レンジャークローバー   作:アルピ交通事務局

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第2話

 万事屋をはじめて2週間程経過した。

 ノモイモ掘りとか子供を眠らせる、魔法要素は特に無いアスタでも簡単にこなせそうなタイプの依頼ばかりだ。別にその依頼内容について不平不満は無い。敵国の要人の抹殺もしくは自国の要人を防衛なんかの難易度がクソ高い依頼なんて来てもぶっちゃけ無理だと投げ出す自信がある。

 

「……」

 

 日課の筋トレを終えた後に魔導書(グリモワール)を開く……今まで謎だった俺の魔法の属性、それは戦隊……どんな属性だと言いたいが、なんでもありでこそ魔法だろう。

 戦隊魔法はスーパー戦隊の武器や技、出てきたものを再現する事が出来る。ただし悪の怪人サイドの能力例えばギャングラーの金庫、ボーゾックの芋羊羹を食って巨大化なんかは不可能……後、何度やろうとしても変身だけが出来なかった。獣電戦隊キョウリュウジャーの変身道具兼武器のガブリボルバーは創世魔法で作れて十大獣電竜の獣電池があり試しに使ってみようと思ったが出来なかった。

 確か獣電戦隊キョウリュウジャーのキョウリュウジャーになるには特別な資格、その獣電竜を生身でぶっ飛ばすかなんかして認められないといけない。トバスピノの獣電池でも試したが変身出来なかった……が、他の獣電池は問題無く使えた。

 

「……これ、宇宙最大の宝に繋がってねえよな……」

 

 本としては充分な厚みのある魔導書。

 まさかとは思うけれども、全てのページが埋まって正しく使いこなすことが出来ればこの世界の中心的なのに連れて行かれて宇宙最大のお宝を手に入れる事が出来るとか言うオチはねえよな?もしそうだったらラスボスが問答無用で奪いに来そう……いや、俺の魔導書のページが全部埋まってから洗脳する感じか?笑えねえな。

 

「っと、仕事するか」

 

 宇宙最大の宝に繋がる鍵だとしても宇宙最大の宝に繋がる門が無い。

 宇宙最大の宝に繋がる門はこの世の物理法則を無視した永久機関、エネルギー供給無しに永遠に動くことが出来て宇宙最大の宝に繋がるヒントを来れる。もしかしたら、この魔導書の使えるページを増やしてくれるヒントや場所を教えてくれるかもしれない。そもそもアカレッドって何処からナビィをゲットしたんだか。

 

「はぁ〜緊張する」

 

 本日の依頼は鹿退治だ。

 日本人目線ではスゴく神聖な生き物ではあるのだが割と害獣だったりする。日本人が餌を与えたり色々とやってたりするからいいけども、割と害獣な要素はある。ぶっちゃけ日本も天然記念物だ神聖な生き物だなんだで色々と誤魔化してて人間社会に対して迷惑をかけた時の鹿の扱いについて困っているところはあるだろう。

 鹿の害獣駆除……ハッキリと言えばスゴく難易度が高い依頼だ。今までで1番の難易度だ。

 それは何故か?……そもそもでお前等、鹿を殺せるの?と言う話である。虫とかならば見たらビビるか殺すか採集するのどれかだろうが鹿は普通に生き物である。猟銃をブッパすれば鹿さんが可哀想だなんだ言われちまう……現実ならな……狩猟したら動物可哀想って言うならまずお前はベジタリアンかヴィーガンなのかを聞き返してお前が処理しろと言いたいところ。

 とにかく、俺は今から命を奪う……殺虫剤を作っている会社は毎年殺虫剤で殺した虫達の為に葬式をあげてるとか聞いたことがあるが……うん……アレだよな……

 

「倒すってホントに都合の良い言葉だな」

 

