レンジャークローバー   作:アルピ交通事務局

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第3話

 

「調査系か……こういうの、絶対に俺の仕事じゃないんだがな……」

 

 味噌が早く発酵しねえかなと思いながらも本日の依頼に頭を悩ます。

 なんか最近、怪しい奴等が山に入っているのを見ている。怪しい奴等と言うか身元が不明だから具体的になにをしているか云々の調査をしてほしいという依頼だ。こういう依頼こそ魔法騎士団の仕事だろう。俺はもっとこう、キノコを採ってきたりする仕事とかの方がしっくりと来る。

 

「流石に下請け的なオチは無いだろうが」

 

 国が魔法騎士団に依頼したけども下民なんぞとか言って平民に依頼したけど戦えないからと俺にお鉢が回ってきた。

 下請けの下請けみたいな感じの立ち位置だったらこの国は完璧に終わっている。いや、元から終わっている感じだな。

 

「……うわ……ダメっぽい」

 

 魔力の探知は持っているパワーの探知に特化している。

 魔力を多く持っている=正しいとは限らねえが魔力を多く持っている=派手な高火力な技等を使えたりする。

 魔力の探知をしても自然物に魔力の源とも言える(マナ)がある。なので探知の方法を氣に切り替える。魔力とは異なり感情から発するエネルギーなんかも氣には含まれている。魔力で探知しても魔力を持っている人間が居るだけで終わる。そいつらが悪人かどうか分からない。氣の探知ならば悪意云々が読みやすい、そして結論から言えば悪意を感じ取れた。

 下民の孤児で見下されているのと似ているが、異なる。だが、しっかりとした悪意を感じ取ることが出来る。原作開始前に白夜の魔眼が悪事を働いているとかそういうのでない事を祈りたい。

 

「白か黒で言えば黒か……………どうするか」

 

 悪意を感じれるって言ってもこの国で氣の探知が出来るのはヤミ・スケヒロぐらいだ。

 そのヤミ・スケヒロも恋愛感情とかの気持ちの氣を読み取るのはどちらかと言えば下手くそである。

 悪い奴が居るから倒してくださいと俺が悪意を感じ取って依頼をしたとしても意味は無い。俺の仕事は最近山の中に勝手に入って帰ってこない、裏でコソコソとなにかをしている奴等がなにをしているか確認、場合によっては俺で処理しろ……絶対、魔法騎士団の仕事だろこれ。

 

「え〜っと、戦隊魔法 カクレソウル」

 

 透明になる魔法、カクレソウルを使って透明になる。

 魔力の探知とかには引っかかるが、常日頃魔力や氣の探知をしている人は早々に居ない……魔力をバカみたいに放出する感じじゃないから早々にバレない。

 

「クローバー王め……立っているだけの役立たずが……」

 

「なにが禁止だ、お前の物差しで決めやがって」

 

 白夜の魔眼かと思ったが、それっぽいのは居ない。

 ただクローバー王国に対して憎悪を抱いている者達が居る。ブツブツと呟きながら何かをしている。

 一般教養とかは勉強したが魔法に関する技術の勉強はしていない、と言うかどうすればいいのかが分からねえ。魔法道具に関するなんかを作っていたりするんだろうが、俺は理系じゃないのでそっち系は分からない。

 

「……」

 

 クローバー王は無能、それは言うまでもない。魔法帝が真面目にやっているけどもクローバー王は無能なのだ。

 怒りや殺意を抱いている。クローバー王に対して報復をしたいとかそういう憎悪を抱いている。

 

「戦隊魔法 ジャッジメントタイム」

 

 深入りすると厄介なので一度アジトっぽいところから出る。

 戦隊魔法 ジャッジメントタイムを使う。この魔法は敵を殺していいのかどうかを決める魔法、この魔法を使わないと敵は殺せない。

 例えどれだけ高火力な魔法をぶつけても最終的にはカードに封印されたり圧縮冷凍される(俺の魔法でのみ)。ジャッジメントタイムは平等だ、相手が王族とか悲しい過去とかそういうのを背負ったとしても正しく物事を判断する。悪魔=悪、天使=善、神=正しいとはならない。

