【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正ありがとうございます!!m(_ _)m

今日は、最後にアンケートを実施しておりますので、是非皆様のご意見をワンクリックにてお聞かせ下さい。

次回なのですが、もしかしたら間話になるかもしれません。
ちょっと悩んでいます。
よろしくお願いします。


第五十二話

最初の荷運びの依頼は、簡単に終わった。荷物を言われた通りにノース・オークサインに運び、建物の端で待っていたトニー・ジャックマンにコンテナボックスごと渡したらお終いだ。

なんて事はない、サイバーパンクがやらなくても普通の宅配業者を使えば良いような仕事だったが、サイバーパンクに直接仕事を頼むくらいなのだから荷物に問題があるのだろう。

まぁ、余計な詮索をしても意味はないのだけれど。

 

トニーはその場で先輩だか元請けのフィクサーに達成の報告を入れ、ついでに丁寧な仕事だったからと50エディ程チップをくれた。

50エディか…

アラサカの時は50エディなんて子供のお小遣いの様な端金であったが、今では借金有りの一文無しで初めて貰ったお金だ。

 

「中身も全く問題なさそうだし、助かったよ。もしかしたら、フィクサーに指名依頼を頼むかもしれない。その時はぜひ請けてくれ」

 

最後にそう言ってトニーは去っていった。

すぐにその後先輩からコールが入って、300エディが送金されて来た。

 

『やぁ、早速依頼達成したようだね。サイバーパンクの仕事は、何も暗殺やら襲撃やら、血生臭いものばかりではないんだよ。もちろん、そっちの依頼も多い事は間違いないんだけどね』

 

『先輩、私…結構この仕事向いているかもしれないっす。仕事で感謝されたのなんて、初めてだったんすよね…案外嬉しくて』

 

『…良いね、そいつは良かったよ。次は4つ程依頼を用意した。撃ち合い系もあるし、同じ様に荷運び系の依頼もある。好きな方を選んで請けると良いよ。そのうちだけど、慣れて来たら危険な依頼に潜む罠を見分ける方法を教えるからね』

 

『分かりました!まだ時間があるので、次のもやってみたいと思います』

 

『そしたら今すぐに送るよ。怪我はしない様に気を付けて、頑張ってね』

 

最後にホロに映っていた先輩は、にっこりと微笑んでからコールが切れた。

 

『お優しいこった』

 

「ジョニー、先輩のことを茶化すのやめてよ」

 

『へいへい、仰せのままに』

 

やれやれと言った様に、両手を肩の高さに上げて合衆国人のステレオタイプが如き仕草をするジョニー。

一応黙ってくれるらしい。

でも、なんか無性に腹が立つので、いつかコイツを殴りたい。

 

早速先輩から、また4つの依頼内容が送られて来たのでジョニーの意見も聞きながら、2つに絞って請けることにした。

場所はどちらもジャパンタウンで、一件はランチョ・コロナドにあるガレージから荷物を受け取り、ジャパンタウンにある桜花マーケットの少し隣にある飲食店の前で引き渡すと言うものと、もう一件は同じくジャパンタウンにあるリパードク《フィンガーズ》で配達物を受け取り、それをジグジグ・ストリートにあるパチンコ店に持って行くというものだ。

 

フィンガーズなんて名前のリパードクが、ジャパンタウンにあるなんてこれっぽっちも知らなかったが、配達する距離が近い上に報酬が200エディと割高だったのが選んだ理由だ。

何をパチンコ店に持って行くのかは知らないが、そこまでの危険物ではないと予想している。

特に、人気のリパーは忙しいから、単に時間がないのかもしれないし。

 

という事で、車をランチョ・コロナドに向けて発車する。

ノース・オークからランチョ・コロナドは近いので、信号に捕まったとしても15分は掛からない。

助手席のジョニーは相変わらず葉巻を吸い続けているが、自分が生きていた頃のナイトシティの街並みと見比べているのだろう。

ラジオを聞き流しながらじっと外を眺めている。

まぁ、50年も経っていたら街並みなんてだいぶ変わってしまうだろう。

 

依頼に添付されていた住所に着き、指定されたガレージの暗証番号を打ち込んでシャッターを開けて、コンテナボックスを回収する。

車のトランクに入れて動かないように固定したらジャパンタウンに向かう。

 

「ねぇ、やっぱりかなり街並みは変わっちゃってるの?」

 

『…あぁ、俺の頃とは道路を含めてちげぇな。主要幹線道路も再開発で引き直されたんだろうが、猥雑さは今の方が上だろうな』

 

