【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !! 作:持麻呂
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誤字脱字訂正、いつもありがとうございます(`_´)ゞ
ご感想にお返事出来ずにすみません、ちょっといまあっぷあっぷしてます…
「ミリテクの特殊部隊だ!!煙幕に向かって撃ちまくれ!!」
みんなが煙幕に向かって連射の効く武器を次々に撃ち込んで行くが、向こうもそんなことは端から承知だろう。
ここに降下した時点で、遮蔽物に隠れているに違いない。
なので最初から頭上を押さえることを目的としているので、盲打ちに当たるような素晴らしく運の無いヤツ*1以外は全く期待していない。
煙幕の中に向かって、オゾブの鼻を着発するようにタイミングを見計らってから3つ程投げ込んでやると、紫色の爆炎と共に煙幕が散らされて、紫色の炎に巻かれた2人が両手を振り回しながら火を消そうともがき苦しんでいた。
速攻でレベッカが顔面に向かってカーネイジGUTSをぶっ放したので、首から上がごっそりと無しながらぶっ飛んだ。
もう1人も、みんなから雨霰と銃弾を撃ち込まれてキリキリ舞を披露してくれる。
うーん、60点!
オゾブの鼻3個で、それなりの戦闘力持ちを2人も巻き込めたので良しとする。
それでも、スキャンをするとまだ10人近く居るので、非常に面倒くさい。
一瞬、ブラックウォール・ゲートウェイで纏めてナイナイしてしまおうかと、とても悪い考えが頭によぎったが、今の状態だと感染したブラックウォール・ゲートウェイが味方にまで感染しかねないので、泣く泣く頭から追い出した。
いや、ネットウォッチなんか怖くないんだからね。
ホントダヨ。
完全に煙幕が消えると、その最奥に下がっていたドラグーンがミリテク部隊の盾になるように前進して来たのだが、いつの間にか破損していた箇所が元に戻っている。
修復用ナノマシンと、リアクティブアーマーはモジュール式なので、ミリテク部隊から補給を受けて修復交換したようだ。
パーツの在庫はそこまで無いだろうけど、先に特殊部隊を排除するのが優先かもしれない。
「デイビッド、サンデヴィスタンで連中の後ろから弾をご馳走してやれ!向こうも使ってくる奴がいるだろうが、君の方がもっと速い!気を抜かずにぶっ殺せ!!」
「わ、分かった!!」
「メインはこのカートリッジでプロジェクタイル・ランチャーをリロードして!
「了解した!」
「キーウィとルーシーはそのままブリーチを続けてくれ」
「アンタ早くアイツを倒しなさいよ!こっちの脳みそが焼き切れる前にぃ!!」
「同感ねぇ…ガワは骨董品だけど、積んでるICEは軍用規格でそこまで古く無いわよアレ…なんで私たちまだ無事なわけ?」
「そりゃ、こっちも最高級モデルだからね。V!君はその2人を守ってあげて!」
「了解っす!」
「ドリオはメインと前線を支えてほしい。ピラルは各種グレネードで後方撹乱」
「はいよ!」
「何でオレがグレネード隠し持ってんの知ってんだよぉぉ」
スッとレベッカに目を向けると、キラキラとしたような表情でこちらを見ている。
「レベッカは〜…バーサーク使って、適当に遊撃で」
「いやあーしだけ雑ゥ!?」
いや、だって、ねぇ…
レベッカはカーネイジGUTSか機関銃2丁持たせて、そこら辺ウロチョロさせてた方が効果的というかなんというか。
「あ、私とアダムの戦いに巻き込まれないようにだけ気をつけてね」
「へぇーい」
気が抜けた返事をするレベッカだが、逆に頭に登った血と力が抜けたのか、返事をしながら撃った散弾が腕だけ出して盲打ちをしていたミリテク兵の腕を吹き飛ばす。
白い人工血液が飛び散って、破壊された腕とマシンガンが粉微塵になる。
「いいね、こりゃ私たちも負けてられないね!アダム・スマッシャー!ソイツを外に追い出すぞ!!」
「壁に穴ァ開けるしかねぇナァ。退いてろ、コイツはテメェにブチ込むために取っておいたとっておきダゼェ」
「ふざけろ、後で殺すぞ。さっさとやれ」
いつもマイクロミサイルを格納している逆側の肩のハードポイントから、フルアーマーガンダムというかジムキャノンというか、それらの可動式肩部ロケット砲のような形状の口径が120mmくらいはありそうな大砲が迫り上がってきた。
