど」

 

「ねぇ〜、むちゅかしいおはなしだめぇ!りあもおいたんとおはなししたい!」

 

抱っこしているフサリアが、私達だけで自分の理解できない話をしているのが気に入らなかったらしい。

小さなおててで、私の頬っぺたを両方から挟んで潰してくる。

ひょっとこのようになってしまった私の顔を見て、ヴィクターはニヤニヤしている。

 

「…難儀だな。とりあえず、バイタルはこちらでも監視しているから、また覚醒したら教える」

 

「それで良いよ。ありがとう、ヴィク」

 

「いいってことよ。お前さんの方も気をつけろよ」

 

相変わらず、このナイトシティにおいて聖人のような人の良さを発揮している。

私としては非常に助かっているので、本当にありがたい。

一度覚醒すれば、また近いうちに覚醒するだろう。

それが待ち遠しい。

 

ジョニーを見ると、入ってきた時と変わらずの姿勢でじっとしている。

視界は後輩ちゃんと共有しているはずだから、あくまでも聞き耳を立てているのだろう。

こちらからアクションを掛けなければ、おそらくは気付かれないはずだ。

 

「ほら、リアそろそろ帰るよ」

 

「あい!うぃくたーおいたんまたね!」

 

ヴィクターの顔をペタペタと触っていたフサリアが、ぱっとヴィクターの膝の上から降りてこちらに駆けてくる。

 

「じゃ、また後輩ちゃんが覚醒したら教えてくれると助かるよ」

 

「分かった。リアも元気でな」

 

「またねー!」

 

リアを抱っこしながらリパーを後にした。

このまま帰るのも芸が無いので、グレンの自宅へ行ってみることにする。

フサリアが娘になってから、暫くは慣れない育児やら仕事やらで忙しくて、デイビッドやジャッキーに会いに行く時間を作れなかったから、いい機会なので両方にフサリアを紹介しておこうと思ったのだ。

 

隣がデラマン診療所なのをいいことに、診療所の前に横付けして待たせておいたデラマンタクシーに乗り込む。

フサリアは、デラマンの青白いツルッパゲが大好きなようで、でらまんのうたらしい自作ソングを歌ってあのデラマンを困惑させていた。

なかなか見込みがある。

デラマンにもいい影響を与えるといいが。

 

「どこいくの?おうち?」

 

「これから、別のお家に行くのさ。私の義理の息子の家だから、リアからしたらお兄ちゃんの家だね」

 

「お〜、にいちゃ!」

 

「そうそう、デイビッドお兄ちゃんだね」

 

「でいぴっどにいちゃ!」

 

きゃー!と笑いながら、頭の上で手をぱちぱちさせてる。

お兄ちゃんと言う単語が気に入ったのかもしれない。

 

「りあに、にいちゃいたのね〜!」

 

ウキウキ状態でグレンのアパート前に着いたので、手を繋いで一緒に車から降りる。

軽く周囲を見渡すと、いかにも怪しげに見える通行人がいるので警戒しつつ入り口に向かった。

なんかそれっぽいと思ったやつが車を降りた途端に3人同時に別々の方向から来るのが分かったので、先んじて背後のやつを監視カメラを使ってクイックハックし、物理的に脳を焼いてやる。

絶叫が通りに響いて、周囲の視線がそちらに向いた瞬間に残りの2人にも自殺のデーモンをクイックハックで流し込んでやった。

ハックするのと同時にスキャンすると、一応全員NCPDから指名手配されており問題はなさそうだ。

どこかに所属もしていない寄せ集めだったが、多分スカベンジャー辺りか?

フサリアの視界と耳を限定させながら、不自然さを感じさせないようにサッと入り口に入ってエレベーターに乗り込む。

 

「いまのなに?」

 

「気にしなくていいものだよ。ただ、ちょっとしたゴミが燃えたんだ」

 

「ん〜?ごみもえたの?」

 

「そうだよ〜。世の中には、すぐに燃えないといけないゴミが沢山あるのさ」

 

「へんね〜」

 

