愛を知らない少年と愛を教えたいホロメン   作:主義

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初めてのホロメン

 

ユキくんも白上との生活に慣れ始めて、笑顔を見せてくれるようになった。それでもユキくんは悪夢にうなされたり、急に涙を流してしまったりとやっぱりまだ影響が残っている。よほどユキくんの身体的にも精神的にも酷使されていたんだろう。

 

 

なるべくユキくんを一人にさせないように白上は心がけた。どんな時でも近くで居られるように。年齢的にもまだ6歳。一人で家に置いておくのもとても心配で仕事どころではない。もし、事件に巻き込まれたらとかしたら白上は自分を絶対に許せなくなる。

 

だから仕事であってもユキくんを連れていく。でもさすがに仕事場に居れる訳にはいかないのでスタッフさんにユキくんの相手をお願いしたりしている。本当に心優しいスタッフさんのお陰だと素直に感じている。自分の仕事もあるのにユキくんの面倒を見てくれているんだから。

 

 

それは今日も同じで…ユキくんを連れてきた。すると今日は収録を終えたすいちゃんの姿があった。すいちゃんは白上の後ろに隠れている、ユキくんを指さしながら問いかけてきた。

 

 

「え、どうしたの?フブちゃん、その子」

 

 

「そういえばまだ言ってなかったよね。この子はユキくん、白上が育ててる子」

 

 

「……フブちゃんが育ててるの!?」

 

 

「うん。ほらユキくん、ご挨拶しよう」

 

ユキくんはすいちゃんに怯えているのが分かる。まだユキくんに私以外の人に大人と合わせたことがない。怯えても仕方のないこと。それに白上のところに来るまでを考えれば当たり前かもしれない。

 

 

「……ゆき…で、す」

 

 

「…か、かわいい!!」

 

するとすいちゃんはすぐにユキくんと目線を合わせるために腰を落とす。でも、そんなすいちゃんとは真反対でユキくんは怯えている。

 

 

「ご、ごめんね。怯えさせるつもりはなかったの」

 

 

「………う、ん」

 

 

「あ、嫌われちゃったかな…」

 

 

「ごめんね、すいちゃん。ユキくんはまだ人に慣れていないんだよ。ホロメンに会ったのもすいちゃんが初めてだしさ」

 

 

「そうなんだぁ…でも、本当に可愛いね、ユキくん」

 

すいちゃんは今にもユキくんを襲ってしまいそうな目をしている。確かにユキくんはとっても可愛いけど。

 

 

「………こ、こわい…」

 

 

「あんまりユキくんを怖がらせないでね、すいちゃん」

 

 

「全然怖がらせてないよ。ただずっとユキくんのことを見ていただけじゃん」

 

 

「それが怖いんだと思うよ。あんまり知らない人に見つめられることに慣れていないからさ」

 

少しずつ人と接することを覚えていかないとダメだけど、急にやればユキくんが塞ぎ込まれるかもしれない。慣れていくには多くの時間を要するかもしれないけどそれでもいい。私はユキくんのペースで歩んでくれさえすれば。

 

 

「…そっか…ごめんね、ユキくん」

 

 

「うん…だいじょうぶ」

 

 

「やっぱりかわいい!!!」

 

言葉と同時にすいちゃんは勢いよくユキくんのことを抱きしめた。急なことにユキくんも反応出来ていないようだった。

 

 

「あんまり強く抱きしめちゃだめだよ、すいちゃん」

 

 

「わ、わかってるよ」

 

その後もすいちゃんはユキくんと遊んでいき、少しずつではあるもののユキくんが心を開いているのが分かった。すいちゃんが頑張って仲良くなろうと話し掛けてきているので距離が縮まるのに時間は掛からなかった。

 

そして白上も収録に行かなければいけない時間になった。本当はもっと楽しそうに笑う、ユキくんの姿を見たけどユキくんと一緒に暮らしていくためにも仕事はちゃんとこなさなくては。

 

 

「じゃあ、白上は収録に行ってくるからその間、ユキくんの遊び相手になっててくれる?」

 

 

「うん!!いいよ!今日はこの後の予定なかったし、ユキくんとっても可愛いからね!!」

 

すいちゃんはまたユキくんを抱きしめた。でもユキくんも最初の頃のように嫌そうではなかったので止めることはしなかった。

 

 

 

最後に白上はユキくんと無線を合わせるために腰を落とした。やっぱりユキくんの目はとても澄んでいる。

 

「それじゃあ、お姉ちゃんお仕事に行ってくるから良い子にしていてね」

 

 

「うん!おねえちゃんもおしごと、がんばってね!」

 

そう笑顔で話している、ユキくんはとても尊い。ユキくんのためにお仕事を頑張らなくちゃと気合が入った。この子の笑った顔を見るためにも私は精一杯やるんだ。

 

 

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