肩まで完全に上がると、ジャキン!と砲身が前に前進して、砲身長が伸びる。
そのままアダム・スマッシャーの踵からスパイクが飛び出して、床に身体を固定した。
これではまるで、ビックリドッキリメカだ。
アダム・スマッシャーが、射線から逃れようとするドラグーンをなんとなく照準で追尾しながら、こちらに近い壁際に追い込みつつ良い位置に来た時に、避けられる前提でぶっ放す。
やはりロケット砲のようで、カウンターマスを無反動砲のようにまっすぐ背後に撃ち出すのではなく、砲尾栓の少し前辺りの上部に斜め上を向くようにして切れ込みが入っており、後方斜め上方向に誘導されたカウンターマスが反動の一部を相殺しながらアダム・スマッシャーの身体を地面にしっかりと押さえつける。
初期加速はロケットモーターだけでなく、どうやら電磁誘導も使っているようで、レールガンとは言わないまでも普通のロケット弾と比べるとかなり高速で飛翔している。
流石にミサイルと違って無誘導だが、即背面に複数あるサイドスラスターを全開にしデカい図体を無理やり捻って、ギリギリでロケット弾を回避したが、当たろうが当たらまいが関係無い。
その背後の壁に直撃した大型ロケット弾は、一体どんな爆薬を使用しているのか、口径以上の大爆発を起こしてアラサカビルの壁面にAVが入れるほどの穴が開いた。
「お前…これを私に使うつもりだったって?」
「テメェなら、これがぶち当たっても死なねェダロ」
「いやさすがに…どうだろうか」
ちょうど今開けた穴の外からアラサカ社の武装AVが姿を現して、腹に抱えた戦闘員を送り込もうとしたのだが、即座にミリテク兵が携行対戦車ミサイルだかを撃ち込んだため、爆発炎上しながら墜落していった。
2、3人はこちら側に飛び込めたようだが、ドラグーンの生き残っている大口径機関銃に蜂の巣にされて、人体パーツになりながら床に散らばる。
これでは無駄に犠牲者が増えるだけだな。
意識が向こうに向いている間に、オーバーロードさせたサンデヴィスタンを使ってドラグーンに駆け出す。
サンデヴィスタンの発動を自動検知して、アダム・スマッシャーも遅れて駆け出した。
向こう側も自動でサンデヴィスタンを発動させたようだが、今更遅い。
奴が振り向くより先に、私の胴体より太そうな足の膝裏に全力の蹴りを叩き込み、姿勢を崩したところにアダム・スマッシャーが思いっきりタックルを喰らわせた。
強烈なのをぶちかまされたドラグーンは、タタラを踏んでつんのめったように穴に近付いていく。
あと一歩で踏みとどまるので、もう一当てと思って私もタックルを入れようとしたら、横からレベッカを抱きかかえて体重を物理的に増やしたデイビッドが、サンデヴィスタンを使ったままライダーキックをぶちかます。
ちなみに抱えられているレベッカは、意識が追いつかないほど高速で動いているので、唐突に抱きかかえた時にしたであろうポカンとした表情をしたままである。カワイイヤッター
2人を足して漸く100kgに届くかどうかくらいだが、踏みとどまったばっかりで踏ん張りが利かなかったドラグーンが外に押し出された。
「ダラッシャーッッ!!デカブツを頼んだぜ!!」
「な、なんだー?!」
「ナイスデイビッド!!あとは任せて!」
反動を上手く使って、レベッカを抱えたままデイビッドが後退していく。
下がりながら事態を把握して顔を赤くしているレベッカが、抱えられたままデイビッドの首筋に両腕を巻きつけて身体を固定し、抑制剤の入ったエアハイポを注射した。
流石デイビッドがバブみを発揮できるお姉さん。
シゴデキだねぇ。
デイビッドの機転により外に押し出されたドラグーンは、すぐにスラスターに火が入るが、重過ぎる重量を支えるほど出力が上がるのは時間がかかる。
それに、どうやらガワだけドラグーンで中身が刷新されて魔改造されているので、500kgは多分超えているだろう。
その大重量を持ち上げて、上昇出来るほどの推力は幾ら魔改造されていたとしても、あの程度のスラスターでは得られないはず。
もちろん、落下するのも非常に緩やかだが、足場が無いのでサンデヴィスタンを使っていても加速した移動を行うことが出来ない。
つまり、最初から空中にいる状態ではサンデヴィスタンを使ったとしても高速移動できないのだ。
