【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !! 作:持麻呂
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誤字脱字訂正ありがとうございます!!
とりあえず、前回の後書きを読んでおられない人向けの要約としましては、
ネイト「トンズラこいたデクス、じゃけん始末しましょうね」
デクス「助けてー!集団ストーカーに襲われてまーす!」
サイバーパンク「お前を殺す(デデン!)」
デクス「グエー死んだンゴ」
って感じです。
先輩が会いにきてからの数日は怒涛の日々だった。
まずは上半身を自力で起き上がらせて、それから立てるまでに回復しないと本格的なリハビリが出来ない。
そこでヴィクターが、寝ていても筋肉を自動的に鍛えるマシーンを用意したと持ってきたのは、半世紀以上前のジャパンのコメディアン達が使っていたような、体に電極を張り付けて低周波を流すタイプのもっと厳つい医療用のやつだった。
それをクロームの入っていない生身の部分に直接貼り付けて、皮下にクロームの入っている部位の下に生身の筋肉がある場合は、クロームに電極を繋いで医療モードでクロームから筋肉に電気信号が流れるように設定されて、地獄が始まった。
脳みそからの電気信号でない、外部からの出力で無理矢理筋肉が動かされるという状態は、思った以上にツラくてキツい。
それが何時間も続けられるのだ。
最初こそ、ジョニーは私の姿を見てニヤニヤ笑ったり、腹を抱えて笑ったりしていたのだが、それが数時間もぶっ続けで行われて苦しんでいるのは、段々居た堪れなくなってきたようで無言で葉巻を燻らすか、ベッドの脇に腰掛けてずっと俯いているだけになった。
普通の人間なら、拷問紛いの治療を受けている人を見て笑い続けることなんて、サイコパスでなければ無理だろう。
『なぁV、ソイツはいつまでやらなきゃならねぇんだ?』
『さぁね…ヴィクターに聞けば分かるでしょうけど、今聞く気にはならないわ。……正直、痛すぎてそれどころじゃないのよ』
『そうかい。力にはなれねぇが、気晴らしの話し相手ぐらいにはなってやれる。…頑張れよ』
『……らしくないわね、ジョニー』
『ハッ、俺だってそこまで鬼畜じゃねぇよ。それにな、なったばっかりだとは言え、仲間が長時間苦しんでるのを見続けるは、それはそれでツライもんがあるんだ』
『ありがとう』
『よせよ。お互いにそんな柄じゃねぇだろ』
まぁそれはそうね。
途中、ヴィクターが様子を見にきた時に言っていたのだけれど、1ヶ月の昏睡から目覚めたばっかりなので下手に薬剤で眠らせたりすると、また昏睡してしまう可能性があったりするらしく鎮痛剤も軽々しく使えないこと、それと痛覚エディターのような痛みを遮断する系統のクロームを換装時に入れていなかったので、今から入れるわけにもいかないしあと2日はただひたすら耐えてもらうしかないらしい。
気晴らしに、BDなら観ても良いらしいがそれも脳にショックの少ない娯楽系に限定されていたので、あんまり本数が無かったけど有り難く視聴させてもらった。
その2日が終わって、筋肉痛が酷いけれどやっと自力で立てるようになると、ヴィクターのリパーの隣にあったデラマンの診療所に転院することになったので、そちらに移動した。
夜中にフード付きの服を着込んで、そそくさと裏口から診療所の中に入り最上階に通される。
そこでは、デラマンの顔が映し出されたモニターと謎のリハビリ器具が並んでおり、部屋の端の方にはベッドと小さいシャワールームと洗面台が完備されていたので、ここで筋肉を元の水準に近いところまで戻した上で、先輩が使用出来なくなったアラサカ製クロームから換装してくれた、新しいクロームと肉体との齟齬を無くす為の訓練を行うと説明される。
『V様、ネイト様よりリハビリの一切のメニューを全て一任されております。私の計算上、無理せずとも3週間で昏睡前の状態に戻す事が出来るでしょう。なにか、疑問に思う事はございますでしょうか』