 バトル物の世界でよく言われる相手を倒す、コレって意外と曖昧だったりハッキリとしない。

 大人気漫画のNARUTOは主人公には殺らせないけど主人公の味方側のキャラが敵を殺す、ONEPIECEは敵を倒す、命は奪わない。

 史上最強の弟子ケンイチは主人公達は殺さないを徹底している。敵側は殺す派閥に居る。トリコは狩猟漫画なのでちゃんといただきますを言って殺している。そして見た目が如何にも人間じゃないブサイク不気味な存在は悪いキャラとなり殺しても問題は無い。容姿差別が凄まじい。ハッキリと殺すという行為に対しては線引きをしておかなきゃならねえと思う……俺は殺すことについては賛成、処刑に関しても賛成な派閥、そうじゃないと救えない命があるし正せない道があるから。替えがきくコマは殺さないけど。

 

「この森に鹿っと……」

 

 マルアイの村の近くにある森に鹿が住んでいる。

 普通にこう、トラバサミ的なので捕獲してスバッと倒したほうがと思ったがその場合は俺の仕事が無くなる……自分にとって都合のいい事にならないのは普通に嫌だ。鹿が居るから駆除をしてほしい、魔導書を開く。

 

「え〜っと……戦隊強化魔法 ジューマンパワー」

 

 色々な魔法があってもそれを使いこなす俺が強くないと意味が無い。

 手当たり次第に覚えて魔法で頑張らなくちゃいけねえなと昨日覚えた強化魔法、ジューマンパワーを使う。

 このジューマンパワーは純粋な身体能力の強化でなく身体機能、嗅覚、味覚、触覚、視覚、聴覚の五感を強化する魔法だ。

 

「発見っと」

 

 ジューマンパワーのおかげで五感が鋭くなった。

 魔力探知は第七の感覚、氣の探知が第六の感覚……魔力探知は第七の感覚でここは魔力豊富な人は居ない。人間に備わっている動物的な力がジューマンパワーによって強化されているので第六感が強くなり氣の探知が可能で人間じゃない氣を持っている生物が居ると分かった。氣の位置は覚えた。ジューマンパワーの発動を止めてその場に向かう。

 鹿はリラックスしている……そして太っている……依頼内容は鹿の退治、退治した鹿を貰っていいかはしっかりと聞いている。鹿は食うことが出来る……後、鹿の角が漢方薬の一種とかも聞いたことがある。

 

「戦隊拘束魔法 モヂカラ 縛」

 

 狩猟なんて縁もゆかりも無い日本人だったので正しい対応方法は知らない。

 取りあえずは戦隊魔法で縛るの縛を書いて鹿にぶつければ鹿は動かなくなった。声を上げているが、コレも生きる為だと木刀を抜いて魔法を使う。

 

「戦隊魔法 黒の一撃」

 

 木刀だがスパッと鹿の首元を切った。

 動くことが出来ない鹿は血を流して叫ぶ……思っていたよりもグロい。銀の匙とかで電気ショックで麻痺ってる間に殺すのってとても親切な殺し方だったなと納得がいき、取りあえずは吊るす。

 アスタ達に肉を食べてもらいたい。害獣とは言え食うことが出来る生物を殺すのだから、それは食わないと自然の摂理や万物の掟、食物連鎖に対して圧倒的なまでの失礼だ。

 持ってきたロープを木に括り付けて先端部分を鹿の足につけて逆さまにする。血を出して洗って臓器をもぎ取って部位で肉を分ければいいと思う……と言うかそれ以外の技術を俺は知らない。でも、鹿の肉とか熊の肉って独特の匂いとか風味とかがあるんだよな……俺、レバーとかホルモンとかの臓物系、ハラミぐらいしか食えねえ……

 

「川……は、なんか寄生虫とか居たら怖いから依頼したところに行くか」

 

 30分ぐらい血をダラーっと流し続けた。

 かさぶたとかそういうのが出来たら鮮度とかあるし、早いところ綺麗に洗浄とかしたい。探せば近くに川があるが寄生虫とか居たら怖い。依頼してくれた村に1人ぐらいは水属性の魔法が使える奴は居るだろう。土水風火の属性は探せば大量に出てくるからな。

