強欲少女のヒーローアカデミア   作:pastel

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11話『個性の応用』

 レグルスとミリオの戦闘訓練が終了した後

 

 目を覚ました彼女はミリオ達に自分が負けていない事を1から10まで説明し、彼女の戦闘について反省点を共有したい彼らもこのままでは会話が出来ないと悟った為ミリオが敗北を認める事によって勝負は正式にレグルスの勝利となった。

 

 勝ち誇った表情で「それでいい、そうやって素直に敗北を認める謙虚さこそが───」と再び喋りだす彼女。治癒に体力を持ってかれているのに元気な事だ

 

 ー

 

「で、レグルスさんの個性について俺なりに考えてみたんだけどさ! 君の時間停止は5秒程度とはいえ、その時間中は何の影響も受けないんだろ? なら空気や地面の抵抗とか、重力を無視した移動とか出来ないかなって思ったんだけど、どう?」

 

 ミリオは自分が障害物を無視して移動出来る事を元に彼女の個性を使った応用を考えていた。時間停止を行うことでの高速移動、理論上可能だ。だがそれは結局制御が難しく止まれない……と思い込んでいた彼女はそれを試した事はなかった。まぁ1歩間違えれば死ぬそれを試す環境も度胸も自称今に満たされている人間である彼女にはなかった為仕方ないといえば仕方ないが

 

「確かに私の個性を使えばこの世の全てを置き去りにして動くのは理論上可能だよ? でも私はそれをしない。あぁ勘違いしないでくれ別に出来ない訳じゃない、出来る上でそれをしないって私の権利で選択してるんだ。そもそもそんな事しなくたって私の個性が絶対的な力である事に変わりはないだろ?」

 

「確かにね、君の個性は凄く強いよ。だけど相手より速く動けるってアドバンテージを失うのは勿体ないと思うな。もし俺みたいな変則的な個性や戦い方をする敵が現れた時、そいつよりも速く動けるってのは何よりも大事だと思う。時にスピードはパワーに勝るんだ!」

 

「俺も……ミリオに賛成だ。特に君の個性は攻防一体の最強個性、そこに視認出来ない程のスピードが加われば今よりも更に完璧になれると思う、それさえ出来れば5秒の時間制限なんてあってないようなもの……じゃないかな」

 

「天喰君壁に話してないでこっちおいでよ〜、っていうかさ! レグルスさんは理論上って言ってたけどもしかしてまだ実際に試した事はなかったり? 私レグルスさんの不思議な個性もっと見たいな〜! ねぇねぇ試してみようよ!」

 

 レグルスは単純である。彼女は彼らに対する評価がそれなりに高かった。他とは違いしっかりと自分の完璧さを認め、その上で自己肯定感を満たすような言葉を並べてくる彼らに彼女は満更でも無い表情になり気分を良くしていた。それに高速移動に関する検証を試みた事がないのは事実でもあり、安全面が確約されているなら試してみるのもありだと考えていた彼女は提案に承諾する

 

 ー

 

 再び体育館に戻った一行はテキパキと準備をこなしていく。ミリオと天喰が壁にクッションを設置し波動とレグルスは準備そっちのけでお喋りしているし相澤は続きを明日にしてもう帰りたかった

 

 準備完了、彼女は自信満々の表情で権能を行使する

 

 ───獅子の心臓を発動させ物理的制約から解き放たれた彼女は心臓の痛みを感じない程度に収める為3秒かけて足を動かし5m先までそれなりの力を足に込めて歩く。その足は歩く上で生じる摩擦や抵抗の一切を無視して、まるで浮いてるように動いていた。

 

 完全に静止した後権能を解除し周りを見るレグルス。そんな彼女に周りは驚愕を隠せなかった。動き出すのを待っていたのに、気づいたら彼女がそこに立っていたから。短い距離とはいえ彼らからすればまるでレグルスが瞬間移動をしたように見えていた

 

「なんだよ、ただ歩いただけだろ? なんでそんな目で見てくるわけ?」

 

「いやあ! ビックリしちゃったよ。俺の想像だと残像が見えるくらいのスピードだと思ってたけど予想以上だ! 君は今ただ歩いてたつもりかもしれないけど、俺達から見たらさっきまであそこに立ってた君が気づいたらここに立ってたんだよ!」

 

 彼女は時間停止を行った際の高速移動は自身もその速さの影響を受けると思っていたがそれは違う。彼女視点では3秒かけて移動を完了していたが、それは他者から見れば3秒以内にスタートからゴールまで移動したとしか見えてなかった。

