私は引き金を引き蛇系の
蛇は顔に当たる直前に再び地面へと潜り体を隠した。
何発かは体に当たるが、強靱な鱗によってはじかれしまう。
完全に地中に身を潜めた蛇に向かって【探知】スキルを発動させ、なんとなくの位置を把握する。こちらに向かってきている。引くか迎え撃つか。いや、跳ぶ。
私は前方の右壁に向かって跳躍。そのまま壁を蹴り天井、左壁へと前進しながら空間全体を駆ける。
すれ違う直前、蛇は地中から飛び出し私に食らいつこうとするが、私は再び壁から壁へと跳躍しながら発砲した。
しかし、再び鱗に弾かれたため咄嗟に照準を開かれた口内へと変える。
被弾した蛇は苦しみ血を吐き出しながら再び地中へと潜っていった。
《何が起こってるか全然分からん》
《どっちも早すぎる》
《あまり効いてないっぽい?目を狙うとかいいかも》
確かに、硬い鱗を持ったモンスターに対して眼を狙うのは良い戦法だ。
しかし、蛇もそのことは分かっているだろうし、先ほどの攻撃によって警戒度を上げたはずだ。そう当てさせてくれないだろう。
だから、より確実な方で行く。私はマガジンを落とし新しく付け替える。
「竜甲弾」
蛇が尻尾を振り回して攻撃してくる。私は尻尾に向かって照準を合わせて引き金を引いた。
バンッという先ほどまでの銃撃とは桁違いの発砲音が響く。
銃弾は鱗を易々と砕き肉をえぐりながら振り回していた尻尾を衝撃で退かせた。
《すげぇ!》
《効いてる!》
蛇はうめき声を上げるが即座にこちらを警戒するよう低い体勢を取った。
「いや、肉が治る独特な匂いがする。おそらく【再生】スキル持ち」
再び銃口を向けると、蛇は地中へと潜っていった。
駄目だ。傷を負わせることはできても、地中に逃げて回復できる蛇にはこの武器は決定打にならない。
私は後退しながら【アイテムボックス】から武器を入れ替える。
「銃が駄目なら叩き潰す」
そして身長ほどある大型のハンマーを取り出した。
《ハンマー?!》
《でかい!》
蛇が周囲から尻尾を出し締め付けようとしてくる。私は真上に跳躍することで回避しながら、体をひねらせ片手でハンマーを振るった。側面部に当たった蛇は衝撃で壁まで吹っ飛ぶ。当たった部位の鱗にはひびが入っていた。
《大型武器は取り回しが悪いから当たりにくくなるかと思ったけどそんなことなかった》
《何でハンマーを片手剣みたいにふれるんだ》
「やっぱり地中へと潜るにはラグがある。なら打撃の衝撃を和らげることはできない」
私は蛇のいる方向へと距離を詰める。蛇は再び尻尾だけを外に出し振り回してくるが、ハンマーを当てて弾き飛ばし、その反動で側面の壁へと移動した。
私は再びハンマーで壁を叩きその反動で反対側の壁へと移動、そして再びハンマーで壁を叩き――というのを何度も繰り返し空間を縦横無尽に移動する。
そして逆さになりながら天井に着いたとき、蛇が再び顔を出し私に向かって突進する。角を私に突き刺すつもりみたいだが、私は靴の魔法を起動させる。
すると、足が張り付き私は天井で一度静止し、天井をけり地面へと勢いよく落下する。
静止した時間は一瞬だけ。しかし、ここでの戦いはその一瞬のずれが勝敗を分けることもある。
蛇の攻撃をかいくぐるように避けながら、ハンマーで蛇を地面へと叩きつける。
鱗と骨が砕ける音がした。
蛇は再び地面へと潜り始めるが、逃すほど私も馬鹿じゃない。
「起動」
蛇を押さえつけていたハンマーの打撃面から巨大な杭が射出される。これがこの武器の真骨頂。パイルバンカーハンマーだ。
杭は地面に潜りかけていた蛇にまで届き易々と胴体を貫通する。衝撃で地面が割れ壁を含め当たりにひびが入った。
蛇は首と胴体が離れ動かなくなる。
《うおおおおおおお》
《すげぇえええええ》
《パイルバンカーーーーーー!》
《貴公、分かっている人だな》
《浪漫武器でとどめさすとか最高!》
私はハンマーをしまい銃を取り出し蛇の死体へと発砲する。反応がないため完全に死んだようだ。
《死体撃ちしてるww》
「死体撃ちかとおもうかもしれないけど、重要なことだよ。特にここら辺の奴らは脳じゃなくて魔力で体を操るから、魔力が残ってれば動き出すなんてざらにある」
《マジかよ・・・・・・》
《こわー・・・・・・》
すると次第に蛇の体が消滅していき、大量の鱗と牙がその場に残った。
「
私は周囲を警戒しながらアイテムを拾い【アイテムボックス】へと入れていった。
《階層主は倒さないんですか?》
《もっと戦闘みたい》
「
《なるほどー》
《さっきの武器もう一回みたいです》
《パイルバンカー付きハンマーはどこで売ってますか》
「あれは特注で――」
私は視聴者の質問に答えながら帰途についた。
●
初配信から1週間が経った。
毎日配信を続けている結果、順調に視聴者数は伸びている。現在登録者は100人弱。それに対して配信の視聴者は30人程度でコメントしてくれる人は10人程といったところか。
正直、かなり異質な比率だと思う。
他の配信者と比べて登録者に対する視聴者数の割合が多いし、コメントをくれる人の割合も多い。
それだけ私の配信を見たいから登録してくれる人が多いのだろう。
ただ、今は順調に視聴者数が伸びているが、それも近々限界が来るはずだ。私の配信を新しく見てくれる層は、800階層という滅多に配信されない低階層を見たい人か、マイナーな配信者をあえて見る好き者のどちらかだろう。
当然そんな人は決して多くない。本気で人気になるためには一般層の視聴者にも見てもらう必要がある。方法は大まかに二つ。
一つはSNS運用によるバズり。他のSNSや動画投稿サイトなどでバズることで、配信に誘導することだ。これはすでに準備を進めている。動画編集自体は本業でも自身の動きを見返すときにやっているので、そこまで時間はかからなかった。これまでの配信から見所となる戦闘シーンをショート動画としてコンスタントに投稿していく予定だ。
そしてもう一つこそが大本命。いわゆる個人勢が人気をえる王道ルート。
有名配信者との偶発的なコラボだ。
私は携帯を取り出し仕事仲間にメッセージを送った。
『ケヴィン、600~650までの攻略データを送ってほしい』
攻略法は決まった。後は試行回数だけだ。
次回は掲示板回