すいません。ようキャの方に間違えて投稿してました。
今話は、半分説明会…のようなものであまり話は進んでませんが、次話で試験は終了予定。
───アホか。できてもやらねーよ。何が悲しくて友達を葬らにゃならんのだ。
夏前に夢月から放たれた裏表のない意思を、オレは今でも鮮明に記憶している。
オレの最初の明確な敗北として。
まぁ、その前にも色々な点から薄々感じてはいたが。
以降も有言実行し続ける予想外にあれだけ巻き込んでくれば、もう認めざるをえない。
左京夢月は良くも悪くも『平等』だ。
外から見てどんなに善行でも悪行でも区別なく、やるべきだと思った事の実行を躊躇わない。
例えば、クラスの勝ち負けなどにも興味はない。それはオレも夢月も同じだろう。ただ物事を隠すか隠さないか程度は傾向に違いはある。そして理解できないモノに対して、大抵の人間は避けるか攻撃的になるものだ。
他人に理解されない事すら隠さないのは、龍園以上に敵を作るかもしれないと、時には忠告もした。
が、そうはならなかった。
結果として、少なくともオレにとって夢月という男は、味方であれ、敵であれ、普段はどうであれ……。ホワイトルームすら超えかねないレベルで、いつの間にか“好奇心”を満たせる存在になっていた。
観察してわかったが、夢月は勝った時は意外と冷静だ。代名詞になりかけている煽りはする場合もあるものの、必要でなければあまりしない。
反対にあまり例はないが負けた時は、心の底から楽しそうに振る舞う。周りが沈んでいようとお構いなしだ。そして、いつしか周りまで本当にそうなっている。
なにより負けても『次』を…先々までを見越した土産を残す。
夢月が勝てそうな場合でさえ、安易にその道を選ばない。自分か相手の片方、もしくは両方の『次』に繋がる手を好む傾向があるのだ。たとえ一時的に自分が敗北するとしても……。
最初はオレにも理解できなかった。
現時点でも真に理解できているとすれば、おそらく四方二三矢と高円寺だけだ。だが、幾度も予想を覆し、ついにはオレが認めざるをえないところまで持っていった夢月をより深く知りたいと思うのは、『人』として当然の好奇心だろう。
実力がある。天才といえる。こういったわかりやすいモノとは違うナニか。搦め手や謀略に瞬時に対応し、信頼できる味方を増やしていく。
裏表すら利用して、ありえない相手でもどうにか『交渉』に漕ぎ着け、全てを明らかにしていく夢月の発想と行動力は恐ろしくも頼もしい。
夢月の最大の長所は、頭脳や身体能力といった単純なモノじゃない。
どんな窮地に陥ろうとも笑って楽しむ強靭な意思と、自分が望む未来へと現実を引き込んでゆく吸引力だ。
高円寺やみーちゃんとともに愛里が一之瀬との激戦を終えて戻ってからは、怒涛のような急変具合だ。山内のアレから少し間を置いたが、雪崩れのような勢いの攻勢だった。
堀北がフォローを入れられないタイミングで勝負を同時展開し、一定以上の戦力を持つ駒を次々と削っていく。
高円寺だけならまだしも、山内の暴走があった中で堀北はよく抗っている方だろう。一旦は勢いを止めることができた。
それでももはや覆せないポイントに、ギリギリまで追い詰められかけたのは大きい。何を想定して実行したのかAクラスの士気が異常に高く、その上に隙あらば容赦なくそこを狙ってくる。
間違いない。今のAクラスの『流れ』を作っているのは夢月だ。
しかもオレには状況を覆す策もいくつか浮かんでいたが、それを実行可能な堀北へ伝える術が欠けていた。唯一の連絡手段である子機は山内の暴走によって周囲を女子で固められ、男子は近づけない。以前の無人島で起きた男女の溝がくっきりと浮き上がった形だ。
平田と軽井沢がなんとかフォローしようとしていたが雰囲気も良いとは言えず、異性に親しい者が少ない生徒はなんとも居心地が悪い。幸い、といっていいのか何組も勝負で出払っているから部屋内の人口密度は低下しているが。
こんな状態では、男子だけ、女子だけの駒はともかく、それほどお互いを知らない男女混合の駒は目も当てられない結果になるだろう。そしておそらくDクラスの現状を読み取った瞬間、夢月はチェックメイトまで最大限に利用してくる。最低限の連携が取れるように手を打つことは急務だ。
「みやっち、ないす~!」
「運が良かったな。俺達の数少ない勝ち筋の勝負が当たって」
「謙虚だね~」
愛里を除いたオレ達のグループは影響が少ないこともあって安定している。明人が得意とする弓道で、とりあえず向こうの勢いを止められた。
「しかし、これはヤバいな……」
「ああ。高円寺の勝手は今始まったことでもないから、止められたのはまだいい。だが、山内の件からの一連の攻勢は本当に左京なのか?」
「経験者がいない相手でポーンだったのに、集中力が半端ない。冷や汗が出るほど的に当ててきやがった。これをやったのが左京だとすると、侮っていい相手じゃない。夏の特別試験といい、体育祭の時といい、マジで予想外の塊だよな、あいつ」
オレの呟きに横にいた啓誠と明人が反応した。
