【完結】よういふっ!   作:麿は星

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 時系列は3月(1年生編11巻)。

……ようキャ本編と違って削らないと、こんなに長くなっちゃうんだな。半分ずつにとかに分割した方が読みやすいんだろうか?


青年の主張

 

 3月16日の水曜日。学年末特別試験の決定の完了した詳細が発表された。人間チェス各種目試験、というモノになるらしい。日時は来週の23日。

 ただ言うまでもなく、いきなり発表に至ったわけではない。先週の9日に存在だけは聞かされていたが、リーダーの一之瀬に避けられてたし、それどころじゃない事情もあったのできちんと把握できてなかったのだ。

 まぁ影響あったかは別にして、四方・神崎経由で対戦クラスの希望を聞かれた時はDクラスと言っといたが。だって葛城はまだしも、坂柳さんと龍園には盤外戦術含めてなにされるかわかったもんじゃないからな。うちは基本的に裏にめっちゃ弱いし、大掛かりなそういうのをやってこないDクラス相手が妥当である。群を抜いてる個人は何人かいるけど、まだ個人の天才の方が対応しやすい。

 

 ともあれ人間チェスだ。

 ルール表が回ってきたので読み進めると、それぞれのクラスで指し手を1人決定し、残りの39人が駒となる架空の競技とのこと。ちなみに駒の数と人数が合わないのは、1つの駒に付き5人まで割り当てができるからである。

 例えば、クイーンの駒にクラスの主力を5人とかいう編成にしたりもできる。駒はチェスと同じ機動であり、理論上は少数精鋭のみでの速攻も可能だろう。交代ありとはいえ得意不得意な分野入り乱れる連戦になるから、そんなことはどのクラスもやらないだろうが。

 

 ちょっと待て。チェスって、敵方の駒があるマスに移動した側の駒が取るんじゃないの? という疑問の答えは、人間チェスでは通用しない、だ。

 指し手が敵の駒と同じマスに当てたら各種目からくじ引きして、いずれかの勝負内容を1対1以上の人数で決定。勝敗を同じマスになった駒同士で争い、片方の駒全員が脱落する。

 それを繰り返して、最後にどちらかのキングを討ち取られたら人間チェスの勝敗が決定するのは通常のチェスと同じである。

 

 種目内容は大きく10種類に分かれている。

・国語、英語、数学、理科、社会の簡易版五教科を様々な年代の小テストいずれかの5~10問で持ち時間は10分。勝負する敵味方の駒全員の平均点で勝敗が決まる学科5種。

・陸上、武道、球技のどれか。これは例えば、武道なら空手や剣道、球技ならテニスやストバスなど、少人数&短時間で決着がつくものが『ランダム』に機械で選択される運動・競技3種。

・攻撃側または防御側の駒が指定する勝負内容の自由種目2種。

・どちらかの陣営のキング戦だけは例外で、上記10種目いずれかの全員版を生き残っている『生徒』の中から必要人数を選出して試合になる。勝負内容は守備側のキングが優先である。

 

 いかに学力が高くても運動勝負になったら関係ないし、逆もまたしかり。これなら駒をどういう組分けにするかなどの戦術要素もあり、引き分け…ステルスメイトの多いチェスがベースでもきちんと決着がつくだろう。

 パッと考えただけで、キング戦のために切り札を温存する戦術や駒別のそれぞれに応じた運用法などいくつか思いつく。また運もかなり重要な要素になっている。

 賭けるモノがモノじゃなかったらなかなか面白そうなゲームである。そもそも学校でやる試験じゃない気もするわけだが。

 

 なんせルールでは、勝った方の指し手が所属するクラスには100CP贈呈で問題ないが、負けた方の指し手が退学になるか───自クラスの『脱落者の誰か』に退学を擦り付けることが可能。つまりこの試験、退学者が学年の2クラスから『最低』2人発生する。

 しかも人間チェスの持ち時間内なら、指し手を途中で変更可能なのがまた厭らしい。説明はされてないが、無人島試験のリーダー当てと違って、おそらく一度でも指し手となったら退学者が増えることになってもおかしくない。変更する前後のどちらもが負けたら指し手に『される』可能性があるからだ。

 普通ならそんなことあるわけないだろ、ってなるところを誘導するのがこの学校である。その可能性は考慮しておくべきなのはもうわかっている。

 

 とはいえ、2000万PPで退学が取り消せるとの救済措置は説明された。うちのAクラスとBクラスは、順当に貯蓄して集めてれば1人分は貯まっている計算になるので心情的に少し気楽だろう。

 ちなみに対戦するクラスも、すでに朝にくじ引きで決定・発表されている。

 葛城率いるBクラスと龍園率いるCクラス。そして一之瀬率いるうちのAクラスの対戦相手は、何人かのリーダー格?が率いるDクラス。愛里や高円寺、櫛田や……清隆もいるクラスだ。

 