「いえ、大丈夫よ。デラマン、お世話になるわ」
『とんでもございません。それでは、本日からこちらのメニューをこなして頂きます』
デラマンから送付されてきたファイルには、その日毎に何の運動を何時間何セット、食事はこれだけの量を何種類などとびっちり書き込まれていて、見やすく作られてはいるが少しだけゲンナリしてしまったのは仕方ないと思う。
ただ、ジョニーも鍛えられる筋肉は既にないのだが、暇つぶしがてら一緒にスクワットをしたりランニングをしたりし始めたのは、私にとっても有り難かった。
元々、アラサカのスクールや社員研修やらで肉体練成の過程があり、体を動かすのは定期的にやってきていてそもそも運動自体も嫌いではないので、筋肉が減少して動かしづらい今を越えてさえすればそこまで苦にはならないだろうと予想がついていた。
最初の1週間は、全身の筋肉を満遍なく虐め抜いたので、ベッドから起き上がるのすら生まれたての子鹿のようになっていたが、最低限の筋肉が戻ってきて峠を越えてしまったあたりから、急激に楽になっていった。
毎日デラマンから健康診断とスキャニングを受けて、贅沢にも先輩から野菜や牛肉と言った自然食品を使った料理も食べて、適切に調節した運動を3週間続けた結果、元よりも筋肉と身体機能を上げた状態に仕上げることが出来た。
これは嬉しい誤算と言って良いだろう。
おかげで、クロームとの適合率も上がってより性能を引き出せるようになったのだ。
元々、私自身はクロームやインプラントとの相性が良くて、換装したてでも自らの手足の延長として、ほぼ100%性能を引き出せる特異体質なのだが、まともに訓練する時間を得ることが出来たので、現在は体感的に120%の出力を発揮できると思う。
まぁ、それでもサイバーサイコシスの危険は常に付き纏うので、必要以上にはクロームを入れないようにして、入れ替える時も必ず先輩から教わった通りに様々なスキャンをしてから、アラサカ社内のリパーでするようにしていた。
先輩が、抑制剤を作ってくれたおかげでクローム由来のサイバーサイコシス発症のリスクをほぼ無くしてくれたので、そこら辺はだいぶ楽になったけど、それでもハックやデーモン由来はまだ難しいので、完全に気は緩められなかったりする。
「やぁ、後輩ちゃん。完全復活おめでとう」
3週間のリハビリが終わった段階で、缶詰になっていたデラマン診療所の最上階に先輩がやって来た。
隣には、小さい先輩そっくりな幼女が手を繋いで立っている。
…いや、その子誰!?
「その子誰っすか!?」
「おや、前回連れて来た時は、まだ君は寝ていたから紹介していなかったね。私が養女にしたフサリアだよ」
「りあはりあだよ!ねぇちゃのなまえは?」
コテンと首を傾げて私に聞いてくる。
ミニチュア先輩で超可愛い!
「私はVよ。よろしくね、りあちゃん」
「うぃー?」
「それはジャパンのレトロゲームかな。Vよ、ウに点々でヴィー」
「うぃー!」
「しょうがないわねぇ。それで大丈夫よ」
頭をよしよしと撫でてあげると、サラサラの髪が指の間を通り抜けていく。
ふわりと先輩と同じシャンプーの香りがした。
思わず抱き締めてしまう。
『何やってんだV。ガキンチョが苦しそうだぞ』
ジョニーが横から覗き込むようにしてそう言ってくるので、ハッと気付くとリアちゃんがジタバタしていた。
幸せ過ぎて気付かなかった…
「はて、コーポVってこんな性格だったっけ…それに、私にだけ何故か三下みたいな口調だし…」
なにやら先輩が、小さい声で何かを呟いていたがよく聞き取れなかった。
手を緩めると、ぷはっとリアちゃんが大きく息を吐き出した。
結構苦しかったらしい。
「くるちかった!!あと、おいたんだれ?」
リアちゃんが、私にそう言った後に横から覗き込んでいるジョニーの方を見てそう聞いてくる。
まさか、ジョニーの姿が見えているの?
