【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正、いつもありがとうございます!!

ご感想を読ませて頂いて、やっぱりみなさん御立派様でアダム・スマッシャーバチボコにするの好きで安心しました笑
やっぱりみんな(ちん○ん)好きなんすねぇ!(アツゥい風評被害)


第六十五話

ジョン・マラコック卿が、たとえシリコンのように柔らかいような物質で出来ているとしても、音速を超えてしまうような速さで引っ叩かれたら常人なら首が360度回転していてもおかしくはない。

流石は9割サイバネ化しているアダム・スマッシャー。

一回転はしないものの、ゴキッ!と小気味の良い音をさせながら首が横を向いた。

 

「貴様ァ、まだ呆けておるつもりか?…オラァ!!」

 

今度は左から右に往復ビンタをするように、御立派様を振り抜く。

ゲーム仕様なので、どんなに力を加えても絶対に千切れることの無い御立派様が、ブルルルルンとご機嫌に震えてペシペシと追加ダメージを与える。

流石に格納されている脳みそが震えたのか、ガクンと膝を突きながらも視覚機器の赤い光が明滅しながらも再点灯した。

 

手緩い…たったの2発だと……?

ヤレェ!!もっとダァァァ!!フザケルナァ!!と、引っ込んでいる方の(前世)が内側から喚き立てている。

とても強い怒りだ。

この私すら、その怒りに引っ張られている。

せっかく制御権が帰ってきているのに、何もせずこれに逆らおうとしたら、瞬く間に怒髪天を突き怒れる(前世)が表に出て来るだろう。

 

かく言う私も、此奴には腹に据えかねているのだ。

姿が若返っているとはいえ、飼い主を見誤るとはなんと情けない奴よ。

 

「なん…ダァ?」

 

「なんだ…だと?貴様ァ、巫山戯るな。私は貴様などに時間を費やす暇など、一寸たりとも、ない!!」

 

ヒッバッビタンッ!ヒュバッビタンッ!ピッビタンッッ!!

景気良く音速越えで素晴らしい御立派様を叩きつける。

この腹立たしい虫みたいな(視覚機器)をしおってからに…

 

最後の一振りで、此奴の鉄塊のような図体が駒のように回転する。

後ろでは、シロウ殿とヴァレリーが終わったと思ったのか、隠れていたサーバーラックの陰から出てきてこちらに歩いて来ているようだ。

 

そちらを無視して、仰向けに倒れているゴミ虫の首元の上に片足を置いて力を込める。

このまま首ごと中のバイオポッドを踏み砕いてしまえと、中々元に戻らず知性を失った獣のようになっている(前世)が騒ぐが、宥めすかして御立派様をゴミ虫の顔面に突き付けた。

 

「…なんダァ。随分とくせぇナァ」

 

「使用済みであるからな。貴様には勿体無いとは思わぬか?そら喜べ」

 

ミシミシと、ゴミ虫にしては立派な装甲板が変形していく音がする。

私は(前世)が考えているように、アラサカの戦力が如何とかなど考えてはいない。

ここで此奴を殺しても、私は構わないと考えている。

 

「貴様に選択肢をやる。選ぶが良い。時間は無いがな」

 

残った左腕でゴミ虫が私を払い除けようするので、再び超音速で往復ビンタをかましてやりダウン状態にした。

私の方が速い。当然の結果だ。

 

「1つ、ここで死ぬ。単純明快、そして潔し。私が引導を渡してやる」

 

メリケンの此奴に、大和魂や武士道など分かるまい。

だが、傭兵とはいえ武人であるのだから、見事散るくらいは出来よう。

 

「2つ、アラサカの真の飼い主の下に頭を垂れ(こうべをたれ)、我らの軍門に降る。ヨリノブおじ上は雇用主ではあるかも知れぬが、アラサカの水先案内人足り得ぬ。今の彼ではここしか(ナイトシティ)治められんだろう。ふむ、よもやサブロウ翁があの時本当に死んだとは思っておるまいな。ん?どうだ、選ばせてやろう」

