白上とユキくんが一緒に過ごすようになってから白上の生活はユキくん中心になった。こんなに誰かの事を考えるのは白上にとって初めての経験。でも、一つ気がかりなのはすいちゃんと関わってから少しずつホロメンと接する機会も増えてきた。
そして本当に一歩ずつだけどユキくんが心を開いてくれるようになってくれているのが分かる。
「…お姉ちゃん」
「どうしたの?何かあったの」
「……おなかすいちゃった」
ユキくんが言うのと同時に…ユキくんのお腹の音が聞こえてきた。それと同時に時間を確認すると時間はもう20:00になっていた。色々とやっていたら時間がこんなに経っていたかな。
「そうだね。もう夕飯の時間。ユキくんは何が食べたい?」
「…はんばーぐ!!」
「ハンバーグか…」
白上は立ち上がり、その足で冷蔵庫を確認しに行くとほぼ空っぽに近かった。最近は自宅で色々とやっていたから買い物に行けてないんですよね。もう外も暗い……でも…。
ユキくんの方を見るとそこには目を輝かせてこちらを見ていた。あんな純粋な目で見られたらハンバーグを作らない訳にはいかない。今までだったらデリバリーに頼っちゃうところ。でも、ユキくんにはなるべく手作りの料理を食べさせたい。ユキくんに取ってはデリバリーでも手料理でもあんまり変わらないかもしれないですね。
「それじゃあ、お買い物に行きましょうか」
「うん!!」
そして白上とユキくんは街に出た。外は暗くて人通りも少なくなっている。本当だったらこんな時間になるよりも前に…ユキくんに食事を食べさせないといけないのに。白上がちょっと作業に夢中になっていたから。
そんなことを考えていると後ろから誰かに肩を叩かれた。
「やっぱり、フブキちゃんじゃん」
急に名前を呼ばれて振り返るとそこには……おかゆがいた。
「おかゆ~」
「こんな時間に一人で……って…この子は?」
「あ、そういえばまだおかゆには言ってなかったっけ。この子は白上と一緒に暮らしている、ユキくん」
「え、フブキちゃんの子供!??」
「ち、ちがう、ちがう。この子は白上と血は繋がってないよ」
「じゃあ親戚の子?」
「まあそんなところかな。ちょっと色々あってね」
そんなことを話していると珍しくユキくんは…白上の後ろに隠れてんじゃなくておかゆに近づいていく。そしてそれにおかゆも気づいて…ユキくんの頭を撫でている。それをユキくんは嫌がる事もなく受け入れている。こんな風なユキくんを見るのは初めてかも。
「でも…この子可愛いね。人懐っこい子なんだね」
普段は人見知りがとても激しい、ユキくんがここまで懐くのはとてもすごいこと。すいちゃんの時は白上の後ろに隠れていたぐらいなのに。やっぱりあの時はすいちゃんからサイコパスオーラ―のようなものが漏れていたのかな。それてともおかゆが懐かれやすいのかな。
「いや、普段は人見知りが激しい子なの。でも、おかゆには懐いたね」
「なんだろう~ぼくって別に子供に好かれやすい訳でもないと思うけど…」
「でも最近、フブキちゃんが明らかにコラボを減らしているのはこの子のためなんだね。いつもフブキちゃんは積極的にコラボをしたりするから少し心配だったんだよ~」
「あ、確かにコラボは減っちゃったね。あんまり誰かの家に行ったりも出来ないし、ユキくんもいるからね」
ユキくんを中心に生活するようになってから本当に…全てが変わった気がする。配信回数も少し減っちゃているのも分かってる。それでも自分がユキくん中心の生活を選択したんだ。それに関する批判は受け止める準備は出来ている。
「まあね。こんな小さな子がいると心配だよね。それなら皆に言えばいいんじゃない~」
「でも、白上がコラボしている間にユキくんの相手が出来ないしさ」
「フブキちゃんは本当にユキくんのことが大好きなんだね。話しているだけでもそれが伝わってくるよ」
「うん!自分よりも大切な存在なんて初めて出来たの。ユキくんが笑っている姿を見るだけで頑張ろうって思えるんだ。ユキくんが大きくなって巣だって行く日までは白上は全力で支えたいの。白上は救ってくれた子だから」
そう………白上を救ってくれた子。
「そういえば、フブキちゃんはなんで外に来たの?」
「あ、はんばーぐ!!」
「ハンバーグ?」
「ユキくんがハンバーグを食べたいらしくて材料を買いに来たんだった!」
「だったら急いだ方がいいかも」
「え、なんで?」
「だってスーパーの閉店時間が近いし」
そう言われて時間を確認すると……
「やばい!閉まっちゃう!!ユキくん、少し走ろう!おかゆ、またね」
「うん、またね、ユキくんも」
「…ま、またね…」
そしておかゆに別れを告げて急いで掛けた。ユキくんの手をぎゅっと握って、ユキくんが付いてこれるぐらいの速さで走りながらも閉店するよりも前にスーパーに付かないと。
その走りのお陰で最終的にはハンバーグの具材が買えて、ユキくんに振舞うことが出来た。でもかなり遅い時間にはなっちゃったけどね。
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白上が去った後
「今度、フブキちゃんの家にでも行ってみようかな」
そんなことを言いながら…猫又おかゆは遅い足取りで歩いていくのだった。