ちょっと違うホロメンと恋愛   作:主義

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ちょっと消極的な星街すいせい

嫌われたくない。

 

それが接し方の根幹にあるとどうやっても積極的にはなれない。その人に嫌われたくないという気持ちだけが先行してしまって何も出来ずにいる。

「はぁ…」

自然とため息が漏れてしまう。

 

 

 

――――――――――――――

 

 

学校が終わって、いつもはすぐ帰路に付く。

 

だけど今日はお姉ちゃんから買ってきて欲しいリストを貰っているのでスーパーへ。

 

「どうすれば先輩と上手く話せるんだろう」

 

自然と思っていることが口から出てしまった。

 

 

 

ここ最近はため息も増えて、ずっと先輩のことばっかり考えている気がする。それの所為で勉強にも手が付かないし、なにもできない。

 

「あれ…星街さん?」

 

呼びかけられたので自然と振り返るとそこには……先輩がいた。

 

 

「あ、はい!!!」

 

 

「星街さんも買い物?」

 

 

「はい!」

 

 

「そうなんだね。あれそう言えば星街さんって一人暮らしだっけ?」

 

 

「お姉ちゃんと一緒に」

 

 

「姉妹で住んでいるんだね」

 

そんな他愛のないような会話でも今のすいちゃんは意識が飛びそうなぐらいに緊張している。なるべくその緊張を悟られないようにしているけど、もしかしたらバレているんじゃないかと思うと恥ずかしい。

 

 

「せ、せんぱいも買い出しですか?」

 

 

「そうだよ。僕は一人暮らしだからさ。なるべく自炊をするようにしているんだ」

 

 

「…そうなんですか」

 

話したいことなんてたくさんあるのにいざこの状況だと…口が固く閉じちゃう。頑張って視線を上げて、先輩の目を見ようとするとちょうど先輩も私のことを見ていたので目が合った。

 

反射的に謝ってしまった。

 

 

「す、すいません!」

 

 

「いやなんで謝るの?」

 

 

「…ちょっと反射的に」

 

 

「反射的に謝っちゃったの?」

 

 

「は、はい」

 

 

「謝らないでよ。僕の方がなにか嫌な事をしてしまったのかと思うからさ」

 

先輩と目が合うようなことはほとんどないから自然と謝っちゃう。いつもは先輩と話すときずっと先輩のつま先ばっかりを見ているから。

 

 

すると急に先輩はすいちゃんの心臓を終わらせに来ているようなことをしてくる。

 

 

「星街さんって好きなの?」

 

 

「え……」

 

 

星街さんって好きなの?

え、どういうこと。

これって先輩が自分のことを好きなのかを聞いているの。

そういう質問だったらもちろん『好きです』って答えだけど。

でも先輩が私にそんなことを聞いてくるなんてことあるかな。

 

 

「いやずっと野菜を見ていたからさ」

 

 

「い、いや…すいちゃんは逆に」

 

言いかけていた途中で言葉が止まってしまった。この先の言葉を口にしたらキミに悪い印象を与えちゃうかもしれない。高校生にもなって野菜が苦手なんて。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「いや、先輩って野菜とか好きですか?」

 

 

「好きですね。野菜だけで夕食を済ませてしまうこともありますよ。野菜は切ってドレッシングを掛ければすぐに食べれちゃうからね」

 

 

「そ、そうなんですね」

 

やっぱり野菜が嫌いなんて言わなくて良かった。先輩の好きなものを私が好きじゃないなんて…言いたくない。これぐらいで先輩から私への印象が変わる事はないと思うけど。

 

 

「すいちゃんも野菜好きなんですよ」!」

 

 

「え、そうなんですか?」

 

 

「はい。毎日食べるぐらいに」

 

本当は絶対に食べないけど……。

でもここで嫌いと言う訳にいかないもん。

 

 

 

「そう言えば、そろそろ三人ぐらい星街さんのところに告白しに行くと思うよ」

 

 

「そいつらは僕の友人で。そいつらからなるべく自分のことを好印象に言ってもらうように頼まれているんで」

 

それをもう言っちゃっていいのかな。

すいちゃんとしてはその人じゃなくてキミから告白して欲しいんだけど…。

 

 

「そうなんですね」

 

 

「だからなるべくきっぱりと断ってくれないかな。あいつらは諦めが悪い方だからさ」

 

 

「…わかりました」

 

もう断る前提で話を進めちゃっている。もちろんすいちゃんの心に決めた人は先輩だけなので、他の人に心変わりするなんてことは絶対にない。

 

 

「それにしても星街さんって彼氏とか作らないよね」

 

 

「作らないですね」

 

 

「なんで?」

 

 

「な、なんで?」

 

 

「いや星街さんぐらいモテれば引く手あまたの分けじゃない。そこの中にはサッカー部のキャプテンとか野球部とか、まあ色々だろうけど。それなりに高スペックな人たちもいると思うから」

 

 

「もう私には心に決めた人がいるんです」

 

 

「え、そうなの!?」

 

 

「はい。まだ誰にも言ってないので他言無用でお願いしますね」

 

 

「うん。それはいいけど…。へぇ~星街さんの心を射止めるような奴がいるんだね」

 

 

「ほぼ一目惚れみたいな感じでしたけど。少しずつ人間性にも触れていくともっとその人のことが好きになりました」

 

隣を歩いている先輩は自分のことを言われているなんて微塵も思っていないよね。

 

 

「一目惚れ…か…。すごいなぁ…」

 

 

「すごいですか?」

 

 

「僕は一目惚れとかをしたことがないので。一目惚れとかは憧れるかな」

 

 

「憧れですか?」

 

 

「うん。だって一目惚れとかで好きになるって運命の人って感じがするから」

 

 

「…確かに運命かもしれないですね」

 

私が先輩のことを好きになったのも運命。初めて見た日からすいちゃんの目にはずっと先輩しか映っていない。すいちゃんが先輩のことを幸せにしてあげたい。

 

 

すいちゃんは本気で先輩と赤い糸で繋がっていると信じている。これからアピールすれば絶対に先輩の心をものにできると…。

 

 

それから買い物を夫婦みたいに一緒にして私はその時間を堪能したのだった。

 

 

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