先輩も眉根を寄せて、なにか考え込むように腕を組んで片手で顎を摩っている。
『おいおい、チビスケ、お前も俺の姿が見えてんのか?こりゃ一体全体どうなってやがる』
「やはり見えていたようだね…。ヴィクターのリパーに連れていった時に、ジョニーが壁際に寄りかかっていたのを見て首を傾げていた姿を見たことがある。その時はまさかと思っていたけど…これは原因を突き止める必要があるね」
先輩の方も、原因には全く心当たりは無さそうなので分かり次第教えてくれるだろう。
今は特に聞かないで、わかるまで待っていた方が得策に違いない。
「おいたんのなまえは?」
『んだよ。こちとら、ガキなんかに構っている暇はねぇんだ。あっち行ってろ』
シッシッと追い払うように手を振って、リアちゃんを蔑ろにするキモロン毛。
なんだコイツ…
「リアちゃん、このうだつの上がらなそうなグラサンロン毛はジョニーって言うのよ」
「ちょにー!わかった!!」
『おいガキコラ!!ちょにーじゃねぇ!ジョニーだ!!あとV、テメェもロン毛って言うんじゃねぇよ!』
「ちょにー!!」
「ぶっ、ちょにーですって!これじゃあ伝説のロッカーボーイも形無しね〜」
『おいV、テメェマジで、あとでタダじゃ済まさねぇから覚えとけ』
リアちゃんは、両手を挙げながらちょにーと連呼してジョニーの足元を走り回っている。
それに対してジョニーも一々噛み付くが、物理的に物には触れないので苦虫を噛み潰したような顔をして、チョロチョロと動くリアちゃんを遠ざけようと手を振り回している。
「リア、ジョニーの無いはずの頭の血管がそろそろキレそうだから、そこまでにしてあげなさい。ジョニーも、幼児の舌っ足らずくらい大目に見てあげるのが大人と言うものだろう」
やれやれとでも言うような顔をして、リアちゃんとジョニーに向かってそう先輩が言い放った。
パーっとリアちゃんは先輩の方に駆けていって、左手を握ってニコニコしている。
『うるせぇよ。ほっとけ』
ジョニーはそっぽを向いて、珍しく紙巻を取り出して吸い始めた。
葉巻に比べたら不味かったのか、舌打ちしてもう一口だけ吸うと地面に投げ捨てる。
その様子を見て、先輩は軽く肩をすくめるとリアちゃんを手近の椅子に座らせて、私にもどこかに座るように促した。
お言葉に甘えて、私はベッドの上に腰掛ける。
「さて、デラマンからここ3週間のリハビリの経過は聞いているよ。予後は大変良好だったようだね」
「はい、おかげさまでこの通りっすよ!先輩がアラサカ製よりも質の良いクロームに変えてくれていたおかげで、以前よりも調子がいいくらいです」
アラサカの資産没収で機能を停止させられたクロームから、全て入れ替えられていた謎の新しいクロームがとても性能が良くて私とも相性がバッチリだ。
一応クロームをスキャンしてみたのだけれど、製造番号やロゴが分からないようになっていて、上からデラマン&アスカイの名前が被さるように表示されていたのは不思議だった。
無理矢理見ようとしても、私のハック技術だと突破できないのは分かりきっているので、何か理由があっての事だろうから余計に詮索しないようにする。
知らなくて良い事は、知らない方が身のためだ。
なんでも『why』と探る奴は、ここでは長生きしない。
それをアラサカではよく教えてくれたものだ。
「それは全交換した甲斐があったね。それでね、私がここに来たのは他でも無い。後輩ちゃんの今後に関する事なんだけど、これから先何かやりたい事とかは考えているのかな?」
何かやりたい事か…
今日までは、兎に角身体を元に戻して仕上げることしか考えてなかったけれど、体調が元に戻った以上はここを出て行って生活しなければならない。
でもアカデミーからずっと、アラサカで働いて過酷な生存競争を勝ち抜くことしか考えてなかったから、全てを失った今は何をして良いのか急には思いつかなかった。
「もしもやる事が見つかってなかったら、私のチームと一緒にサイバーパンクにならないかい?」
そんな私の葛藤を見抜いたのか、先輩が助け舟を出してくれた。
サイバーパンクかぁ…
デイビッドやジャッキーと3人で、謎の武装集団から全力の逃避行をしたのは記憶に新しい。
あの時は死なないことに必死だったけど、今考えるとすごい楽しかった気がする。
基本的に、普段アラサカで上司の尻拭いをしていた時は、特段支援もなく内容も機密指定されていた関係から1人で処理する事が多く、滅多に2人以上で仕事をした経験が無かった。
それ故だろうか、あんなに和気藹々と色んな会話をしながら3人で車に乗って長距離を移動したのは初めてだったし、仕事でこんなにワクワクしたのも初めてだった。
サイバーパンクなんて、はっきり言えば武力だけ持ったタチの悪い破落戸やチンピラの類いだし、実際そういう社会の底辺の様な存在も多いのは確かだけど、案外悪く無いかもしれない。
先輩はいくつも会社を抱えているけど、凄腕のサイバーパンクなのは知ってるし、ジャッキーやデイビッド達もサイバーパンクだが人も悪く無いしチンピラゴロツキにはとても見えない。
要するにピンキリな世界なのだろう。
そんな世界で、これから自分が一旗挙げられるのか…
面白い、アラサカよりも違う方向で大変だろうが、やることは案外一緒そうだ。
どこまでやれるか、頭の中のジョニーと二人三脚で果たしてやっていけるのか…
試してみる価値はあるだろう。
『おう、良いじゃねぇか。俺は荒事だって嫌いじゃねぇ。まぁ、実際には俺はこの身体だし、手伝えることは殆ど無ぇと思うが決めるのはお前だ、V』
「先輩、やります」
先輩はその答えを聞いて、ニコッと笑った。
「決まりだね。早速武器と防具を届けさせるよ。これは支給品だから、好きに使ってもらって構わないからね。依頼はあとで幾つか見繕ってメールで送る。全部受けるも良いし、吟味して選んだやつを受けても良い。君が君自身の雇用主になるんだからね」
「私が…私の雇用主すか…」
なんて甘美な響き…!