 

「◯か」

 

 ジャッジメントタイムを使った結果、デリート許可は降りなかった。

 ◯印が出たので殺してはいけない。X印が出た場合は殺していいのだが◯だった……パッと見た感じ、彼奴等は如何にもな悪人だった……いや……違うな。

 

「クローバー王を憎んでいた……」

 

 私利私欲で私腹を肥やしているタイプの悪役に見えるかと思ったが、◯が出たと言う事は何かがある。

 クローバー王はマジで無能である、クローバー王国側がどちらかと言えば悪い可能性があったりする……ダメだな、情報が足りない。ジャッジメントタイムは情報が足りなくても正しく機能するから俺が知らなくても◯かXか、後になって◯の理由が判明するとか普通にあるからな。

 

「おい、そこでなにをしている?」

 

「……ここに来ればクローバー王をぶん殴ることが出来るって聞いたんだ!あんな魔力以外になんも秀でた能力が無い奴、存在すらしちゃいけねえよ」

 

 まだまだ情報収集をしておかないといけない。クローバー王に対する憎悪があるのは分かっている、ならばそれを利用するだけだ。

 クローバー王をぶん殴る事が出来ると聞いたから来たという設定を取りあえずは使う。クローバー王を害獣以下の扱いをしているが、クローバー王は改心らしい改心してないしね……うん……

 

「そうか、新入りか」

 

「ああ……クローバー王を殴れるって聞いたから来たんだがここってどういう集まりなんだ?」

 

「……お前の魔法の属性はなんだ?」

 

「なんだって言われたら………………なんだろう……こう、炎とか水とかハッキリと言いづらくてな、容姿もイケメンじゃねえから仮面をつけているんだ」

 

「そうかそうか……よく来てくれたな!」

 

 戦隊魔法を上手く使えば火属性の魔法使いだなんだで誤魔化せるが、ここはあえて稀少な魔法の使い手だと、自分の魔法がよく分かっていないことを言えば男は笑みを浮かべる。意味が分からない、なんでそれで喜ぶのかを聞いてみる。

 

「どういう集いだ?」

 

「稀少な魔法属性の集いだ」

 

「…………よく分からないんだが……」

 

「そう、よく分からないんだ。お前も知ってるだろ?魔法は土、水、風、炎の4つの属性から色々な系譜が生まれている。だが中にはよく分からないなにから派生したのか分からない属性なのかもある。ただそれだけなのに迫害してくる……クローバー王国は最低の国だ」

 

 稀少な属性の魔法、この世界の魔法は土、水、風、火の四大元素から成り立つ。

 氷は風と水、植物は水と土、灰は植物と火の魔法の派生系だったりするが中にはよくわからないのもある。

 他の人とは異なる、ただそれだけを理由に迫害する。他の人達とは違うから、畏怖の目を向けられてしまう。ヤミ・スケヒロの闇魔法が気味が悪いからと倒そうと考えているバカが普通に居た。穢土転生みたいな便利な魔法が使えるのに危険だなんだと言い追い出した。

 

「……因みにお前はなんの魔法だ?」

 

「音楽魔法だ……音楽を聞かせた相手に幻術を掛けたり出来る。防ぐ方法が音楽を聞かない以外は無いから無関係な人にも当てるから危険で、それ以外の音楽なんて録音すればそれでいいって、最低だろ!」

 

 俺と会話をしている男の属性は音楽、歌とか音とかの魔法が複合した感じの魔法だろう。

 幻術をかけれると言う地味に強力だが、音を経由しての幻術なので音を遮断しないと防げない。だから当てたい相手以外にも幻術を使っちまう。それを理由に最低な魔法とされる。綺麗な音楽は録音して再生云々をすればそれでいい、それはそう。

 

「お前の魔法ってどんな魔法なんだ?」

 

「ああ、こんな感じの魔法だ 戦隊創造魔法 トリガーマシンバイカー」

 