なんて会話をしていたら、目的の階に到着した。

ドアが開くと、相変わらずの景色と飲み物の缶ゴミがちらほらと地面に落ちているのが見える。

レベッカはちょうどテレビでコメディ番組を見ていたようで、ソファーに座ってウヒョウヒョと変な笑い声を上げていた。

デイビッドは何か料理でもしているのか、キッチンに向かっていて、ルーシーはカウンターの丸椅子に座ってその後ろ姿を眺めている。

エレベーターの扉が開いた音で、ルーシーがこちらに気付いて振り向いたが、私と手を繋いでいるフサリアの姿を見て手に持っていたグラスを落とした。

仕方ないので、サンデヴィスタンでグラスを回収してカウンターの上に置いてから、元の位置に戻る。

フサリアは、一瞬手を握っている感覚が無くなったように感じたのか、こちらを見て首を傾げているが、私が微笑んで誤魔化すとフサリアもニッコリ笑った。

 

「あ、あぁ…あん、あんた…」

 

まるで壊れたテープレコーダーのように、ルーシーがワナワナしながらこちらを指さして震えている。

 

「ん?ルーシー、どうした?」

 

ルーシーの変な声を聞いて、デイビッドが不思議そうにこちらを降り向いて私の姿を視界に捉える。

 

「お、なんだネイト。来てくれるなら言って、くれれ…ば………ぇぇええぇぇ!?!?」

 

「どわあぁぁあぁ?!な、なんだ!?敵襲か!?」

 

デイビッドの絶叫に、レベッカがソファーから飛び上がってそばに置いていたのかカーネイジGUTSを構えて左右をキョロキョロを見渡した。

 

「…ったく、なんだよネイトじゃんかよぉ。ちっちぇえネイトも居るし、びっくりして損したじゃんかさぁ」

 

ハァと溜息を吐いて、カーネイジGUTSを肩に担いでからそんな事を宣うが、うーんと少し自分の発言に疑問を覚えたのか少し間があって、もう一度私達の方を見る。

 

「ネイトと、ちっちぇえネイトォ…ネイトが2人?」

 

「アンタ何バカなこと言ってんのよ!!」

 

「バカって言うんじゃねぇよぅ!!…ん?ネイトに子供なんか居たっけぇ?」

 

「ネイトアンタ、まさかと思うけどその子攫ってきたんじゃないでしょうね!?」

 

ピッ!と音が鳴りそうな感じで、私に向かって人差し指を突き付けるルーシー。

 

「そうだと言ったら…どうするんだい?」

 

面白そうだから、話に乗って見たのだが。

 

「グロリアさんにチクるわ」

 

とんでも無い事を言い出すルーシー。

せっかく説得したばっかりなのに、しかも一度は泣かせてしまっているのに、ルーシーからそんなタレコミがあったらもう大変なことになりそうだ。

 

「違う違う、この子は私の娘だよ。血は繋がってないけどね」

 

そう言うと、下でフサリアが空いている方の手でVサインを出している。

ババンと効果音が鳴りそうだ。

かわいい。

 

レベッカは、はぇ〜と言いながらカーネイジGUTSをソファーに放り出して、フサリアに近付いてよっと挨拶する。

小さいもの同士、何か通じるものでもあるのだろうか。

 

デイビッドは、ポカーンとして居るしルーシーは片眉を吊り上げて胡散臭そうな顔をしてこちらを見て居る。

避けては通れない道なので、3人にもフサリアを迎え入れた経緯を説明する。

その際に、アニマルズで起きた出来事とバティーズ・ホテル爆破事件の関連性、そしてこのナイトシティで起きていた児童誘拐事件の顛末をある程度詳細に教えた。

3人とも顔が少し引き攣っていたが、大分私に慣れてきて居るので諦めが大きいのだろう。

ショックは全く受けていなさそうだった。

ただし、あまり表沙汰になっていなかったが、裏で深刻な人身売買や臓器売買が加速していて、それに多くの子供たちが被害に遭っていた事に関しては、強い憤りを覚えて居るようだった。

特に、子供時代をアラサカの養成所で過ごし、ブラックウォールの探索の為に生贄のようにディープダイブを繰り返し行い、仲間たちの大半を不良AIや(たぶん)オルト・カニンガムの攻撃で失った経験を持つルーシーは、それはもう怒髪天を衝きそうな顔をして歯軋りをしていた。

子供を大人の欲のために使うと言う行為が、彼女にとっての地雷の一つなのだろう。

苛立たしげに唸った後に、ドン!とカウンターを拳で叩き苦虫を噛むような顔でこっちを見る。

フサリアは、ルーシーが怖かったのか近くにいたレベッカの手を掴みながら、私の後ろに隠れて顔を半分だけ出してルーシーを伺っていた。

 

「……ハァ、アンタもお人好しはほどほどにするのね。ここだと…キリがないわよ」

 