ちなみに強化腱は、シリンダー内に極限まで圧縮した空気を押し出して推進力としながら、それによって局地的に発生した高密度の擬似的な空気の壁を音速で蹴ることによって、空中で2段ジャンプを行っている。*2
なのでサンデヴィスタンのグレードとメーカーによって異なるという注釈が入るが、圧縮した空気を放出する流速より速く動いているサンデヴィスタンを使用している場合、2段ジャンプは物理的にすることが出来ないのだが、私の使用している又は使用していたサンデヴィスタンに限っては、何故かサンデヴィスタンを使ったまま2段ジャンプが使用出来てしまう。
とにかく、自分で付けた加速度でもって外に飛び出たわけでは無い上、どう考えても強化腱なんて付いてない足回りのため、スラスターを全開にしたとしてもあとは落下していくだけだ。
落下速度の減速くらいはできるだろうけど、やれることはそれだけだろう。
そうは言っても、落下途中で壁を壊して別の階に侵入されても面白く無い。
上からさらに蹴りを叩き込んでやる…
もうサンデヴィスタンを使っても意味がないので、必死に姿勢制御をおこないながら落ちていくドラグーンを縁に立って見つつ、飛び降りようとアダム・スマッシャーと並んでいると、ミリテク兵と撃ち合っているところを弾を避けて隙間を縫いながら後輩ちゃんが近づいてくる。
「先…ネイトさん!シロウさんから持って行けって託されました!」
そう言って手渡されたのは、シロウさん用に拵えた単分子高周波同田貫だった。
これかぁ…威力は抜群だけど、欠点があるからなぁ…
「ありがとう、トドメをきっちり刺してくる」
はだけてしまっている背中に直接電磁吸着させて背負い、せっかく持ってきてくれた後輩ちゃんにサムズアップした。
『V!背後から来てんぞ!』
光学迷彩を使用したミリテク兵が、後輩ちゃんの背後から忍び寄ってきていたのを私のキロシを経由して見つけたのか、ジョニーが後輩ちゃんに警告を飛ばす。
ほぼ無意識の状態で反応した後輩ちゃんは、昔私が使っていたマンティス・ブレードを上手に使い熟して、振り向きざまにマンティス・ブレードをミリテク兵の腹部に突き刺して持ち上げ、深く突き刺し直してから下ろして顎下から脳天まで貫くことでトドメを刺した。
流れるような処刑、私じゃなきゃ見惚れちゃうね。
「さあ!ここは任せて、行ってください!」
白い人工血液の返り血を浴びながら、サムズアップを返してくる。
隣ではジョニーが立ったまま葉巻を咥えて紫煙を吐き出している。
『早く行けよ。アラサカを助けなきゃ、俺のムスコは帰ってこねぇんだからよ。まったく、ふざけてるぜ』
「じゃ、行ってくる」
眼下に見えるドラグーンに向けて、垂直に切り立っているアラサカタワーの外壁を走りながら速度を付けて走り寄る。
少し遅れて、アダム・スマッシャーが自重に任せて落下して追従していた。
既視感があると思ったら、エッジランナーズでレベッカを踏み潰した時と同じポーズだ。
なんかムカついてきたけど、この世界ではレベッカはコイツに殺されてないので、なんとか落ち着かせる。
1秒も経たずに接近したので、外壁を蹴ってドラグーンの上に思いっきりスーパーヒーロー着地を決めようとしたら、上面のリアクティブアーマーをわざと爆砕することで、細かい金属片を指向性散弾のようにこちらに飛ばして擬似的な空中迎撃手段として使ってきた。
咄嗟に腕をクロスして、顔面を破片から守りながら2段ジャンプで少しでも範囲から逃れようとするのだが、いかんせん距離が近すぎて避けれない。
バチバチっと体表で金属が弾ける嫌な音がして、辛うじて前身頃が残っていたコーポレートスーツが引き裂かれ、その下のリアルスキンもズタズタにされる。
受傷したままドラグーンの上に着地して傷を確認すると、受傷範囲は上半身に集中しており、キチン質の黄色いハニカム構造シートがこんにちはしていて、密かに自慢の私の形の良いおπもまろび出ており、その左乳の乳首がごっそりもぎ取られてしまっていた。
「チッ」
HPゲージは意外なことに5分の1も削れており、放っておけばそのうち回復するだろうが、戦闘中なのでバウンスバックを首のインポートに打ち込み、ナノマシンで即座にリアルスキンを修復する。
だが今は、服を着ている余裕はない。
「無様ダナァ」