 

その間、手やらミサイルランチャーやらが蠢くので、オーバークロックしたサンデヴィスタンで叩き落とし、スタンさせて悉く出鼻を挫いてやる。

それを10回ほど繰り返してやると、精神的に参って来たのか抵抗しなくなった。

装甲がミシミシと変形し始めたというのも、理由としてはあるのかもしれない。

 

「で、死ぬか?」

 

「……そこに居る若いのがサブロウ・アラサカァ…ダト?証拠はあんのかヨ?」

 

後ろからヴァレリーの静止の声を振り切って、勇ましくもシロウ殿が前に進み出て来て顎を摩りながら証明できそうなことを口に出す。

 

「そうだな……2020年の事だったか?お前がモーガン・ブラックハンドに股間を潰された後、再生できるようになったら必ず頼むと縋り付いて「もう良ィ!!沢山ダァ!!」」

 

「おやおやおや、これからはチンポ・スマッシャーと名乗ったらどうだ?ククク」

 

はて、チンポ・スマッシャーだと意味が変わって来るか?

…どちらでも良いか。

 

「哀れな奴よ。おお、名案を思いついた。コイツを移植してやろう。喜べ」

 

後ろで誰かが噴き出した音がする。

 

「分かっタ!もうやめてくれ降参ダ!!クソッタレガァ…」

 

何もかも諦めたのか、残った左腕で思いっきり床を殴りつけた後に力を抜いて動かなくなった。

 

もう抵抗する気力も残っていないだろう。

フフフ…、そこまで股間にぶら下がっているものが大事なものかね。

全く理解に苦しむ。

まぁ、快楽に必要な形状なのは認めよう。

 

『てことはなんだ?ブラックハンドのオヤジがこの機械野郎を仕留め損ねたせいで、俺は可愛いムスコと生き別れになったってことかよ。クソッタレめ…』

 

ジョニー某が隣に来てそんな事を宣うが、それは自業自得だろう。

この計画性のカケラもないチンピラめ。

 

『何が可愛いムスコだ死人の分際で。そも、貴様は下半身丸ごとだろう。…ふん、どうやら(前世)は近いうちに、貴様の身体を丸ごと作ってくれてやる予定のようだから、怒りを覚えるだけ気力と時間の無駄だな』

 

『おい、なんで他人事みたいに言うんだ。それにお前、キロシの色が…』

 

鼻を鳴らして返事とする。

実際、傍観するしかない私には(前世)の為すことなど、所詮は他人事のようなことだからだ。

だから、サンダユウとの死合いだけは(前世)にとて譲れるものでは無かった訳だが…

 

「疾くパーツを直して追いかけて来ると良い。貴様の如き下郎に、これ以上時間を使っている場合ではないのだ」

 

降参した以上、このゴミ虫の上に乗っていても仕方がないのでさっさと足を退かすが、如何しても腹が立つので、腹いせに股間を蹴り上げても罰は当たるまい。

メキョッと何かの金属パーツが変形する音がしたが、敢えて知らんぷりをしてもう一度足蹴にしやる。

2度と私に逆らうなよ…

次に同じような事があったら、この御立派様を必ずや貴様に移植して、ネットの海にその姿を写した穢らわしい写真をばら撒いてやるからな…

 

「シロウ殿、行きましょう」

 

「う、うむ」

 

何をそこまで引いているのか知らないが、腰が引けているシロウ殿とヴァレリーを連れて最後の階段を上る。

途中で、最後の蹴りによって(前世)の溜飲が下がったのか、徐々に意識が潜っていくような感覚になる。

 

ふむ、今回はここまでのようだな。

強い思念が渦巻いた時を除いて、制御権を取り戻すことが敵わないのが少々不便だが、まあ良い。

いずれ戻るのか、死ぬまでこのままなのか、如何なろうともなべて世はこともなし。

なるようにしかならぬ、か…

儘ならぬものよな。

 