 対戦相手が決まり発表されたのは今日の朝のホームルームだが、昼にはなんか凄い形相の坂柳さんがうちのクラス…僕に言いがかりをつけに再来し、「こ、このっ泥棒猫! 返して…返してください!!」と罵られた。この表現の用法からして、おそらく愛里(だよな? 他にいないし)に何らかの感情を向けていたのだろう。

 愛里と坂柳さんにも繋がりがあるとは知らなかった。どんな繋がりかは少し興味がある。聞いてみよう(余談だが、メールで愛里に聞いたら心当たりがないらしく一時的に謎は深まった)。

 

 あとついでに、泥棒というワードが流れ弾になったのか一之瀬が視界の隅でダメージを受けて机に突っ伏してたので、意趣返しに「僕は盗んだわけじゃない。お互いの了承を得て、死ぬまで借りてるだけだ。だから僕がコケたら持っていけばいい」と嘯いておいた。一之瀬はより机にめり込んだ。

 一方、僕の反論を受けた坂柳さんは何故か僕に掴みかかろうとして、すぐ葛城と神室さんに引きずられていく事態になった。

 身体弱いんだし無理すんなよ。てか、坂柳さんって、時々引き摺られてんな。保護者役の二人はホント引率ご苦労様だ。

 

 何はともあれ、何事も起こらなくてよかったと安堵した直後、今度は関係ないはずの南雲まで襲来してニヤニヤと意味深な言動を見せるわで非常に面倒臭かった。

 自分達も忙しいだろうに、わけのわからない奴らである。

……以前、学や南雲にアイディアや意見を聞かれて答えた『ソレ』に酷似した特別試験が開催されているのは、完全なる偶然である。僕は知らない。ここ最近、一之瀬を除く生徒会関係者からの視線が痛かったのも気のせいに違いない。

 勿論、無限に広がる大宇宙より心の広い僕は水に流して即座に忘れた。

 

 それはそうと、やってんねぇ、あの人。と、つい他人事のように思ってしまった僕は悪くないだろう。口には出さないし、名前も思い浮かべないが、初手がこれなのは恐すぎ。

 意図や仕掛けは読めても、策を返そうにも、ここまで大掛かりでピンポイントだとそれ以上の用意もあるはずだ。運と流れに身を任せ、アドリブでなんとかするしかマシな道筋は作れない。

 まったく面倒なこと山積みである。

 

 

 

 クラスで意見を表明したら居心地が悪くなって逃走した放課後。

 僕が部室で1人、天体写真の整理をしていると清隆が現れた。何か話でもあるのだろう。人のことは言えないけど、今回の試験は対戦相手になったというのに、普段通り図太い奴だ。

 

「お前、また何かやらかしたか? 坂柳から、次の晴れ舞台…特別試験で決着をつけましょうと前から言われてたんだが、今日になって左京君に卑劣な妨害をされましたと言ってきたぞ」

「するわけないだろ。むしろそっちは何も行動してないわ。先月から最近までの僕を少しは知ってんだから、清隆もそれどころじゃなかったのはわかるだろう」

 

 尤も、今回の首謀者は予想できるが。

 でも……はぁ。坂柳さんの暴走原因は愛里じゃなくこれだったか。普段なにくれとなくやりあってるんだから、試験一回くらい見逃してくれてもいいじゃん。それともいわゆる腐った想像でもしてたのか。やはり清楚なガワを被った女子はよくわからんし信用ならん。

 ま、坂柳さんについては本当に忘れよう。これ以上、付き合っていられない。

 それよりせっかく来てくれたなら、清隆にそれとなく言えることを言って情報交換しておいた方が有益だ。

 

「あ、清隆。お前、何が目的か…てか、お前の『ホーム』関係から本格的に狙われだしてるっぽいし、それとなく準備はしといた方がいいかもよ?」

「月城という理事長代理のことか? 坂柳が言っていたが、夢月にも話がいっていたか」

「あ~、たしかに坂柳さんなら月城代理も知ってるか。僕とは違う視点を持ってるし、同じ懸念かはわからんけども」

 

 月城さんの口振りだと、接触があった匂いはしてたし。

 それにしても……約1年友達やってるのに、清隆の真意や目指す道筋はいまだに謎だらけ。節目に会うたびに変化して見える。

 四方や早苗、高円寺とかの天才組でも話せば1つ。多くても複数程度は本命が見えてくるというのに、清隆は変わらず異質なままだ。ちょっとしたことでさえ、意図や想定を無数に匂わせてくる。見せてくる。でも可能性の段階で色々用意しすぎだろ、流石に。

 なので、一応聞いておく。

 

「……気づいてるよな清隆?」

「何をだ? オレは指し手になる気はないぞ。それとも『なったら負けて』くれるのか?」

 

 なんなんだ、コイツは。僕が言える範囲の忠告に対して、脅し風な殺し文句を返してくるとか本当に意味がわからない。

 つい先日された清隆に対しての助言をそのまま呑み込むつもりはないけど、呑み込むのもアリなんじゃないかと思えてくる。要点を端的に口にしつつ、部分的な無頓着をあえて晒してくるのだ。

