【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正、いつもご協力ありがとうございますm(_ _)m

やっと書き上がりました…
暫くはこんな調子が続くとおもいます。




第六十話

「うーむ……カント君使っても何も出てこないとはね」

 

あれから3日経ったが、その間にナイトシティやアラサカのネットワークにカント君を使ったほぼ実害の出ない(有害)諜報ウィルスデーモンをばら撒き、ハナコさん関連の情報を手当たり次第に探っていた。

その結果は完全な白。

つまり、シロウさんの完全な思い過ごしということになる。

国を跨いで、日本のアラサカ本社やハナコさんが押し込まれていた場所へは流石に直接接続できなかったが、少なくともナイトシティ支社で分かる範囲だとハナコさんは東京から全く出ていない。

その幽閉場所から、自主的に情報を発信した形跡や記録も見当たらない。

誰が会いに来たか、といった記録に乗っている名前に関しても殆ど私の知らない名前だし、調べたとしても大した人物ではなかったのだ。

時折サブロウの爺様が顔を見せに行って、小一時間ほどお茶を飲みながら世間話をしていたくらいで、それ以外は有象無象のご機嫌伺いみたいなものばかりだったようだ。

 

しかも、基本的に用意されている屋敷からほとんど出ないようで、近所の喫茶店に持ち帰りで抹茶ラテか何かを頼みに行くなんてこともここ50年近くはしていないようだ。

一応アラサカ本家の人間の屋敷なので、それなりの使用人が働いている関係上、周囲は門前町のようなかたちでそれなりの賑わいがあるのだが、本当にハナコさんは目の前の街に繰り出した事がないようなのである。

こればっかりは、私はシロウさんの思い過ごしに過ぎないのではないかと思わざるを得なかった。

人間1つや2つは隠し事くらいあるだろう。

 

「うーん、しかしなぁ……サブロウの爺様を理由付けて独りにさせられる人物なんて、他に居ただろうか」

 

一瞬、タナカ氏の顔が頭に浮かんだが、とうの昔に功績を認められて日本の本社に戻ってしまっている。

それに、彼にはサブロウの爺様を殺害した場合のメリットが全くない上に、配置換えがあった以上は他支社への影響力はリセットされてしまう。

なので、候補として上がる可能性はゼロだ。

バイオテクニカ攻略戦の時の感謝を念として、遥か日本に送りつつ、候補を考えるが全く浮かばない。

 

「考えても仕方ないか」

 

声に出して、はっきりと思考の切り替えを行った。

長考したところで、そう易々とは解決しないだろうから、目の前の問題を解決することを優先する。

 

一旦ハナコさんの顔を頭の中から追い出して、ヨリノブのおじ様をどう引き摺り下ろしてシロウさんをその地位に持ち上げるか、それを考えることにした。

どう考えても、根回し等の時間は足りないので、原作Vと同じように武力的解決しか道はない。

しかし、そうは言っても現実問題としてアラサカの支社を襲撃するというのは相当な話だ。

バイオテクニカでさえあのレベルの戦闘になったのだから、真正面からの戦闘になったら前回の比ではない程の戦力が投入されるだろう。

間違いなく、ナイトシティは廃墟の街となるに違いない。

風の噂では、TPRが紛失したと私が嘘をついた時に、私を含めて数人のアラサカ重役を即座に日本へ引き上げさせてから、このナイトシティに2、3発の熱核兵器を撃ち込もうと計画していたらしい。

それは、ハナコさんがなんとか諌めて撤回させたらしいが、シロウさんが居なくともヨリノブのおじ様だって負け戦になりそうなら、実際にやりかねないのがなんとも恐ろしい。

 

そうなると、原作に倣って空中から少数精鋭での奇襲攻撃になるが、はてさて…

今のローグさんは原作と同じように手伝ってくれるだろうか?

