「はい、ではざっくりとしたプロフィールをお願いします」
「ヤミ・スケヒロでーす。黒の暴牛の団長してます。遊ぶ金が無いんで参加しに来ました」
クイズ大会を開けばイベントが起きていると人が集まる……が、予想外の事にヤミ・スケヒロが現れた。
出来ればあんまり会いたくないと思っているが、顔はマスクで隠れている。でも氣を感じ取れるからな〜と思いながらもヤミ・スケヒロを相手にクイズを挑む。
問1 今何問目?
「いや、開幕でコレはねえだろ……1問目」
問 今から4つ先は何問目?
「6問目」
問 8問目から今の問題まで何問ある?
「5,7?……」
問 今何問目と出した問題から何問経過した?
「……おい、コラァあああ!!テメエ、クイズ大会つってんのになんだ!魚の種類とかそういうのがあんだろうが!!」
今は何問目?何問目から見て何問目?と言う頭を整理すれば簡単に答えれるがリアルタイムで処理するのが難しい問題を出した。
ヤミ・スケヒロは額に青筋を浮かべてもうちょっと簡単な問題を出せや!とキレる。そういう専門的な知識が必要な問題は知識を求める問題で知恵を求める問題じゃない。12問がある中でヤミ・スケヒロは3問しか答えられなかった。
「優勝はノジマの町のタイコ!」
クイズ大会も無事に終わる……運営で必要な道具云々を魔法で代用している。
BGMを始めとする物を魔法で代用している……ホントに魔法って言っておけば大体はどうにでもなる。
因みにだが今回はサクラじゃない、しっかりと優勝者が決まり優勝賞金の5万を渡す。
「…………おや、なにか用事ですか?」
「いやいや、面白い催し物をしていると思ってね……」
「ええ、皆で工夫して会社を立ち上げましたよ」
イベントが終わり撤収をしていると……紫苑の鯱の団長、ゲルドルが話しかけてきた。
コレを待っていた……と言えば嘘にもなるし本音にもなる。魔法騎士団の誰かが声をかけてくる、そんな展開があればと思っていた。
今の魔法騎士団で俺に話しかけてくるのはジャック・ザリッパー、ヤミ・スケヒロ、そしてゲルドル……ヤミ・スケヒロが遊ぶ金が欲しいからクイズ大会に参加するのは完全に予想外だったが、1人の参加者として終わった。ジャック・ザリッパーも1人の参加者として参加している、そういう風に来ると思っていたが……ゲルドルだけは別だ。
「なにをしに来たんですか?」
「なに、勿体無いと思ってな……フフフ……」
「ほぉ、勿体無いとは?」
「もっと上手い儲け話があるのだよ」
「………………………そうですか。じゃあ、頑張って自分で利益を出してくださいね」
クイズ大会や大喜利大会、そういったものを見ることで商品価値を見いだしている。
ゲルドルは強欲な人間で、魔法騎士団団長だけでなく商人としての顔を持っている。俺が起こしているアミューズメント産業に価値があると見た。だから上手く利益を出すなんて事を考えているだろうが、わざと突き放す。
「待ちたまえ!今の倍以上は稼げるのだぞ!その方法を」
「……手段を考える事は俺にも出来る、でも実行するのには俺は出来ない。下民である事を理由にそもそもで相手にされないからね」
「ほぉ……成る程、そうだな……」
俺は考える事が出来ても企画を立ち上げても上の偉い人に下民の分際でなんて言われる。
ゲルドルはそれを聞けばニヤリと笑みを浮かべる。ゲルドルは魔法騎士団団長で大魔法騎士の称号を持っている、その上で商人をしているから色々なところに顔が利いてくる。ゲルドルはなにが言いたいかを理解する、そう、俺が言ったところでなんにも意味は無い。ゲルドルが言うことで力を宿す。社会的地位等が無いから……でも、俺はなにも言わない。
この国の上の偉いさんは下民である事を理由に差別する、それだけを言えばゲルドルは自分の力が使えるなと言っている。
「魔法騎士団長に向いている企画とかもあるんだけど……少しでも魔法騎士団団長や厄介そうな魔法帝とかに媚び売って説明するのダルいし、ちょうどいいレクリエーションはあるんだけども」
「ふむ…………なにが望みだね?」
「望みって、願いを叶えてくれるのか?言っておくが、こっちはなにも出せないぞ?タダ同然で貰っていいのか?」
「ああ、構わない。上手く設定も作ろうじゃないか」