 坂柳さんがどこまで踏み込んでるか知らないが、それなりに情報を話してるなら大丈夫だとは思えど……まぁ、真面目な会話するほど不安を運んでくる奴だよ、ホント。

 

「わかって言ってるだろ」

「まぁな」

「僕は相手が誰であろうと全力でやるさ。今回は理不尽レベルまではいかないしな」

「だろうな。オレもお前には出し惜しみしないつもりだ」

 

 正直、多分何かしらの仕掛けがあるのも予想できてるし、勝敗自体はどうでもいい。愛里や高円寺と当たる時は当たる時だ。どちらかが脱落者になっても恨みっこなし。相違があろうと、あの2人への信頼は揺るがない。保険もこれまでで多重にかけておいた。

 だから、懸念は残りの友達だ。

 

「問題点は別にある」

「退学者を量産する抜け道か? 冬の合宿でも似たシステムがあったし、気づく奴は気づきそうなものだが」

「気づくかもしれないからヤバいんだよ。Dクラスが負けた場合、押し付け合いになったら確実に退学の話に持ってかれるぞ」

「……櫛田か。リスクを承知の上で堀北が立候補して、櫛田も後押ししていた。あれは気づいていただろうな」

「やっぱりかよ……。強靭すぎる精神と意思だ。決して己の信念を曲げない。悪い意味で」

 

 櫛田の堀北さんに対する敵対心は相当根深い。それは堀北さんが体育祭の最中に散髪した後、似た髪型になるのが許せなくて髪を伸ばしだした事実からも明らか。

 今回の試験は敵同士だから協力や談合を持ち掛けられる事があっても一部だけだろうけど、僕が知る櫛田はどんな犠牲を払ってでも、“守り通す”ことに躊躇いを持たない精神力の持ち主だ。大きく評判を落とすことになっても、仕掛けられる時に仕掛けると想定はしていた。

 個人的にはそんなアクセル全開のチキンレースする必要ないと思うんだけど、きっと櫛田には譲れないのだろう。

 

「なら、説得力のあるスケープゴートを用意しておくのが無難か。堀北が今落ちるのはマイナスでしかない」

 

 でも……ホッ。この口振りなら、櫛田がターゲットじゃなさそうだ。

 これまで手はいくつか打ってきたが、清隆と櫛田の性格上、お互いに退学させようとする関係性になる可能性はそこそこあると見ていたので懸念していたのだ。櫛田とついでに早苗の漆黒の精神は、一度でも本気で敵対すると滅多な事では折れない。

 それをこの1年間で実感していたからこそ、僕は決定的な亀裂に発展しないよう注意して愛里や高円寺にも根回ししていた。まぁ、早苗の方はどうにもならなかったけども。

 

「いや、仮にその事態になっても、堀北さんが退学になる可能性は低い。だが、そうならなくてもギスギスした雰囲気はしばらく消えなくなる。その責任をさりげなく被せてくるぞ、多分」

「相変わらず夢月はよく見てるな」

「そりゃ、しっかり観察した上で違和感を持ったことを記憶して、余裕ができた時に掘り下げるのが凡人の身を守る基本だからな。面倒事はこうして関わらないようにするのが一番だ。活用できてるか微妙だけど」

 

 それに体育祭前に僕が櫛田に教えたやり口だ。櫛田の状況に照らし合わせれば、半分くらいの推測は比較的容易である。

 

「ははは、凡人な。しかし、最たるものがここ最近のお前だったぞ。次々に厄介そうな奴らを引き寄せてたりな」

「笑うなよ……。僕は結構真面目に人畜無害なんだけどなぁ」

「ふっ。これまであれだけやっておいて、そんなわけがない」

「おい、僕はほとんど何もやってねぇよ」

「……お前よく言えるな、その台詞」

 

 Dクラスでかなり有力な堀北さんが退学するのは、おそらく櫛田以外にとって許容できない損失だろう。それは櫛田もわかっているはず。ゆえに、清隆からスケープゴートなんて言葉が出てきたのだ。僕と話す前にあらかじめ櫛田に吹き込んでいたと思われる。

……怖すぎだろコイツも。ことあるごとに手を打たないと、破滅の未来に繋がりかねない一時の『平穏』を得る道筋に誘おうとしてくる。

 これを思うのが何度目か忘れたが、本当に僕と同年代の同級生か? 中身が『前の』僕と同じくらいって言われても信じるぞ。言わないだろうし、聞かないけど。

 

 

 

 僕は頭を振って考えたことを一旦置き、ふと思った疑問を口に出す。

 僕も清隆も勝敗はそんなに気にしてないけど、誰か切り捨てた方がいい奴がいるのがさっきの会話から見えた。もしくは理由を作ってしまった奴がいるか。

 

「ところで話を戻すけど、お前のクラスってそんなにも酷いのがいるの? うちのクラスだと一之瀬がいるとはいえ、多分僕か早苗が近い立場だし、他人事に感じないんだけど」

「いる。夢月や東風谷は、非常識集団の象徴みたいなところはある───」

「おい待て。誰が非常識だ。それは早苗だけだ」

「───が、これまでの実績含め存在するメリットも大きい。しかし、そのメリットを抜いて害にしかならない生徒はいる。クラス会議で高円寺も言っていたが、そういう生徒を切り捨てるのに今回の試験はうってつけだろう。退学の救済に2000万PPのみと明言されていたしな」

 

 コノヤロウ、スルーしやがった。こんな意味不明に自分から少しでも注意を逸らそうとする非常識人に……! なんという屈辱だ……ん? 『のみ』だと?

