ロキシー(無職転生)×ハンク(ブレイキング・バッド)完全密着ドキュメンタリー『DEA潜入!密着1週間』 作:Knockaert
2日目・アルバカーキDEA支部オフィス
AM 8:30 - 朝のブリーフィング
カメラが映すのは、アルバカーキのDEA支局の作戦室。ホワイトボードには写真が貼られ、テーブルには無線機や小型カメラが並ぶ。今日のターゲットは、バー「ツインズ」で取引を行う麻薬ディーラー。
ハンクが前に立ち、作戦概要を説明している。
ハンク・シュレイダー:
「お前ら、今日は簡単な仕事だ。バー『ツインズ』に行って、ディーラーのフアン・カストロが”ブルーメス”を売る現場を押さえる。」
ホワイトボードに貼られた写真には、がっしりした体格のヒスパニック系の男。
スティーブ・ゴメス:
「カストロはマジで危険なやつだ。メスの取引だけじゃなくて、銃も扱ってる。DEAの潜入捜査官を二人消したって話もある。」
ハンク:
「…で、魔法ガール、お前はただの観察者だ。バーに潜入するだけだ。くれぐれも余計なことするなよ。」
ロキシー・ミグルディア:
「はい、心得ています!」
しかし、この時点で彼女にはある疑問があった。
ロキシー:
「ところで…その、私の潜入用の衣装は?」
ハンク:
「は?」
ゴメス:
「いや、お前そのままでいいだろ。」
ロキシー:
「無理ですよ!どう考えてもバーに似合う服じゃないです!」
確かに、DEAのスーツ姿のエージェントたちと違い、ロキシーはフォーマルなシャツとスラックス姿。見た目が幼すぎるため、どう見ても”場違いな子供”にしか見えない。
ハンク:
「…ったく、面倒くせぇな。」
ゴメス:
「まぁ、カモフラージュのために、ちょっと衣装変えたほうがいいかもな。」
こうして、ロキシーの潜入用の衣装を探すことになった。
AM 9:30 - ロキシーの変装
DEAの機密倉庫には、捜査のために用意された変装用の服がいくつかある。しかし、ロキシーに合うものは極端に少ない。
ロキシー:
「これは…?」
ロキシーが手に取ったのは、パンク系の黒いレザージャケットとダメージジーンズ。
ハンク:
「ハハッ!似合わねぇ!!」
ゴメス:
「いや、それは流石に無理だな…」
ロキシーが試しに着てみるが、まったく似合わない。 結局、少し緩めのフーディーとジーンズという、カジュアルな服装に落ち着いた。
ロキシー:
「…これで、バーの客っぽく見えますか?」
ハンク:
「まあ…ギリだな。」
ゴメス:
「…正直、小さめの大学生にしか見えねぇ。」
PM 12:00 - バー「ツインズ」に潜入
バー「ツインズ」は、アルバカーキのダウンタウンにある寂れた酒場。 中には、見るからに怪しい男たちがたむろしている。
ハンクとゴメスは、別々に潜入。 ロキシーは壁際の席に座り、飲み物を頼んだ。
バーテンダー:
「…嬢ちゃん、ここに似合わねぇな。」
ロキシー:
「ええと、オレンジジュースをください。」
バーテンダー:
「…酒じゃねぇのか?」
ロキシー:
「…すみません、まだ21歳未満でして。」
ハンク(無線):
「おい、魔法ガール。お前、いきなり目立ってんじゃねぇか。」
ロキシー(無線):
「どうしようもありません!」
バーの雰囲気に馴染めず、明らかに浮いているロキシー。 しかし、その時…
ゴメス(無線):
「ターゲット確認。カストロが奥の席にいる。」
ハンク(無線):
「よし、待機しろ。俺たちが動くまで、絶対に動くなよ!」
ロキシーはじっと待つ。しかし、その時…
カストロがこちらを睨んだ。
カストロ:
「…おい、お前、何者だ?」
ロキシーの心臓が跳ねる。
ロキシー:
「えっ…私は、ただの大学生で…」
カストロの手下が近づいてくる。ロキシーは焦った。
ハンク(無線):
「…ったく、最悪だ。突入準備しろ!」
ゴメス(無線):
「おい、マジかよ!?」
バーの雰囲気が一変する。
PM 12:30 - バレるロキシー
依然として緊張感漂うバー「ツインズ」。カストロは眉ひとつ動かさず鋭い視線をロキシーに向けている———
カストロの手下:
「お前、どこの大学だ?」
途端、ロキシーの脳内がフル回転する。
ロキシー(心の声):
(どこかの大学名を適当に…!えっと…アメリカの大学、知識がない…!)