あまり当てにしないほうがいいか。

一応声を掛けておくだけ掛けておくことにする。

期待はしていない。

 

こうなると、私の切れる手札は限られてくるが…エッジランナーズの面々を使うのが一番手っ取り早いかな。

アダム・スマッシャーの面前にさえ出さなければ、ヨリノブのおじ様のところまでは行けるはずだ。

そこから先は、シロウさんのお仕事なのでとりあえずそこに辿り着けて、無事に離脱出来れば私としては問題ない。

まぁ、出来るとは言っていないが。

 

でも、デイビッドは手伝い戦をしてくれるだろうが、ルーシーは100%反対するに決まってる。

レベッカもああ見えて危機管理意識は高いので、ルーシーと同じく反対に回るはずだ。

そうなると、デイビッドも易々と頷けなくなるだろう。

メインとドリオはどうだろうか。

意外とメインも頭が切れるので、かなり悩むだろうが、私が全面的にバックアップすることと超高額の報酬、成功後のアラサカからの覚えがめでたくなると言ったメリットを提示すれば天秤はこちらに傾くに違いない。

ピラルは自分が楽しければ良さそうだが、レベッカが強く反対すればそちらに靡かねないし、キーウィは多分私から逃げれないと思って消極的だが賛成してくれるはずだ。

サーシャに関しては、ちょっと分からない。

私の親愛なるチューマは、ハッキリ言って誘いたいけど今回だけは出来ない。

彼は、もう背負っている命が自分のもの一つだけじゃないからだ。

 

とりあえず、ジャッキーは仲間外れになってしまうが、デイビッド達を勧誘しに行くことにした。

デラマン・タクシーで、グレンのアパートに向かう。

その車内で、メインとドリオ、ピラルとキーウィ、そしてサーシャに連絡を入れて、グレンのアパートに集合するように伝えた。

ファルコには、全員の家を周って回収してくるように指示する。

 

車を降りて、エル・コヨーテ・コホから見られる前にいそいそとアパートの中に入って、エレベーターに乗った。

ちなみに、デイビッドには前もって行く事を伝えていない。

 

チーンと音が鳴り、到着したエレベーターのドアを開けると私が来るのが分かっていたのか、扉の前にはニコニコしてこちらに両手を伸ばしているフサリアが立っていた。

 

「はは!!だっこ!!」

 

「おやおや、良い子にしていたようだねぇ。抱っこは良いけど、その形容し難いヴォイテクはそこら辺に置こうか」

 

なんかSAN値が減りそうだし。

 

「やだ!ははとうぉいてくもいっしょ!」

 

「そっかー、一緒かぁ」

 

仕方ないので一緒に抱っこして室内に入ると、相変わらず飲み散らかした瓶やら缶のゴミがテーブルの上に出しっ放しになっているが、床にはゴミは落ちていないので一応は掃除をしているらしい。

それにしては、フサリアは居るのにデイビッド達の声が聞こえない。

 

「デイビッド達はどこに居るのかな?」

 

「うえ!」

 

指を指す方を見ると、どうやらロフトのベッドで寝ているらしい。

どれどれ、出歯亀してやるか。

シーっとフサリアに静かにするように合図して、ニシシと笑うフサリアを抱っこしながら足音を立てずに階段を上がる。

 

ロフトに有るキングサイズのベッド上には、スウェットのようなダル着を着て寝ているデイビッドと、デイビッドの少し大きめのTシャツを彼シャツとして着て寝ているルーシーとレベッカの姿があった。

…あったは良いのだが、ルーシーはデイビッドの左腕に抱きついており、まるで蛇のように足もガッチリとデイビッドの左脚に絡みついて寝ている。

レベッカの方は、寝相が悪いのか頭がデイビッドの腹の上にうつ伏せで乗っており、左腕がデイビッドの首あたりに巻き付いていた。

髪の毛も纏めてないので、ブワッと広がってデイビッドの顔面に幾つも乗っかっている始末だ。

見た目はさながら死体のようにも見える。

当のデイビッドはと言うと、美少女?2人に絡み付かれて変な夢でも見ているのか、ゲンナリした顔で額から汗を掻き、うーんうーんと唸っていた。

きっと、腹の上にレベッカの頭が乗っかっているせいで、悪夢でも見ているに違いない。

 

「随分と仲の宜しいもので」

 

「もので!」

 

とりあえず、何枚か写真をキロシで撮っておいて、面白そうだからサーシャに送り付けておいた。

本人達には、目覚めてから送り付けてやろう。

ルーシーがブチ切れそうで、想像したらとても愉快だ。

速攻でサーシャから猫目とびっくりマークのスタンプが送られて来て、その後にすぐ行くとの文言。

もしかしたらファルコを待たずに走ってくる気かもしれない。

 

「うぅぅ〜……ネイト、そのチーズ…ウジ沸いてるの食うのかよ……」

 

「は?」

 

ウジ沸いているチーズって、カース・マルツゥの事かな?