 もう1つ引っかかったので聞いてみる。

 

「つまり逆に言うと、普段なら退学のデメリットは大きいってことか?」

「自主退学ならマイナス300CP。退学が決定した生徒を救済するなら、2000万PPに加えて100~300CPだそうだ」

「あ、あぁ~、たしかにそれなら『そういう』見方もあるな。納得した。悪い面だけでもないんだな、この特別試験」

「……尤も、そこに到達している生徒は十中八九ごく少数だがな」

 

 思考を巡らせ云々はこれか。

 マイナスポイントに幅があるのも気になるが……コイツは、どこで誰からこんな情報を仕入れたんだ。遠隔で清隆にも伝わるよう仕組んでたと予想できるだけだ。

 しかし高円寺は当然として、清隆以外にも見通す奴がいたら先々で苦しくなるかもな。……何が不良品クラスだよ。この学校特化の人材を揃えた化け物クラスじゃないか、いい加減にしろ。

 

「ついでに言えば、Dクラスと当たる予定を組んでいた坂柳が名指ししていた生徒がいてな。どの程度かは不明だが、恨みを買っていたようだ」

「はぁ? 坂柳さんが? なにやったんだよ、ソイツ」

「さあ。ただ、今の状況でそんな爆弾は流石に看過できない。いずれ爆発して甚大な被害が出る可能性が高いからな。もしもの時は、ソイツをスケープゴートにする」

「え、一応聞いとくけど、僕か戸塚じゃないよな?」

「当然だ。お前も弥彦もDクラスじゃないだろ。そもそもオレが話す限りでは、夢月を退学にさせたいとは坂柳も考えていない」

「えぇ~。戸塚はともかく、僕は目障りなカトンボ程度に見られてると思ってた。もっと低く見積もれよ。怖いんだよ、坂柳さん」

「……むしろ乗り越えるべき壁のように見てるんじゃないか? 先日の一之瀬の件を鑑みるに」

 

 自分の遥か下に存在する壁を? 一時的に対抗できるだけで?

 天才の考えはイマイチ理解できないな。特に坂柳さんとは、何度か直接の接触はあったものの、なるべく関わらないよう気配を感じたら即座に逃げていた。だから、せいぜい逃げられなかった数回と葛城・戸塚、清隆、極稀に橋本から話を聞いたのが、僕の持つ彼女の情報全てだ。

 要は理解度が足りていないのである。

 

「つーか、清隆だってよく見てんじゃん」

「お前は友達の中でも特に異質な存在だからな。この1年間でどんな性格か、または好き嫌いやどういう傾向があって負担が大きいのはどんな事かは、それなりに把握している。してないと、どんな予想外や面倒を連れてくるかわからないからな」

「へぇ、そりゃ大変だ」

「他人事……」

「いやいや、そうじゃない。運が悪いな清隆。こんな友達に早くから引っ掛かって、って言おうとしたんだ」

「……っ。違うな。これに関してはオレの運は相当良かった。お前がいなかったら、オレがここまで気楽に過ごせるなんて想像もできなかったさ」

「急に真面目になるやん」

「オレはいつも真面目だ」

「そう言って不審者ムーブをかますんだろ? わかります」

 

 それでも友達としての清隆はそう悪くはないし、話も意外と合う。友達になったのは明らかに僕の方が幸運だったといえる。

 底冷えする闇を抱えてる部分や基本能力の差はいかんともしがたいものの、はっきり言ってどっちもどっち…お互い様だ。愛里も認める嘘吐きではあっても、最低限の人柄は信頼できるし、効率厨、行きすぎた秘密主義、といったきな臭さは友好感情によりギリギリ相殺可能である。……あれ、これ相殺できてるか?

 と、ともかく! 清隆から聞いたことを信じるなら、規定路線…ではなく、終着点だけをあらかじめいくつか定めているのだろう。

 

 改めて清隆を観察してみると、その顔は明らかにいかにして効率よく動くか、障害をどうやって効率よく排除するか、それしか考えていない。ぶっちゃけコイツは、近い性質の奴には『下手く』隠しているが、自分の役に立つか以外は知った事ではない性格というね。当然、僕がそう思ってることも清隆にはお見通しなはず。

 怖いわー。流石は脳が機械化してる疑惑すら湧く清隆。考え方が怖いわー。

 ま、それがなんとなくわかってしまうのに友達付き合いしてる僕自身も大概だとは思うけども。

 

 

 

 その後、特に意味もなく居座ったままの清隆と雑談に移行していると、『綾小路グループ』とかいう珍妙な人物達が部室にいきなり乱入してきた。

 

