もしも孫悟飯が修行していたら~未来編~   作:名もなきWater

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ゴハンブラック

 ◆

 

「あれは……ボク……?」

 

 孫悟飯は、対峙する人物から目を離せないでいた。

 黒ずくめの胴着。人差し指に嵌められた銀の指輪。左耳にだけつけられたイヤリング。

 身に着けた装飾品は青年の趣味嗜好からかけ離れたものだったが――その顔は、まぎれもなく孫悟飯そのものだった。

 

「いいえ、違います。あれは悟飯さんじゃありません……!」

 

 隣にいた青髪の青年――トランクスは悟飯の思考を否定しながら、背負っている剣に手を掛けた。

 

「まさかここまで来るとは……ブラック!」

 

 ブラック。

 トランクスがそう呼んだ人物を、悟飯は再び注視する。

 

「トランクス、こんなところに……。

 ……そうか。指輪の力で時を越えたか」

 

 ニヤリ、とブラックは自分の指輪を見て口角を吊り上げた。

 瞬間、悟飯は理解する。トランクスがブラックと呼んだあの男が、自分ではないことを。

 

「ごきげんよう、孫悟飯」

「!」

 

 自分と同じ声音……しかし間違いなく自分ではない口調に、悟飯は反射的に身構える。

 

「はあぁぁ――!」

 

 対照的だったのはトランクス。

 お前の声など聞きたくない。

 そう告げるように勢いよく剣を抜き放ち、ブラックに斬りかかる。

 しかし、その反応はブラックにとって想定内。余裕の笑みを浮かべ、ブラックはトランクスを迎え撃つ。

 トランクスは戦闘民族と呼ばれたサイヤ人の血を受け継ぐ戦士だ。その戦闘力は並みの人間とは一線を画しており、ただの突進でもそのスピードは音速に匹敵する。

 トランクスがブラックの目前に迫り、剣を振りかぶる――その直前、トランクスの姿が消えた。

 フェイントだ。

 トランクスは一瞬で背後を取り、ブラックを一刀両断するべく剣を振り下ろす――!

 

「――甘い」

「くっ……!」

 

 剣が静止する。

 渾身の力が込められたトランクスの一刀はまるで通じず、ブラックは背後を取られたまま片手で剣を止めていた。

 ブラックの反撃。間髪入れずの回し蹴りがトランクスの腹部に炸裂する。

 

「! がは――!」

 

 よほどの威力だったらしい、トランクスはそのままブラックから大きく吹き飛ばされた。

 

「ぐっ――!」

 

 トランクスは追撃に備え、吹き飛ばされながらも体勢を整えようとする。

 しかし遅い。ブラックは防御が解けたトランクスに更なる一撃を加えるべく、高速で接近し――

 

「トランクスさん……!」

「!」

 

 ――その直前。両者の間に割り込む者が一人。

 孫悟飯は、劣勢のトランクスを庇うように、ブラックの前に立ちはだかった。

 

「……ちょうどいい。このカラダで一度君と戦ってみたかったのです」

 

 ブラックは悟飯の行動にますます口角を吊り上げ、邪悪に笑う。

 それを見て悟飯は確信する。コイツは、まごうことなき敵であると。

 

「お前が何者かは知らないけど、最悪な敵だということだけは分かる!」

 

 悟飯が構えを取った瞬間、彼を中心に圧力が発生した。

 一般的に『気』と呼ばれるエネルギーだ。

 その質は他の戦士達――例えばトランクス――とはやや違う。

 色で例えるならば、トランクスは黄金。誇りと自信、活力や高級感などを連想させる、存在感を誇示する色だ。

 対して孫悟飯は白。純粋無垢、神聖さ、高潔さを連想させる、トランクスとは真逆の色。

 それを目の当たりにして、ブラックはますます笑みを強める。

 サイヤ人とは真逆の方向性。己の存在感を下品に主張せず、それでいて強大な力を秘めた戦士。

 孫悟飯の力の在り方は、ブラックにとっては好ましいモノであった。

 