 

「万事屋ですけど、依頼されていた鹿の駆除が終わりました」

 

「おぉ、もう終わったのか!って、鹿!?」

 

「ああ、大丈夫です。ちゃんと仕留めてるので」

 

 箒に乗って鹿を持っていけば依頼主に驚かれた。死んでいて逆さに吊られている鹿を見ればそれはビビるだろう。

 でも既に心臓は止まっている。生命体としての完全な死を遂げている……穢土転生的な術でも無い限りは蘇らないがブラッククローバー、穢土転生ほどじゃないが似たような魔法があるからバカに出来ねえ。

 

「すみませんけど……畜産農家をしてる人と水魔法が使える人って居ませんか?」

 

「あ、ああ……畜産農家をしているキンキさんは水属性の魔法を使える……その鹿を解体するのならば、キンキさんを……案内するよ」

 

 肉の正しい解体方法はホントに齧った程度で、包丁をここに入れてとかそういうのは分からない。

 この世界じゃ普通に肉食はしているので家畜を飼っている畜産農家を知らないのかを聞けば畜産農家の人を紹介してくれる。

 害獣である鹿を駆除した、その鹿の遺体は1から10まで俺の物だ。解体方法をどうすればいいのかを教わりながらやっていき鹿を捌く。解体方法を教えてくれた畜産農家のキンキさんは鹿の肉を半分くれと言うので臓器付きで売ってやる。

 血を抜く、水で洗う、臓物を抜く……俺の大雑把な品質管理もダメだ、キンキさんの品質管理でもダメだ……日本の食材の品質管理はイカれていると外国人によく言われるがまさにそうだなと実感する日が来たか。

 

「一部はアスタ達に渡すとしてそれでも多いな」

 

 力を持っている肥えた鹿だったので部位が大きい。アスタ達に食べさせる分を分けても充分に余っている。

 氷系の魔法を使える人か冷蔵庫的な魔道具があればいいが、生憎な事に氷系の魔法を使える人に知り合いは無いし冷蔵庫的な魔道具は値段がそれなりにする。教会にそんな便利な物は存在しない。ジャーキー的なのを作るとしても、それでも多すぎる。仕方がないとあんまり行きたくないが平民達が住む平界に向かった。狩猟した肉を売りたい、現実ならば物凄く手続きとかを踏まないといけないが平界では肉が大丈夫かどうか、それを判定するだけの非常に便利な魔道具がある。肉質とか問題無し、焼いても死なない病原菌があるとかそういうのも無し。だから買い取ってくれた。

 

「うぉおおお!肉だぁあああ!」

 

「アスタ、ガッツキ過ぎた」

 

「いいんだよ、別に上品に食わなくても」

 

 鹿肉での焼肉を行った。一応は臭みとかそういうのは怖いので牛乳を使う。

 料理漫画の定番、臓物系の独特の臭みを取り除くアイテム牛乳……山芋と芝エビと牛乳はぶち込んどきゃ美味しくなる。

 牛乳に漬けて鹿肉の臭みを取ったら教会の皆で食べる。皆が冷蔵庫を持っていて当たり前じゃない世界観等で肉は滅多な事じゃ食べられない、平民達なら食べれるが俺達みたいな下民は畜産関係者以外は無理な感じだ。

 アスタは久しぶりの肉だと喜んでガツガツと食べる。鹿の角を売った金で焼肉のタレを作った……いや〜驚いた。この世界、と言うかクローバー王国って醤油があるのを。醤ならまだ分かるが醤油があった。そう言えば物語の序盤でアスタは蒲焼きを食ってたな。

 

「ノモリのおかげで生活が良くなってきたな」

 

「ぶっちゃけ仕事の品だから毎回毎回は無いからな」

 

「いや〜肉を食えるだけでもありがたいぞ」

 