 

 

 

はぁ、今世の私がビタビタにしてくれたので、やっと冷静になったわ。

マジでクソボケ(アダム・スマッシャー)の顔を見ただけで、殺意しか芽生えなくなりそう。

次に敵として会ったら、ノータイムでCOMRADE'S HAMMER(ブーリャ)をブチ込んじゃるけえなぁ…

 

階段を上り切ったロビーには、ネズミ1匹人っ子1人居やしない。

静まり返っていて、空調の音が聞こえるほどだ。

腕にレールガンまで仕込んだアダム・スマッシャーを倒せるとは思っていなかったのだろうか。

まぁここまで来てから、アレコレ考えたって仕方がない。

 

支社長室の扉には鍵が掛かっていたので、思いっきり蹴破って中に入る。

アダム・スマッシャー倒せるのに、今更扉の鍵くらいで止められるわけがない。

こんなチンケな抵抗をしないでほしいな。

 

中に入ると、部屋の真ん中に椅子に縛られたハナコさんが、焦燥した顔をしながら座らされていた。

その口には、ガッチリとサイバー猿轡を嵌められていて、何かを伝えようとモゴモゴしているが全く何を言っているのかわからない。

その奥に、ヨリノブおじ様がワイシャツの上に着物を羽織って*1立っている。

その手にはリバティ KONGOUを持ち、どうやらハナコさんの後頭部に照準を合わせているようだ。

 

「あいつは負けたか。役立たずめ…」

 

我々の顔を見ながら、忌々しそうにそう吐き捨てた。

まぁ、月にどれだけの給金を支払っているのかは知らないが、高い金を払っていてこの有り様では、そう言いたくなる気持ちは理解できる。

 

いや、そんな事を考えている場合ではない。

サンデヴィスタンを使って、ヨリノブおじ様の手から銃を取り上げようと考えたのだが、私がサンデヴィスタンを発動させようと思っていることを感じ取ったのか、ヨリノブおじ様が大きな声で静止してきた。

 

「おっと、サンデヴィスタンは使うな。ネイトのお陰で、サンデヴィスタンの敷居が下がったからな。俺も最新のサンデヴィスタンを入れたんだ。この距離なら、幾らそちらが早くてもハナコの頭に弾を打ち込む方が早い」

 

それは如何かな?

後頭部にゼロ距離で押しつけていたらそうかもしれないが、少し距離があるなら私の方が早く辿り着けるが…

無理にリスクを冒すのはやめておこう。

 

「全く、後もう少しで全部終わったって言うのに…ネイト、お前が裏でコソコソと親父と何かを企んでいたのは知っていたが、親父が死んでからもこんな余計な事をしやがって」

 

忌々しそうにしていながらも、どこか傍観しているような、当事者であるのに他人事を話しているような雰囲気が混じっている。

こごで追い詰められて、自暴自棄になっているような様子ではないので、何故そんな雰囲気を醸し出しているのかが理解出来ない。

それに、そんな態度であるにも関わらず、最終的には自分が勝つとでも思っているような余裕すら感じるのだ。

 

何かが噛み合っていないと、勘が強く訴えて掛けてくる。

その証拠に、今世の私が私の内側で強い警戒の色を見せているのだ。

 

「ハナコにも困ったものだ」

 

やれやれとでも言いたげに、片手で髪を掻き上げながらニヤリと嗤ってハナコさんの秘密を語り始めた。

椅子に縛られたハナコさんは、必死に首を振りながら何かもモゴモゴと言おうとしているが、残念ながら何も伝わらない。

 

「落ち着けハナコ。良いじゃないか、コイツらに聞かせてやろう。お前の裏切りをな」

 

「…裏切り?」

 

「そうだネイト。ハナコはお前達にどのような話をしたかは知らないが、俺に親父を殺すように囁いたのは、このハナコだぞ」

 

「「なっ!?」」

 