「そうだな……魔法騎士団の仕事を知りたいな。魔宮なんかの危険そうな場所は行けないけど平界や恵外界の調査の仕事は色々とあるでしょ?どんな感じなのか教えてくれよ」
「…………ああ、そうだな。魔法騎士団の仕事がどんなものなのか教えなければな」
魔法騎士団の仕事、上流階級の人間に対する仕事じゃない。
重要な国境等の拠点の防衛なんて仕事は要らない、恵外界や平界に居るチンピラをボコる程度、魔法騎士団として普通の仕事を寄越せ……とは言わない。たまたまに魔法騎士団の仕事先に居た。王貴界は居ると色々と文句を言われるだろうが、平界や恵外界に居ても上の偉い人達は文句は言わない。俺はそれさえしてもらえればそれで構わない。
「アミューズメント産業は割に合わないから……少しね……さて、魔法騎士団として時には団を越えて手と手を取り合わないといけない。それと同時に競い合わないといけない。魔力で競い合うのならば王族が勝ってしまう、ならば審美眼で勝負をしよう」
「ほぉ、審美眼とな?」
「その名もゴチになります……前菜からデザートまでしっかりと食べて大体30000ユールになるぐらいの高級料理店に連れて行く、魔法騎士団団長は料理のメニューは見れるが値段は見れない中で30000ユールを目指す。1つのメニューごとに幾らぐらいなのかを予想する」
ゴチになりますは面白い企画だけれども基本的には金を持っているのが前提で動かないといけない。
魔法騎士団団長、即ち大魔法騎士はそれだけで高給を貰えている。元が王族貴族だから実家が太いとかもある。金を持っているのならば、ゴチになりますと言う企画が出来る。
「30000ユールを目安に最も遠い金額食べた人が全額を自腹……それに加えて何処かの団に3000ユールぐらいのいいとこのお菓子をプレゼントする……ああ、勿論大丈夫だ。その辺はちゃんと……あんたはただ美味しい物を食べる、ヤミ・スケヒロとジャック・ザリッパー以外の誰かが自腹とお土産代を支払うシステムにする」
「む?……何故その2人を省く?」
「決まってるじゃないか、王族貴族が金銭感覚ポンコツだったというシュールな笑いを見せる……自分でコレはコレだ!と感じてるのに全く違う、偉そうな事を語っているのに全くと言って中身と異なる、それを言っているのがふんぞり返る貴族や王族達、面白いだろ?」
「成る程…………確かに実に滑稽だな。自分の審美眼でしっかりと見抜いたと思えば大ハズレ、実に愉快だ」
「まぁ、その2人以外の魔法騎士団長は金持ってるから大して痛まないんだけどね」
ただただ魔法騎士団団長に恥をかかせる、それをイメージしたゲルドルは実に愉快だなと笑ってくれる。
問題はコレをどういう風に売り込むか?……なに、簡単だ。防衛任務で何処かを防衛している者達以外はあのキノコ頭の通信魔法の使い手の映像で団長達の食事会を見せる……そして予想させる、誰がどの順位なのかを。そこで賭けを作り出しても構わない。
ここで魔法騎士団員にちょっとお洒落な気合いの入ったデートの店があると、もし彼女とかが出来て連れて行くのならばここがいい……魔法騎士団団長が実際に食べ、美味い!と言ったお店がある。
勿論、お店側はちゃんとしている。
ハージ村の様にノモイモばかりで生活しているわけじゃない、しっかりとした天然水やハーブで育った肉なんかを置いている。
お店のPRにもなる……有名人が実際に足を運んだお店で美味しい料理の数々が出てくる。値段はちょっと高いけども気合を入れるデートならば妥当。
ヤミ・スケヒロとジャック・ザリッパー以外は懐が大して痛まない。
こっちは魔法騎士団団長が全員食べた事がある美味しいお店、あの有名なお店……と言うブランド力を与える事が出来る。
この世界には新聞を刷る技術はあるが、グルメ雑誌を作る技術は無い。俺は知っている、如何に料理が美味かろうともPRの1つでも間違えれば終わりなのを。
「魔法騎士団団長が実際に食べた、美味いと言った、店としての地位は向上するだろうね」
「フッフッフ……そうだな……」
「ああ、ホントに美味しい店にしておけよ」
「なに、こちらの懐が痛まずに良い食事が出来るのは実に嬉しい事だ」
「そう、じゃあ頑張って企画案を通したりしてくれよ。魔法騎士団員でもなんでもない俺はなにを言っても意味は無いからな」
ゴチになりますでどれだけの利益を叩き出せるのか、それは具体的には言わない。
