「防具無しって……えぇ……」
「いや、これ言ったら同僚にもドン引きされたんだけど、ちゃんと理由あるから。メイスちゃんも共感できると思うけど、学生の時って装備を満足に買えないでしょ。それによって攻略に足止めを食らうのが嫌だから、もともと防具じゃなくて武器にお金をかけてたんだよね。で弱い防具で攻略してたら必然的に避けるの上手くなって、防具無し縛りもできるようになったわけ」
「アキラさん、私がドン引きしてるのそこじゃない。いや、そこもだけど防具無しで攻略できてること自体がもう規格外だから」
[メイスドン引きで草]
[できるのがすごい]
[金ないから防具ケチる→わかる
避けるの上手くなる→まぁわかる
だから防具無しで攻略する→?!
パンチ足りないからもっと縛る→?????]
[才能のゴリ押しすぎるww]
「アキラさんってやっぱりすごいんだね」
「まぁ、すごいかはともかく外れ値ではあるよ。あまり参考にしない方が良いと思う」
「うん。しないじゃなくてできないけど。あ、じゃあ私から最後の質問。
ダンジョン攻略で印象深かったことを教えてください」
「色々あるけど、初めて下層を攻略した時だね」
[DFTの最前線シーカーは伊達じゃないな]
[プロハンも大概だと思うこと多いけど、この人はその中でもさらにおかしい]
[下層攻略時か]
[もっと質問ききたい]
「懐かしいなぁ。7年前くらいかな?751階層が一般に開放されて下りたら、今まで戦った階層主が群れを成してそこらを歩いててびっくりしたよ」
「え~。下層ってそんななんだ……」
「泣きそうになったね」
[あー、下層が解放されたときか]
[あれは衝撃だったなぁ。一般人にも下層の攻略許可がおりて配信者がこぞって行ったら地獄絵図が広がってた]
[ビヨンダーズビーストが群れをなして歩いてたし。お前、730階層の主だよねって]
[あれは視聴者も度肝を抜かれた]
「確かにそんな光景怖すぎ――「もう、嬉しくて嬉しくて」
「え?」
[ん?]
[え]
[あ]
[流れ変わったな]
「階層主のリポップって時間かかるから。10thとかだったらリポップに1日かかるでしょ。日によっては他の人に倒されてることもあったからあまりのマラソン効率に最初は感動したなぁ。まぁ、やってたらさらに下層はもっと旨いって気づいてどんどん攻略進めるんだけど」
「ははは……」
[知ってた]
[発想が人外のそれ]
[もう笑うしかないよ]
[7年前ってメイスと同じ16歳でしょ。どう育ったらそうなるんだ]
「じゃあ、ここからは私と同じSDSのストリーマーに質問を募集してみました!みんな切り抜きを見てくれたみたいで、一杯聞きたいことがあるみたい」
「それは嬉しい。見てくれてありがとうございます」
「じゃあ、一つ目の質問。どうやったら強くなれますか?」
「一発目から大雑把な質問だね」
[大雑把だなぁ]
[聞いてみたい]
[防具無しで攻略しろとか言いそう]
「これは明確な答えがあるよ」
「え、本当?」
「強い装備をそろえること。これが確実だね」
「えー。そりゃそうだけど~」
「ダンジョン内での人の強さは装備の強さ。どれだけすごいプロハンターやシーカーも装備が弱ければ下層を潜ることは絶対にできないから。実際、メイスちゃんと戦った時も装備がなくなったら一気に苦戦したでしょ?それだけ私たちは装備に依存していることは認めないといけない」
[と防具なしの人が言っております]
[うーん。実際言う通りなんだけど前の話のインパクト的に説得力がなぁ]
[メイスとも苦戦しつつもなんだかんだ勝ってるし。絶対装備以外の強さもあるよな]
「じゃあ、お金持ちが必然的に強くなるってことですか」
「まぁ、そうだね。ダンジョンに入ったことがない素人でも強い装備なら700層くらいまでは楽勝なんじゃないかな」
「えー、それなら私が下層に到達するのなんて無理じゃん」
「そんなことないよ。メイスちゃんに限らず誰もが下層まで攻略できるようにダンジョンは作られてる。
これはあくまで持論だけど、ダンジョン攻略をハクスラ系じゃなくてバトル要素のあるシミュレーション系だと認識した方が良いと思う」
「ハクスラ系?」
「ハック&スラッシュ。ゲームのジャンルで主に敵倒して装備集めて自分を強くしていく感じのスタイルのこと。私も最初は敵を倒しながら強くなるのがダンジョンの肝だと思ってた。言うならばいかに理想の装備、理想のスキルをゲットして強くなれるかが大事だって。けどある時から、いかに最悪を回避するか、不測の状況に対応するか、長期的に現状装備のリソースを保てるかの方がダンジョン攻略では重要なんだって気づいた」
「なるほど……」
「だから、お金持ちじゃないと下層にいけないは間違いだね。下層に行けるようリソース管理をしないといけないが正解かな。実際、私は学生中に行けたしね」
「うん!アキラさん、ありがとうね。私頑張ってみる」
[アキラさん、結構ゲームする感じなんだな。分かりやすい例えだ]
[かなり的を得てると思う。アマチュアのハンターとかは何の素材を売って、何を武器にするのかとか。ロストしたとき、どう立て直すかとかの見定めが重要って聞くし]
[メイスはまだ学生だしそこらへんは難しいよなぁ。個人勢から企業勢になって攻略感覚が変わったのもあるだろうし]
[メスガキが時折みせる年相応の女の子の反応からでしか得られない栄養がある]
「じゃあ次の質問。得意武器は何ですか?」
「うーん。特にないかな」
「一つくらいあるんじゃないの。最初に使っていた武器とか」
「あー強いて言うなら全部かな」
「全部?」
「うん、全種類の武器」
「はい、ということでアキラさんは人類を超えたモンスターということが分かったわけだけど――」
[締めに入ってるww]
[驚きすぎて慣れてきたな]
[参考になるのかならないのか分からなくなるな、この人]
「ちょ、ちょっと待って。これって割と普通だから!シーカーは基本的にどのような状況、モンスターにも対応できるよう一通り武器が扱えるよう訓練するの。プロのシーカーであればあるほど、選択肢を狭めないよう得意武器を作らないんだよ」
「えー、本当にシーカーって基本的にそんな感じなの?」
「まぁ、プロはね」
「こわー」
[こんな化け物がゴロゴロいるのシーカー怖すぎる]
[現役シーカーですがそんなことないです。おそらく最前線だけです]
「じゃあ次の質問、アキラさんは――……」
…………
……
…
序盤に戦ったボスが物語終盤あたりに通常モブとしてマップに配置されてるのインフレ感じていいよね