「きよぽ~ん。もう来てる~?」

「おい波瑠加! ノックもなしに入るな」

「え~? 別にいいじゃない」

「……左京、連れが失礼した」

 

 体育祭後のペーパーシャッフルという特別試験の勉強会で意気投合したとかで、彼らは結成したらしい。

 メンバーは清隆に、長谷部さん、三宅、幸村。それにここにはいない愛里がペーパーシャッフル後に加わり、Dクラスの5人。僕もそんなに事情は知らないが、櫛田が所属クラスで浮いていた愛里に頼む形で勧め、清隆が入っていたコネも使って混ざったっぽい。

 結果、今では愛里は天文部グループ、綾小路グループ、バイト、アイドル系統の仕事、守矢神社関係と、何気に友達が増えて忙しくも楽しそうにしている。

 

 そう、相性が良かったのか年末の頃、愛里は彼らと友達になったのだ。

 ちなみに、その頃には付き合っていた僕は勿論、早苗など天文部の者達は嬉しそうに報告する愛里にテンションが上がり、つい宴会を開催してしまった。名前を聞いても愛里と清隆以外は知らない奴ばかりだったが、洞察力の高い愛里が仲良くなれたなら変な奴はいないだろう。

 早苗だけは会える機会が減って寂しさを感じたのか、ちょこちょこ向こうに顔を出すこともあったようで、いつの間にか長谷部さんと毒舌を交わす仲にまで発展していた。清隆以外は嫌ってるわけじゃなさそうだが、向こうのまとめ役の胃が心配である。

 尤も、僕との仲もお世辞にも良いとはいえない。主に長谷部さんと。

 

「きよぽんと『はぐりん』って仲良いよねー。もしかしてそういう仲? 浮気?」

 

 なぜなら、長谷部さんもまた美人系愉快犯のイロモノだからだ。心臓に悪いからかいを会話に混ぜてくるので、対抗するには口八丁を必要とする。

 

「んなわけないだろ。僕をアルティメット変態の清隆とそういう仲だと疑うなんてどうかしてる。頭、大丈夫?」

「おぉい! オレをお前達の争いに巻き込むな!」

「きよぽんが変態かは置いといて───」

「置いとくんじゃない波瑠加! 戻せ!」

「───置いといて、失礼だねー。愛里と喧嘩しても助けてあげないよ?」

「ふん。余計なお世話だ。万が一そうなっても、自力でなんとかするさ。お一人様で非モテ?な長谷部さんには、男女の機微なんかわからないだろうけどな」

「ふ、ふふっ。言うねー、ホント……。いつも嵐のど真ん中でフッツーに過ごしてるだけあるわ」

「スルーか! またかよ畜生っ!!」

「清隆……ドンマイ」

 

 売り言葉に買い言葉を自分で言っといてなんだけど、長谷部さんはあまり非モテじゃなさそうな外見だがな。

 とまぁ、このような言い争いになる場合が多々。

 元からの性格か、早苗の影響でも受けたのか、はたまた愛里の彼氏が僕なのを認めたくないのか、挨拶代わりによく毒舌の投げ合いになる。

 

 特に僕に対しては、初対面の頃から妙なあだ名で呼ばれてて、時々は愛里まで呼んでくるようになっていた。あだ名の由来は長谷部さん曰く、はぐれメタルなんだから、とのことだ。

 ここからわかるとおり、失礼なのは圧倒的に長谷部さんの方である。礼には礼を、失礼には失礼を返すのは当然だろう。ゆえに愛里や早苗がいないところで遭遇すると大抵こうなる。

 そして何故か清隆が三宅か幸村に励まされるまでが、彼女達と邂逅してからのテンプレである。

 

「三宅、幸村も。友達は選んだ方がいいよ? こういうのに取り憑かれるとマジで面倒だから」

 

 だから清隆へ励ましの言葉をかけていた三宅と幸村に、僕は心からの忠告を送る。

 

「ああ、それはもう諦めてる。波瑠加はこういう奴だからな」

「……こう見えて良いところもあるぞ。真面目な時は真面目に勉強にも取り組むからな」

 

 三宅と幸村は、ノリよくふざけて「うらめしや~」ってやってる長谷部さんを見ながら、そう宣った。

 

「ああ、そうかもな。ガワが美人ではあるし、性格難させどうにか誤魔化せたら…いってぇえええっ!!」

「───ひっぱたくよ?」

「ビンタしてから言うなよ長谷部さん! 親父にはまだぶたれたことないのに!」

「父親が死ななかった世界線のア○ロかよ……。だけど、結構前に少なくとも須藤には殴られてたよなコイツ」

「このっ、じゃんけんのチョキ至上主義っぽい見た目しやがって!」

「どんな見た目だ、それ」

 

 思ったまませめてもの助言を送っていると、謎に長谷部さんからビンタされた。

 これだから、拗らせたイロモノは! これだよ、これ! これこそが性格難だ! って知らしめてやるか? やろう。

 