デイビッドは一体全体、なんの夢見ているのだろうか。

 

「うぅぅぅ…口の端にウジ……ネイトキモイって…」

 

「………」

 

「はは、きもいって!なに?」

 

「知らなくて良いよ」

 

いっそここで叩き起こして、なんて酷い夢を見ているのかと問いただしたくなってくるな。

とりあえず、デイビッドの寝言もバッチリと動画として撮ったので、後で締め上げることにしよう。そうしよう。

 

フサリアと2人で下のソファーに座りながら、冒涜的なヴォイテクぬいでSAN値のダイスチェックをしつつ遊んでいると、エレベーターがこの階に到着した音がした。

そちらを見ると、そわそわしたサーシャがエレベーターから降りてくるところだった。

 

「ねぇ、まだアイツら寝てるの?」

 

「ああ、死ぬほど疲れているんだ。起こさないでやってくれ」

 

満面の笑みで言ってやる。

 

「ふ〜ん」

 

それを聞いたサーシャは、愉快犯のようにニターッと笑いながら、シュバッシュタタタ!と効果音がなりそうな身のこなしで荷物を床に放り投げ、階段を登って行った。

直後に、頭上からデイビッドの甲高い悲鳴が聞こえて来て、思わず笑ってしまう。

 

「キャーーーー!!」

 

「どぅわぁぁ!?デイビッド、敵か!?」

 

「な、なに!?どうしたの!?」

 

ドンガラガッシャーン!と何かがひっくり返る音が鳴り響き、騒音とデイビッドの甲高い悲鳴に飛び起きた2人の声が続いて聞こえて来た。

 

「だ、誰かが俺の乳首を!?」

 

「あーー!!サーシャてめぇ!!デイビッドはあーしらんだぞ!!」

 

「隙だらけで寝てたのはそっちの方。今は私のモノ」

 

「ち、乳首を抓らないでくれ!!」

 

「アンタ!デイビッドから離れなさいよ!大体、家で寝てて隙だらけもクソも無いでしょ!!そもそもどうやって入ったのよ!」

 

何をしたんだサーシャは…

これ以上は教育に悪そうなので、わざとコツコツと足音を立てて階段を登る。

 

サーシャ以外の3人の目がこちらを向いた。

サーシャはというと、上半身を起こしたデイビッドの背後に回り込んでTシャツの上から乳首をこねくり回している。

いや君ら何してんの…

 

「サーシャを入れたのは私だよ」

 

「ネ、ネイトォかよぅぅ」

 

「うぇっ!?ネイト!?」

 

「はぁぁっ!?」

 

ルーシーが立ち上がって掴み掛かってくるが、手首を掴んでぐるっと一回転させてベッドの上に放り投げた。

上手いことデイビッドが受け止めたが、後ろに上半身が倒れたためサーシャが押し潰されて変な声を出している。

間髪入れずに、3人の恥ずかしい寝姿とデイビッドには追加で寝言の動画を送りつけてやった。

送られて来た写真と動画を見て、3人ともその場で呻き声を上げて身悶えし始める。

ざまぁみろ。

 

「あぁ、そう言えばリア、いつの間に私のことを母って呼ぶようになったんだい?」

 

「それは私が言ったのよ。その子育ててるんでしょ?ネエチャなんて変だし、ママじゃないって言うから、お母さんって言うのもちょっと違うし」

 

どうやらルーシーが教えたようだ。

なるほどねぇ。

 

「はは!」

 

「それでリアが良いなら、私は良いよ」

 

「うん!!」

 

フサリアがギュッと抱きついて来たので、私も壊れものを扱うように抱き返した。

 

「そうだ、私がここに来たのは他でも無い。仕事の話だ。まぁそれは、ほかのメンバーが揃ってから話そうか。早いところ、破廉恥な格好からまともな格好に着替えて来てくれ給えよ」

 

レベッカとルーシーの胸を見ながら、片手で自分の胸をスーツごと持ち上げて鼻で笑ってやった。

デイビッドは顔を赤くして唖然としているし、レベッカも呆然としているが、ルーシーは速攻で枕元に置いてあった空き瓶を投げつけて来る。

階下に落ちないようにキャッチして、キッチンの壁にあるダストシュートに投擲予測線を合わせてから投げ捨てた。

 

