強欲少女のヒーローアカデミア 作:pastel
雄英体育祭が始まりを迎え各々が譲れない想いを心に秘め挑もうとしている所、彼女は特に何を思う訳でもなく無気力に過ごしていた。
完璧で完成された自分が全て蹴散らしてこの体育祭を終わらせるという結論を既に出していた彼女は宣誓で1位宣言をした爆豪やオールマイトに何かと接点がある緑谷、それに対し対抗心を燃やす轟など眼中にも無い
所詮彼らはレグルスにとってただの弱者。そんな物望んでも得れるはずがないのに手の届かない所まで手を伸ばそうとする。どこまでいっても満たされる事の無い強欲な彼らは満たされている自分にとって取るに足らない存在……そう思っていた
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「さぁさぁ第1種目障害物競走が始まるわ! 位置に着きまくりなさい!」
今年の第1種目が障害物競走に決定し各々が準備する中レグルスは人に囲まれて煩わしい思いをしたくなかった為後ろの方に位置し隣に立っている少女にペラペラ話しかけていた
「全く、障害物競走なんて子供の使いじゃあるまいし。この程度の遊戯で全国が熱中するなんてこの国の質も落ちた証拠だよね。こんな遊戯で出した結果を見てスカウトを考えるプロヒーローって奴らも全員適当に仕事をこなしてるとしか思えないよ、ただ単に有望な子供達に自分の権威を見せびらかしてやりたい、そんな薄っぺらい想いが透けて見えるよね。君はどうだい? ヒーロー科でも何でもない君は、君達はこんな茶番でも精一杯満たされる為に頑張るのかな? 殊勝な事だね。その感性は満たされてる私には到底理解できないし理解したいとも思えないよ「あの……貴女誰ですか?」あのさぁ、今私が気持ち良く喋ってる所だったでしょ? それなのに君は意図して私の発言を妨げたよね? それってさ「スタート!」完璧な私という個人の権利を侵害してやりたくて行ったんだろ? 君の嫉妬心に寛大な私も正直ドン引きして「ごめんなさい行かないと!」あのさぁ! いくら優しい私にだって許容できるラインってのはあるんだよ? 君は二度も私の権利を侵害した。どこまで歪んだ感性を持ってればそんな極悪非道な事が行えるの? 親の顔を見せてもらいたいよ。そもそもさ、人に名を尋ねる時はまず自分から名乗るべきでしょ。それが最低限相手と友好的な関係を構築していく上で必要な礼儀だ、常識だ。そんな事も知らずよくこの歳まで生きてこられたよね、余程運に恵まれたんだろうけど君自身は何の成長もしてないただの子供さ。礼儀も知らない、人の話に耳を持たない我儘な子供。自分の矮小さを再認識できたなら次は成長への1歩を歩んでいこう。無礼を人に行ってしまったらまず謝罪だ。謝罪の意味は流石に分かるよね? ほら「ごめんなさい」は?」
障害物競走がスタートし選手達が既に第1関門のロボ・インフェルノを突破している中スタート地点で未だに1人で喋り続けてるレグルスに周りはミッドナイト含めドン引きしていた。
「あ、あのーレグルスさん? もう障害物競走は始まってるわよ?」
「────はぁ?」
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レグルスがぶっちぎり最下位の状態から権能を行使して追い上げていく中ヒーロー科の面々や1部の普通科の生徒達は既に第2関門のザ・フォールに到達していた。
「人が話してるのに待つことを知らないなんてあの女も教師も常識ってものを知らないのか? 人が寛大な心で許してやってるのを理解して尚やってるんだとしたら許せない。身の程を弁えろよ……お前らなんて私がその気になればいつだってこうしてやれるんだ」
目の前に立ちはだかる仮想敵を真空波で破壊していくレグルス。目の前だけ倒して先へ進めばいいものを憂さ晴らしで片っ端から破壊していく彼女の非合理的な行動に実況席の相澤は頭を抱えていた
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障害物競走も終盤、一面地雷原の第3関門で先頭争いをしてる轟、爆豪に緑谷は集めた地雷を一気に作動させる事で生じる爆風に身を任せていた
「借りるぞかっちゃん! 大爆速ターボ!!」
《おーっと緑谷ここに来て先頭に猛追! つーか抜いたー!?》
「デクが……俺の前を行くんじゃねえ!!」