「見たかお前ら!? このイロモノの愉快犯的な性格難を!」

「承知の上で友達やってる。もはや手遅れなんだよ……」

「というか、左京は『あの』東風谷や高円寺とも友達なんだろ? 俺達のことを言えないどころか、完全に上位互換じゃないか」

 

 でも考えてみたらそうか。高円寺はともかく、早苗と比べたら長谷部さんはヘビとカエルかもしれない。攻撃力が低いぶんだけ……。

 少し思い直した僕は、最後の手段を提示してみた。

 

「お、おぉう。それは御愁傷様。でも、お祓いなら早苗んとこの神社でやってたはずだし、よかったら紹介しようか? 怨霊とかにも効果はあるはずだ。清隆以外ならやってくれると思う」

「オレ以外……」

「怨霊って私のこと!? はぐりん、驚くほど失礼!! というか、そっちこそ余計なお世話! ゆきむーもそうだけど、私とみやっちはこの学校では一番長い付き合いだからね!? 以心伝心の仲っていうの?」

「君がそう思うならそうなんだろうな。君の中では」

「私を痛い子みたいに見てくる!? とゆーか、そもそもサナエちゃんのお祓いって大丈夫なの!?」

 

 直前まで、ひゅ~どろどろどろ、と続けていた長谷部さんがお祓いされるのはたまらんと言い返してくる。やっぱり怨霊じゃないか。

 長谷部さんは心外といった表情だが、僕は早苗でよく知っているのだ。本格的に怨霊化してからでは遅い。自覚なさそうだから、僕も目を付けられないように軽い反撃程度で自重しておくのが無難だろう。

 ただまぁ、早苗は技能としては習得してると思うけど、長谷部さんを祓うとか言ったら拳が飛んでくると確信してる。誰が対象かは早苗の気分次第かもだが。

 だから、僕が行かなくてすむように一応の注意も言っておこう。

 

「もちろん大丈夫だ。前に聞いた早苗のお祓いは、悪い子は是非真似してください、ってヤツだった」

「もしかしてサナエちゃんに悪い子を殲滅させようとしてる? つまり、あわよくば私をけしかけ……」

「あっ……よ、良い子は真似しないでください」

「手遅れだよ? 言い間違えにしても酷すぎるのはバレバレだよ?」

「ひ、ひゅ~…ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~」

「誤魔化しが雑っ! 口笛吹けてないし!」

 

 そしたら、ちょっと素で間違えた。

 そして、ぐぅの音も出せないツッコミをされてしまったものの、なかったことにできそうだったから、なにやら興奮気味になった勘のいい長谷部さんは知らんぷり。僕は代わりに綾小路グループの未来を、部室にまだ置いてある御神体に向けて適当に祈っておいた。

 ちなみに、彼らのグループ名を冠されている清隆は、三宅と幸村からポンと肩を叩かれていた。

 

 

 

 微妙に変な雰囲気になったが、この面子の中ではあまり話したことのない幸村が咳払いしつつ、質問してきた。

 

「コ、コホン。あー、左京? 少し聞きたいことがあるんだがいいか?」

「幸村が? 別に答えられることならいいけど」

 

 特段僕の隠し事も今はないし。

 

「次の試験で当たることになっただろ、俺達」

「ん、そうだな。よろしく頼む」

「よろしくって……。そ、それでだ。お前はAクラスに思い入れがない、という噂を聞いた。それは本当か?」

 

 それ、噂っていうか、清隆か、ないと思うけど愛里じゃね? でなければ、うちのクラスの誰か。

 てか、アレか。スパイか寝返り、裏切り系統の話か。月城さんや清隆との話の後だからか、このストレートさがやけに微笑ましく感じる。

 幸村も頭はともかく、こういうのに向いてない1人なんだろう。焦りや罪悪感すら薄っすら見せているのは人が良すぎる。

 

「うん、あってる。進路は基本的に学校に頼りたくない」

「まぁ、夢月はそう言うよな」

「はぁっ!? じゃあなんでこの学校に来たの?」

 

 横から清隆と長谷部さんが口を挟んできた。

 

「え、占いの結果だけど? あー、それと生活費無料ってのも少し」

「う、占い? そんな適当な……」

 

 幸村が僕の答えに少し動揺してるが、三宅は頷いてたりする。やっぱそういう奴もいるよな。

 

「いやいや、僕もあんまり信じてなかったけど、案外馬鹿にできなかったぞ。しかもその占い師の息子と出会う奇跡まで起きた」

「それってもしかして二三矢か? 時々、干支がどうとか言ってるし」

「正解。あいつ自身も本職の手伝いができるくらいには覚えがあるらしいな」

 

 その占いに乗った結果、なんかイロモノばかりの周囲に囲まれてる現在なのだが。まぁ、本当に悪い結果じゃない。実は最初から諦めてた彼女までできたし。

 

「……それなら次の試験で手心を加えてもらう…もしくは指し手の情報を流すことは可能か? もし可能なら、どの程度の対価が必要だ?」

「啓誠!! それは流石に駄目だr」

 