「へぇ、昔の方がゴミゴミしてる様なイメージだったんだけど」

 

『人は50年くらいじゃ変わらねぇが、建物は上へ伸び過ぎだし、ジャンキーやらスラムみたいな連中は今の方がずっと多いんじゃねぇか?』

 

「ふーん、そうなのねぇ」

 

なんて他愛もない会話が続く。

ジョニーはジョニーで、目覚めたら50年も経っていて、時間とのギャップを埋めるのに頑張っているのかもしれない。

あれだ、先輩が昔言ってたウラジマ?シマ?なんとかって奴に近いのかも。

 

ランチョ・コロナドは相変わらず治安が悪く、骨董品のショットガンを持った婆さんが通り掛かった車に発砲して、白昼堂々と車両強盗をしている。

その向こうの通りでは、シックスストリートの下っ端が通行人のカップルを恐喝していて、舌舐めずりをしながら彼女の胸を鷲掴みにしていた。

まぁ、ここら辺だと平常運転じゃないだろうか。

 

『おいおい、とんでもねぇな。あの婆さん元気過ぎだろ』

 

「あの人、ここら辺の住民には有名人らしいわよ。襲われているのは違う地区の住民ばっかりみたい」

 

婆さんがショットガンをこちらに向けて来るのが見えたので、窓を開けて片手を挙げると銃口を上に向けて手を挙げ返してきた。

 

『V、あの婆さんと知り合いなのか?』

 

「違うわよ。挨拶したら近所の人間だと勘違いしてもらえそうでしょ?少し距離があるから、顔まではハッキリ見えなさそうだし」

 

『…お前も大概肝が据わってやがるよな』

 

「散々鍛えられたしねぇ」

 

そのまま、路上で一発おっ始められそうな恐喝現場の横を通り過ぎる時に、シックスストリートに向かってすれ違い様にシステムリセットをハックで送りつける。

デーモンをICEで防げなかった下っ端は、痙攣したように小刻みに震えて頭から後ろにひっくり返ったのがバックミラー越しに見えた。

上の服を剥ぎ取られていた女の子は、おっぱい丸出しで下っ端の股間を思いっきり両足でストンピングしているのも見えたので、下っ端は起きた時には女の子に大変身しているに違いない。

 

『おー、えげつねぇ』

 

「ジョニー、貴方も女性からは恨みを買わない方がいいわよ」

 

『もう大半は生きてねぇんじゃねぇか?』

 

「あら、今だって女性の平均寿命は高いわよ?まぁ、この街においてはそうじゃないかもしれないけど」

 

『俺だって、もう後ろから刺されんのはごめんだぜ』

 

「もう後ろから刺されてたの?ま、貴方ってあっちこっちで喧嘩売ってそうだしね」

 

『……そんなんじゃねぇよ』

 

「またまた、そんなこと言って……ッ!?」

 

頭に鋭い痛みが走り、それと同時に情景が流れ込んで来た。

薄汚く暗い路地裏で、チンピラ達が襲いかかって来る。

数人を拳銃で撃ち殺したところで、誰かわからない女性が羽交い締めにされて助けをこちらに求めて叫んでいる。

私はそれをみて、叫びながら助けに入ろうとしたが突然腹部から刀身が飛び出した。

これは…マンティス・ブレード?

力が抜けて地面に倒れ込んだ。

次には、女性はバンの荷台に乗せられて誘拐されて行く…

銀色の腕、これはジョニーの記憶なの?

 

『おいV!!しっかりしろ!危ねぇぞ!!』

 

ハッと気がついた時には、目の前にトラックが迫っていて慌ててハンドルを切りはみ出していた車線を元に戻した。

思わず荒い息が漏れる。

ジョニーも流石にビビったのか、助手席から腰を浮かしていた。

 

「ご、ごめんなさい…」

 

『マジでしっかりしてくれよ。2回目がこんなクソダセェ死に方をするのはマジでごめんだ!……おいV、大丈夫なのか?』

 

車を路肩に寄せて、ハザードを焚いて一旦車を停める。

クロームに置き換わっていないところは、嫌な汗をびっしょりと掻いていて気持ちが悪い。

 

「急に頭が…痛くなって、ね。気をつけるわ、ごめんなさい」

 

『…一応病み上がりなんだ、あんまり無理すんなよ。少しして落ち着いたら行こうぜ。請けちまった依頼は終わらせないといけないだろうからな』

 

「えぇ、そうね。ジョニー…いえ、なんでもないわ。ありがとう」

 

一体さっきのはなんだったのだろうか。

流れ込んで来たのは、多分ジョニーの記憶で間違いない。

この数日間、こんな現象は起きて無かったから、このTPRになにか不具合でも起きたのだろうか。

あとで先輩に相談しよう。

それにしても、あの女性は一体誰だったんだろうか…

きっと、ジョニーの大切な人だとは思うんだけどな。

 

ジョニーにあれは誰だったんだと聞くに聞けず、少し、ほんの少しだけモヤッとした感情のまま車を走らせて、桜花マーケットの少し隣にある飲食店に向かった。

依頼人の名前は、確かキーウィだったかな?