もう上司の御機嫌取りやクビに怯えなくて済むなんて!
「感動しているところ悪いけど、その前に髪型と少し顔のパーツを替えておこうか。顔の全部が全部ナチュラルじゃ無いだろう?アカデミーの時と少し違うし」
「はい、アラサカの初任給が出た時に少しだけ弄りました。先輩、ちょっとこんな感じにしたいんすけど、出来ますか?」
アカデミーの時は鷲鼻が少しコンプレックスだったので、アラサカで初任給が出来た時に鼻をクロームに置き換えて鼻筋の通った鼻にしたのだけれど、最近は少し飽きて来たのでもう少し小鼻にしたいと思っていたのだ。
「もちろん出来るよ。そしたら、少しだけ眉毛の形も変えて整えようか。あとはメイクを気持ち濃い目にすれば、ぱっと見同一人物とは思われないだろう。精密スキャンされたら無駄だけど、簡易スキャンされても大丈夫な様に生体情報や個人の情報も少し弄っておくよ」
「何から何までありがとうございます」
「なに、私の贖罪も兼ねているからね。気にしないで良いよ」
『どうせコイツは金持ちなんだろう?貰えるものは何でも貰っとけ。今の俺たちは素寒貧の一文無しなんだからよ』
ジョニーが隣に現れて、遠慮するなと言ってくる。
「ジョニーの言う通りだよ。これは私が好きにやっていると思ってもらえれば、少しは気が晴れるかな?」
「ちょにー!もらっとけ!」
『だからジョニーだっつってんだろ!それに、俺が貰うんじゃなくてVが貰うんだよ!』
ムガーッ!とジョニーが頭を掻きむしる。
これには先輩も私も苦笑いだ。
「さてと、じゃあ後輩ちゃん、下の手術室でパパッとやっちゃおうか。これ以上は本当にジョニーが発狂しかねない」
先輩に連れられて、顔のパーツを少し弄った後はすぐに幾つかの依頼を送って来られて、まずは1人で簡単な依頼からスタートさせられた。
先輩の性格がだいぶ大人しく、優しくなったと思ったけどスパルタなのは相変わらず変わらないらしい。
「えっと、リハビリ最初の依頼は…トニー・ジャックマンへ荷物を指定の場所に届けて、直接本人に渡す。これよね」
『ま、手始めに運び屋ってのは順当なんじゃねぇか?いきなりドンパチはやりすぎだろ』
「それもそうね。アラサカ時代でも、いつもどっかしらで殺しはあったから、感覚が麻痺しているのかしら」
『お前もお前で、あの先輩と同じく頭のネジがどっか抜けてるに違いねぇ』
一先ず先輩から貸してもらったエディで買った中古車(名前は聞いた事がないメーカー)に乗り込みながら、依頼を再確認しているとジョニーがそんなことを宣う。
とんでもないことを言うロン毛だ。
「ちょっと!なんてことを言うのよジョニー。先輩の頭のネジが抜けてたら、貴方のは一本も刺さってないことになるわよ」
『どうだか。傑物なのは違いねぇとは思うが、どう見たってアイツは普通じゃねぇだろ。濃い血の匂いがプンプンしやがるのによ』
鼻について仕方がねぇ、と助手席に座ったジョニーが紫煙を鼻から古の機関車のように吐き出す。
「あら、貴方そんなことも分かるの?実体がないくせに」
『あのな、よく聞けよV。知らねぇと思うから言っとくが、俺は第三次ニカラグア紛争に陸軍として参戦してたんだ。兵隊はそこら辺の駒のように使い捨てられるあの地獄にな。ああいう目をした連中は、戦場で山程見てきた』
「ジョニー、貴方戦争帰りだったのね…」
『ま、俺は途中で政治家達や企業の連中の都合で使い捨てられて死ぬのはごめんだったからな、戦闘の途中で上手い事トンズラしてやったのよ。でだ、戦場が好きで態々来るような狂った連中が少数だが居るんだ。人殺しを楽しんでいるような連中がな。アイツの目はそういう連中と全く同じだぜ。理性がある分、分別してやってるから余計にタチが悪い。お前には恩があって、色眼鏡が掛かっているだろうから分からないだろうがな』