「…………なんだこれ?おもちゃか?」

 

「パスワード付きの金庫とかのパスワードを書き換える魔法」

 

「……それ、使い道があんのか?」

 

 ルパパトのトリガーマシンバイカーを出す。

 巨大化させて乗物として使ったりバイカーなのでバイカー撃退砲と言う必殺技を使えるが、トリガーマシン全てに通じている能力、パスワードで開くタイプの金庫のパスワードを問答無用で上書きする、それを聞いた音楽魔法の使い手は使い道があるのかを聞いてくる。

 

「使い道は……あるんじゃねえの?」

 

 対になっているVSビークルならば鍵を問答無用で開ける能力だ。

 トリガーマシンはパスワードの書き換え……多分だけど、特定の方法で解除出来る封印とかの解除する内容の書き換えとかに使えると思う。

 

「お前はどっちかと言えばハズレか……でも、それはそれで嫌がらせに使えそうだな。王族の金庫の鍵を書き換えて開けれない様にするって」

 

「ここに来ればクローバー王を殴れるって聞いたから来たけど……テロリストなのか?」

 

「テロリストじゃない……俺達はクローバー王国のやり方で追い出されたんだ。だったらクローバー王国が羨むぐらいに、向こう側から頭を下げさせて力を貸してくださいって言わせる。そんでもってそれを断る。自分達が追い出した連中が原因でクローバー王国が滅びる……まぁ、その過程でクローバー王を殴れる。なんだったらクローバー王を回復魔法で傷を治さないといけないレベルまでボコボコにしてとか条件を出すんだ……」

 

 クローバー王国に対して憎悪を抱いている……でも、分かっている。

 魔法騎士団は強いと、自分達は魔法騎士の様な魔法は使えずに真正面からのベタな戦闘は出来ない。だから自分達の稀少な魔法を使ってクローバー王国に対して嫌がらせをしてクローバー王に頭を下げさせる。そしてその後に、だが断る!で断る。もしくはクローバー王をぶん殴るのを条件にとかにする。

 

「考えてんだな……」

 

 こう、如何にもな悪の組織みたいな行動をしない。

 自分達が真っ向から戦ったとしても魔法騎士には王族や貴族には勝てない。だから真っ向から殴り合いで勝負をしない。

 黒の暴牛の団長のヤミ・スケヒロは戦闘能力なんかは超一流だろう。だが勉強が出来るとかものづくりなどが上手いのかと聞かれれば話はまた別になる。出来そうなのが魚を3枚に綺麗に卸す事が出来るとか、一応は漁師やってたらしいからな。

 

「王族や貴族が金を持っているんじゃない、商売人が金を持っている。金さえあればバカにしてきた奴等も見返す事が出来る」

 

 国の人間よりも商売をしている会社がお金を持っている、経済的な意味でクローバー王国に対して復讐をする。

 怒りは抱いている。憎悪は抱いている。だが白夜の魔眼の様に暴れたり殺したりはしない、人間には人間が生み出した文明がある。それを簡単にポンッと手放す事が出来ねえ。俺も転生してから3年ぐらいはスマホが無かったりしたとかで色々と苛立ってた時期があった。米と味噌汁が食えなくて苦しんでる、そして今も必死になって味噌を作っている。

 

「……魔法を使って便利な物を作る会社か」

 

 音楽魔法の使い手に案内を受ければ戦闘関係で何かをしている云々は特に無かった。

 薬学とかそういうのは分からないが魔道具を作る、その魔道具で商売を起こそうとしててそれで経済を支配してクローバー王国を苦しめる。やり方が割と陰湿過ぎるが、それは勝ち筋が高い。

 例えば今目の前に居る音楽魔法の使い手の男はデバフもバフもなんもない綺麗な音楽を流すことが出来るかと聞かれれば、出来る。色々な美声を再現する事が出来る。歌と音を合わせた音楽魔法、その音楽を魔道具に記録させて再生機能なんかがあれば音楽プレイヤーの完成だ。音楽プレイヤーの価値については言うまでもない……老人以外でスマホに音楽アプリ入れてない人とか見た覚えはない。