「黙れ、私を盾にしやがって」
重力加速度が乗った200kgオーバーが落ちてきたせいで、一気に姿勢が崩れてドラグーンの全身に散りばめられているスラスターが一斉に点火される。
そこに私をサンドイッチにするかのように、私目掛けて落ちてきたアダム・スマッシャーを避けたところ、奴が着地した箇所の上面装甲にヒビが入って頭部が一部変形した。
チンポ・スマッシャーを避けるのが遅かったら、危うくネイトズ・サンドイッチになるところだ。
やっぱりこいつ完全な味方になってないぞ。
冗談じゃない。
タイムラグがあるとは言え自重の2倍近い鋼鉄の塊が上に落下して激突してしまったため、もう完全に飛行性能の限界を迎えたドラグーンは、スラスターノズルを真っ赤に赤熱させながら落下速度を低下させるのを諦め、逆に左右に素早く反復移動することで我々を振り落としに掛かる。
COMRADE'S HAMMERで脳天をぶち抜いてやろうとしたら、天地返しをされたせいで咄嗟に掴まれず、地面まで振り落とされてしまった。
アダム・スマッシャーは上手く掴まれたようだが、そのまま顔面を狙って残った大口径機関銃を乱射されたせいで、被弾したノックバックで手を離してしまい同じく落ちてくる。
まぁあいつの事だから、どうせ背中から落ちようがそのくらいなら死なないだろう。
空中ダッシュでアラサカタワーの外壁に取り付き、再び下に向かって駆け降りる。
やっと地面に降りきってから、アダム・スマッシャーが足から落下してきて、地面を砕きながら着地した。
やはり、サンデヴィスタンでなるべく首を捻って被弾は避けたらしいが、2、3発顔面貰ってしまったのかフェイスプレートが破損して、片方の視覚機器が壊れてしまっている。
「フフフ、お前も無様じゃないか」
「乳丸出しよりマシダロ」
「あとで金取るからな」
「払う価値あんのカァ?」
「言ってろ」
コーポレートスーツの替えを持ってきてなかったので、仕方なくミリテクの防弾ベストを上裸の上から着ておく。
胸が隠れていればそれでいいだろう。
どうせ屋上から落下したって壊れないくせに、やけに減速して降りて着地する。
アラサカタワー前はすでに封鎖されており、NCPDが遠巻きに規制線を張って上空からはマックス・タックの軍用装甲AVミリテク製マンティコアが、報道のAVや野次馬を近付けないように搭載火器の砲口を外側に向けて威嚇していた。
随分と手際が良い。
アラサカの誰かが、アラサカタワーに外部勢力を近付けさせない為に札束ビンタをしたのか、はたまたミリテクがバイオテクニカの時のように我々の友好戦力を近づけさせないようにしたのか、あるいはその両方か…
長引くのは得策ではない、か。
早めに片をつけよう。
ドラグーンも決着をつける気なのか、全身の機構がカチャカチャと音を立てて何かしらのロックを解除するような音をさせている。
本当ならば、EMPグレネードを複数個投げ込みたいところだが、余波でどれだけの被害が出るかわからないので今回も封印するしかない。
NCPDやマックス・タックにダメージが行くと、連中が敵に回りかねないので、それは避けなければならない。
神経系に稲妻が走り、オーバーロードさせたミリテクアポジーサンデヴィスタンが限界を超えて駆動する。
手持ち火器で1番火力の出るCOMRADE'S HAMMERを撃ち、即座にクイックリロードしてもう1発を放つ。
COMRADE'S HAMMERの反動を受ける前に2発目を撃っているので、銃身には2発の弾が前後に存在している状態だ。
そのままほとんど同じ軌道で2発の爆裂徹甲弾が飛翔していく。
向こうも遅れてサンデヴィスタンを発動したようだが、オーバーロードさせているこちらの方が速い。
のっそりした動きで爆裂徹甲弾を避けようとしているが、隣に居るアダム・スマッシャーが走り出しており、こちらももっさりとした動きだが拳を固めて駆け出している。
奴もオーバーロードさせているようで、サンデヴィスタンが搭載されている背中辺りが赤く発光していた。
肩のロケット砲やマイクロミサイルは、奴のオーバーロードさせたアラサカ製のサンデヴィスタンよりも弾速が遅いのか、前に全力で疾走している時には邪魔になるのだろう。*3
撃つ気配は見せていない。
肉弾特攻ここに極まれりな戦法だな。
本当にアメリカ人かな?