まだまだ甘いな。

 

それから、暫く上で女の子3人がギャーギャー騒いでいたが、デイビッドが着替えて下に避難して来てからはテキパキと着替えたのか、すんなり降りて来た。

レベッカがゲンナリしていたのは、多分となりのルーシーがイライラを隠そうとしないからだろう。

 

各々が適当な場所で、私はソファーでフサリアと遊びつつ時間を潰していると、メイン達が着いたらしくエレベーターが到着したベルが鳴る。

ゾロゾロと久々に見る顔が降りて来た。

 

「こうやって直に会うのは久し振りだな。もう俺たちのことは忘れたのかと思ったぜ」

 

「オホホィ!マジモンのネイトじゃねぇかヨォ〜!!元気してたかぁ?!」

 

「アニキうっせぇーよ!!声がデケェんだっつってんだろ!!」

 

「ドリオ、バカは放っておいてぇ、さっさと座りましょぉ」

 

「全く、やれやれだな」

 

ファルコを含め、全員がソファーに座ったのを確認してから、一先ず好きな飲み物を手渡して一服させた。

みんなが一息つけたのを確認してから、本題を切り出す。

 

「先ずは中々皆んなに会いに来れず、メールやコールでの指示ばっかりになり、やや放置気味になってしまった事を謝るよ。申し訳なかった」

 

私は雇用主兼彼ら専属のなんちゃってフィクサーとしてのケジメをつけるため、立ち上がって45度頭を下げる。

私の突然の行動に、一瞬動揺が伝わって来た。

まぁ無理もない。

どう考えても傍若無人で唯我独尊な私が、暫く放置気味になっていたからと彼らに頭を下げたのだから。

しっかりと10秒ほど下げた後に頭を上げて、全員の目がこちらを向いている事を確認する。

 

「さて、謝罪はこれくらいで本題に入りたいと思う。今日諸君らをここに招聘したのは他でも無い、君たちに是非私の手助けをして貰いたいんだ」

 

メインが先を促すようにふむと唸った。

 

「少し前にローグさんから聞いたと思うが、サブロウ・アラサカが死亡したのは他殺だ。これは間違いないし、目撃者も居る。下手人は息子のヨリノブ・アラサカと言うのも分かっている」

 

「それとこれがどう仕事の手伝いと繋がるんだ?」

 

「あぁメイン、聡明な君なら言わなくても勘付いているんじゃ無いかな?私が君たちに手伝って欲しいのはそう、ヨリノブをアラサカの代表から引き摺り下ろし、正当なる人物をその座に就かせる事」

 

一瞬で部屋に緊張が走った。

レベッカは顔をシオシオにして、ルーシーは席から立ち上がり掛けている。

デイビッドは唖然としているし、キーウィは聞きたくなかったと顔に手を当てている。

メインはと言うと、腕を組んでサングラス越しにこちらを鋭い目つきで見つめて来ていた。

 

「ソイツは随分とヤベェ話だな。犯人の名前なんて漏らして、アンタは大丈夫なのか?」

 

「全く問題は無い。ここに居る君たちは、私の口から出た情報を気安く漏らさない確証があるからね」

 

「……だが、聞いちまった以上は断れない。違うか?」

 

「ああ、無理にとは言わないよ。ただ……

とてもセンシティブな内容だからね。暫くの自由は無くなると思ってもらって良い」

 

つまり、命は取るつもりはないが、物事が完全に収まるまでは何処かで監禁されるという事だ。

私だってこんな事をしたくは無いが、今回ばっかりは計画や話が漏れた時点で、私の命にも関わるしハナコさんや後輩ちゃんだって殺されるに違いない。

ほんの少しでもリスクがあるなら、それを潰すしかないのだ。

私は散々ルーシーやらレベッカやらが反対するだろうとか考えていたが、反対したところで拒否権を易々と行使させるつもりは最初からこれっぽっちも無い。

 

「かぁぁ〜!ネイトォがよぅ、突然やって来て全員呼ぶなんて、ゼッテー碌でもねぇこと言い出すんじゃねぇかって思ってたけど、やっぱそうじゃんかー!」

 

レベッカがウガーッ!と叫びながらガシガシと頭を掻く。

 

「最初から選択肢なんて用意されて無いじゃない!ふざけんじゃないわよ!」

 