悪かったわ、と俯き気にフサリアに言った後、カウンターの隅に置いてあった未開封のビール瓶を掴んで飲もうとし、ピタリと止まったかと思ったら飲むのをやめてニコーラの缶を口に運んだ。

デイビッドも再起動したのか、フサリアに近付きしゃがんで目線を合わせながら挨拶をする。

 

「俺はデイビッド・マルティネスだ。よろしくな!君はなんていう名前なんだ?」

 

「でいぴっどにいちゃ?りあはふさりあ!3ちゃい!」

 

「おー!3歳かぁ。元気いっぱいだな!あはは!」

 

ははっとデイビッドが笑いながら、片手でフサリアの頭をなでなでするので、フサリアも嬉しそうにつられて笑っている。

 

「んにしてもよぉ〜、ちっちぇえけど良くネイトに似てるよなぁ〜。髪の色とかさぁ、眼の色もそっくりじゃーん…あれ?子供にクロームって良くねぇって聞いたことあるけどぉ、大丈夫なん?」

 

両手を頭の後ろで組んで、しげしげとフサリアの瞳や髪の毛に顔を近付けて見ていたレベッカが、不意にこちらを向いてそう言ってきた。

まぁ、私も同じ事を思ったから分かる。

 

「フサリアの髪と眼は正真正銘自前だよ。いまならブッティストもニッコリの全身ナチュラルさ。そこは私と正反対だね」

 

「かー!生身でこの可愛さかよぅ!あーしもこんなかわい子ちゃんで産まれてきたら良かったのによ〜」

 

ちっこいレベッカが、ちまっこいフサリアに抱き付いてほっぺたをスリスリしながらそんな事を宣う。

 

「レベッカは今でも十分可愛いぜ」

 

「はー!おま、お前デイビッド!そう言うところだっつてんだろー!!あーしが可愛いのは知ってっけどさぁぁぁ!!」

 

デイビッドが不意打ち気味に投げ掛けた言葉に、顔を真っ赤にするレベッカ。

知らない間に、さらりとそう言うことが言えるようになったのね…成長して私は嬉しいよ、デイビッド。

 

「ちょ、ちょっと!!アンタ、私には無いわけ!?」

 

嫉妬深いルーシーが、バンッとカウンターに両手を叩き付けて立ち上がる。

スーッとデイビッドの顔色が青くなった気がするが、見間違えでは無いだろう。

 

「も、勿論ルーシーだっていつも可愛いよ!可憐だし、俺には勿体無いくらいだぜ!可愛い奥さんが2人いるオレ、なんてしあわせ、アハハハハハ…」

 

そのまま、ハァとため息を吐きそうになるのをグッと堪えていそうな感じだが、まぁ及第点といったところかな。

ルーシーもプイッと向こうを向いているが、少し口の端がピクピクと動いているので、素直じゃ無いのが丸わかりだ。

 

「れぺっか!あそんで!」

 

「んあ、遊ぶって言ってもなぁ…まぁ良いや、ルーシーもこっち来いってぇ」

 

「はぁ?私はパスよ。おこちゃま同士で遊んでなさい」

 

「ハァァァ!?テメェ、誰がお子様だっ!!もういっぺん言ってみやがれ!!」

 

「ま、まあまあ落ち着けって!ほら、リアが見てるんだからもう少し声を小さくしろって」

 

「るーしーねぇちゃは、りあとあそぱないの?」

 

うるうるした瞳で見つめられたルーシーは、頭を片手で押さえながら盛大にため息を吐いて舌打ちをした。

それから、嫌々そうな顔をして立ち上がってレベッカの横に仁王立ちする。

 

「仕方ないから、遊んであげるわよ。本当に仕方なくね」

 

「あいがと!るーしーねぇちゃ!れぺっか!」

 

そう言って、フサリアがルーシーの片足に抱き付いた。

 

「あーしだけ呼び捨てかよぅ…」

 

レベッカがガックリと肩を落とした。

さりげなく、デイビッドが慰めるといい雰囲気になるので、今度はルーシーが噛み付きに行くというループが発生したのは言うまでも無い。




久しぶりにルーシーを登場させました。
デイビッド達ももう少ししたら、ゴタゴタに巻き込ませていきたい所存。
フサリアは、これからちょびちょび出して行くと思いますが、キーマンになっていくかは…どうですかねぇ

次回は一応再来週更新予定と思っていただけると幸いです。
冬にかけて仕事が繁忙期なので、こんな感じの更新になっていくかもしれませんが、どうぞご容赦下さい。よろしくお願い致します。

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