【エッジランナーズ2編開始】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !! 作:持麻呂
なんとか生きているノミの心臓こと持麻呂でございます。
間話を書くと言っておきながら力尽きて書かず、バイオとサイバーパンク2077のクロスオーバーもどうもやる気を削がれて3ヶ月書けておらずといった具合です。
エッジランナーズ2を初日に全部視聴して、少しだけやる気が回復したので、プロットも何も無い見切り発車ですけどリハビリがてら執筆しようかなと思います。
下手したらエタり散らかすかもしれませんが、またお付き合い頂けたら幸いです。
第六十九話
アラサカでのゴタゴタの後始末は、私の思ったよりも長引いた。
その間にも、ナイトシティでのアラサカのシェアを奪おうとカン・タオやミリテクといった連中が暗躍をするので、それをシロウ…サブロウの爺様から依頼受けて押し返したりしていたらあっという間に数ヶ月が経ってしまった。
かなり自分の仕事は溜まっているし、デラマンやカント君に割り振れない仕事も多い。ここのところデスマーチが続いていて流石に気が滅入るので、散歩がてらギャング狩りをしつつお小遣い稼ぎをしようと街に繰り出す。
とは言っても、デラマン診療所の近くは問題が起きるとNCPDや私が直ぐに出張って血の雨が降るので、最近はナイトシティにしては治安が良くなってしまい面白くない。
それじゃあ気晴らしにもならないので、もっと別のところまで歩いて行くことにする。
ジャッキーやレベッカとかにも声を掛けたら面白かったかもしれないが、最近はジャッキーも子守で忙しそうにしているし、レベッカもレベッカでルーシーやサーシャのやらかしによっててんてこ舞いになっているので、呼び出すのは流石に可哀想な気がしてやめた。
…いや、ストレス解消に寧ろ呼んだ方が良かったか?
そんな取り留めのないことを考えて歩いていたら、いつの間にかサントドミンゴのアラサカ工業団地まで来ていた。
まぁ、特にここに用事は無いので、そのまま前を通り過ぎようとした時、突如工業団地内で爆発音がして黒煙があがる。
「…何やったんだ?」
どっかのバカが爆発物の取り扱いでも誤ったか?
なんて考えていると、暴走した車が真っ直ぐこちらに突っ込んでくるのが見えた。
パンクでもしているのか、かなり蛇行運転していてハンドリングが上手く言っている様には見えない。
ちょうど足元にこれまた珍しいビデオカメラなんか構えて、悠長に起きていることを撮影しているガキンチョが居たので、服の襟首を後ろから掴んで持ち上げ、突っ込んできた車を片足で受け止めた。
ズズッと後ろに押されるが、インパクトの瞬間にこちらも思いっきり車を蹴り付けることで衝撃を殺す。
「うわぁっ!?」
悲鳴をあげつつも、ガキンチョは目の前で車のフロントがひしゃげて、大破するシーンを撮るためなのかカメラを離さない。
子供にしては大したもんだ。
一瞬で大破して炎上し始める車の後部座席から、男が腹から出血した女を抱えながら転がり出てきた。
「クッソ!何やってんだよキング!!…エミリー、しっかりしろ!」
「おやおやぁ?」
どこかで見たことある顔だなと思い顔をスキャンすると、アフターライフでサイバーパンクをやってる連中の1人だったと思い出す。
…そういえば、確かキングズリーの一味だったはずだ。
「おい」
「なんだ!今構ってる余裕はね…ぇ…」
こちらの顔を視認したのか、ミゲルが尻すぼみになって行く。
心なしか顔から血の気が失せていっているように見える。
その足元に、インベントリから取り出した止血剤を放り投げた。
「止血剤だ。くれてやるから、とりあえず使ってやりな。それからデラマン診療所に連れて行けば、運が良ければそっちの女は助かるかも知れないねぇ」
「ど、どうして…死神が俺たちを…」
「本人を目の前にして死神だなんて、随分と太い野郎じゃないか君は。まぁいいが、早くしないとアラサカの警備部に蜂の巣にされるぞ?」
「わ、分かった!エミリー死ぬなよ!」
ミゲルがエミリーという同じチームの仲間を引き摺って、車から離れていった。
肝心のキングズリーは何をしているのかと思えば、ボロボロの状態で車から出て来てフラフラと道路の真ん中に歩いて行く。