「ふふ……では」

 

 ブラックもまた悟飯同様に構えを取る。やはりと言うべきか、構えは悟飯と全く同じだ。

 一瞬の静寂。嵐の前の静けさ。

 瓜二つの人物が合わせ鏡のように向かい合っている。

 

「――ハッ!」

 

 唐突に火蓋が切られる。

 元より彼らは敵同士。合図など必要ない。

 孫悟飯とブラック。同じ顔をした二人の戦士の、負けられない戦いが始まった。

 

 ◆

 

 繰り返される乱打。技の応酬。一瞬の駆け引き。

 孫悟飯とブラックの実力は拮抗している――かのように思えた。

 

「くっ――!」

 

 拳と拳が衝突した瞬間、ブラックの顔が僅かに歪む。

 少しずつではあるが、確かに均衡は崩れ始めていた。

 ……孫悟飯は戦いの天才だ。そして、秀才でもある。

 生粋の戦闘民族・サイヤ人の血。

 幼少期、少年期に培った死闘の経験。

 そして、ナメック星の最長老と大界王神に引き出してもらった潜在能力。

 先天的かつ後天的に優れた戦闘力を持つこの青年は、こと戦いにおいて無類の強さを誇る。

 たとえ長期に渡り戦線から離れていたとしても、拳を交わせば交わすほど、その感覚は全盛期へと立ち返る……!

 

「だあああ――!!」

「ご、は――!」

 

 裂帛の気合と共に、悟飯の一撃がブラックの腹を抉った。

 時空が歪む。

 そう錯覚するほどの強烈な一撃に、ブラックは成す術もなく吹っ飛ばされた。

 

「――くっ、ああああ――!!」

 

 ブラックは、上空に打ち上げられた己の肉体を何とか静止させ、空中に留まる。

 

「ふ、ふふふ……すばらしい強さだ、孫悟飯。だがこの痛みが、わたしを更に強くする!」

「気味が悪いな……」

 

 激痛に顔を歪ませながら笑うブラックに対し、悟飯は素直な感想を溢す。しかし同時に、悟飯の戦意は消えつつあった。

 両者を見れば一目瞭然だ。

 悟飯は服こそ少々破れているものの、本人にダメージは殆どない。

 対してブラックは満身創痍。息を切らしており、顔色にも疲労が見えている。

 極めつけは先ほどの一撃。潜在能力を解放した己の一撃を、ノーガードで受けたのだ。

 悟飯はこれを勝負ありと判断し、構えを解いて上空のブラックを見上げた。

 

「ブラックとかいったな。もう諦めて降参しろ。お前に勝ち目はない」

「ふ……口惜しいですが、そのようですね。では、今回は退散させてもらいましょうか。そろそろ時間のようですし」

「時間だって……?」

 

 突如、空の時空が歪む。

 何もなかったはずの空間に、黒い穴のようなものが出現した。

 

「なっ――!」

「さようなら孫悟飯。この借りは、いずれ返させてもらいますよ」

 

 ブラックは、黒い穴の中に吸い込まれるように消えていった。

 

 ◆

 

 謎の人物との戦いから数時間後、戦士達は一堂に会していた。

 孫悟飯。ブラックと呼ばれていた謎の人物と直接戦った人物。最近になって家庭を持ち、一家の大黒柱として日々精進している学者の卵だ。

 トランクス。タイムマシンによって未来から現れた人物。謎の人物をブラックと呼んだ張本人であり、未来世界ではブラックと何度も拳を交えたという。

 ブルマ。トランクスの母。ただし、ここにいるトランクスは未来から来た人物であるため、厳密には本人ではない……が、ブルマにとっては些事。過去も未来も関係なく、母は母である。

 ビルス。破壊神の名を冠するれっきとした神様。その名前の通り圧倒的な戦闘力を誇るが、そこは神様。特定の陣営に肩入れしない公平な人物である。

 ウイス。ビルスの師匠であると同時に天使でもある。何かの間違いで破壊神が暴走しないように常時見張っている、いわばお目付け役だ。

 そして――孫悟空。地球育ちのサイヤ人にして、孫悟飯の父。ビルス、ウイスとの修行帰りらしく、彼の象徴とも言える山吹色の胴着は、所々破けている。

 