 ん? 啓誠? 幸村のことか? でも下の名前ってこんなだっけ? まいっか。

 

「手心は無理だけど、指し手を教えるだけならタダでいいよ」

「は、はぁっ!!? さ、左京…お前は」

「……へぇ。じゃあ誰なの?」

 

 なんか野郎は清隆以外慌てたりしてるけど、長谷部さんは冷静だな。なかなか肝の据わったものだ。

 しかし次の一言で、静寂が訪れた。

 

「僕」

 

 幸村がストレートに言ってきたのは清隆の入れ知恵か誘導だろ。裏で動くのを趣味にしてるような奴だし。なら、こうした方が楽しい。無駄な秘密は剥いでおくに限る。

 

「やはりな。Aクラスのポイント残高予測から考えても、お前になるとは予想していた」

「白々しい。清隆が来てすぐの会話でわかってたことだろうが」

「たしかに確率は高いと見ていたが、確定はしてなかったんだ」

「そんで今、確定させたと。いつも回りくどいことしやがって」

「すまんな。だが、普通はそう開けっ広げに言わないものだぞ?」

「ふっ、干支試験でも体育祭でもペーパーシャッフルでもやったことだ。もはや定番で日常感まである」

「威張れたことじゃないだろ」

 

 こう言えば、体育祭…いや無人島での経験をもって導き出した僕の真意が清隆ならわかるだろう。

 

「僕もこの1年で学んだんだ。隠しても意味がないってな。制度なんかくそ食らえだ。足を掬おうとしてくる奴を返り討ちにしてやるよ」

「……お前がそれを言うと妙に説得力があるな」

 

 普段は死んでもやりたくないから一之瀬リーダー万歳なスタンスだが、イベント事や緊急時のリーダー、またの名を餌───これらが信じられないほど『楽』な役割だということに!

 責任と結果さえ伴うよう整えれば、連携もいらず好き勝手にしてもいいことに!

 クラスの会議で、一之瀬への言葉と約束を自分の行動で示せる好機(退学しそうになった仲間=今回でいえば僕を見捨てないと信じてる、的な?)だということに!

 万が一、億が一、裏切られても僕が退学になるだけというお得さ!

 退学になっても愛里含む友達連中に会えなくなる点以外、良いことずくめ!

 

 これらの答えに僕は到達してしまったのである。

 指し手に退学リスクがあるのを再確認してみんなが及び腰になった瞬間、そりゃ他にいないんなら僕が名乗りを上げるよね!

 様々な点から怠け者には最適な役割である。

 なにより。

 

「───だが、面白い。オレもそろそろ本気で勝ち星を挙げさせてもらうとするか」

 

 そう。つまり、おおっぴらにサボることだって可能とす───えっ!?

 

「あらゆる創意工夫をもって苦悩しろ。オレに投げまくったモノをこの機会に返してやる。そして念には念を入れて1週間、オレの全霊をもって堀北を鍛え上げてやろう」

 

…………何が??? なんか致命的な勘違い(清隆の意図的)が起きた気がする。

 

「お前も好きに足掻け、夢月。あるいはこの身に届くかもしれない」

 

 あれ、おかしいな。異次元転移した感覚も、それっぽい機械や魔法発動もないんだが。

 清隆が別人みたく…稀に見せるラスボスモードになってんだけど。

 

「さあ懺悔の時間だ。よくやってくれたよ、左京夢月」

 

 てか、目の前のコイツ誰? どこぞの鬼畜神父みたいなこと言ってきてる。ネタ?

 

「もっとお前の出来が悪ければ、こうはならなかったかもしれないが……それもここまでだ。確信がある。

 夢月の導きは、オレの長年の問いに答えを出すだろう」

 

 なに言ってんだコイツ。

 

「喜べ夢月。今わかった。オレの願いはようやく叶う」

 

 それか……可哀想に。ストレスが限界突破したか。

 今度の春休み、気晴らしにどこか旅行にでも連れてってやるか。できるかわからないが。

 

「……………………ふむ。ふむふむ。わかった(わかってない)。しばし待たれよ。えーと、どこでもドアってどこだっけ? もしもボックスでも可。それかタイムマシン? さくらえも~ん、助けてよ~」

「独特な混乱の仕方だなぁおい。まぁ…なあ?」

「一種の現実逃避なんだろう。気持ちはわからないでもない」

「というか、きよぽんとはぐりん、こんなになっちゃってどうする?」

「「……知るか」」

「……それに私、きよぽんがこんな楽しそうな笑顔になってるの初めて見たんだけど……ちょっと悔しい」

 

 僕含めた部室にいる者ほとんどがドン引きしている。

 変なスイッチが入ってノリノリのアクセル全開で景気良くの黒歴史を製造していく清隆。

 あ、これ夢だわ。僕のび太くん。と思い込もうとして失敗する僕。

 人生に不具合を発見したかのような雰囲気の綾小路グループ3名。

……どうすんだよ、この空気。

 

「ははは。ふはははっ! はぁーはっはっは!! 何故だかとても良い気分だ! まるで全てのしがらみから解放された心地! 悪くない! 悪くないぞ!