「いや、先輩が敵に対しては容赦なく斬り殺しまくるのは知ってるわよ。そんなの昔からだし、アカデミー時代だって、何度男子生徒を斬り殺しそうになったことやら…その度に必死に止めていたのは私だし」
何を今更。
そんな講釈垂れられなくても、十分に先輩の性格は把握している。
どれだけ、先輩の無茶振りに振り回されて来たと思ってるんだろうか。
確かに歴代アカデミー生の中でもトップクラスにイカれてるのは間違いないけど、無差別に危害を加えて殺しに掛かるようなサイバーサイコよりはよっぽどマトモだ。
分別があるのは、単なる獣では無い証拠なだけ。
『アイツ昔からそうなのかよ』
「そりゃ、人間そんな簡単に性格が豹変しないでしょう。アカデミーの時なんか、先輩のお尻を撫でたバカな男子生徒の手足をマンティス・ブレードでぶった斬って、ペニスを切り取ろうとしたのよ?あの時は、駆け付けた教師達とトラウマチームが全員纏めて掛かってやっと止められたんだから。もちろん、止めに入った人全員ただじゃ済まなかったけど」
『イカれてやがるな。どういう育て方をされれば、そんなガキに育つんだよ。おかしいだろう』
「うーん、なんか先輩の実家?の人の所為らしいわよ。勝手に結婚させようとしたりとか、お父さんに無茶なこと言って来たりとか、お母さんにセクハラして来たりとか…」
『…ジャパンってのは、そんな古臭い国だったか?俺が五体満足だった時ですら、先進国の上の方だったはずなんだが』
動き出した車のダッシュボードに両足を乗せて、ジョニーが呆れたようにこちらを見てくる。
いや、ジャパニーズじゃないし私だってそんなの知らない。
「私だって詳しくは知らないわよ。風の噂では、お母さんの影響が結構あるらしいけど、それもどこまで本当か」
リトルチャイナから陸橋を越えてジャパンタウンに抜けて、そこからノース・オークの慰霊堂の手前にある交差点を曲がり、ノース・オークサインへと向かう。
そこの建物の端っこが待ち合わせ場所に指定されている。
特に急げとも言われていないので、車も壊したく無いし安全運転で向かった。
ジョニーが何かラジオをつけろと強請るので、スイッチを押してラジオをつけると良い感じのロックが聞こえて来た。
それに合わせて、ジョニーがノリノリで歌い始める。
「すごい上手ね。誰の曲?」
『はぁ?何言ってんだよ。これは俺の歌だぜ。《Chippin'In》だ。ほらここだ、サビくらいは聞いたことあんだろ』
「あぁ!この曲だったのね。確かに聞いたことあるわ。…でも、なんか皮肉ねぇ。これ貴方のこと言ってるんでしょう?その貴方が正しく私にチップインなんて、笑っちゃうわよね」
『確かにな。人生ってやつは、ほんとに何が起きるかわからねぇ』
流れるはずのない紫煙が、開けた車窓から外へと流れていった。
ということで、フサリアとジョニーを対面させてみました。
ぅゎょぅι゛ょっょぃ
ジョニーを発狂させるには、幼女を1人用意させれば簡単なお仕事になりますね()
活動報告にも書いたのですが、個人的にはあと20話前後か以内くらいで完結まで持っていけたらなぁと思っております(予定通り進むとは言っていない)。
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幼女はこの小説に
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