まだ危機的状況には薄っすらとしか気づいていないようだ。
「間違いない。夢月は柔軟に打つ手を工夫してやり方を変化させる奴だ。高円寺との一戦を見ていただろう? あいつは攻め時と見たら誰が相手だろうと、最短距離を効率的に詰めてくる」
「う~ん、あのはぐりんがねぇ……。なんかそう思えないから、逆に不思議かも」
「実は俺もそうなんだよな。つい油断しちまうっていうか」
「……それがあいつの手かもしれない」
波瑠加と明人に反論する幸村も、言うほどの悪感情は見られない。そうと見られていないのに、あれほどの事を成し遂げるからこそ誰よりも異質なのが夢月なんだが。
待機ルームで先程一之瀬と堂々たる引き分けを演じた愛里と合流して話してみると、一面では答えと言える話を聞けた。勿論、身だしなみも整えて眼鏡も再びかけている。
高円寺? 愛里やみーちゃんとともに脱落してからは、姿見の前で何やらポージングに勤しんでいていつも通り意味不明だ。
「夢月君は普段と緊急時が全然違うんだよ。やる気になっちゃうと突き進んで、気づいた時にはなんか変な着地してるんだ。本当になんとなく……」
それにしても、夢月と“付き合いだして”からの愛里の成長は目覚ましい。能力面でこそさほどの伸びはないが、いざという時の性格や行動力は誰かさんの影響を最も受けていると言える。
オレとしては、愛里は男女関係よりも友達関係で刺激した方がより成長するタイプだと見ていたため、夢月の打ってくる手はやはり興味深いものが多い。一之瀬に挑み一矢報いる存在になっていたとは、天文部の奴ら以外は誰も思っていなかっただろう。
波瑠加が愛里と話している内容からもそれは読み取れる。
「おっ、愛里。さっすが彼女だねぇ。長い付き合いだけあって左京君の考えもわかっちゃう?」
「そ、そんなことない…と思うんだけど。多分、わたしと当たってたとしても手加減してくれない人だから、波瑠加ちゃん達も気をつけ」
その愛里が少し興味深い夢月の評価を話そうとした時。
「こ、こんな女の子に怖い顔するなんて、みんな情けないね! ざこざ~こ!」
櫛田が紅き衣(ただのジャージ)を纏いて金色の野(ただの他より明るい場所)に降り立ち、ぎこちなく言い放った。
「「「う、うぉおおおおっ!!! 櫛田ちゃん、サイコー!」」」
「メスガキ助かる!」
「たまらんっ!」
「「「櫛田! 櫛田!! 櫛田!!!」」」
「あ、あれ? やる気を煽って渇! ってしたつもりなのに、助かられちゃった? こうすれば男子が奮い立ってくれるから、ピンチに使ってみろって言われてたのに……」
それは奮い立つの意味が違うんじゃないか。なんてツッコめるわけもなく。
櫛田も妙な部分で抜けてる場合があるな。唐突すぎたこともあって雰囲気はだいぶマシになったものの、演技の可能性はあるが。
「…………なにあれ? キョーちゃんって、あんな事を言うキャラだっけ?」
「……おそらく夢月に吹き込まれたんだろう。以前にも似たような事があった」
まぁ、実はオレが吹き込んでおいたんだがな。たまにはアイツに投げるのも仕返しにはなるだろう。
「うん、多分そうだと思う。何度かわたしも見たことあるもん」
愛里も前例からナイスな同意をしてくれた。ありがたい。夢月の普段の行いのおかけで、より説得力が増す。
「左京夢月……恐ろしい奴だ」
「いや、これ恐ろしいか? やっぱりあいつ紙一重の境界を反復横飛びしてるんじゃ?」
「……否定はできないな。他のクラスを手助けするような真似は、どう考えても非合理的だ」
「きよぽん、冷静~。今日はあっちに乗りに行かないの?」
「…………いい加減忘れてくれ波瑠加。あれはいまだに悪夢となってオレを苛んでいるんだ」
しかし、結果としてDクラスの立て直しに成功したんだから、普通とは何か改めて考えさせられる。てか、考えを深めて自分の黒歴史を改めて消去したい。
このたった一言により、男子はおろか女子まで櫛田の突然の奇行に呆気に取られて、男子への敵対心を忘れた事実を含め。
まぁ、危うく高円寺に全て食い破られるかと思ったが、夢月が食い止めてくれたことで実験の結果は上々だ。もしも夢月が退学になっていたらどうしたものかと柄にもなく一瞬慌て、まさかの高円寺相手の正面突破に再度慌ててしまった。
そして見ていた者達は、その結果にオレも含めて唖然としていたことだろう。男子の何人かは、愛里と一之瀬の対決(の一部分)に釘付けになっていたが。
やはり夢月は予想以上や予想外に関しては即座に対応してくるものの、予想以下、それも遥かに下回る何かにだけは僅かながら反応が遅れる。おそらく一定値以下の思考や言動を理解できないのだろう。表示されていた盤面を見ている限り、堀北や櫛田より多少早い程度の対応能力で収まっていた。
本来ならそれでも充分なのだが、夢月が優先すべき何らかの余波が発生すると今回のように掘北に立ち直る隙を与えてしまう。明らかな弱点だ。