後ろで聞いていた、後輩ちゃんとシロウさんが驚きの声をあげた。

特にシロウさんは狼狽えている様子だ。

ヨリノブおじ様の口から、ハナコさんの裏切りの内容を語られた後、最初は全力で否定するようにブンブンと頭を振っていたが、段々とハナコ様は弱々しく首を振るだけになってしまう。

実際にやっていたとしてもいなかったとしても、今の時点では彼女に疑いの目を向けざるを得なくなってしまった。

 

だがなるほど、シロウさんが見抜いたハナコさんの隠し事をしている時の癖と、私が強く感じていた違和感の正体はこれだったのかもしれない…

もし、ヨリノブおじ様の言っている事が本当ならば、ハナコさんがこの事件を起こすことになった引き金だったと言うことになる。

うーん、このリハクの目を持ってしても見抜けなかった…

 

しかし、ハナコさんの屋敷に出入りした人物には、ヨリノブおじ様の名前は居なかったし、彼と通信したログも残っていなかった。

ではハナコさんは、どのタイミングでヨリノブおじ様に計画を持ち掛けたのだろうか。

 

「大方、ネイトと組んで俺を追い落とそうとしていたんだろう?それも真実を黙ってな」

 

まるでオペラでもしている気分なのか、随分と大仰な手振りで語り始める。

 

今なら調子良くペラペラと話してくれそうなので、ここは1つ疑問をぶつけてみるか…

 

「…どうやって、貴方とハナコさんは計画を練ったのですか。屋敷の出入りログには、あなたの名前はなかった」

 

「出入りログだと?俺はアラサカの人間だぞ?わざわざ入り口から入る必要なんてないだろう。直接AVで中に乗り付ければ良いじゃないか」

 

…完全に盲点だった。

日本にはアラサカの屋敷は沢山あるし、どれも敷地面積はかなりの広さだ。

他人なら門を通って玄関から入るだろうが、確かに親族であればその必要も無いと言えば無いのかもしれない。

超規格外の金持ちなのだから、そのくらい規格外のことをしていてもおかしくは無いか。

前世でも別荘に直接ヘリコプターで乗り付ける大富豪くらい居たかもしれない。

頭がどうにかなりそうだ…

飛鳥井も金持ちだが、絶対にそんな金の使い方はしないぞ。

 

「そうやって、ハナコさんが貴方に殺害計画を持ちかけたわけですか…」

 

「そうだ。どうやら、ハナコはどこかで親父とネイト、お前の作っていたrelicだったか?…の話を耳にしたらしくてなぁ。それを使おうと企んでいたわけだ」

 

確かにrelic計画の名前自体は、一時アラサカの社内ネットワークに流出していた。

そのせいで、後輩ちゃんの頭の中に汚い妖精さん(ジョニー・シルヴァーハンド)がインストールされてしまったのだから、忘れるはずもない。

 

ちょうどここで、タケムラおじ様を回収してきたデイビッド達が部屋に入ってくる。

かなりの激戦だったようで、みんなボロボロになっていて、あっちこっちから出血していたり、ピラルなんか自慢の多指ハンドクロームごと片腕が無くなっていた。

一斉にヨリノブおじ様に向かって銃を構えるので、片手を挙げて制止する。

今ここで、ハナコさんの頭をぶち抜かれても困るし、まだ幾つか謎が残っている状態でヨリノブおじ様に死んでもらっても困る。

 

「ネイト、仲間に銃を捨てさせるんだ。早くしろよ」

 

「……みんな、悪いけど今は言う通りにしてくれ」

 

「チッ、クソが」

 

今にも目玉で噛み付きそうな顔をしているレベッカが、唾を吐き捨てながら真っ先に銃を捨てた。

それに倣って、みんなが手に持った銃を手前に投げ捨てる。

 

「どこまで話したか…ああ、relicの話だったな。あれはソウルキラーで、《神輿》に移した人格コンストラクトを人間に再移植する技術だったよなぁ。違うか?」

 

「…合っています」

 

