悪虐少女は自由に生きる 作:卓球さん
公安の管理下に入ってから、1年が経過した。
6歳になった俺は、相変わらず公安の監視下で暮らしているが、以前ほど厳しくはない。監視カメラはあるが、四六時中張り付かれるわけでもないし、俺が自由に使える時間も増えた。それだけ個性を「制御ができてる」と思われているのだろう。上々だ
個性訓練の成果は出ているのでそれを盾にして、必殺幼女の我儘を使いスマホを貰った。正直GPSとか色々ついてそうだがないよりマシだ。
……母親とも電話したりしてる
正直訓練は割と辛い。ため息をつきながら、俺は今日の訓練に向かうため、公安の訓練場へと向かった。
公安の訓練場に着くと、すでに教官が待っていた。
「涼子、準備はいいか?」
「うん! 今日も頑張るよ!」
俺は無邪気な笑顔を見せる。公安の連中を油断させる演技にも、もうすっかり慣れた。彼らは俺を「従順な駒」にするつもりらしいが、そんな思い通りにはさせない。原作の部分が終了したら逃げようかな?
ちなみに今日の訓練メニューはこうだ。というか大体毎日これだ
基礎体力訓練(ランニング&筋力トレーニング)
個性持続力強化(長時間水を出し続ける)
瞬発力&威力向上(水圧攻撃・水弾の精度アップ)
こんな地味な訓練を毎日やってるんだからおかしくなりそうだ
しかし、せっかくの訓練なので『不可能を可能にする個性』の消耗が少ない使い方を探っている。しかし訓練では『水の個性』以外使えないため、その中で工夫を重ねている。この1年でいろいろ試し、この『個性』も少しは分かってきた。どうやら、しっかり不可能なことを頭で思考してから使うことによって消耗を減らせるようだ。しかし、戦闘で何が『不可能』なのかをいちいち考えるのはかなり難しいはずだ。思ったより使いづらい個性かもしれない。それと、流石に『不可能を可能にする個性』では長すぎると感じたため、『個性名』を考えてみた。これは厨二センスが光る場面…!候補は2つあり、『理外(アウトロー)』と『無理通し(インパッシブル)』だ。この2つで迷っている
ヒロアカ世界っぽい感じなら個性からしても間違いなく『無理通し』だが、俺は普通の個性ではないため、特別感のある『理外』もありだと感じている。
………苗字と同じ漢字が一文字入ってるのがこだわりポイントだ
そんなことはともかく、最初は基礎体力訓練だ。
俺はトレーニングウェアに着替え、公安の施設の周りをランニングする。
「はぁっ……はぁっ……」
まだ6歳の身体とはいえ、俺はすでに普通の小学生よりはるかに体力がある。個性の負荷に耐えられるだけの体を作らなければ、いざという時に動けなくなる。しかし、走るのは辛い。前世も走るのは嫌いだった気がする………。ひょっとしてグータラしてた前世より、今の俺の方が速いんじゃないか?
公安の教官がストップウォッチを持って俺の走りを見ている。
「ペースを一定に保て、涼子。長時間の持久走ができるようになれば、戦闘時の体力配分も改善される」
「はーい……っ!」
くそっ…!脇腹が痛い…!血の味がする…!ぜってぇ公安の駒になんかなんねぇからな…!!
約5kmのランニングを終えた後、今度は簡単な筋トレを行い次の訓練に移行する。
次に行うのは、手のひらから水を長時間出し続ける訓練。特筆すべき点はない
最初は3分が限界だったが、今では15分間連続で水を出せるようになった。これは意識の変化も加わっていることもあるのだろう。しっかり『手のひらから水を出し続けるのは不可能』だとずーーっと考えながらしている。
「よし、十分だ。次は瞬発力の強化だ」
ここからは攻撃技の強化だ。
「ターゲットを破壊しろ」
目の前に、金属製の的が設置される。公安は私の「水の圧力」に期待しているらしく、高圧水流で物体を破壊する訓練をよくさせる。でも金属は初めてだ…。
「いくよ!」
俺は指先を的に向けると、水を極限まで圧縮して発射する。
シュバァッッ!!!