 

 時間停止中物理法則から解き放たれた彼女の体は超高速で動けるようになり例え3秒〜5秒かけて移動したとしてもその速度が人間の視覚や反応速度を大きく超えるため、相手の脳が中間の動きを処理しきれずまるでいつの間にかそこにいると錯覚してしまうという訳だ

 

 移動の過程を省略し、そこに居るという結果だけを残す。彼女の反則的な権能はそれを可能にしていた。

 

 その事実が彼女の機嫌を更に良くする。また1つ完全へ近ずき自身の完璧さが更に増した。目指すべき場所がある彼女にこれ程喜ばしい事も無い

 

 

 

 ───レグルス・コルニアスという少女は自身を完璧で個として完成された存在だと称しているがその実誰よりも他者からの評価を求めていた。そもそも本当に満たされているなら他者からどう思われてるかなんてどうでも良くて、今に満足しているなら誰も寄せ付けずに1人でいれば良い。彼女が自分は満たされていると実感できるのは他者から認められた時。ただ自分という1人のちっぽけな存在を肯定してくれる人間、それが居て初めて彼女は自分の完璧さを再認識できた。彼女の負けず嫌いなんて可愛い表現すら出来ない程他者に力を示す事と勝利する事に執着を持ってるのはそのせいだった。悲しい事に誰よりも自己愛に溢れ誰よりも高くて小さいプライドを持つ彼女はこの事を自覚する日なんて来そうにないが。

 

 自慢気な表情でミリオ達にペラペラと中身のない話をしてる彼女を横目に相澤はこの調子で絆されてくれれば少しは助かるんだが……と心の中で思っていた。

 その後も気分を良くしたレグルスは高速移動に関する訓練を続けていたが治癒に体力を使い権能の連続使用で心臓への負担も重なっていた為、また後日という事でお開きになった

 

 その後も体育祭までの短い期間で付け焼き刃ではあるがミリオ達の助言を受け入れ新しい戦い方や権能の使い方を身につけた彼女は以前よりも確実に成長していた。他人から見れば勝利の為の努力なんて当然の事だが、他人の意見を受け入れる事すら出来ない難儀な性格をしている彼女にとってこれは大きな一歩と言えるだろう。

 

 選手が控え室に集まってる中1人屋台の店主にグチグチイチャモンをつけてるレグルス。成長していると、信じたい

 

 ー

 

「───ていうかさ、それって私の事をこいつは奪ってもいい弱者って思ってる訳だろ? それって未来の英雄に対する態度としてどうなのかな? というかまず商売人としてどうなの? そこの女にタダでその商品を渡しといて私には金を要求するってちゃんちゃらおかしいよね? それは差別だよ、私という存在に対する差別で私という存在を軽視してるって事だ。プロヒーローなんて肩書きでありながら他人の色欲を利用してるこの卑しい売女よりも私の方が下だと思ってるって事だろ? 確かに君が私を色欲の対象にしてたらあまりの気色悪さにこの屋台を吹き飛ばしてやる所だけどさ、それとこれとは話が違うよね? 不特定多数じゃなく私という存在を認知した上で軽視してるならそれは私という個人の権利の侵害だ! それは許せないなぁ? 許されていいわけが無いなぁ。でも私は英雄になる人間で、その心は正義感と他者への思いやりに溢れた慈悲深い人間だからさ、そんな君にもチャンスを上げようと思ってるわけ、本当に私は優しい人間だよ。ここで会えたのが他の人間じゃなく私だったのに感謝すべきだよ君は。その上で1度だけ問おう、私は君にお金を払うべきかな?」

 

「わ、悪かった。金はいらねえから早く持って行ってくれ」

 

「そう、それでいいんだよ。他者を尊重する事で自らもまた尊重される。そんな当たり前の配慮が住み良い社会を作っていくんだ。君は幸運だよ? ここで私に出会えて、こんな大事な事に気づけたん──ぐぅ!?」

 

「すみません。代金は支払うので許してやってください。もう体育祭が始まる、こんな所で何やってんだったく……」

 

 タカりに成功した彼女は相澤に縛り上げられ連行されていく。イチャモンを付けられた店主と巻き添えを食らったMt.レディは相澤が神に見えていた




レグルスさんだろうとここはヒロアカ世界。
君はヒーローに───なれるのか?
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