「それで擬似的な寿命の克服をするわけだ。だが人格コンストラクトの再移植には、もちろん生きた人間の脳と身体が必要なわけだ。人格や記憶を入れるわけだから、入れる先と入れる元の適合率だってあるんじゃ無いか?」

 

そう。

初期のrelicは、誰にぶち込んで良いわけでは無い。

内臓の移植手術のように、遺伝子的に連続性がない場合は、肉体側精神側両方で拒絶反応が出る可能性が高いのだ。

ゲーム本編で赤の他人であるジョニーが、Vの身体を徐々に作り替えて乗っ取れたのは、ただ単に運が滅茶苦茶良かった*2だけ。

確実を期すには、やはり息子や娘の身体を使うのが1番手っ取り早くて間違いが起きにくい。

 

まぁそれも結局、ヨリノブおじ様がサブロウの爺様を突然ぶっ殺してしまったことで、私達が何徹もしながら人間の完璧なクローンを作る研究をする羽目になったわけで、おかげさまで本人の若い時の身体を作ってそれにぶち込めるようになってしまったのだ。

なので、本人の体細胞さえ有れば、誰でもノーリスクでrelicの恩恵にあやかれるようになってしまった。

誰のせいだ誰の。

…御高説垂れているアンタだよ!

 

ともあれ、技術的なボトルネックをrelicを改良するという解決ではなく、別の技術を発展させて、物理的に外部をどうにかすることで解決してしまったのだ。

なので、依然としてrelicの本来改良しなくてはならない技術的問題は、全く解決していない。

なので、ヨリノブおじ様の言っていることは間違ってないから、そこに関しては否定のしようがない。

 

「適合率はもちろん関係ありますよ。1番良いのは本人を使うことですが、2番目には1親等を使うのが確実で手っ取り早く、そして安い」

 

だから、relicを改良するよりも、完璧に適合する本人のクローンを作る方が技術的に簡単だったから、私はそちらに逃げたわけだね!

なになに、クローンの自由意志はどうなるんだって?

試験管の中で、2〜3週間で一気に成長させるから、その間は物凄い激痛*3を感じるから薬品で昏睡させておくわけで…

生後2〜3週でずっと眠ってる真っ新な脳みそに、果たして自我なんて芽生えているのだろうか。

尚、人間のクローンを作ること云々の倫理なんてものは、最初からこのナイトシティには備わっていないので、議論の余地はないものとする。

 

「そうだろう?ハナコがrelic計画の全容のどこまで知っているのかは分からんが、こいつはそこでこう考えたわけだ。お父様の寿命は短い。それまでにrelicが改良されるか分からないなら、いっそお兄様の身体をお父様に使って貰えばいい!とな」

 

なるほど。

まぁ、原作でもハナコさんは似たような考えを持っていたから、ここでもそのように動いても不思議ではない。

 

いっそ大仰な仕草で、イタズラが成功した子供が武勇伝を語りたくて仕方が無いかのように、笑いながらヨリノブおじ様が語り出す。

 

「そこで俺は、一策講じたというわけだ。ならば、ハナコが予定しているよりも早く親父を殺してしまえばいいとな。まだ《神輿》に入っている記憶痕跡を人間に戻す技術は無い。生きたまま記憶痕跡を《神輿》に移動させる技術も無い。そして、死人から取り出した記憶痕跡は、ツギハギだらけで受け応えもまともに出来ないと来た」

 

そうか、それで突然何の脈絡もなくサブロウの爺様を絞め殺したのか。

サブロウの爺様の心肺が停止した時点で、ヨリノブおじ様はさっさと別の場所に移動してしまったらしいから、その後すぐにタケムラおじ様が脳の保護を行ったことは知らないというわけだな。

チラリとシロウさんを見ると、神妙な顔で顎を摩っていた。

まぁ、目の前で息子の突然の豹変の理由を本人の口から聞くことになったわけだからね。

その心中は、一体どれほどのものだろうか。

 

