今日はついに…ライブの日。今まで色々と頑張ってきた。そのパフォーマンスを皆に見せる場所。いつもライブはテンションが上がるけど、今日はいつもよりも何倍も上がっている。
それはユキくんが見に来ているから。
ユキくんは関係者席にいるとえーちゃん言っていた。やっぱり…ユキくんの前でカッコ悪いところを見せられないし、カッコいいところを見せたい。
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今は開演までもう一時間を迫って、舞台袖で最終確認をしている。
「あ、おねえちゃん~~」
「ユキくん!」
ユキくんは白上を見つけて…手を振ってくれている。白上はユキくんに近づいていって優しく頭を撫でてあげる。こうしていると…白上が落ち着ける。ユキくんのことを近くに感じれるから。
「フブキ先輩、ユキくんは任せてください!こよがちゃんと面倒を見るので!」
「ううん。沙花叉が見るの!こよちゃんは引っ込んでて!」
「クロたんの出番はないよ!今日はこよがしっかりと面倒みるからね!」
この言い争いをしている、二人にユキくんのことは任せることにした。本当はスタッフさんに任せようと思っていたんだけど、二人が自分に預けて欲しいと打診するものだから預けることにした。ユキくんもよく知っている人の方がストレスを感じずないだろうし。
「え~~ゆきくんじゃ~ん」
その声を聞いた瞬間に…ユキくんはこよりの後ろに隠れた。ユキくんがこんな風になるのは一人だけしかいない。
「マリンちゃん…あんまりユキくんを怖がらせちゃだめ」
「せ、せんちょうは別に怖がらせるつもりじゃなくて……」
「マリン先輩、一体ユキくんに何をしたんですかぁ~?」
「…せ、せんちょうは…ただ」
ユキくんがこんなにマリンちゃんを怖がるのは…初対面の時が原因。多分、船長はユキくんと話したかったんだと思うんだけど、最初にとった行動がユキくんを追いかける。事務所にいる時はずっとユキくんの後を付いていた。後で本人に聞くとどうやって声を掛けるか悩んでいたらしい。
その追いかけている時の顔が…ユキくんにとっては怖かったらしくてそれからこの調子。
でも、それでもマリンちゃんは諦めずにユキくんから恐怖を取り去ろうとしている。
「ゆ、ゆきくん……こ、これあげるから…」
マリンちゃんは…チョコを見せながら釣ろうとしている。さすがにマリンちゃんが可哀そうになって、白上がマリンちゃんにユキくんの好物を教えた。ユキくんはチョコに目がなくて…チョコを食べている時はとても幸せそうな顔をしているんです。その笑顔を見ると白上の疲れも一瞬で吹き飛んじゃう。
「こ、こわくない…?」
「こわんくないよ…だいじょうぶだよ~」
ユキくんは少しずつこよりの後ろから出てきて…一歩ずつマリンちゃんに近づいて来る。かなり怖がっているのはユキくんの顔を見れば一目瞭然。
マリンちゃんもこれでもかっていうぐらいに緊張しちゃっている。
「…だ、…だい、じょうぶ…ああ…げるよ…」
もうマリンちゃんとも付き合いは長いけど、こんなに赤子みたいに足が震えてて、声も震えている、マリンちゃんを見るのは初めてかも。
そんなマリンちゃんの姿によりユキくんの恐怖心は増していく。それでも大好物のチョコを貰うために精一杯マリンちゃんに近づいていく。
そんな感じが一分ぐらい続いてやっと……ユキくんはチョコをゲットすることができる。
「た、たべていい…?」
「うん。食べていいよ…」
「あ、ありがとう!」
そしてユキくんはチョコを頬張ると…すぐに幸せそうな顔を浮かべていた。その笑顔だけで白上はとっても癒された。ユキくんの仕草はどんなものでも白上の心を…癒していくれる。白上のオアシス。
「お、おねえちゃん……チョコ、ありがとう!」
「………つ、つぎも持ってくれるね!」
どうやら…マリンちゃんとユキ君の距離が少しは縮まったようでよかった。そしてそんなこんなでそろそろライブの時間だ。
「それじゃあ…頑張って来るね!」
「うん!おねえちゃん、がんばって!」
ユキくんの応援のお陰で…白上には自信しかない。白上のパフォーマンスでユキくんを…この会場にいる皆を笑顔にして見せる。
「ま、まりんにも…」
「まりん、おねちゃんもがんばって!」
「が、がんばる!」
どうやらマリンちゃんにも気合が入ったようで…いよいよ…開幕だ。