ただしなにが出来てなにが出来ないのか、それが分かるようにはしており……俺はゲルドルに仕事を横流ししてもらう。
悪く言えば横流しだけども、平界や恵外界でのパトロール……白夜の魔眼とかダイヤモンド王国とかスペード王国の奴等は相手にしない。
偶然にも居合わせた者達が魔法騎士団に代わって捕まえた。
ああ、なんと勇気がある市民だろう……王貴界ではその仕事はしない。しないったらしない……
「コレは1本嵌められたな」
平民と下民達の信頼度を高めていく……アミューズメント産業として活躍していても金しか稼げない。
ゲルドルみたいに欲にまみれている癖に大魔法騎士にまで昇格したクソ野郎が居るのだから下手に関わり合いを持たない。
貴族と王族はどうでもいい、平民と下民の好感度を高めていく……そして自警団を作る……なに、難しい事じゃない。簡単なこそ泥の退治や稀少ではないけども重要な薬品の運搬を手伝うなんかの魔法騎士団にとって優先度が低い仕事を引き受ける。
魔法騎士団は国営の団体、民よりも国を優先する。別にそれに関しては文句は言わない、だからそれを逆手に取る。些細な雑用を引き受ける万事屋の仕事を増やす。普段はアミューズメント産業で金を稼ぎ依頼が来たのならばそれを熟す、そんな組織を立ち上げようと思った。
「はじめまして、ミモザ・ヴァーミリオンと申しますわ」
少しずつ少しずつ自警団の知名度を上げていこう。
他の人達に危険な仕事をさせるわけにはいかないからと先ずは俺が率先して仕事をしようと思っていたら、ヴァーミリオン家の人間が当てられる。
ヴァーミリオン家は王族だ、子供でも護衛はしっかりとしないといけない。コレはこの世界では極々普通、よくある話……紫苑の鯱じゃない、王属専属の魔法騎士が居る
「……やられたか……」
ゲルドルが求めているものはおそらくは俺が王族相手にミスを犯す事だろう。
王族に対して無礼な真似をした、だから処刑をする……この国の無能な王はそれを平然とするガチの無能な王だ。
ヴァーミリオン家の両親はどういうタイプの人間かは知らないが、少なくとも王族相手に怪我をさせたとあれば俺の首は吹っ飛ぶ。
でも、流石に王族襲撃の様な真似はしない。足がつけば色々と厄介だから……いや……違うか……ゲルドルは白夜の魔眼に対して色々と横流しをしている。現に俺にも王族の護衛の任務を横流ししている。
名目上は……アミューズメント産業をしていて上の偉い人に気に入られる為の媚売り……あ〜醜い。
「ノモリさんは何故その様な仮面を被っていらっしゃいますの?」
「なに、至ってシンプルだ。顔が醜いからだ」
「まぁ……容姿で差別するなんて……」
媚を売るが仕事内容としてはミモザの遊び相手になる、今回はそんな感じだ。
ミモザは何故俺がサンレッドのマスクを被っているのかを聞いてくるので醜いからと言えば驚いた。
アスタやユノと違って俺は美系じゃない……美系じゃないって言ってこの世界基準で美系じゃなくて漫画の世界だから嫌でも美系になるとかじゃなくてホントに美系じゃない。まぁ、容姿に関するコンプレックスは今に始まったことじゃない。
「面白い物をお見せいただけると聞きました!なんでしょう?」
あのハム野郎、ハードルを上げまくっているな。
ホントにふざけんじゃねえよと思いながらも面白い事をしなければならなくなった。
なんか面白い事をしろって地味に難易度が高いなと思いながらも考える……コレがあったなと魔導書のページを開けば、ミモザと俺の頭に音楽が流れてくる。
「まぁ、素敵なメロディ」
「こーの手ーからすーりおちる、うーんめいのすーなをー、だーきーとーめて感じてる永遠の繋がり。生命の輪を楔にして祈り唄を届けよう。強き竜の者達よ、その心に牙を限りなく燃えるソウルで唄おう明日のメロディー」
戦隊魔法 ダイノソウル
本来ならば歌魔法の使い手が居なければ発動しないとある合体魔法、その魔法の一部を切り出す。
綺麗なメロディが流れておりDinoSOULを歌えばミモザは心地良さそうな顔をしている…………まぁ、これでいいか。
襲撃犯が来ると思ったがこなかった……ゴチになりますの方で裏で動くのに使ったか、俺が現れた途端にミモザが襲われたは不自然だからか……まぁ、首の皮1枚繋がったところか