ガイコツ海賊 作:秀沢
「ヨホホホ、性懲りも無く再び来られましたか。みっともなく、私に命乞いをするだけですよ」
ブルックの影が入ったワノ国の侍リューマは、数年前自分に敗北し逃げ去った人物を目の前にしている。
ブルックは、仕込杖を抜き戦闘態勢に入っている。
「いいえ!そうはなりません!......今までのワタシとは違います。必ず貴様を倒して影を取り戻す!そして、約束の岬でラブーンに会います!」
「ヨホホ、今度はアフロを切り取ってあげますよ」
二人が間合いに入った次の瞬間、瞬時に剣が交わった。
「ヨホホホ」
「ヨホー!」
本来同じ技量をもつ二人だが、生前のリューマの肉体が隔絶した力量差を生み出している。
「ハァハァ」
ブルックは既に体力が限界に近く、敗北を悟り始めていた。そこで、サトルの言われた通りの言葉を発する。
「デスナイト、よろしくお願いします」
「ヨホ?何を言ってるのですか?気でも狂いましたか」
「ヨホホ、今回のワタクシはいつもとは違うと言ったでしょう。ワタシは一人ではないのです。」
「オオオオァァァアアアア!!」
ブルックの発言と共に、剣と盾を備えた黒い骸骨が突然現れた。その叫びと共に部屋の大気が震える。
「何です?この怪物は?モリア様のシモベではないようですが」
「ヨホホ、言う義務はありません。」
「まぁ、いいでしょう。二体まとめて倒すだけです。」
リューマは対象をブルックからその骸骨に切り替えて、技を仕掛ける。
デスナイトも、雄叫びを叫びながら突進し、リューマが剣を構える前に吹き飛ばす。
(さすがは、サトルさんの魔法とやらでつくられた骸骨。ワタシよりはよっぽどリューマに対抗できますね)
ブルックの安心をよそに壁に突き飛ばされたリューマは立ち上がった。
「夜明歌(オーバード)・クー・ドロア」
ブルックと同じ技だが、その筋力により衝撃波となり、デスナイトを代わりに吹き飛ばす。
デスナイトはリューマの剣技を盾で防ぎながら、その高い筋力で戦っている。しかし、リューマの元からの高い筋力とブルックの技量によって、最初は優勢に見えたが、だんだんと火力不足でジリ貧になっていく。
「ヨホホホ、少し焦りましたが、やはり私の敵ではないですね。」
その言葉とともにデスナイトの体力を着実に削っていき、消滅させた。
「さて、残りは貴方だけですね。抵抗してもむなしく終わるだけです。」
「ヨホホホ!そうはなりませんとも!言ったでしょう。ワタクシは一人ではありません!」
「ハッタリですか........みっともないですね、ヨホホホ」
ブルックの反応を確かめた後、リューマはブルックの顔を目掛け突きを放つ。
〈骸骨壁〉
その突きは突如現れた骸骨の壁に塞がれる。そして、リューマは壁を構成する骸骨によって攻撃される。リューマは突然の出来事に驚愕しながらも避けるために後ろに飛び退ける。
すると、その壁がいつの間にか消滅したと思ったら、後ろにマントを着た別の骸骨が現れた。
「........何者ですか?」
そのリューマの問いかけにサトルは答える。
「こちらのブルックさんの影を取り戻すために.....お前を倒す」
敵に言葉を飾る必要もないため、ぶっきらぼうに話す。長引かせると、このスリラーバークの実力者たちが集まる可能性があるため、早めに終わらせよう。
こちらの戦闘開始の雰囲気を察したのか、リューマが連続の突きを仕掛けてきたが、〈上位物理無効化Ⅲ〉が発揮し無効化する。ブルックとの実験で分かっていたことだが、この世界でもほとんどのスキルが通用するみたいである。
「な、何ですか。なぜ......」
そう言いながらリューマは続けて斬撃を繰り返すが、何も効いていないこちらを見て戸惑っている。
(........素早くここから撤退しなければならないから。これ以上の情報収集は危険か)
もう少し、攻撃を受けて情報を集めたかったが、仕方がない。
サトルはゲームでアンデットに有効だった炎系の魔法を発動する。
〈火球〉
その魔法とともにリューマに、火の玉が放たれ全身を炎が包む。
(やっぱり、この世界のアンデットとの違いはこれだけじゃ分からないか。.....そもそも、このアンデットはモリアというやつの能力だったな。うーん)
ゲームと比較して困惑するが、思考を切り替えて集中する。
「うぉ……くぅ……」
それでもリューマは持ち前の肉体で耐えることができた。しかし、サトルは畳み掛けて魔法を発動する。
〈獄炎〉〈焼夷〉
その連続した魔法で、リューマは最後に叫びながら口から黒い物体を吐き出して、消滅した。
それとともにブルックの元に影が戻り、ブルックが動いてもそれに合わせて影がついてきている。
「おお!サトルさん!やりましたよ!.....影が戻りました!ありがとうございます!」
「やりましたね!...よかったです。では、モリアに見つかる前にここを離れましょう」
「分かりました!......では、先ほどの魔法で船に戻りましょう」
「はい。.....あの、この敵の刀は私が持ち帰ってもいいですか?」
「え、ああ、いいと思います!ヨホホホ!」
サトルはリューマの刀をアイテムボックスに収納した後、ブルックに触れ先程いた船に転移した。