もしかして:転生者   作:イロハニホテプ

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ルーキー日間にランクインしてました。
いつも読んでくださりありがとうございます。


第3話「どうしてこうなった」

 

 

 

 

 

俺は件のパウロの息子に会いに行くとに決めた。

 

ちなみにそいつの名前はルーデウス・グレイラット。

特徴は明るめの茶髪と緑色の目らしい。らしいというのは、この情報は又聞きしたものだからだ。

 

だが、俺はそのルーデウスに会いに行くと言ったが、いつもどこで、何をしているのかは知らない。

つまりノーヒントノープラン。

と思ったのだが、一つ良案を思いついた。

 

家で出待ちすればいいのだ。幸い、彼らの家はこの村一番の豪邸で、かなり目立つ。俺でも場所が分かるくらいに。よし、これでいこう。

怪しまれる?でぇじょうぶだ、子供は出待ちされてるなんて気づかねぇから。

 

フフフ……どんなヤツか品定めといこうじゃないか。

 

 

 

 

---ルーデウス視点---

 

 

俺は今日も植物辞典片手に外を散策していた。

 

思えば当たり前のように外に出ているが、これも全部、ロキシーのおかげだ。師匠への感謝を忘れないこの姿勢、ロキシーにとっては俺はできた弟子だろう。

 

御神体(パンツ)への祈りも忘れないようにしないとな。

 

 

俺はいつものように、というほどまだ見慣れた道ではないが、アウェー感を感じなくなった道を歩いていた。

 

「あ、あの……」

 

するとそのとき、後ろから声を掛けられた。高い声、子供だろうか。

振り向くとそこには、灰色の髪を肩まで伸ばした、髪と同じく灰色の目をした()()がいた。

俺の目測で言えば、身長は俺より低く、俺より年下のように感じる。

あと、結構かわいい。

 

「どうしましたか?」

 

俺は微笑みながら、そう聞いた。

ちゃんと自然な表情になったいるだろうか。不安だ。俺は今、外見では何事にも動じないクールな男を演じているが、内面はビクビクである。

 

突然のエンカウント、それも美幼女。これに驚かないやつはこの世にいないだろう。

 

「うぇ、えっとぉ、あなたがルーデウス、さん、ですか?」

「はい。そうですが、それでなにか?」

 

酷く緊張しているようで、思わず舌を噛んでしまったようだ。

 

何この生き物、かわいい。

このままこの姿を見ているだけでも、この子とあったお釣りは十分くるのだが、この子は何かを聞きたそうだ。

よし、ここは俺が一肌脱いでやろう。女の子の話したいように誘導する、これが男の所作だろう。俺にも女たらしのパウロの血が混ざっている。いけるはずだ。

 

「何か話したいことがあるように見えるのですが、話にくい事なら、ゆっくり話してくれればいいですよ。時間は腐るほどあるので」

「は、はい」

 

うん、パーフェクトコミュニケーションだ。いや、少し高圧的だったか?まだまだ改善が必要そうだ。

でも、この子には意図が伝わったようで、一呼吸置いて、落ち着いてから話を始めてくれた。

 

「あなたが魔術を使えるって聞いて、それでぇ、その、僕、魔術を見てみたいなぁ、って」

「そんなことなら、全然よろしいですよ」

「あ、ありがとうございます……!」

 

ボクっ娘か。これはまた業が深いな。

 

 

 

 

---

 

 

あ"ー緊張した。

 

今はルーデウスとの初遭遇を終え、魔術を見せて欲しいとせびり、魔術を見せるためには開けた場所の方がいいというルーデウスの意見で移動中だ。

 

さすがは俺。パーフェクトコミュニケーション(笑)だった。

引きこもりだった男が知らない人間とまともに会話できる訳ないだろ!

いい加減にしろ!

一人称が違う?ぼかぁリアルで『俺』なんか使えません。

 

まぁ、作戦としては成功だ。

 

俺は品定めをすると言ったが、何で品定めをするかは、もちろん魔術だ。

まぁ、魔術を習っていたといっても、所詮はガキの遊び、大したことはないだろう。

 

「どんな魔術を見たいですか?」

「じゃ、じゃあ、凄いやつで!」

 

声が裏返ってしまった。くそぅ。

 

「良かった、それならあなたの期待に応えられそうです」

 

なんかカッコつけてるような気がする。貴族だからか?

いや、別にいいか。よし、俺に力を見せてみろ!

 

 

 

 

---ルーデウス視点---

 

 

「じゃ、じゃあ、凄いやつで!」

「良かった、それならあなたの期待に応えられそうです」

 

凄いやつ、か。カッコつけて言ったものの、どんなものを使えばいいか。

相手は子供。ならば、なるべく分かりやすく凄いと思えるものがいいだろう。

 

よし。

 

俺たちは万が一にも魔術で他の人に迷惑が掛からないように、村の外れに来ていた。

それで、俺の中で凄い魔術といえば、もちろんアレだろう。そして今、その魔術を使える場所まで移動している。

 

使うか。

 

せっかくだし詠唱もしよう。その方がカッコいいからな。

 

 

 

---

 

 

ルーデウスは目を閉じ、何かを考えているようだった。

30秒ほどだろうか。ルーデウスは目を開き、魔術の詠唱を始めた。

 

「雄大なる水の精霊にして、天に上がりし雷帝の王子よ!