 

「…………どうすっかな……」

 

 恵外界のとある山に集まっている謎の人間達は普通とは異なる属性の魔法の持ち主だった。

 覚えた魔法がクローバー王国の審査基準で危険や使い道が無いと断定されていて、それ故にクローバー王国に対して復讐を誓う。

 魔法騎士団の恐ろしさは知っている。罠にハメても意味が無いのも分かっている。自分達の中から魔法騎士団長、大魔法騎士クラスの実力者が出てくるとは期待していない。だから別の方向性でアプローチをしよう。便利な物を発明させて依存させて経済面で支配をしよう……コレが悪いことなのかと聞かれれば悪いこととは言えない。やってることが便利な物を作って依存させて社会や経済面にダメージを与える……

 

「魔法騎士団とかクローバー王に殴り合いで挑まないのか?」

 

「おいおい、冗談を言うなよ。今の魔法帝の魔法の属性を知ってるか?時間を操る時間魔法だぞ?どういう風に対策すればいいのかが全くと言って分からねえ。俺達が殴り合いで勝てるわけねえだろ。だから、クローバー王にどうか自分の顔面を回復魔法でも元に戻らないぐらいに殴ってくださいって頭を下げさせるんだ」

 

 音楽魔法の使い手に喧嘩を売らないのかを聞けば、普通に殴り合って勝つことは出来ないと素直に認める。

 特別な力を持ってたり人より優れた能力を持っているが故に変な風に天狗になる、しかしそういうのが王族貴族がボコる。そして王族貴族が調子に乗る……見事なまでの悪循環だな。

 

「…………この組織のボスは誰だ?」

 

「……いや、居ないぞ?」

 

「え?」

 

 取りあえず、ボスをどうにかしておこうと思う。

 ボスが上手いこと言ってて裏で色々としているとかしてたら困るから、ボスが誰とかそういうのを聞けばボスそのものが居ないと言う。

 

「ここは異端の魔法使い達が集まっているだけだ。クローバー王をぶん殴る、ボコボコにする、そういう思想の元で集まった。でも、誰かが統率しているわけじゃない。皆、普段はそれぞれ仕事を持っている。農家だったり魔導書を入れる本入れを作ったり、アロマ屋だったり、魔法要素が無くてもどうにかなる感じの仕事をしている。周りから嫌な視線を向けられているのが嫌だから痛みを理解出来る者達が集まって自分達で自分達なりの復讐をしよう、だからリーダーが誰とかは決まってないし誰が発案者なのかも分かってない」

 

「…………一応は代表者は立てておいた方が良いとは思うぞ」

 

「そうは言うけど皆、魔法騎士団みたいに戦えるとかじゃない。俺もそうだ。音楽を聴かせることで聴いた相手を幻術に掛ける、音楽を聴かせることでパワーアップさせる、弱体化させる……こう、バカデカい音をぶつけて鼓膜を破るとか音の風の刃を扱うとかそういうのは出来ない。貴族や王族達の様な豊富な魔力は持っていないから出来ることに限度がある。攻撃技と言える幻術も膨大な魔力に物を言わせて魔力による肉体強化(マナスキン)したら効果弱まるし」

 

 なんと言うか色々と杜撰だったりする。やりたい目標が見つかっているからいいけども、個人個人で動いている。

 誰かリーダー的なのが居ないのか、多分だけども居てくれた方が割と助かる。

 

「…………俺もなんかやったりしたいし定期的に来ていいか?」

 

「ああ……でも、普段の仕事を疎かにするなよ。うちは魔法騎士団と違って給料とか出ないから」

 

 取りあえず……村の人達には魔法関係で色々とトラウマがある人達、変わった魔法で社会に貢献出来ない人達が宴会を開いてたと言っておこう。恵外界の人達なので優秀な魔法を覚えてるとかそういうアレなのは居ない。心の何処かで諦めているからスンナリと受け入れてくれた。

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