───これが自由というやつか、素晴らしい!!!」

 

 コイツ……! 僕が混乱してるのに、いつまでも調子こきやがって。言い返してやる。

 

「ふ、ふん。クラスの地力ならばこちらが有利なのは明白。それに僕の全力を見切ったつもりか清隆? それは間違いだ。なぜなら僕にはまだ隠していない力を半分残している」

「……なに? これまでの左京が半分の力だと?」

「ふっふっふ、残りの力は他力―――他人の助力だ」

「自分の力を勘定に入れろよ! なに人に頼ってんだ!?」

 

 しかし幸村と三宅の横入りにより、僕の秘密のベールはあっさり剥がされた。しかもこの場における紅一点からの心を抉る追撃に、内心わけわからなくなった。

 

「ダッサ! はぐりん、それは流石にダサすぎるよ!!」

「うっ、や、やっぱり? え、えぇい! もうヤケクソだ!

───ようこそ実力至上主義の世界へ!!! もう一度お前をぶっ倒してやるわ! 僕以外が!!」

「いいだろう。かかってくるがいい。オレも全力で迎え撃ってやろうじゃないか。はぁ~はっはっは!!」

「はぐりんにきよぽんまで乗った!? でもはぐりんは一気に顔真っ赤になったよ大丈夫!?」

 

 ヤベェ。素で言い放つには恥ずかしすぎた……!

 清隆、もしかして無敵か? なんでこんな恥ずかしげもなく黒歴史を作れるんだよ。長谷部さんにツッコまれるまでもなく、顔が赤くなったのを完璧に自覚したわ。

 そろそろ春になろうかという学年末試験前のこの日、僕達は1人がいきなり始めた青年の主張によって、しばらく大混乱に陥った。ただ幸いにも僕はコレを何度か体験してたので、すぐに自分を取り戻したのは元は大人としての意地である。

 

 そして事が起こった更に数分後、我に返ってあまりの羞恥心により膝を折って崩れ落ちた青年。その青年を4人の生暖かな視線が見守っていたことは言うまでもないだろう。

 勝ち馬に乗ってきた長谷部さんとアイコンタクトして一時的な共闘契約を結び、僕が彼女とともに清隆へ追い討ちをかけたのもまた言うまでもない。当然、僕の黒歴史もまとめて清隆に押し付けようという算段である。

 

 そう、そのためならば───限界を越えた先にある限界の向こう側まで弄り尽くしてやろう、と。

 

 それにしても、流石は愉快犯と見込んだ長谷部さんだ。

 未来に襲い来る自身の恥に身悶える清隆が可哀想だと思わないのか? 我らの良心である愛里がいないとはいえ、愉しげに弄ってるから思わないんだろうな。汚い。汚いぞ、長谷部さん……ヨシッ! あとは君に任せた(責任転嫁)。

 イイ笑顔で『きよぽん』を弄り尽くす長谷部さん。と、彼女にドン引きしている三宅と幸村の横に移動して僕も共にドン引きした感じを出しつつ、傍観者ムーブを決めこむことにした。

 ま、結果的に清々しい気分になれたし、今回は全てを水に流そう。

 





 独自設定について。
 原作の選抜種目別試験より1日ズラしてるのは仕様です。
 また1話と2話(特にホワイトデーの話と、月城との会話)で薄々…バレバレだったかもですが、クラス内投票はありません。
 あの特別試験は犠牲になったのです。
 そう、次年度からの原作通りの改革に加え、『円』の導入と外部接触禁止を廃止したことなどを起因とした学校側の業務過多によって……。
 真面目にメタ要素を言うと、退学者はともかく、人気投票で4人にプロテクトポイントを与えるあの試験はちょっと意味がわからなくて削りました。私にあれは料理できない。

 代わりというわけじゃないですが、この作品における学年末の特別試験は、『人間チェス』って架空競技(架空だよね?)にしました。将棋にしなかったのは持ち駒ルールがややこしいからです。
……私、ネーミングセンスないので、ダッセェと思われたら是非スルーしてください。この名称自体はあまり使用しない(以降は『』で囲った『チェス』とかになる)と思いますから、スルーは容易なはずです。

 あと『ようキャ』でAとBのクラスが入れ替わって逆転されないままな設定のもあり、
 一之瀬のAクラス 対 櫛田(堀北)のDクラス。
 葛城(坂柳)のBクラス 対 龍園のCクラス。
 になってます。



 ようキャ版の綾小路グループについて。
 今話後半を読めばわかると思いますが、綾小路グループは微妙な変化を加えて結成しています。何気に綾小路と佐倉以外も何度かこの部室を訪ねてますが、ほぼ全員が同時に来たのは初めて、という設定だったり。それと佐倉の合流が遅れたのと、夢月の前では綾小路が原作ほど能力を隠してないのもあり、少し違った関係になってます。
 ただ、私の綾小路グループの普段ってこんな感じ(長谷部が愉快犯で、他が抑え役)なんですが、イメージと違ったらすいません。
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