性質上こちらのダメージも大きくなりやすいので、おいそれと突けるような隙ではないものの、最小限に抑える手を別に打っておけば問題ない。オレに繋がらないように隠蔽しつつ誘導する手間はそれなりにあったものの、山内は最後になかなか良い仕事をしてくれた。何人か存在するイエス・キリストのごとき働きだった。
ちなみに余談だが、歴史的な文章記録によると、イエスとしての活動は最低4人が確認できる。記録に残っていないイエスも含めて、歴史に残るほどの偉業を成すには相当数の目的達成を目指すイエスが存在したのだろう。
ともかく今回の『実験』で確信に至った。
夢月が本気になる場合は、友達か貸し借りのある誰かが危機に陥る道筋が確定した時か、飛躍する見込みがあって手助けする必要性が発生した時。
意識してか意識せずなど関係なく、問題解決の最短距離を駆け抜けてくる。
過程でいくら間違おうと、必ずと言っていい確率で答えに辿り着く。
今回でいうと、『オレ』という元凶を倒しに。
そもそも夢月の性格的に、指し手に自ら立候補した時点からおかしかった。
あれは2月からの一連のトラブルが、一之瀬を万全の状態ではいられなくさせていたからこそ起きた異変だ。本来なら一之瀬は指し手として、いま夢月のいる場所に立っていたはず。
つまりあれは思いつきでもクーデターでもなく、アフターフォローの一種だ。万全ではない一之瀬帆波というリーダーを破壊しかねない裏を見抜いて、無意識に自分を防波堤代わりにしたのだろう。
前々から策謀を巡らせていたのは坂柳だが、策謀を『利用』しようとしていたのはオレだ。ゆえに元凶の1人ではあると言える。更に坂柳にはこの試験で手を出せないとくれば、打倒する対象はオレで固定される。
その坂柳が警告してきた月城という理事長代理が夢月にしただろう提案に乗せようともしてみたが、逆に絶対に乗っていないと確信させてきた事で返された。普段と立ち回りの割には、他人への敬意と気遣いを忘れないからこそオレさえも気が緩むんだけどな。
もしも高円寺が終わらせていたら夢月も辿り着けなくなっていたかもしれないが、奇跡のような突破口で食い破り、おそらくAクラスの士気向上まで繋げてみせた。
ならば、次に夢月が打ってくるのはオレを討ち取る手段と目的に繋がるモノに違いない。それに的確なのはDクラスのキング防衛戦、しかもキング同士をぶつける通常のチェスではありえない抜け道を狙ってくるだろう。一之瀬に仕掛けられたような心を折る仕掛けを堀北に返しつつ……。
一度でも『そう』と信じた夢月を相手にできる者はそういない。堀北でさえだ。現状がそれを証明している。
あらかじめ櫛田を誘導しておかなければ、今この瞬間にはDクラスの敗北が確定していたはずだ。
「清隆、どこか嬉しいそうだな」
「ん、そうか?」
「あぁ、笑顔じゃないんだが、なんというか雰囲気が」
「よくわかったな。十中八九これから全力の夢月が来るぞ。きっとだからだろう」
「はぐりんがっ!? 彼女のいるクラスにちょっと容赦なさすぎない!?」
「は、波瑠加ちゃん。それが夢月君だから……」
「それよりどうやってだ!? 指し手はキング戦以外では……ま、まさか!?」
グループのみんなにはオレの現在の気分が察せられたのか聞かれたので、近い未来を話しておく。啓誠以外は打ってくる手が想像できないようだし、心の準備ができるように指でオレ自身を指しながら。
「その通り。堀北を乗せてくるだろう───ここに向かって」
夢月と堀北には表面上の共通点がいくつかある。しかしその完成度とプラスαは段違いだ。現段階で当たれば堀北に勝ち目はない。まず戻ってくる堀北を立て直しておこう。
敗北することこそが堀北の始まりに繋がり、初めてスタートラインに立つことを可能とするだろう。オレ自身のリスクはあっても、これくらいなら許容範囲だ。
勿論、ほぼないと考えているが、今のDクラスに夢月が遅れを取るようなら、それはそれでプランを修正するだけでいい。
少し前まで何をしても動かなかったオレの心が、いま未知の可能性を発端として踊り出している。
果たして夢月は『次』の敗北を運んでくれるだろうか、と。
唐突だが、間伐材の使い道として割り箸というものが存在する。
間伐とは森の成長に合わせて木の密度を調節する作業のことで、自然と共存するためには欠かせない。その過程で出る間伐材を、様々に利用して無駄をなくしていたのだが、昨今ではこれを使わないようにしようという妙な動きがあった。
これだと大物の建材などにする場合はまだいいのだが、割り箸を使わないようにするということは、なるべく作らないようになるということだ。つまり廃材となって捨てるだけになるロスが増える。自然をどうこう言うわりには、無駄に捨てる分量を増やしているのだから意味がわからない。
同じような論でビニール袋もある。前世のトラ○プのように、リターンもほぼなくかえって弊害が多くなったとして元のビニール袋を復活させようとする動きはあっても、その動きが周知されること少ない。