 教会のアスタ達より歳下の奴等は肉だ肉だと喜んでくれる。

 俺が働きに出てから食生活とか今まで色々と不便だったところが解消されている。金を一応は入れているが今回の鹿肉での焼肉は色々と特例、でも肉を食うことが出来るだけでもありがたいのだと神父のおっちゃんは言う。

 

「しかし、ノモリよ豆を大量に購入していたがなにをするんじゃ?」

 

「……調味料を作る……」

 

 問答無用で俺は転生させられたが俺は前世は日本人である。

 味噌は絶対に必需品だ。酒と味醂に関してはなんかあった。醤油もなんかあった。だが、味噌だけは無かった。

 神父のおっちゃんは俺が豆を1kgほど購入した。豆ばかりでは栄養云々だが、俺の目的は味噌を作ること、そして鰹節を作ることだ。しかし俺にはこの魚が鰹なんて分かる技量は無い。現代っ子には魚の見分けは出来ないのである。

 鰹節を作るのには膨大な設備が居る。顆粒出汁的なので俺は味噌汁を作っている。やろうと思えば鰹節の削り節で味噌汁を作ることが出来るが鰹節そのものは作れない。如何に女子力が高い男でも鰹節は作れない、多分クッキングパパも鰹節そのものは作ってないと思う。だが、昆布ならば割と手に入る。アニメのブラッククローバーのオマケで昆布が出てきたからクローバー王国も探せば昆布はある。海を探せば昆布はある。高度な技術は使わない、水をお湯に沸騰させて昆布を入れて出汁を取る。

 味噌汁の定番の豆腐は簡単、豆の絞り汁をにがりで固める。にがりは海水を煮て濾過してもう1回煮て濾過した汁だった筈だ。クローバー王国の海辺で取ればいい。

 

「フッフッフ、俺の鍛えた力が今ここで発揮する!」

 

 味噌の作り方は簡単だ、豆を1日ぐらい水に浸す。水を変えて煮込む。

 特に力を入れていない指で摘む感覚で潰れるぐらいに煮込んで、ペースト状にする。そして塩と麹を混ぜる。

 麹に関しては割と簡単に手に入る。クローバー王国にカリフォルニア米的な感じの味の米はある、蒲焼きのタレに必須な醤油が作れるちゃんとした気候があるので麹菌が育つ環境がある。米を蒸したりして潰して作った米麹、全てを使うと後で大変になるので大さじ1杯は残す。その残した米麹は後々に役立つ物だから。

 アスタにペースト状にしてもらった大豆、塩、米麹、大豆の煮汁を混ぜる。大豆の煮汁を混ぜていない物も一応は作る。俺はクッキングパパと違って料理ガチ勢じゃないので所々は雑にしている。

 

「……長いな……」

 

 味噌汁に必要な味噌はパッと作れるものじゃない、時間を使わないと作れないものだ。

 1日で作れる味噌とかはあるらしいが、俺はそこまで女子力は高くはない。大豆をペースト状にしたものに麹と塩をぶち込んで発酵させた物が味噌だと認識している。クッキングパパならその上で何らかの工夫はするだろう。赤味噌とか白味噌とかそういう感じの拘りをする。しかし俺は赤味噌と白味噌の味の違いは分かれども具体的にはどういう感じでは違うのか?それを説明する程に器用ではない。

 

「……………なろうだな……」

 

 味噌は時間をかけて作らないといけない、調理は既に終えていて味噌が発酵するのを待つだけだ。

 俺はコーヒー豆を買ってきたので粉にして濾過して砂糖とミルクを少し入れて飲む。俺はコーヒーはストレートは好みじゃない、微糖が好み。そして思う、やってること異世界転生した日本人がやろうとしている求めて止まない故郷の味を取り戻そうとしているアレだと。ジャンプ作品だけどなろうみたいな事をしている。

 

「まぁ……いいか……」

 

 味噌汁とか食べたい、朝はパンをならばいけるがパンが主食なのは意外とキツいのが日本人なのだ。今まで耐えた自分はよくやったと褒めておこう。

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