ドラグーンは、横にスライドして爆裂徹甲弾の射線から逃れたところで、私とアダム・スマッシャーを迎撃する為か、全身リアクティブアーマーが展開すると下から大量のマイクロミサイルランチャーが顔を出す。
うーん、EW版のヘビーアームズかな?
その一斉射撃は、凄まじい噴煙でドラグーンの身体が覆い隠されるほどで、空間自体を埋め尽くして絶対に逃がさないという決意を感じる程、夥しい数のマイクロミサイルが向かってくる。
死中に生を求むるは、正に今日にあり、だ。
エラッタを引き抜き、自分とアダム・スマッシャーに有効打を与えそうなものだけを斬っていく。
すでにエラッタの刃先は音速2倍を優に超えており、衝撃波を撒き散らしながらそれすらも使ってマイクロミサイルの軌道を強引に変えて行く。
だが、それにも限界があり、幾つかは貰いそうだがそこはもう割り切ることしかできない。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれという奴だ。
露払いはある程度で済ませて、道をアダム・スマッシャーに譲る。
数発がアダム・スマッシャーに直撃して、そのいくつかはメタルジェットを放出するがアダム・スマッシャーの特殊装甲板を貫くまでには至らないようだ。
しかし、先の戦闘で装甲板を失ったところはそうはいかず、胸部の幾つかの機構を破壊されるが奴は止まらない。
今度は私がアダム・スマッシャーを盾にして追従する。
我々がマイクロミサイルを抜けてくることは想定内なのか、一気に全面のリアクティブアーマーを点火させて、これまたアホみたいな量の特殊合金の断片を撒き散らした。
アダム・スマッシャーもあと少しの距離を詰めるのに、回避という選択肢を捨てて、捨て身で突進する。
バギャッと破壊音がして、大量のカーネイジGUTSの散弾並みの威力がある破片を浴びたアダム・スマッシャーの前面の装甲が、まるでウエハースのように軽々と砕け散り、義体の活動維持に必要な重要機構が砕かれて白い人工血液が撒き散らされる。
それでもアダム・スマッシャーの歩みは止まることはない。
リアクティブアーマーを爆砕しながら少し後ろに下がったドラグーンの片腕からは、残った大型のマンティス・ブレードが展開されて待ち構えており、アダム・スマッシャーの腰から下を切断しに掛かる。
しかし、わずかに腰を捻ることによって、ほぼ残骸状態の特殊装甲板でマンティス・ブレードを受けきり、溶断される前に超硬質の拳をドラグーンに叩き込んだ。
恐ろしい破壊力を秘めたパンチは、リアクティブアーマーを使用した事でほぼ素の状態の装甲では防ぐ事ができず、ドラグーンの内部にめり込む。
それとほぼ同時に、マンティス・ブレードによって下半身を切断されてしまった。
もうこうなったら、アダム・スマッシャーも身動きが取れない。
漢を魅せたアダム・スマッシャーに代わり、最後の華を魅せましょう。
背中にマウントした単分子高周波同田貫に手を添える。
コイツの鞘には特別な機構が備わっており、遂にそれが牙を剥く。
柄にある安全装置を兼ねたとても重いトリガーを最後まで引き切る。
瞬間、強烈な紫電と閃光が背後から放たれ、柄を持った両腕が根本から引き千切れそうなほどに引っ張られるのを剛腕でねじ伏せ、力任せに抜刀をしたまま袈裟に振り切った。
なんの抵抗もなく、止まった水を包丁で斬るかのようにスーッとアダム・スマッシャー、そしてその組みつかれた後ろにいるドラグーンの機体纏めて刄が入って行く。
まるで手応えがない。
やはり、ネオ関の刀匠は腕が良い。
高い金を払った甲斐があったというものだ。
遅れて、強烈な吐き気と脱力感、頭痛がまとめて襲い掛かる。
ぎ、ギモヂワルイ…
口から胃袋ごと出てきそうな不調を無理矢理我慢して、いまだにガッチリと組みついて離れないアダム・スマッシャーの背後から、脊椎を引っこ抜くようにして無理矢理バイオポッドをむしり取り、かろうじて残っているベルトにぶら下げる。
そのまま単分子高周波同田貫を鞘に納めてたところで、限界が来て腹の中身を全部ぶちまけた。
「おえぇぇぇ…うっぷ…ゲロゲロゲロ…」