お偉いさん達なのに、そもそもの目的から離れて目先の利益優先する本末転倒に気づいてない、もしくは気づいても変えた事柄を容易には元に戻せないとは不思議なものである。
資本主義や民主主義は必ず間違う、という言葉もあながち間違ってはいないのかもしれない。いやまぁ、だからといって共産・社会主義が正しいってわけでもないが。
これらは有用な結果に繋がる事もあれば、かえって事態を悪化させる事もある一例といえよう。
支配、統率、実力主義によるリストラや切り捨ても見方を変えれば、能力主義を気取り、業績下位の人を目先だけで辞めさせるコロナ前のアメリカ企業を真似た恐怖支配の模倣だ。
それをやった企業がアフターコロナの折りに人手不足になり、時給4000円出してもマトモな人がやって来ないほどヤバいことになってるのに、実行する企業は後を絶たない。ア○ゾンとか、ネト○リとか。
神様のように、不老不死や常識外れの長寿な存在でこそ僅かに可能にできる……あくまで理想を追求するのが『主義』というものの本質なのかもしれない。
ん? ふと思ったのだが。
不老不死の存在に現実になれるとしたら、どれくらいの者がYESと答えるだろうか?
不老不死を辛く苦しい、永遠の退屈…などと言われたりするのは、やりたいことがない者か、もしくは欲深い権力者への戒め、反抗心と言える気がする。
ただそれこそがまさに不老不死へと至る道が存在する事を示している。薬かなんらかの不可思議かは不明なものの、実存性の裏付けになっているからだ。不老不『死』は死の可能性を消すわけじゃなく、生と死の境界をなくす術なのだと。
生きても死んでもない状態になるのを辛く苦しいと考えるなら、たしかにネガティブな意見になるのもわからなくない。
それはまさにネクロファンタジア(天国でもあって地獄でもある世界)の実現だろうから。
何故このような事が頭に浮かんだかというと、僕には…正確には『俺』の頃に、生きてもいないし死んでもいない状態というものを経験していたからだ。勿論、『俺』が不老不死だったなんてことは現在の僕がいる以上ありえないのだが、不老不死の精神状態を疑似体験したような気が今になってしてきた。
そして妄想に過ぎないのはわかっていても、もしもアレが不老不死の入口なら僕自身にも親しい奴にも二度と体験させたくない。不老も不死も御免被るし、『俺』の底だった生きても死んでもないような顔を時々見せる清隆や早苗は、強引だろうと勝手だろうと僕が気づけるうちは引き戻す。
清隆や早苗にどうも感情のプラス補正をしてるっぽいのは、きっとこの我が儘が影響してるのだろう。
たけど───そう。死ぬまでこの部分だけは変わらず普通の人間でいたいと思うのが、僕の矜持である。
まぁ、要は考え方次第というわけだ……って、そもそも僕は何を考えているんだ。堀北さんと結構な時間向き合ってるせいで、現実逃避していた。散らばっていた思考を元の路線に戻そう。
まさに何もしなかったら、こういう路線に舵をきりそうな奴が目の前に1人いるし。
「よくもやってくれたわね左京君。兄さんのことも含めて全て叩き返してあげるわ」
「そっか。んじゃ、そろそろ決着しようか堀北さん。いい頃合いだしな」
「どういう事?」
嫌な意味の信頼性抜群な清隆が珍しいやる気を見せてた時点で、こんなこともあろうかと言葉と想定は組み上げ、試験中に微調整して再構成しておいた。
「乗ってくるなら、まずDクラスのアナウンスをオンにしろ。僕もする」
「それに意味はあるの……?」
「特にないけど、最後くらいは全員納得できるように全オープンで真っ向勝負と行こうや。それとも自信がないか? それならしょうがない。このまま決めてしまうが」
「調子に乗ってるわね……いいわ。その自信、砕いてあげる」
乗ってきた。
これ幸いと、お互いおもむろにアナウンスのスイッチを入れた。ここからの僕と堀北さんの会話は、それぞれのクラスへアナウンスされる。
僕の隙を突くか、誰か天才や強者の尻馬に乗らざるをえないゆえの弱さだ。堀北さんが、蚊帳の外から内に入るにはこうするしかない。
たとえ僕から言い出そうと、彼女が『始まり』の位置に立つにはこれが最も効率的である。
「逆だ。僕を簡単にブラックな場所に引き込めると思うな『堀北』。完膚なきまでに倒すための最短経路にもなるとわからないのか」
そしてなによりもこれである。
「ブラック? 何のことかしら」
「とぼけるな。隠し玉の投入タイミングだ。あれほどいらん仕事を増やしておいて、知らんぷりなんかさせるものか」
山内には早急に対策を打っておく。
坂上先生と真島先生の顔に疑問符が浮かび出したが、堀北さんにも釘を刺す。
「隠し玉……? 藪から棒になんっ───! まさか“彼”が裏でしていたことに気づいたの!?」
「当たり前だ。こんなことをDクラスはしないと思ってたのに、とんだところで厄介事を倍増させやがって」
「あの左京君がここまで警戒するなんて。いったい何をしたの……彼は」
早苗と山内の勝負前に零した言葉を使うとは、実に白々しい。いや、あの隠密性から考えれば、本当に詳しくは知らない可能性もあるか。