「悪いね、ルーシー。今の君たちは、このナイトシティで一番強いサイバーパンクチームなんだよ。それこそ、レベッカがずっと追い求めていたエッジランナーであると言っても過言ではない」

 

「親父と同じ、エッジランナー……あーし達が?」

 

「もちろん、クロームの性能有りきでの話でもあるがね。少なくとも、今の君たちならマックス・タックが来ても返り討ちに出来るだろうさ。実力や経験だって、もう一流なわけだしね」

 

ここに居るメンバーの全員は、義体化が五割近く進んでいる。

その全てがが2077時点での最高級グレードであるS++で、付随する上昇ステータスも厳選してあるものばかりだ。

サイバーサイコシスにならないように最新の注意を払っているので、全員人間性も失っていない。

ちなみに、切り取った人体パーツも保存してあるので、いつでも元に戻すこともできる。

そんなわけで、私のように1人でマックス・タックのウェーブを丸ごと押し潰すことは無理でも、チームで挑めば理論上は余裕を持って押し返せるはずなのだ。

マックス・タックチームを撃破出来るということは、ミリテクの戦術部隊もアラサカのニンジャ部隊やらサイバー武士団も倒せるだろう。

アラサカ強襲において、ニンジャやサイバーサムライの足止めが出来るだけでもかなり助かる。

それに、デイビッドならサンダユウが現れたとしても良い勝負をするはずだ。

 

「これだけ危険な仕事をさせるんだ。報酬はどんなもんなんだ?」

 

「それについては、過去最高額だと言って良いよ。これでサイバーパンクを引退するも良し、続けるも良し……引退するなら、アラサカが新しい身分もくれるだろう」

 

キーウィの眉毛がピクリと反応したのを見逃さなかった。

彼女はそろそろこの業界から身を引きたがっているのは、アニメでなんとなく分かる。

Tバグもそうだったが、身体的にはそこまで強くないネットランナーの死に様は大きく分けて2種類。

脳を焼かれるか襲われて死ぬかだ。

だから彼等は、一財産稼いだら新しい身分を買って徹底的に以前の経歴を消し去り、南国やらで静かに暮らすのだ。

必然的にネットランナーはコーポやらの秘密を見てしまう機会が多い分、ソロやらに比べると刺客が送られやすい傾向にあるのだから。

 

「正当なるアラサカの継承者が提示している額は1000万エディ。それに、私からの報酬額である500万エディを乗せる。もちろん、1人頭1500万エディだよ」

 

日本円にしたら30億円と言ったところだろうか。

ピラルが口笛を吹く。

 

「1500万…か。それが、俺たちの命の値段って訳か」

 

「そうだよメイン。どうだい?サイバーパンクとして、君はどう思う」

 

「どちらにしたって俺たちに逃げ場は無ぇ。だがここまでの金額で期待されているんだったら、受けないサイバーパンクはひどい腰抜けだ。俺はやるぜ」

 

「メインがそう言うなら、ワタシだってやるさ」

 

メインは手にしたビールをあおる。

ドリオもニヤリと笑って、メインと同じようにビール瓶をあおった。

 

「まぁ、危険度に見合う報酬なんじゃなぁい。それに、これきりで引退もアリかもねぇ」

 

「なんだよキーウィ、オメェもう引退すっ気でいんのかぁ?」

 

「アンタねぇ、こう言うのは出来る時にしないと、死ぬまで出来ないもんなのよぉ。ネットランナーの死に様がどんなのかぁ、知らないとは言わせないわぁ」

 

「カァーッ、じゃあオレもバカンス手伝ってやっても良いぜぇ!オイル塗ってやるからよぉホホッ!」

 

「アンタなんかとは、死んでもごめんよねぇ」

 

ピラルとキーウィが変なやりとりをしているが、2人とも参戦はするようだ。

 

「あ、私はネイトへ借りを返すのに参加するから」

 

サーシャがズビシッとニコーラの缶を持った右手を挙げて、高らかに宣言してくれた。

私は全然気にしていなかったが、サーシャとしてはバイオテクニカを粉砕して仇を取ってくれたことをずっと恩に思ってくれていたようで、今こそ恩の返し時だと考えたようだ。

大変ありがたい。

 

そうなると、やはり残るはデイビッドと2人娘だな。

 




今回はちょっとだけほのぼの回?でした。
もう少しで展開を大きく出来る…はず…たぶん…きっと…メイビィ…
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