ほぼ全てのものを断ち切れると謳われている単分子高周波同田貫の欠点、それは1つでもクロームを装備していると刀身を振動させている高周波と共鳴して、頭痛に吐き気、脳震盪に酷いと神経障害を起こしたり失神したりするという副作用を引き起こすのだ。
これを使用するには、ナチュラルな状態の上で強化外骨格装甲を着用している必要がある。
つまり、義体とは致命的に相性が悪い。
だから使いたくなかったんだ…
中途半端に内臓が残っている私は、しばらく吐き気との勝負が待っている…誰か代わって…
何をされたのか分かっていないのか、ドラグーンがそのまま胃袋の中身をひっくり返している私に向かってマンティス・ブレードを振り上げた。
「オェッ、動かない方が身のたムウェェェ」
口から虹色に光るキラキラが出てるよ〜
忠告を聞かずに、更に近付いて振り下ろそうとしたドラグーンはピタリと動きを止め、身体に貼り付けたアダム・スマッシャーの義体ごと、ゆっくりと斜めにズレていく。
そのタイミングで、ドラグーンの後方に何かがエジェクトされた音がした。
ゲロの吐き過ぎで重い足を引き摺りながら、完全に斜めに断ち切られて地に沈むドラグーンの背後に回り込んだ。
そこには、両脚を失い人工血液を撒き散らしながらも、何処かに這って逃げようとしているミチコと、ミリテク製なのか見たことのない形状をしているバイオポッドが一つ転がっていた。
あのあとミチコの姿が見えないと思ったら、逃げたのではなくドラグーンに乗り込んでいたようだ。
アイアンマンじゃないんだからさぁ…
もう形だけで、完全に中身がドラグーンとは別物だ。
どうりで、動きに迷いや素人臭さがあったわけか。
概ね、バイオポッドはICEと慣性制御に回さざるを得なくなってから、自分で操作していたのだろう。
それにこの様子では、サンデヴィスタンの副作用やら疲労度もバイオポッドに肩代わりさせてただ乗りしていた可能性すらある。
どこの誰がこんな訳のわからないびっくりドッキリ魔改造を施したのか知らないが、正直倫理を捨てているし狂ってるとしか思えない。
だが、兵器としては理に適っているしタンデムすることで継戦能力は上がっているのかもしれない。
どちらが主導権を握っているかによって、戦闘力は乱高下しそうではあるけど。
近付いて先にドラグーンのバイオポッドを掴み取り、表面を見る。
緑色の液体の中に、脳と脊椎神経系が浮いて収まっているのが見えた。
バイオポッドの表面には『NC/mdl SR/type - E00008』の文字。
怖気が走る。
フサリアの脳に刻まれていた刻印とほぼ同じ。
一体何が、どこまで、どうなっているのか想像が付かない。
私の知らない、関知していないところで何が起きているんだ。
クソッ、面倒事ばかり増えていく。
忌々しい…
アダム・スマッシャーのバイオポッドとは逆側に引っ掛けて、再びひっくり返りそうな胃袋の辺りを摩りながら這いずっているミチコを脚で転がして、仰向けにさせる。
「何処へ行くんだぁ?」
出血を感知したインプラントが、損傷部位への回路を遮断したのか既に人工血液の流出は止まっていた。
だが、口の端からは血が垂れていて、吐血したような痕跡もある。
アダム・スマッシャーの爆裂パンチが効いたのかな?
「一機で一機甲連隊と同等の火力があるなんて謳い文句を言われたが、たかだか2人にやられるとはね…満足か?ネイト」
口の中の折れた歯と人工血液を吐き出して、口元を無理矢理笑みの形に歪ませながらそう言ってきた。
「満足?…冗談じゃありませんよ。貴女のせいで、どれだけ私が苦労したと思っているんです。それよりも、何故こんな暴挙に及んだのですか。ヨリノブおじ様に成り代わってまで祖父殺しなど、理解出来ませんよ」
正直、何故この人がここまで意味の分からない行動をとったのか、理解出来ない。
「ふ……ネイト、君はケイ・アラサカを知っているかな?」
「貴女のお父上ですね?サブロウお爺様の長男」
「そう。私の父は、祖父に殺されたと言ったら、どうする?」
……what?
せ、戦闘がやっと終わった…
気付いたら一万字超えてました。
次でエピローグになるって、ホントかなぁ…?
(もしかしたら、もう一話挟むかも…)
とりあえず、謎を幾つか残して終わらそうかと。
そう、いつの日かACT.3をやるかもしれないからねぇ!!
来週もまたお会いしましょう。