「ふん、なかなかの攻撃だった。次やる時はもっと工夫してくるといい」
「そちらこそ戯れ言を」
「それともう1つ注文だ。僕に関係ないところで頼む。勘弁してくれ。あっぷあっぷしてるんだ」
「本当に戯れ言…………話を戻すわよ。いいわ。貴方に乗った上で倒してあげる。誰が何で勝負するの?」
たしかに懇願は、堀北さんにすることでも現在すべきことでもなかった。クールダウンだ。炎の煽りと、氷の冷静さを思い出して本筋に戻す。
そしてお互いのクラスへのアナウンスをオンにした状態で全員が聞いている中、僕は最も“みんな”が納得のいく決着方法を提案してみた。
「そちらの準備したモノでいいよ。具体的には、こちらのキングをそちらのキングにぶつける。総力戦だ。Dクラスのキング戦はまだだから温存してあるだろ?」
「……は?」
堀北さんは今日何度目か目を丸くした。
だが、もうわかっている。山内は目的がわからないので置いておくと、おそらく背後に見え隠れする清隆と……月城さんは、ここのポイントを狙いすましていた。
なら、乗ってやるついでに堀北さんも道連れにしてやる。いい加減、よくわからないことばかりでストレスも限界だ。考えるのが面倒くさい。ゆえに全てなぎ払う。
Aクラスを目指すだのという目先の目的で僕に喧嘩を売る意味を教授してやろうじゃないか。
「どうぞ? 『堀北さん』が万端に準備しておいた策でかかってくると良い。僕とAクラスがそれに乗ってやるよ。責任も当然全て僕だ。喜べ?」
「ふ……ふふっ。甘いわね。簡単に勝てると思って驕ったのかしら? 私達のクラスが用意した勝率が最も高いのは……っ!」
ここまできて、ようやく気づいたか。情弱のコミュ障め。
情報戦。
今、誰かの退学という名の犠牲を踏まえて勝つためだけの発言をしておいて失点してしまえば、櫛田相手にはもう巻き返しできなくなる。うちのクラスとの勝敗関係なくだ。少なくともクラスリーダーの地位は確実になくなる。
なぜなら櫛田は裏事情込みだし、他のクラスメイトは知らないが、平田だけは見ればわかるほどクラスメイトを退学させることに強い抵抗を覚えているのが明らか。誰かを退学へと導いた時点で、平田との仲はギクシャクするだろう。
そうなれば櫛田がその隙を突かないはずがなく、この状態で堀北さんの望むクラス一丸となれるわけがない。おまけに、清隆も高円寺も流石に女子同士のコミュニティへの介入は難しいので対処に時がかかる。
だから2クラス全員が聞いているこの環境で発言を誤れば、試験で僕達に勝利しようと……仮にAクラスになることがあろうと、付け入る隙だらけのバラバラ。烏合の衆へと成り果てる。
「へぇ? 同意するんだ? じゃあお互いのキングを動かして当てるのに賛成ってことだな。それは重畳」
「ぁ、ぐ……。わ、わかった、わ。……4手先ね」
勝てば官軍。
そういった言葉もあるし、自分の実力でどうとでもなる。なんて考えているなら所詮その程度だ。先が見えていない。
特に僕達に勝って、龍園や葛城のクラスに次あたりの対決で負けたら堀北さんにとって本当に最悪だ。そして清隆や高円寺が万が一その気になったとしても、スタンドプレイヤーが乱立するバラバラの烏合の衆を率いて良い結果を出せるほどアイツらは甘くない。確実に。絶対に押し負ける。
絶対にだ。
「君達のキング防衛戦なら『ちょうど』15人ずつ+僕達で全員が参加できるな? 『戦術的指揮官』としての能力が試されるって考えると、『上手い具合』な現状になったわけだ」
「う、ぐ……」
そこで負けたら、堀北さんは2度と……少なくともしばらくはリーダー的な立場に返り咲けない。何度も言うが、櫛田がその隙を逃すはずがないからだ。1年間ずっと地道に下積みを積み続けてきたあの承認欲求の塊が堀北さんを押し退ける。僕や早苗との縁もフル活用して綺麗に事態を収めるだろう。
更にここで僕達のクラスに負けても、退学者を1名出すことになる。先に述べた通り本人は退学の対象とならなくとも、もはやそんな堀北さんに従うのは何らかの巻き返しがなければ友好感情を向ける少数しかいなくなる。生徒会役員という札があってようやく起死回生の目がなくもない、といったところか。
堀北さん自ら「他にいないだろう」の『他』が舞台に登る機会を作ってしまった以上、勝敗関係なく打てる手が限りなく少なくなった。
要は堀北さんにとって、もしかしたら初めての挫折と長期に渡るかもしれない屈辱の2択というわけだ。彼女が何度か僕に言ってきた努力ではどうにもならない、な。
その未来が多少なりと読めたからこそ、堀北さんは今、言葉に詰まっている。自分以外の他人を率いる意味を『初めて』自覚したのだ。言い換えるなら、これが人を率いる重さというものである。
僕は駒を進めながら、あたかも遥か上から見下ろすような態度で、堀北さんを“見上げ”ながら足を掬いにかかった。
「覚悟はできてるか堀北さん? 僕はできてる」
勝負を捨てて、お互いに退学者が出ないよう交渉しましょう?