ロキシー:
「ア、アルバカーキ大学です!」
その瞬間、カストロの顔が険しくなる。
カストロ:
「…アルバカーキ大学は存在しねぇぞ。」
ロキシー(心の声):
(しまったぁぁぁ!!!!!そんなの調べてなかった!!!)
ハンク(無線):
「おい、バカ魔法使い、潜入が秒で崩壊してんじゃねぇか!!」
カストロの手下が近づく。
カストロの手下:
「お前、ちょっと裏に来い。」
ロキシー(心の声):
(まずい!これは完全に拷問の流れ…!)
しかし、その時、ロキシーの耳に聞こえたのはハンクの低い声。
ハンク(無線):
「作戦変更だ。突入する。」
PM 12:35 - DEA突入
バーの入口が勢いよく開く。
ハンク:
「DEAだ!!全員動くな!!!」
瞬間、店内は大混乱。カストロの手下が銃を抜き、銃撃戦が始まる。
ゴメス:
「くそっ、撃ち返してきたぞ!」
ロキシーは即座に隠していた杖を回収し握る。
ロキシー:
「なんじの求める所に大いなる水の加護あらん、清涼なるせせらぎの流れを今ここに———
『Water Ball』」
バーの天井から大量の水が降り注ぎ、銃を持っていたカストロの手下が滑って転倒!
ハンク:
「おいおいおい!!だから魔法使うなって言っただろ!!!」
ロキシー:
「す、すみません!反射的に!」
ゴメスがカストロを捕まえ、DEAの突入は成功。 しかし、問題はここからだった。
PM 2:00 - 事件後の取り調べ
DEA支局の作戦室。ロキシーは椅子に座り、目の前には腕を組んで仁王立ちするハンク・シュレイダー。
ハンク:
「お前なぁ……アメリカの法執行機関に魔法のルールなんてねぇんだよ!」
ロキシーは少しだけ目をそらしながら答える。
ロキシー:
「……でも、結果的に役に立ちましたよね?」
ハンクはテーブルをドンと叩く。
ハンク:
「そういう問題じゃねぇ!アメリカの法律じゃマジックは禁止されてねぇが、FBIにバレたらお前、最悪エリア51送りだぞ。」
ロキシーが魔法を使用した件は、すでにDEA内部で問題視されていた。
作戦中に勝手に魔法を使うのは「未確認技術の不正使用」に該当する可能性があり、規律違反として処分の対象になり得る。
ゴメスが少し困った顔をして口を挟む。
ゴメス:
「まぁ、でも、あの場面は正直助かったしなぁ…。相手の銃が使えなくなったのもデカかったし。」
ハンクはゴメスを睨む。
ハンク:
「おい、甘やかすな。これは規律の問題だ。」
ゴメス:
「まぁ、でもよぉ……」
その時、部屋のドアが開いた。
リチャード・ハート(FBI捜査官):
「おっと、“規律の問題”と聞いて飛んできたんだが…このお嬢さんかな」
ロキシーが顔を上げると、スーツ姿のFBI捜査官リチャード・ハートが立っていた。
リチャード(FBI):
「……ロキシー・ミグルディア、君は本作戦中に”未確認技術”を使用したな?」
ロキシーはピンと背筋を伸ばし、冷静に答える。
ロキシー:
「はい。でも、それは現場の判断として適切だったはずです。」
リチャード(FBI):
「君の個人的な判断ではなく、許可を取ったのか?」
ロキシーは一瞬、視線をハンクに向けた。
ハンクは腕を組み、顔をしかめている。
ハンク:
「……クソッ。俺が許可した。」
リチャードが少しだけ片眉を上げる。
リチャード(FBI):
「ほう?」
ハンク:
「あの場面じゃ、どう考えても魔法なしじゃキツかった。それに、結果的に被害ゼロで済んだんだ。文句あるか?」
リチャードは少し考え込んでから、ふっと笑う。
リチャード(FBI):
「なるほど……では、君も承知の上で”特例”として許可したというわけだな。」
ハンクが舌打ちする。
ハンク:
「……ああ、そうだよ。」
リチャードはポケットからスマホを取り出し、データベースにアクセスしながら言った。
リチャード(FBI):
「では、君の”特例許可”は正式に報告される。ロキシー・ミグルディアには”初回違反”として”軽度の罰則”を適用する。」
ロキシーが少し眉をひそめる。
ロキシー:
「……罰則?」
リチャードは冷静に言い放つ。
リチャード(FBI):
「減給だ。」
ロキシーは目を瞬かせた。
ロキシー
「……えっ?」
ハンク
「ハハハハ!!!」
突然ハンクが大笑いし始める。
ハンク:
「お前、そもそも報酬もらってねぇだろ!!減給って、オレンジジュースが1本減るってことか!?」
ロキシーは固まった。
ロキシー:
「えっ……じゃあ、私はただでさえ少ない報酬(オレンジジュース2本)が1本に……?」
リチャードが冷静に頷く。
リチャード(FBI):
「そういうことになるな。」
ロキシーはショックを受けた表情で座り込む。
ロキシー(心の声):
(……魔法を使ったら、オレンジジュースが減る世界……?)
ゴメス:
「……おいおい、かわいそうになってきたな。」
ハンク:
「いいじゃねぇか。これで『魔法を使うリスク』ってやつがよく分かったろ。」
リチャードはスマホに報告を入力しながら、念押しするように言った。
リチャード(FBI):
「次回からは、事前の許可を取ること。それができない場合、“緊急時”とみなせるかどうかはFBIの判断になる。」
ロキシーは小さく息をつきながら頷いた。
ロキシー:
「……分かりました。でも、納得はいきません。」
リチャードは少し笑う。
リチャード(FBI):
「いいかいお嬢さん。アメリカの法執行機関では、“納得”より”ルール”が優先されるんだよ。」
ロキシーは視線を逸らしながら、小さくつぶやく。
ロキシー:
「……異世界より厳しいですね。」
ハンクは苦笑しながら肩をすくめる。
ハンク:
「お前、そろそろ理解してきたか?この世界じゃ魔法よりも”おカタい手続き”の方が強ぇんだよ。」
ロキシーは、なんとも言えない表情でハンクを見上げた。
PM 3:00 - 仕事終わりの一杯
その日の夕方。ハンクとゴメスは、DEAのエージェントたちと仕事終わりの一杯を楽しんでいた。
ロキシーも連れて行かれるが、酒は飲まない。
ハンク:
「おい、お前、酒飲まないなら何するんだ?」
ロキシーは静かに答える。
ロキシー:
「……オレンジジュースで。」
ハンクとゴメスが大爆笑する。
ハンク
「ハハハ!結局それかよ!!お前、バーで注文ミスったのにまだ懲りてねぇのか?」
ロキシー:
「もう!オレンジジュースくらい自由に飲ませてください!」
周囲のエージェントたちが笑い、少しずつロキシーがDEAに馴染んでいく雰囲気が生まれていた。
しかし、ハンクは最後に釘を刺す。
ハンク:
「いいか、魔法ガール。お前は明日から“魔法なし”で動いてもらう。つまり、お前は今から普通の新人エージェントだ。」
ロキシー:
「えっ!?」
ロキシーの地獄の訓練編が始まる…。
To be continued in episode 3…