とりあえず、説明欄には赤いコートを着て受け取りに行くと書いてあったので、飲食店の前で車を停めて赤いコートを探してみるが、まだ到着していない様だった。

適当に路駐をして、しっかりと施錠をしたのを確認してから飲食店でヌードルを買った。

一文無しになってから、初めて稼いだお金で初めての買食いだ。

今まで食べていた自然食材を使った料理なんかとは、もちろん比べ物にはならない味だが、それでも私には美味しく感じる。

 

カップに入れてもらったヌードルを啜っていると、後ろから声をかけられたので振り向く。

そこには、金髪のボブカットに赤色のサイバーマスク、そして赤というより紅色のコートで全身を包んだ長身の女性が立っていた。

 

「アンタがVであってる?」

 

鋭い眼光がこちらを睥睨しながら、気怠げに腕を組んでいる。

その後ろでは、お髭がチャーミングなおじさまが紙巻きを吸いながら控えていた。

私の中古車の後ろに、厳つい装甲車が停まっていたので、きっと彼が運転手兼護衛なのかしらとあたりをつける。

 

「ええ合ってるわ。貴女がキーウィ?」

 

「そうよぉ。こんな朝から悪いわねぇ」

 

「朝?」

 

UIにある時計の表示は昼の12時過ぎを指していた。

朝と言うには遅い気がする。

 

「断れない筋から頼まれちゃったのよぉ。早速で悪いけど、物を確認しても良いかしらぁ…ハァ」

 

「わかった。物はトランクに入っているから、ついてきて」

 

私の車まで誘導して、トランクを開けて中のコンテナボックスを確認してもらう。

キーウィは、遠隔で電子錠を開閉させて自分のものであることを確認しつつ、私にも見える様にしてキーウィを騙る人物でないことを証明してくれた。

 

「あら、しっかり固定までしてるのねぇ。軽いけど、中身は精密機器だったから助かるわぁ」

 

精密機器…それなら最初から依頼に書いてほしいと心から思ったのと、ちゃんと固定して安全運転で運んだ私グッジョブとも思った。

仕事は細部に宿る。だから手抜きは良くないって、先輩が昔ブリーチプロトコルを教えてくれた時に口酸っぱく言ってたけど、まさにこういうことだったのかもしれない。

ちゃんと聞いておいて良かった。

 

「ファルコ、これ積んでおいてぇ」

 

「はいよ」

 

ファルコと言う名前だったおじさまが、コンテナボックスを掴んで装甲車の中へと運んでいった。

キーウィはと言うと、運ばれていくコンテナボックスを尻目に紙巻きに火を付けて、サイバーマスクの隙間に吸い口を差し込んで紫煙を吐き出す。

 

「アンタも一本吸う?」

 

「いえ、最近禁煙してるんですよね…」

 

「あそう、人生損してるわねぇ。…さて、今依頼達成の連絡をしといたから、報酬はそっちで受け取っといて。あとこれはチップ」

 

そう言って、キーウィは100エディも報酬とは別にチップをくれた。

結構気前がいい。

キーウィ自身もサイバーパンクのようだが、それなりに腕が立つのだろう羽振りも良いようだ。

 

「こんなに…良いの?」

 

「このくらいはねぇ。まぁ、これから頑張ってねぇ。そのうち仕事を一緒にするかもしれないし、その時は頼むわぁ」

 

じゃあねぇと言い残し、キーウィは紅色のコートを翻しながら、気怠そうな足取りで装甲車に乗り込み去っていった。

去り際、装甲車の側面にどこかで見たようなマークが描いてあったが、アレがキーウィの所属しているチームのマークなのだろう。

どこで見たんだっけな。

 

『あの女、結構な胸してたな。きっとケツもエロいケツしてるぜ』

 

「ジョニー…いつもそんな事ばっかり考えているわけ?」

 

『何言ってんだ!男なんて大体そんなもんじゃねぇか。下半身で生きてねぇ男なんて男じゃねぇよ』

 