一之瀬の性質をある程度理解して初めて辿り着けるこの答えを言い出せる奴なら、そもそも現状にはなっていない。
信条を柔軟に曲げられる奴なら、反則ギリギリの手やそのもの、もしくは遜ってでも違う着地に至る。
第3の選択肢を創り出せる天才なら、僕より深い場所で思考を突き詰めるからすぐに次の答えを導き出す。
「まだっ……まだ、勝負自体は着いてないわ! 同数でならこちらにも分がある!」
つまるところ、学と近い善性と努力に寄った判断に拘るなら堀北さんは詰んでいる。ズルい横紙破りができるほど悪辣な精神性でない以上、あとは最悪の選択肢を選ばないことしか彼女にはできないのだ。
それにしても、鍛え上げるなんて言ってた清隆と同レベルと想定した誘導術をかけてみたが、幸いにも交渉能力は低めで助かった。この面は以前とほとんど変わっていない。おかげで辿り着ける。
「そうか。じゃあ、ボチボチやろうか、最終決戦」
ま、それなら背伸びした子供をイジメるものじゃない。正直、同級生なのに一歩間違えば事案発生の匂いがしてきそうで、大人としての精神がソワソワしてきた。玉虫色の結論で誤魔化しておくのが無難だ。
一度は『大人』を経験しているのだ。なら、感情の好き嫌いで物事を決めつける愚もわかっている。
最高値をあたかも決まった未来のように仄めかして過剰反応気味に脅してしまったが、兄の学のよしみで少しは先を読む補助をしとけばアイツも安心して卒業できるだろう。
僕は借りと義理はなるべくトントンで返す主義なのだ。
昼の食事休憩を挟んでからが事実上最後の対決になるので、少し早いが忘れないうちに真嶋先生と坂上先生にお礼を言って、僕と堀北さんはそれぞれの陣営の指定待機場所に向かい、用意されていた仕出し弁当に舌鼓を打った。
最終戦はおそらく誰かさん達の予想通り、キング同士の決戦になった。いや、そうした。なんて、なんとなく考えながら。
試験が再開される13時30分の格技場。
ぶっちゃけ直前まで確信はしていなかったのだが、改めてヤツが不審人物と呼ばれる所以を思い知った。
格技場内が少し珍しい装いに変わっているのを挟んでDクラス側。昼食を挟んでも大騒ぎになってるDクラスの面々を他所に、遠くから謎に僕を見ている友達が1人。
そう。清隆である。紛れもなくヤツだ。
それも、おそらく何か勘違いをしている。なぜなら清隆がそんなわかりやすい意思表示をするなんてありえない。僕の思考予想もできてるだろうし、これは必要のない行動である。
結果、浮遊してるのかというほど、滅茶苦茶周囲から浮いている。まるで浮かれポンチだ。
公共空間で奇行を見せて「誰か察しろ!」をやったら、一般社会だと警察が駆けつけてきて職質されるだろうに。
早苗はだいぶ気楽になってきたっぽいけど、清隆の浮世離れした振る舞いはなかなか治らないな。
ここから読み取れるのは高円寺はともかく、山内には清隆が何かしらの手を加えた可能性が高くなったということ。……そういえば数日前にスケープゴートがどうとか言っていた。
……ああうん。この点については、早苗の判断が正しかったと認めざるをえない。うちが勝利した場合の試験後に、順当な結果になれば確定か。
え、マジかアイツ。クラスメイトを自爆特攻(推定)させるとか、どんな思考してればそんな手に至るんだ? なに食わぬ顔で気軽に他人の人生狂わせてんじゃねぇよ。平穏だの普通だのはなんだったんだ。頼むから言動を一致させてくれ。
だが今更気づいても、ここに至ってはもう追加の手は打てない。考えてもどうしようもなく、僕の手の届かない範囲だ。無理矢理でも忘れて、再犯しないようにまた一撃は入れておく必要ができたが。
今回、攻め込んだのは僕達のクラスなので、Dクラスが設定した勝負内容だ。
双方の生き残りの生徒16人全員による1人各10個のペイントボール(うちは赤、Dクラスは青)を使った雪合戦もどき。範囲は目算で約300㎡の大きな格技場内全域を使うらしい。また弾除け用の障害物がいくつか設置されていた。
そしてペイントボールに当たらず、最奥のAもしくはDと書かれた旗が立っている指定エリアに到達した生徒の多いクラスが勝ちである。勿論、指し手の僕と堀北さんも1人分に換算される。当たり判定は、服の『胴体部分』に一定以上の範囲で直撃判定が出た者がアナウンスされて脱落していく。顔面や手足は場合によってはセーフである。