その間にも、掴まれたままのガキンチョはビデオカメラを回したままだったので、片手で取り上げてインベントリに仕舞い込んだ。
「あ、僕のカメラ!何するんですか!!」
「君ねぇ、まずは命を助けてもらったんだから、ありがとうございますが先に出てきて然るべきでは無いかね?」
ずいっと顔を近ざけると、冷や汗をたらりと流しながら大きな青い目を泳がせて小さくありがとうございますと言った。
「ふーむ」
「な、何でしょうか……あと、僕のカメラ返して欲しいかなぁ〜って…」
それにしても、ほとんどナチュラルの子供か*1。
随分と可愛らしい顔つきをしている。
名前を確認すると、ロマンというらしい。
中々どうして、親も面白い名前をつけたものだ。
「ロマン・カラックス君ねぇ」
「え?なんで僕の名前を…」
「どうする?このままここにいると、君死ぬと思うけど」
目線の先には、キングズリーが何かをブツブツと呟きながら、誰も居ない虚空に向かって手を伸ばしていた。
その横からアラサカ警備部の社員たちがノワキを持ってワラワラと出て来て、キングズリーを取り囲む。
制止しようと声を掛けようとした矢先に、警備部の人間がキングズリーにぶっ放した。
そこからはもう大惨事世界大戦の勃発である。
キングズリーも、アフターライフではそこそこ名の売れているサイバーパンクだ。
身体にも高級や軍用グレードのクロームをかなり入れているから、アラサカ所属とはいえ末端の社員程度では歯が立つわけがない。
キングズリーが自前の銃と奪った銃で大暴れし始め、アラサカ社員だけでなく通行人にまで次々に
銃を乱射し、無差別に殺し始める始末だ。
「サイバーサイコになったか…さては、我々の抑制剤をきちんと使わなかったな?」
今時メイルストロームすら使っているのに、使うのをサボったか、そもそも信用せずに使ったことがないかのどちらかだろう。
どちらにせよ、間抜けなことには変わりない。
ここからキングズリーを始末するのは簡単だが、手元にロマン少年も居るし、下手にトラウマ保険に契約していたら面倒なので、流れ弾を手の甲で横から弾き落としつつその場から離れた。
ちょうど良いくらいのところでロマン少年を地面に下ろす。
「ど、どうも…」
「撮影するのは君の自由だけど、時と場所を選ばすやってたらすぐ死ぬことになるね。まだ子供のうちに死にたくはないだろう?」
「は、はい……すみません…。ところで、僕のカメラ」
「全くねぇ、反省はしているのかしていないのか…。これかい?」
インベントリから取り出して、目の前で左右に振ってやる。
「そ、それです!返して!」
パッと手を伸ばしてくるので、スッと上に持ち上げて取らせない。
どうやら反省していない様なので、これはしばらく没収することした。
まったく、この歳で死んだら親御さんが悲しむのがわからないものかねぇ…
私の腰くらいの身長しかないおチビなガキンチョが、頑張ってぴょんぴょんと飛び跳ねるので少し面白くなってくる。
「ねぇ!それ返してって!」
「うーん、いい事を思いついた。ロマン君、君さ。少し私の暇つぶしに付き合ってくれないかな?もし、ついて来てくれたら返してあげよう。どうだい?悪くない取引だと思うがねぇ?」
顔をゆっくり近付けると、少し顔を赤くしながら仰け反った。
だがカメラをフリフリすると、視線が行ったり来たりをして、遂にガックリと陥落する。
なに、私に子供を物理的に弄ぶ趣味など持ち合わせていない。
そんな事をしたら、リアに嫌われてしまうからね。
「さて、じゃあ話も決まったことであるし?早速お姉さんとデートと洒落込もうじゃないか…ククク」
「わぁ…そんな笑い方する人、本当に居たんだ…」
「何か言ったかね?」
「いえ!なんでもないです!」
デラマンを呼び出すと、すぐに近くにいた車両が迎えにくる。
いつもの私専用を呼び出していたら、ここからだと少し時間がかかるので、今日はこっちのほうが早い。
「デ、デラマン?」
「ま、そうビビらずに乗りたまえよ。デラマンは人を取って喰ったりはしない。そうだろう?」
『はい、その通りです。ネイト様』
いつもの青白い丸坊主が、画面の中で抑揚に頷く。
唖然としたままのロマン少年を後部座席に放り込み、自分も乗り込んで出発させた。
一先ず行き先はジャパン・タウンの自宅である。
そんなところに子供を引っ張り込んで何をするつもりなのか?