「アンタだけでしょ。スケベロン毛」

 

『言ってろ。それに、さっさと最後のを片付けようぜ。お前の頭痛も気掛かりだしな』

 

「…そうね、ここからジグジグ・ストリートもフィンガーズも近いし、車はどこか駐車場に停めてから歩いて行きましょうか」

 

『車をパクられないと良いがな』

 

「それは…運次第よね。まぁ、ポンコツそうだし大丈夫じゃない?それに今時、シリンダー錠の車なんて盗める技術を持った自動車泥棒居るのかしら」

 

『そんなに衰退しちまったのかよ…ハイテクになると、ローテクの方が逆に安全になっちまうとはなぁ』

 

一応お金を払う駐車場に車を停めて、しっかりと施錠をする。

先輩の薫陶から、鍵を勝手に開けようとしたり、ドアノブに勝手に触れた瞬間に感電するよう罠を仕掛けておく。

それからフィンガーズに向かって歩き始めた。

歩いている時は面倒なのか、ジョニーは頭の中に引っ込んだまま出てこないので、1人でさっさと目的地に向かう。

 

「こんな裏路地の中にリパーなんてあったのね」

 

ジグジグ・ストリートの中を通り抜けて、ビルとビルの間の細い路地を進んだ先に《Fingers MD》とピンク色のネオンで書かれた雑居ビル?が現れた。

ジグジグ・ストリートなんかには、基本的に用事が無かったのでほとんど来たことがなかったから、奥の方の構造がこんな風になっていたなんて全く知らなかった。

そもそも、タイガークロウズの勢力下なので、彼らの客ではないアラサカ社員はあまり近付かないっていうのもある。

私はその口だ。

 

早速中に入ろうと思うのだが、入り口前の階段には3人ほどチンピラが屯しているので、避けて横から通ろうとおもったのだが、ニヤニヤと汚らしい歯を剥き出しにして笑いながら通せんぼをしてくる。

 

「おっと、へへへ。こっから先は通行料が必要だぜ?嬢ちゃん」

 

「金目のものが無かったら、その身体で払ってもらっても良いんだぜぇ」

 

如何にも碌でもない三下のチンピラ感が半端じゃない。

今の世の中に、こんなやつがまだ生き残っていたのかと少しだけ感心してしまった。

 

「いいえ、結構。死にたく無かったら素直に退いた方が良いわよ。ここで下手に怪我をしたら、困るのはアンタ達じゃない?身動き取れなくなったら、身包みどころか内臓まで売っぱらわれるんじゃないかしら」

 

建物の二階や他の路地から、ジロジロとこちらを観察している不躾な視線をさっきから感じているので、抜け目のない奴らが虎視眈々と漁夫の利を得る為に様子を窺っているのだ。

それでも、神経ブースターでもやってハイになっているのか、下卑た笑いをそのままにスロートマティックを抜いてきたので、一直線にダッシュしてスロートマティックを持っている手を片手で押さえながら、相手の左足にローキックを叩き込む。

先輩に新しく入れてもらった脚部クロームが、思いの外パワーが出た事と頑丈だったことから、ボキンと小気味の良い音を立てて大腿骨がくの字にへし折れた。

そのまま、流れるように脚の折れた男の身体を回して後ろ襟を掴み、残る2人に向けて押さえたままのスロートマティックを持つ男の腕を向けて、トリガーに掛かっている指を上から押し込む。

軽い反動の後、すぐ近くにいた男の顔面に穴が空き、もう1人から発砲された弾は盾にしている男が防いで私までは届かない。

盾の男が被弾している衝撃を感じながら、最後の1人に向けて射撃する。

同じように顔に穴が空いて沈黙した。

残念ながら3人とも、ほとんどナチュラルに近いか四肢くらいしかクロームを入れていなかったらしい。

まぁ、こんなところにいる底辺のチンピラなんか、高価なクロームを入れる金銭的余裕なんてあるはずもないか。

 

3人の死体から、少ないエディだけ回収して放置する。

物陰から伺っていた連中が、死体に近付いてくる音が聞こえるが無視して扉を潜る。

階段がある廊下はブラックライトが照らされているだけのほぼ真っ暗で、壁には青色のコンドームやらの絵が光っていて少し下品だ。

2階に上がるとそこには狭い待合室があり、4人ほどのジョイトイが順番待ちで長椅子に座って待っていた。

皆、顔や手脚のリアルスキンが剥げてしまっていたり、クロームの指が取れていたりとそれぞれ何かしらの欠損を抱えているようだ。

簡易スキャンでも、皆病気を持っているのが分かる。

今でこそ分かるが、私を含めてここにいる全員生きる事に毎日が必死なのだ。

 