ちなみに自陣のエリアへ戻れば、ペイントボールが入っているザックごと交換・補充可能。防御用の盾なども大中小の3種から選べる。余談だがペイントボールの中身は簡単に水で流せ、洗うのも楽で目に入っても安全な塗料らしい。
また相手陣地のエリアに到達した数で競うといっても、最奥のエリアに到達した者は以降は攻撃にも妨害にも参加できない。例えば極端な話、誰も倒さずに15人が相手エリアに到達し1人が何もできずやられたら、相手の16人が全員生存することになるので負けとなる。
攻撃、防御、支援、妨害など意外と戦術要素を掘り下げれば奥深そうなゲームだ。ボールを投げ合い突破するだけと油断すると、痛い目を見ることになるだろう。
ま、攻略法が明確なので本当に最後の決戦用だったと思われる。おそらく早苗一人のビショップで攻め込んで、タイマンに持ち込んでいれば楽勝だったはずだからだ。そんな勝負に流石に清隆は選出できなかっただろうし、早苗対策と思われた愛里と高円寺は僕との対戦ですでに脱落している。
ただ、こうした下準備は用意しておいてくれると思っていた。頭が良い奴は勝手に先を想定して、最悪の展開を避けようとするものだからな。これなら戦犯さえ用意するだけで、格段にリスクを下げられる。
当然、『清隆』にとっての最悪は自分の退学……ではない。おそらくいくつか透かしてきた目的達成が不可能になることだろう。これは清隆自身での修正込みでだ。
だから、そこへ落とし込むように堀北さんを誘導すれば、迎え撃つ態勢で待つ構えになると想定していた。
事前に何故か月城さんの思惑に加担させるような、僕を敵に回したいような誘導をかけられたが、それに乗るわけがない。僕が清隆を葬る…退学させて何の意味があるのか。天才の考えは相変わらず意味不明な部分が多い。
しかし完全に興味本位だが、清隆には一度、事業計画書的なモノを作って実行してみてほしいものだ。一言で言うと、出す言葉と実行する行動を一致させたらどうなるのだろう。
ああいう環境適応型の天才にありがちなのだが、これはこうなるからこういう計画になり、実行にはこれが必要。つまり見積もり出して、仕事する。終わったら見積もりと相違点がないかチェック。みたいな普通の会社ならやっていることを、清隆が本当に『チーム』でできるのかと何気に疑問だった。なんでも単独実行するか、他人・駒を利用する手法に慣れきってる感じがする。
似た性質を持つ奴に堀北兄妹や坂柳さんも存在し、上司であるうちはまだマシでも部下的な立場になると、学以外は僕の経験から考えて結構面倒だったりする。あんまり人のことは言えないけど、勝手に事態を進行させたりするからだ。
と、とりとめもない事を考えているうちに、うちのクラスは試合前ミーティングの最終決定に歩を進めていた。
「じゃ、じゃあ運動が苦手な人を中心に私や麻子、柴田君が援護しつつ右翼方面から突破を目指す、って方向性でいいかな?」
「あ、あぁ。俺はそれでいいぜ? 須藤やできれば平田も引き付けておく」
「だったら俺は一之瀬と柴田をフォローできる遊撃に回るよ。どっかの僕はパンピーだぜ、って顔になってる変人にもすぐ駆けつけられる位置だしな」
誰だよ変人って。ほぼ悪口を言わない四方に言われる奴は相当だぞ。少しは自重したり、協調の姿勢を見せろよ。まったく迷惑な奴もいるものだ。まぁ十中八九、早苗だろうけども。
なぜなら、まず僕は違う。きちんと言うこと聞いて、前に立つ一之瀬に視線を向けてクラスメイト達の横に並んでいる様は、客観的に見て真面目そのものだ。模範生徒といって過言ではあるまい。
現時点でみんなを仕切っているリーダー・一之瀬に背を向けるように、何故か僕と向き合ってる常識のない早苗とは違うのだ。
ともあれ。
「おいっすー、了解。まとめると、進路は僕と早苗が左翼方面、四方や姫野達が中央、右翼方面が一之瀬率いる本隊ってことだな」
「なるほど。夢月さんとならまぁ二人でもなんとかなるでしょう。暴れますからね」
「「「「……」」」」
しかし、なんだろう? さっきからやけに、一兵卒の僕に向かう視線を感じる。早苗だけではなくだ。