「オレたちはあいつを、「ゴハンブラック」と呼んでいました。ヤツは正義の為に地球人を全滅させると……そう言ったんです」 

 

 トランクスは鎮痛な面持ちでそう言った。

 彼曰く、未来の世界はゴハンブラックによって壊滅状態にあるという。建物らしい建物は殆どが倒壊し、街らしい街も存在せず、人々はゴハンブラックの恐怖に怯え、息を潜めて暮らしている、とのことだ。

 辛うじて全滅には至っていないが、それも時間の問題。トランクスはゴハンブラックの暴挙を止めるため、助けを求めに過去へやってきたのだった。

 

「待った。それはおかしいじゃないか」

 

 トランクスの説明に異を唱える者が一人。破壊神ビルスである。

 

「え……おかしい、ですか?」

「そうだ、おかしい。タイムマシンで時間移動している点は置いとくとして、だ。

 お前の話をそのまま信じるなら、未来の地球は破壊され尽くしていることになる。そんな横暴、そっちの時代のボクが許すはずがない」

 

 破壊神ビルスは「破壊」を司る神だ。この世のありとあらゆるモノは創造と破壊から成っており、ビルスは「破壊」の役割を担っている。

 万物を破壊し剪定する神、それが破壊神。

 言い換えれば、破壊し過ぎることがないように見張るのもまた、破壊神の役割なのだ。

 

「そう……ですね。確かにそうです。ですが未来では……」

「なんだ? 未来では、なんだって?」

「……殺されてしまったんです。地球人だけじゃなく、神様たちも同じように」

「はぁ? 殺された、だって? そんなワケあるか、ボクは破壊神……いや、待て! まさか、界王神もか!?」

 

 ビルスの質問に、トランクスはゆっくりと首肯した。

 

「あー……そういうことか。なんてこった……」

 

 がっくり、と項垂れる破壊神。

 なるほど、と手を打つウイス。

 それらを見て悟飯、悟空、ブルマの三人は疑問符を浮かべる。

 今の説明から推測するに……未来では、界王神もゴハンブラックに殺されている、ということだ。

 それはいい。いや、よくはないが納得はできる。正義感の強い界王神のことだ。ゴハンブラックが暴れていたらまず止めに入るだろうし、本気の殺し合いになってしまったらゴハンブラックには勝てないことも分かる。

 問題は、界王神の死が何故ビルスの死に繋がるのか、ということなのだが――

 

「もしかして……破壊神と界王神は表裏一体……?」

「そのとーり!」

 

 悟飯の何気ない、殆ど思いつきの呟きに、ウイスは食い入るように肯定した。

 

「破壊神と界王神は二つで一つなのです。どちらかが消えてしまえば、もう片方も消えてしまう。おそらく未来の界王神はゴハンブラックとやらに殺されてしまい、そのついでにビルス様も死んでしまったのでしょうねー」

「こっちを見ながらついでとか言うな! ついでは界王神の方だ!」

「ほほほほほ!」

「あはは……笑いごとじゃないような気が……」

「――ですがこれで、犯人は絞れましたね」

 

 陽気に笑っていたウイスが一転、静かな口調で言った。

 

「犯人? ブラックとやらの正体か?」

「はい。

 界王神が死ねば破壊神も死ぬ。この絡繰りを知っている人物は限られる、ということです」

「あっ……そういえばそうだ! アイツ、なんでそんなこと知ってたんだ!

