邪竜幼女 ~村娘に転生した最強ドラゴンは傍若無人に無双する~   作:富士伸太

15 / 15
暗黒領域 12

 

 

 

 その後のことはよく覚えていない。

 

 どうやら我はミカヅキの背中によじのぼって、そのままぐぅぐぅと寝てしまったようである。ミカヅキは凄まじい困り顔をしながらも我を家まで乗せて、パパとママも「まあいいか」と我をミカヅキに任せ、なし崩し的に受け入れることとなった。

 

 しかも、翌日にはパパが木材と釘を使ってミカヅキのお家を作ってしまった。

 とても立派な犬小屋である。

 

「それでソルは……ミカヅキって名前を付けたんだな?」

 

 庭の木の横に作られたミカヅキの家の前で、パパが我に尋ねた。

 

「そうなのじゃ」

「なるほど、月の神様の一柱か。格好いいな。それじゃ、ミカヅキ、と……」

 

 木札に名前を掘って、それをミカヅキのおうちに釘を打って固定した。

 ちゃんと「ミカヅキ=アップルファーム」と書かれておる。

 なんだか羨ましい。

 我もここで昼寝をしたい。

 

「ソル。俺は『勝手に犬を拾ってこないように』って言ってたが…………」

「う、うむ」

 

 重々しいパパの口調に、我は思わず息を飲んだ。

 

「……今回に限り! 撤回する! 今回だけは特別に許す!」

「本当!?」

 

 勝手にいなくなって村人の手を借りての大捜索をさせてしまったので、おしおきが待っているのではないかと内心ドキドキしていた。

 

 だが、パパは優しい。まさにあっぱれな男ぶりよ。もし魔物たちの軍勢にいたら幾万の兵を率いる大将軍であったことだろう。勇名を馳せ、千年は語り継がれるに相違ない。

 

「それがなんでかと言うとだな……」

 

 もちろん我が良い子じゃからじゃな。

 

「ミカヅキは賢くて良い子だ。お前にも見習って、ミカヅキのようになってほしいんだ」

「うん……うん?」

「お前を背中に乗せて家に帰るとき、ちょっと……いや、かなり迷惑そうな顔をしていたが、落っこちたりしないように丁寧に運んでくれたぞ。それに夜明けに突然起きたかと思うと、牧場で羊を襲いにきた狼を追っ払ってくれたんだ」

「ご飯のときもおすわりしてお利口にして待ってるし、無駄吠えはしないし」

「羊たちもなんだかすでに懐いている。リーダーシップがあるというか、風格があるというか」

「大人っぽいのよね。近所の犬も凄い甘えた声を出してミカヅキにすりよってくるからモテモテなんじゃないかしら」

「わふっ!」

 

 ママがミカヅキをわしゃわしゃと撫でる。

 ミカヅキはまんざらでもなさそうな表情をしている。

 

 ずっ……ずるいぞ……!

 

「だからソル。ミカヅキを見習って規則正しく生活するんだぞ。十歳の誕生日も近いんだから、もっと大人にならなきゃ」

「そうよソルちゃん。あとミカヅキちゃんを拾ってきたのはあなたなんだから、ご飯の用意とか、ミカヅキちゃんを洗ってブラッシングするとか、ちゃんとやるのよ。もちろんママも手伝いますけど、あなたの仕事ですからね!」

「それと門限はちゃんと守ること。約束だぞ」

「わん!」

 

 まったくその通りとミカヅキがうんうん頷いている。

 

「わん、ではないわ! ぐぬぬぅ……嬉しそうな顔をしおってぇ……!」

 

 こうしてアップルファーム家に、頼れる牧羊犬にして我の兄貴分ポジションのミカヅキがやってきたのであった。

 

 我、我に甘えたり甘やかしてくれたりする可愛いペットが欲しかったのじゃが……?

 

 我のお株が奪われておるのだが……?

 

「わぉん!」

「そんなもの最初からなかったじゃと! そんなことないわい!」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

機械仕掛けのTS魔法少女さん(作者:匿名希望)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

命懸けで魔女と戦う魔法少女達のピンチに颯爽と現れる『機械仕掛けの女神様』。どんなバッドエンドも喜劇に変えてあげます。ただし、その輪の中に主人公は含まれないし、魔法を使う度に人間性が削られるものとする。


総合評価:1119/評価:7.92/連載:6話/更新日時:2026年07月07日(火) 07:05 小説情報

白亜紀からこんにちわ(作者:VISP)(原作:超かぐや姫!)

白亜紀に転生してしまったとある転生者は発狂した後にチートはそのままに完全に人外へと変じてしまった。▼得たチートはあの怪獣王ゴジラのボディ。▼古代の地球で生き続けるある日、永い時を生きる彼の元に怪しげなタケノコが現れてから本当の物語が始まった。▼徒然なる中·短編集より独立しました。


総合評価:6124/評価:8.77/連載:46話/更新日時:2026年08月28日(金) 19:59 小説情報

マスター、このままだとメス堕ちキャンセラーが壊れちゃいますよ~(作者:あまぐりムリーパー)(オリジナル:現代/コメディ)

客がろくに来ないような喫茶店を経営していると、バイトのJKに「このままだとお店潰れちゃいますよ~」って言うノリで、ひたすら変な概念をぶつけられ続ける話▼催眠アプリ会社とかメス堕ちキャンセラーってなんだよ▼マルチ投稿します


総合評価:2239/評価:8.62/連載:21話/更新日時:2026年09月28日(月) 07:03 小説情報

あぁ!?脱いだら凄いんだぞこっちは!(うすほそ)(作者:あげ竹輪)(原作:ブルーアーカイブ)

うすほそって普通に不健康だよな?だからいいんだよ!いいから行くぞ!!!!▼「こんな体だからあんまり見せなくないんだよね...」▼スキンシップが激しい生徒たち。その結果に見える彼女の体型に....▼だいたいこんな感じ▼胸糞、不快になる表現がある可能性があります。それでも楽しめる方のみよろしくお願いします


総合評価:3454/評価:8.08/連載:17話/更新日時:2026年09月23日(水) 02:20 小説情報

男女比1:20の因習村に転生したけど、俺が生贄ってマジ?(作者:飲酒村)(オリジナル:現代/ホラー)

転生した先は男女比1:20の因習村。▼ハーレム展開かと思いきや、なんと今の俺の立場は生贄らしい。▼貴重な男の子は神様への捧げものになるそうだ。▼クソが、こんな村に居られるか!▼俺は絶対、この因習村から脱出してやる!


総合評価:3812/評価:8.51/連載:7話/更新日時:2026年07月30日(木) 07:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>