僕と早苗の進路上には櫛田と綾小路グループ(先んじて脱落してる愛里抜き)が、四方含む4人の中央には平田を加えた軽井沢さんや松下さんが、一之瀬達本隊の先には堀北さん含む残りのDクラス戦力が固まっている。
大人数同士を当てるのは、中央や右翼側に身を守る障害物が多いという要素に加え、団結と連携において最高なうちが優位に立てる確率が高いからだ。
ゆえに、発言自体は妥当と思われるのだが。
「…………おい左京。お前、なに自然に使われる側に回ってんだよ」
「あん? 最初から総力戦になった場合の指揮は、クラスリーダーの一之瀬って決まってただろ。なら、でしゃばったら駄目だろ。僕は一般生徒なんだし」
「うん、たしかにね? たしかにそう決まってたよ? でもさ」
「さっきは左京君が率いるみたいな話の流れだったじゃない!」
指し手を合わせて16対16のクラスの半数弱同士の対決だ。僕達のクラスで一之瀬も生き残っているんだから、指揮は一之瀬以外ありえない。むしろリーダーの一之瀬だけは何があっても生き残らせるために、機動力最高のクイーン配置にして四方まで付けてたんだ。
つまりここまでくれば、僕のクラスでの仕事は終わったと言えよう。あとは清隆にトマトのごとき紅き液体が入ったボールをぶちまけて、野となれ山となれ作戦を遂行するのみである。
ちなみに、わかりやすいよう僕達の使うペイントボールの中身は赤、Dクラスは青となっている。
今にも飛び出して行きそうな早苗も僕に付いて来てくれるみたいだし、本人の言う通りなんとかなるだろう。僕は避けることに関しては自信があるのだ。
なので、柴田達の言いがかりは適当にいなしておけば充分だろう。
「ああ、きっと気のせいだ。でも明言した責任(退学)は僕が取るし、誰かに押し付けたりもしないから安心しろ」
「軽ぅううういっ!! そうじゃないでしょ!?」
「ふ、ふふっ。気のせい……夢月さんの平常運転が何故だか妙に可笑しい……あふっ、はははっ」
「はぁ、コイツら……。だが、試験では案外これが最適解かもな。幸村と長谷部はともかく、清隆と三宅を放置するのはまずい気がするし」
Dクラスの布陣を確認しても、あれは明らかに防御重視だ。身体能力の高い者を中心に迎撃して数を減らし、それまでは弾幕を途切れさせないようペイントボールを補充しに行く兵站部隊を編成しているのだろう。だからかなり後方寄りに固まっているのだ。
個人的には、須藤あたりに補助を何人か付けて突撃させ、隙を作り出してから突破する戦術になるかと思ってた。纏まりがなく攻撃偏重気味なDクラスの性質にも合っているしな。
でも誰が決めたか知らないが、ある意味で逆の戦術同士になったのは楽になるかもしれない。この状況なら、一之瀬の指揮に四方の遊撃を付けた突破戦術にした方が勝算は高いからだ。人数を揃えた上で、盾を構えたファランクスもどきを即席で実行するに、団結力が突出したうちほど適したクラスはないだろう。
なので、とりあえずほとんどの戦力を一之瀬に渡す。とにかく多く生き延びてもらうにはこれが最適解だと今決めた。
終盤のここにきてようやく清隆の悪癖に思い至り、目的が定まったのだ。
ゆえに、本気で当たった上で何故か敗北を望んでいる奇妙な友達にわからせるため、僕『達』は開始の合図とともに挑みかかった。
まぁ、僕はただ突き進む進撃の夢月になるだけなので気楽である。
ただ勝つだけなら、弱くても勝てるものだからな。弱さの自覚と挑戦する心意気を忘れなければ、突破口は見えてくるだろう。
雪合戦?前まで残っていた指し手とキングを除く戦力。
一之瀬クラス。残存は指し手の夢月と合わせて16名。
クイーン。(一之瀬、四方、姫野)
ビショップ。(東風谷)
ナイト。(柴田、網倉、二宮)
ルーク。(初川、大貫、山形)
ポーン3。(合計で残りの5名)
堀北クラス。残存は指し手の堀北と合わせて16名。
クイーン。(櫛田、平田、須藤)
ビショップ。(軽井沢、佐藤、松下)
ナイト。(綾小路、三宅、長谷部、幸村)
ポーン3。(合計で5名)
部隊展開。
左翼方面。
夢月・早苗の2人 VS 綾小路グループ(佐倉抜き)&櫛田の5人
中央。
四方・姫野・網倉・二宮の4人 VS 平田&軽井沢のいるビショップ4人
右翼方面。
一之瀬・柴田が率いる10人 VS 堀北・須藤の率いる7人