 我が願いを叶え、凶暴なる恵みをもたらし、矮小なる存在に力を見せつけよ!」

 

ほう、詠唱をするのか。

これは……もしかして俺しか無詠唱できないとか?

いや、違うか。高位の魔術ほど複雑化し、詠唱が必要になると考えた方が自然だ。

おそらくこれは高位の魔術だと俺は思う。だって、詠唱の雰囲気が火球弾とまったく違うし。

 

そう、高位魔術。ルーデウスは高位魔術を使おうとしている……と考えられる。

もしかして、俺ヤバいやつに話しかけた?

 

詠唱はまだまだ続く。

 

「神なる金槌を金床に打ち付けて畏怖を示し、大地を水で埋め尽くせ!」

 

それにしても、いったいどんな魔術だろうか?

水の精霊と詠唱に入っていたので、おそらく水魔術と思うが。

空模様も悪くなってきたし、早く見せてほしい。

待てよ?まさかこれが……

 

「ああ、雨よ! 全てを押し流し、あらゆるものを駆逐せよ!『豪雷積層雲(キュムロニンバス)』!」

 

詠唱を終えた瞬間、空が真っ暗になり、雨が吹き荒れる。

それは自然の雄大さや美しさ、厳しさをこの身に刻むような、とても激しい豪雨。まるで台風に巻き込まれているようだ。

 

そして、天から放たれた白光が輝く。

 

 

……その後は、先ほどの光景が嘘のように雲は散り、雲一つ見当たらない晴れ空の上で、太陽が俺たちを照らしていた。

 

「…………」

 

俺は息をのんだ。

まさかこれほどなんて。思わないじゃないか。これを人間が、それもたった一人の子供がだぞ?

 

「あ、ああ!すいません!濡れるって言ってませんでした!今乾かすので!」

 

ルーデウスがこちらに走ってきて、魔術で温風を出し、衣服を乾かしてくれた。少し抜けてるところもあるけど、とても優しい子だ。

だけど、俺の中に生まれた感情は、妬みや嫉妬、いやそれよりもっとドス黒いものが、俺の中で生まれた。

 

最初はガキの魔術を見て、まだまだだなって言ったり、魔術を教えて楽しくしようと思っていたのに。

 

いや、嘘だ。

 

俺は比較対象が欲しかったんだ。それがないと自信が持てないから、自分を大切にできないから。

でもこの子はこんな浅ましい考えを持った俺とは違って、努力してきたのだろう。それがあの魔術だ。

 

「…………」

「あの、大丈夫ですか?気分を悪くしてしまったのなら、僕は治癒魔術も使えるので役に立てると思いますけど」

「……もしかして僕の魔術に感動してくださった、とか!これは師匠が教えてくれた一番凄い魔術なんです!そうならとても嬉しいんですが…」

 

妙に癪に障るセリフを聞いて、思わず俯いた顔を上げてしまった。

が、そこには彼の底抜けのない笑顔があった。どうやら師匠を心から尊敬しているらしい。

思わず、笑ったしまった。

 

「ふふっ、もちろん凄かったですよ!」

「!そうですか!ありがとうございます!」

 

俺の心の中にあったあの感情は、この少年の笑顔で霧散してしまったらしい。まったく、飽き性の俺に相応しいな。

 

うん、とやかく考えるのはやめだ。

 

「実は僕も魔術が使えるんです!それで!さっきの魔術がとっても凄いと思ったので!教えてほしいんですけど……」

「いいですよ!」

 

気持ちのいい即答だ。

知らないのなら、教えてもらえばいい。できないのなら、できるようになるまで手伝ってもらえばいいのだ。強がる必要はないのだ。

 

「じゃあ、友達ってことで……」

「そうですね、よろしくお願いします!それで、名前は…」

 

「ヨエルです!」

 

前世も入れて初めてできたかもしれない友達。

これから楽しみだ。

 

 

---

 

 

それから1ヶ月ほど。

 

俺は今、ルーデウスと一緒にパウロさんの元で剣術の稽古を受けていた。

今はルーデウスがパウロと打ち合いをしている。

 

ルーデウスがパウロさんの木剣を紙一重で受け止めた。ワザマエ!

俺は賞賛の言葉を送った。

 

「やりますねぇ!」

「お前は黙ってろ!」

 

あらら、淫夢語録はお気に召さなかったようだ。

 

 

 

 

 

どうしてこうなった。

 

 

 

 

 




中盤が夢小説っぽくてすいません。
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