「後続に道作っちまうが……背に腹はかえられ「たまにさぁ、いるんだよねぇ?」はっ!?」
先頭が入れ替わり緑谷を爆豪と轟が追う形となり観客も盛り上がっていたが……そんな熾烈な先頭争いに割り込む1人の声……レグルス・コルニアスが彼らに迫ってきていた
《さぁ2人が争いを辞め先頭の緑谷を追っていく! 共通の敵が現れれば人は争いを辞め……ちょ、ちょー!? 何じゃありゃ! 気持ちわりぃー!》
それも次々と作動する地雷をお構い無しに歩幅以上の距離を1歩で稼いでいる奇妙な歩き方で……普通なら有り得ない「歩きながら滑ってる」状態はあまりにも気色悪い動きで、高速で動いてるのがより気色悪さを増大させていた
「君らみたいな、自分を特別と勘違いしてる奴らがさぁ?」
《ここでA組レグルス・コルニアス! 最下位からの下克上ー!? つーかあの動き何!?》
《あいつがここ数日の訓練で身につけた個性の応用だろ。本当はもっと速度出せるくせにあいつ……はぁ……》
そう、この程度の距離はレグルスにとって一瞬で移動できる。だが自分より下だと思っている彼らに惜しみなく権能を使う程彼女の慢心癖は治っていない。いや、権能の使い方が成長しただけで彼女の精神自体は一切成長していなかった。
先を行く緑谷と高速で迫ってくるレグルスに挟まれてる轟と爆豪は焦り更に速度を上げ、逆に失速した緑谷は持ってきていた装甲を地面に叩きつけ爆風を使った再加速と妨害を一度に行う
《緑谷間髪入れずに後続妨害! 難なく地雷原を突破し駆け抜けていくー! イレイザーすげぇなお前のクラス!》
爆豪と轟がその背中を追いかける中彼女は……
「ふ、ふざ……けるなよ……私が本気を……はぁ……出してれば……はぁ……君らが目に追えない程の速さで……ゴール……できるんだぞ……私の、はぁ……君らの精神状態を……考慮した上での……手加減ってのを……理解して、はぁ……私に1位を譲るべきだろぉ!?」
権能による心臓の痛みを我慢しながらノロノロと走っていた。あと数秒あればあのまま追い越していた彼らの背中が次第に遠くなっていく中最後まで負け惜しみを辞めない彼女は後続にも追い越されていく
権能の連続使用と元々ない体力のせいで何もしてないのにボロボロの彼女は一度止まり息を整えることを優先する
「はぁ……なんで私がこんな目にあわなきゃならない? どこまでこの世界は私に不条理を押し付ければ気が済むんだよ。そもそも事の発端はあの女のせいだ……人の話を無視するなんて信じられないよ、大悪党だ。まぁいいさ、これ以上馬鹿共に付き合う気もない。とっととゴールまで行くとしよう」
獅子の心臓を使い高速で走る彼女を視認出来るものはいない。一気に前を走る生徒達を追い越し再び先頭の緑谷達に追いつくレグルス。
もうゴール寸前の彼らを追い抜く……事はせずこの期に及んで煽り始める。
「君らは自分が特別だと思ってるんだろうけどさ、私からすればただの凡夫さ。いつまでも身の丈に合わないものを欲していつまでも満たされる事のない人生を歩んでる、憐れな生き物だよね? それに比べて私は完璧でかんせ「やかましい!! 鬱陶しいんだよこのアマ!」ぐふぉお!?」
そんな彼女に容赦なく爆破を浴びせる爆豪。だがそれが致命的なタイムロスになってしまった。
《序盤の結末から誰が予想できたー!? 今一番にスタジアムへ帰ってきたその男ー!! 緑谷出久の存在をー!?》
《障害物競走栄えある第1位は緑谷出久! 続いて2位轟焦凍! 3位爆豪勝己! 4位レグルス・コルニアスがゴールー!!!》
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薄暗い部屋の中で雄英体育祭を見ていた死柄木はそこに本来いるはずのない存在が映り困惑していた。思い出すだけで何もかも壊したくなる程のあの憎たらしい女、レグルス・コルニアスの存在に……
「はぁ? なんであのガキがここに映ってる……? なんであのガキが雄英の体操服を着てる? ……あのクソアマ……! ヴィランの癖にヒーロー面か!? どこまでもイライラさせてくれるなぁ……気に入らない、気に入らないよレグルス・コルニアス……俺はお前が気に入らない……だからオールマイトよりもまずはお前だ。お前を壊す。それから始めよう、クエストリセットだ。1からじゃなく0から……お前を壊す為に始める。まずはパーティーメンバーを集めて……そしたらレイドバトル開始だ……!」