とりあえず、私自身は患者ではないので、先頭で待ってるジョイトイに声を掛ける。

 

「あー、ごめんなさい。私はここのリパードクのフィンに依頼を頼まれたサイバーパンクなんだけど、物を受け取るだけだから先に中に入っても良いかしら?」

 

「良いわよ。お仕事お疲れ様」

 

「ありがとう。助かるわ」

 

快く先に通してくれたジョイトイに軽く頭を下げてから、受付端末の呼び鈴を押す。

ややあってから、扉が開いて治療の終わったジョイトイが出てきた。

入れ違いで中に入ると、メッシュシャツにピンク色をしたピチピチの短パン、赤いハイヒールを履いた髪の薄い男が後ろを向いて、洗面台で手を洗っているのが見えた。

どう見ても変態にしか見えない。

少しだけ、この依頼を受けたのを後悔し始めている。

 

『なかなか個性的なヤツじゃないか?』

 

ジョニーがニヤニヤしながら、変態の近くの壁に寄りかかって葉巻をふかす。

 

「あー、アナタがフィンであってる?」

 

「なんだ?まだ次の患者は呼んでいないが」

 

手を洗い終わったフィンがこちらを向いた。

薄い胸板にメッシュシャツなので、乳首が丸見えになっている。

腰にはハンドソープが吊るしてあり、少なくとも衛生面には気をつけるリパーの様で、そこに関しては少しだけ見直した。

 

「私は依頼を受けたサイバーパンクよ。Vって呼んで、よろしく」

 

「ああ、頼んでいた依頼か。フィンだ。あぁ、悪いが手を洗ったばっかりだからな。握手は勘弁してくれ。荷物はあのテーブルの上に置いてあるクーラーボックスだ。あれをジグジグ・ストリート内にあるパチンコ店に持って行って、ワカコ・オカダに渡して欲しい」

 

指を指す方向を見ると、テーブルの上にコンテナボックスよりは小さめのクーラーボックスが置いてあった。

そのクーラーボックスは、小型バッテリーで中身を凍結させることができる冷却機能付きのもので、少し重たそうだけど運べない程ではなさそうだ。

それに目的地もすぐそこなので、問題はないだろう。

 

「…ちょっと待って、ワカコ・オカダってあのフィクサーの?」

 

「ああ、勿論そうだとも。このナイトシティにおいて、他に有名なワカコ・オカダが居るのか?居るのならば私に教えて欲しいくらいだが」

 

「…ワカコ・オカダって、パチンコ屋なんかに居たのね。全然知らなかったわ」

 

「まぁ、用事がない人間はそうだろうな。ジグジグ・ストリートに居る連中の大半だって知らないだろうさ。さて、それでは次の患者が待ってる。そろそろ持って行ってもらおうか」

 

「ええ、じゃあ預かるわね」

 

「くれぐれも奪われないように頼む。その為に腕の立つ者をと条件をつけたのだからな。あぁ、それと患者としてくるなら歓迎するよ。こんな場末にはあるが、金払いの良い客向けにレアな高級品も扱っているのでね」

 

「ええ、勿論時間があったら覗かせてもらうわ。じゃあ、行ってくるわね」

 

「ああ。またな」

 

少し重ためのクーラーボックスを持ち上げて、片手を挙げて挨拶をしてから治療室を出る。

あんな珍妙な姿をしていたが、話してみると案外普通の男だった。

まだ会ったばかりだが、見た目の第一印象を除けば意外に悪い奴では無いのかもしれない。

これからはどういう付き合いになるか分からないが、今日会った3人とは長い付き合いになりそうな気がした。




久しぶりにキーウィとファルコを登場させてみました。
前回のキーウィの口調をどんな感じに書いたのか忘れて、遡ったのは秘密です…
ちなみに、このコーポVはバイの気がありますが、男性に対してはひょろっとしたイケメンよりもガッチリした渋い良い男がタイプという設定です。
デイビッドよりもジャッキーやファルコの方がタイプという事ですね。
なので、ジャッキーがフリーだった場合は多分アタックしていると思います。
ちょっとした小噺でした。
来週もお会いしましょう。
byノミの心臓

ジョニーとの会話は多い方がいい?

  • もっと多い方がいい
  • 多い方がいい
  • このままのくらいで丁度良い
  • もう少し少なくしてほしい
  • ジョニーお前は船降りろ
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