 いや、待てよ……そうか分かったぞ、そういうことか!」

 

 ビルスは合点がいったと言わんばかりに手を叩き、何故か悟飯を睨みつけた。

 

「えっ……ボ、ボクですか?」

「そーだ、あいつは未来のお前だ! 悟空から聞いたぞ、お前はかなり頭がいいらしいじゃないか! その証拠にお前は今、破壊神と界王神の関係を言い当てた! おまけに力もそこそこある! 界王神くらいなら余裕で勝てるくらいにはな!」

「ええー!? そ、そんな無茶苦茶な……」

「そうですよビルス様。もしゴハンブラックが悟飯さんなら、地球人を全滅させる理由が分かりません。

 よいですか? 該当する条件は三つです。 

 一つ。破壊神と界王神の関係を知っている。

 二つ。地球人、もしくは人間に恨みを持っている。

 三つ。孫悟飯さんを知っている。

 これらが当てはまる人物が容疑者です。皆さん、心当たりはありませんか?」

 

 ウイスは一同を見て問いかける。

 悟飯はつい最近再会した人物、知り合った人物を思い返していた。

 ……フリーザ。ドラゴンボールの力で生き返り、復習の為に地球にやってきた宇宙人。

 フリーザは、自分専用の軍を率いていただけあって頭が回る。破壊神と界王神の関係について気づく可能性は高い。

 また、人間に――とりわけ孫悟空、孫悟飯に恨みを持っている。ウイスが上げた三つの条件には当て嵌まるだろう。

 しかし、可能性は低い。仮にゴハンブラックがフリーザだった場合、まずはドラゴンボールの力で生き返った後、もう一度ドラゴンボールを集めて、ゴハンブラックを作るなり身体を入れ替えるなりしなければならない。そもそも地球人を全滅させたいのなら、地球そのものを破壊する方が効率がいい。

 ……ヒット。第六宇宙との全覧試合で孫悟飯が戦った相手。

 ヒットは、ああ見えて千年以上生きている長寿者だ。それだけ長生きしていれば、破壊神と界王神の関係を知っていてもおかしくはないだろう。

 そして、彼の職業は殺し屋だ。穿った見方になってしまうが……人間を恨んでいる、という可能性もなくはない。

 しかし、やはり可能性は低い。フリーザ同様、ヒットほどの実力があるなら、わざわざゴハンブラックを使う必要がないのだ。地球人を全滅させたいのなら、自分自身の暗殺術を使えばいい。

 

「うーーーーん……」

 

 そもそもの話、何故孫悟飯の姿をしているのか。本人の可能性がない以上、作ったか、入れ替わったのかのどちらかだ。

 ……どうやって?

 何か見落としはないのか。悟飯は更に思索に耽る。

 

「……あっ。そういえば……」

「? 何か思い当たることが?」

「はい。ゴハンブラックの装飾品なんですけど……見慣れないものをつけてたなって。

 銀色の指輪と、片方だけのイヤリング……いえ、ポタラって言うんでしたっけ」

「ふむ……指輪と、ポタラですか」

 

 ――ぐうぅぅ。

 突然、緊張感を一気に緩ませる呑気な音が、一同の間に響き渡った。

 音の主は……孫悟空。

 悟空は照れくさそうに頭を掻きながら、誤魔化すように笑っていた。

 

「いやーわりぃわりぃ。難しい話聞いてたらハラ減っちまって」

「ったく、呑気なヤツだな! 地球の未来を左右する一大事かもしれないんだぞ!」

「だってよお、ビルス様。オラたち修行から帰ってきてからまだなーんにも食ってねえんだぜ?」

「今はそれどころじゃないんだよ! いいか? 未来が壊滅してるってことは、その芽がこの時代にあるってことだ! 何もせずぼーっとしてたら、近いうちにこの時代も滅ぼされるってことなんだぞ!」

「けどよぉ――」

 

 ――ぐうぅぅぅぅ。

 第二の腹の虫が、一匹目以上の声で泣き喚いた。

 音の主は……意外なことに、孫悟飯であった。

 

「あ、あはは……すみません。ゴハンブラックとの闘いで、思った以上にお腹が空いてしまって……」

「お、お前ら親子は本当に……って、あ」

 

 ――ぐうぅぅぅぅぅぅ。

 続けて泣き喚く第三の虫。オレは空腹だ、さっさと何か食わせろ、と言わんばかりの大音量であった。

 音の主は……二人にえらそーに説教していた破壊神サマである。

 

「なーんだ、ビルス様もハラ減ってたんじゃねーか!」

「や、やかましい! ……まあ、なんだ、腹が減っては何とやらって言うしな!