「親父は死んだ!!この世には居ないんだ!!俺がこの手で絞め殺してやったからなぁ…俺はもう親父の生贄になんかならなくて済む!!アハッハッハッハッハッ!!!」

 

遂には狂ったように笑い始めてしまった。

これではまるで、出来の悪い喜劇でも見ているようで、私はヨリノブおじ様がとても哀れに思えてきてしまった。

一体いつ、シロウさんはネタバラシするつもりなのだろうか…

 

「な、なぁ…これはどういう状況なんだよ、ネイト…」

 

デイビッドが、狂ったように笑い続けるヨリノブおじ様を見て、困惑した表情で途中から来たみんなの疑問を代表して聞いてくる。

ちょっと聞いてこいよって、レベッカとメインに肘打ちされていたのを感知していたので、可哀想に損な役目を与えられてしまったのね。

 

「そうだねぇ…、もう見たまんまなんだけど、なんと言ったものかねぇ」

 

如何にも法悦と言った様子で、いつまでも笑い続けている。

突然ピタリと笑うのをやめたヨリノブおじ様が、こちらを向く。

正直、大変気持ちが悪い。

キモ杉晋作って感じだ。

 

「あぁ、ネイト。ネイトォ…どんな気分だ?計画が間に合わず、全てが無に帰した気分は」

 

「えー、なんと言いますか…誠に遺憾であります」

 

いや、対処が間に合ってるし、現に本人がすぐ近くに居るし、とりあえず遺憾の意くらいしか言うことがないよ…?!

シロウさんも、今下手に名乗り出るとヨリノブおじ様がぶっ放して来そうで何も言う気配がないし……ん?

 

今のシロウさんの姿は、サブロウの爺様がまだ20代から30代の時の姿だ。

ヨリノブおじ様はサブロウの爺様が50代の時に出来た子供だけど、戦時中の若い時の写真なんかは子供の時から見ているはず。

それにまだ50代であれば、そこまで顔貌は大きく変化しないだろう。

最近だって、社内ではサブロウ・アラサカの立身出世物語みたいなものを社史ドラマみたいな感じで放送しまくってるし、その中でも戦闘機のパイロットとして活躍していた時の本人の写真が出ていた。

 

どうして、今は顔すら隠していないのに、息子が父親の若い時の顔を見ても引っ掛かりすら覚えていないのだろうか。

それに、先ほどから全力で今世の私が、内側からヨリノブおじ様の事を否定している。

そいつは、ヨリノブおじ様では無い、と…

 

「…ヨリノブおじ様、じゃない?」

 

「なに?」

 

空気が凍りつく音が聞こえたような気がする。

一斉に、私に向かって全員の視線が集中した。

 

「……ヨリノブおじ様は、人前であろうとも、私のことを呼ぶ時は絶対にネイトとは呼ばない」

 

「おいおい、呼び方なんてその時々で変わるものだろう。なんて言ったって、今は敵同士じゃないか」

 

「……それでも、本物のヨリノブおじ様ならそうは言わないだろう」

 

「お前は俺が偽者だと言うわけ、か」

 

「本物なら、昔から私のことをなんて呼んでいた?言えるはずだ。……言え!!

 

ヨリノブおじ様は、口を噤んで黙っている。

私の言った通りか…

またしても、私はまんまと騙されていたってわけか。

つくづく焼きが回ったと思う。

 

「お前は誰だ」

 

ヨリノブおじ様に化けた何者かが、ニヤリと口角を吊り上げた。

*1
フレディ・マーキュリーかな?

*2
悪かったのかもしれない

*3
成長痛




これからは、敗北者アダム・スマッシャー=サンは、チンポ・スマッシャー=サン(誤用)に改名します。

さて、ちょっと時間も無かったので無理矢理感はありますが、ようやく最初の方で皆さんが感じていたヨリノブおじの違和感への一部回答が出来たのではないかなと思います。
あれ?ハナコさんがサブロウじっじ暗殺を囁いたのは、本物のヨリノブおじだったの?それとも偽者だったの…?
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