そんなもの、このビデオカメラの中身を見せてもらうに決まっている。
車窓からナイトシティの相変わらずな街並みを眺めながら、取り出したビデオカメラをあちこち触り機能を確かめて行く。
年季が入っているせいか、細かい傷や欠けが見て取れるが、そこそこ大事に使われている様で補修跡なども有る。
「しかし、BD全盛期に動画とは。今時随分と珍しい趣味をしているね」
「それは…そっちの方がかっこいいというか、ロマンが詰まってるというか…」
「なるほど、ロマンがねぇ」
「わ、笑わないでくださいよ!」
揶揄っていたらアパート前に到着したので、逃げられない様にロマン君の手を引っ掴みながら車を降りた。
デラマンに乗っている奴がなんでこんなところで降りるんだと言わんばかりの訝しげな顔をしているが、無視してそのままジャパン・タウンのアパートに入って行く。
部屋の扉を開くと、オリエンタルなお香の香りと微かに饐えた臭いがする。
ここに足を運ぶのは久しぶりなので、少々換気が必要かも知れない。
部屋の入り口で入るのを躊躇っているので、モノワイヤーで捕まえて中に引っ張り込む。
そのままギターの置いてある横のソファーに座らせ、冷蔵庫に入っていたニコーラ・サクラを手に握らせる。
それから情報端末にビデオカメラを繋げた。
中にある映像データは特にスクラップと言った感じで、空や通行人、車やナイトシティの街並みといった感じで取り留めのない様なものばかり。
それから、アラサカ工業団地で黒煙が上がっているシーンが映り、私に持ち上げられたところに車が突っ込んでくる。
しっかりと蹴りで車の前側が粉砕されて、中からミゲルとエミリーが這い出て来たシーンも映っているが、私の顔はキロシの効果もありモザイクが掛かっていて認識出来ない。
「へぇ、監視カメラだけでなく、ビデオカメラにも効果があるとは思わなかった」
「これ…どんな技術なんだろう」
「さぁて、それなりのランナーなら同じ事をサイバーデッキでうまくやって出来るだろうけど、どうだろうねぇ」
とりあえず、動画の編集ソフトをネットからダウンロードしてきて、私が映っている部分を切り取って削除する。
隣であー!とかわー!とか言っているが、無視して作業を進めた。
顔面モザイクとはいえ、行動インプリント連動フェイスプレートを使っていない私が映った動画が流出するのは好ましく無い。
特に蹴散らしたいギャング共と出会さなかったのも良くなかった。
いつもなら散歩しに行く時も起動させていたのに、やっぱり疲れているのだろう。
それにしては気が抜けすぎた。
「まぁ、必要なところは消せたかな?ほら、あとは好きにしたらいい」
必要なところを消去し終えたので、ポンとカメラを返してやった。
カメラなんか必要ねぇ…!と心の中のベネットが、カメラを構えながら言っている。
誰だお前は!
「えっ?良いんですか?…動画も全部消されると思ってた…んですけど」
「消して欲しいなら全部消すけどね。どうせ、アラサカ工業団地での映像をN54とかに売るつもりだったんだろう?」
「まぁ…そうですけど」
「だろうと思ったよ。子供の小遣い稼ぎを不意にするのも大人として悪い気がするしね」
まぁ、私ならキングズリーのサイバーサイコ映像なんかには、出して50〜100エディくらいしか出さないけど。
奴が有名なのは、あくまでサイバーパンクの中だけであって、一般人からしたらただのガタイのいいデカいオッサンがサイバーサイコになって、アラサカ警備部の末端社員殺しまくってるだけだ。
あのあと、奴はマックス・タックに殺されたかアラサカに始末されたか…
いずれにしても、アフターライフであっても挨拶程度しか交わさない仲なので、そこまで惜しくはない。
「そうだ、折角なら良いお小遣い稼ぎになりそうな事をしに行こうじゃないか」
「えっと、それって安全な感じですよね…?デートって、最初言ってたし」
「うんうん、デートだよデート。こんな美人とデートしながらお小遣い稼ぎ出来るなんで運がいい!ママ活みたいなモノだね!」
「うわぁ、子供相手にヤバいこと言ってるよこの人」
そういう事で、先にやる事を済ませたので早速本来の目的を果たしに行く。
そう、気晴らしのギャング狩りである。
そうは言っても、バレンティーノズは友達だしメイルストロームは配下、アニマルズもサスカッチが統率してからは私に対しては礼儀正しくなった。タイガークロウズは、そもそも逆指名手配が今に至っても解けていないので、私の顔を見た瞬間に逃走する奴が九割五分になってしまったのでお小遣いにならない。
となると、バッドランズの敵対しているクラン襲いに行くかシックス・ストリートを狩りに行くかの二択となる。
この二択の中から選ぶとしたら、シックス・ストリートが狩りが1番効率がいい。
なぜなら、「やーい、お前の祖国真っ二つ〜」とか、「極東の島国の一コーポに翻弄されるなんで、ダッサーイ!日本人なら恥ずかしすぎて腹切るレベル〜。NUSAザァコザァコ」とか、「お前の母ちゃん貧乏すぎて、公園の鳩の方からパン貰ってたぞ*2」と煽ると簡単に釣れて永遠に追いかけてくるので、向かってくる相手を倒すのは非常に簡単だ。
ジェットだかのやり過ぎで、脳みそが縮んでいるのかアイツら煽り耐性が無さすぎて笑う。
草。
そんなわけで、そんなクソザァコな二本足で歩くお小遣いを狩りに、ロマン少年を今度はAPCに押し込んでサント・ドミンゴへ向かった。
ご覧頂きありがとうございます。
前は一話あたり7000文字以上でしたが、今回からは5000文字以上と自分のノルマを下げて執筆しようかなと思います。
なるべく書き続けたいと思いますが、定期更新ではなく不定期更新になると思います。
よろしくお願いします。