 おいブルマ、食事を用意しろ! 腹ペコサイヤ人が二人もいるから、とにかく沢山だ!」

「腹ペコ三人の間違いでしょ、全く」

 

 やれやれと溜息をつきながら、ブルマは携帯端末を懐から取り出した。

 

 ◆

 

 決戦前夜、というのだろう。

 未来へ発つ前日の夜、孫悟飯とトランクスは二人で夜景を眺めていた。

 建物から漏れる人工の光。街を行き交う多種多様な車。眩しいくらいに道路を照らす電灯の数々。

 目に見える明かり全てが人間の営みの証。悟飯にとってはありふれた景色だったが、トランクスにとっては久しく見ていない、希望に満ちた光であった。

 

「ブルマさんの誕生日パーティーの度に見てるけど……やっぱりキレイですね、ここからの景色は。街全体を一望出来て……小さな悩みなんて、あっという間に吹き飛んじゃいます。

 この街、未来ではどうなっていたんですか?」

「未来、ですか?

 ……いいえ。未来ではこんな景色なんて、どこにも……」

「あ、いえ! すみません、そうではなく……トランクスさんが子供の頃は、どんな街だったのかなって思いまして」

「オレが子供の頃……ですか?」

「はい。タイムマシンなんて作られてるくらいだから、きっと凄く技術が進んでいたんだろうなって」

「いえ……どうでしょう。オレもあまり詳しくはないですが……殆ど変わらなかったと思いますよ。

 それにオレは……どちらかというと、街よりも森に行ってましたから」

「森、ですか?」

「はい。悟飯さんと……未来の世界の悟飯さんと、よく森で修業したんです」

「えっ! トランクスさんも小さい頃から修行してたんですか!?」

「はい。とはいっても、修行らしい修業を始めたのは、人造人間が現れてからですけどね。

 それまでは釣りとか狩りとか、遊ぶことの方が多かったです」

 

 トランクスは瞼を閉じ、かつての日々を思い出す。

 遠い昔、少年だった頃の記憶。瞬く間の短い時間でも、その思い出は彼の中で色濃く残っている。

 

「でも……今思えば、それも修行だったのかもしれません」

「? どういうことです?」

「未来の悟飯さんが教えてくれたんです。

 よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む。人生を面白おかしく過ごすことが、亀仙流の教えだと。

 悟飯さんも、聞き覚えはありませんか?」

「そういえば……父さんから聞いたことがある気がします。根を詰めすぎるのもよくないから、適度に休むことも大切だ……とか。

 でも……そっか。だったらボクも、亀仙流を教えを立派に汲んでいるのかな」

「悟飯さんも?」

「うん……実はボク、こう見えて結構忙しくてさ。ピッコロさんとの日課の修行。学者の勉強にパンの子守り。あとは時々、父さんの農業を手伝ったりとか。そうそう、この間なんか農業の途中でいきなり組手を仕掛けられたんだっけ」

「はは! 悟空さんらしいや」

「ホントにね! 毎日毎日忙しくてクタクタですよ。

 でも……ボクは今、すごく充実してるんです。やりたいこと、やらなければいけないこと、守りたいもの。ボクの望む全てが目の前にある。ボクは凄く恵まれていて、幸せ者だ。

 それもこれも全部、トランクスさんのお陰なんですよ?」

「え……オレ、ですか?」

「はい。あの時……トランクスさんが未来から来て、ボク達を救ってくれたからこそ、今のボク達がある。ボクにとって貴方は、幸せな未来をくれた恩人なんです。

 だから……今度は、ボクの番だ」

 

 決意を新たに。

 孫悟飯は、自らの恩人と向き合い、まっすぐに見つめて言う。

 

「トランクスさん。ボクに……未来を救う手助けをさせてください」

 

 ◆

 

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