水流が一直線に放たれ、的の中央に命中する。少し凹んだが、破壊まではいかなかった。
「水圧がまだ足りん。もっと力を入れろ」
あぁ!?
「……わかった!」
めんどくせぇな。どうせ銀行強盗の件で多少はバレてんだ。少しくらい良いだろ…!!
指先に力を込めた瞬間、空気がピンと張り詰める。『鉄を砕くほど細く鋭い水』――俺の願いは、それだけだ。そして――
ズバァン!!
今度は的が粉々に割れて吹き飛んだ。
訓練場にいた教官たちが、一瞬動きを止める。
俺の放った水弾が、「金属でできた」的を粉々に砕いていた。
「……は?」
あぁ、この感じ…!……さいっこう!!!
「お前……本当に6歳か?」
俺は満面の笑顔で答える。
「6歳の女の子です!」
俺は無邪気に答えたが、教官や他の公安たちはすでに別の話を始めていた。
「……データを再チェックするべきだな」
「凄い逸材になるかもしれない」
……あれ? ちょっとまずかったか?
俺は平静を装いながら、内心で苦笑した。
こうして俺の1日は終わっていく。
訓練を終えた私は、汗だくになりながら自室へと戻った。
この1年で、私は確実に強くなった。公安の監視下にいながら、自分の力を最大限に引き出す方法を学びつつある。正直6歳の幼女としては考えられないくらい強い気がする。鉄の的を破壊する幼女とか嫌だろ。
…………仮免とかワンチャン受かるんじゃね?
そんなことはともかく、俺は…そう、6歳になっていた。今は3月後半。ついに小学生だーー!!!思えばここまですごく長かった気がする。あの最初の激動の2週間から1年ちょい。母親、レディ・ナガン、公安……。思い返せば沢山の思い出が蘇る。
「……普通の子供として、やっていけるのかな?」
少しの不安と、公安から解放される喜びを噛み締める
この世界を遊び尽くすための訓練は終わった…!自由に遊ぶぞ…!!この世界を!!!!
公安の訓練で出た汗を流すためシャワーを浴びた俺は、新しく支給された洋服に着替える。シンプルな白いワンピース。公安の奴らが選んだものだが、まあ悪くはない。しかしいまだにこの幼女ボディーは見慣れない。なんだか気恥ずかしくなってくる
「それにしても、いよいよか……」
カーテンの隙間から外を覗くと、すでに公安の黒塗りの車が待機している。そう、今日は俺が静岡に引っ越す日だ。
公安の施設での暮らしも長かったが、これからは「ひとり暮らし」という名目で、新しい家で生活することになる。監視カメラ付きのな。公安の管理下から完全に抜け出せたわけじゃないが、少なくとも自由度は格段に上がる。
「涼子、準備はできたか?」
公安のスーツ男が部屋の前で声をかける。
「うん!」
俺はせっかくなのでランドセルを背負い、用意されたスーツケースを引いて玄関へ向かう。公安の施設の前には、俺を迎えに来た車が待っていた。
「じゃ、行こっか!」
いつもの公安のスーツ男2人と車に乗り込む。扉が閉まり、車が静かに発進する。 ちっ…こっちによるなよ、離れてろ
東京の公安施設から静岡の新居までの道のりは、正直そこそこ長い。
車の中では、公安の男たちが雑談していたが、俺は幼女らしい返事を適当に相槌を打ちながら窓の外を眺めていた。
「ついに静岡か……」
俺の新しい舞台。ここでどう立ち回るかで、今後の人生が大きく変わる。公安の監視をかいくぐりつつ、普通の子供として振る舞い、必要なら"自由"を手に入れるために動く。
俺が通う小学校には原作キャラはいないのだろうか
公安の連中がどう動くかはまだ分からないが、少なくとも小学校生活を楽しむフリはしないとな。
そんなことを考えているうちに、車は静岡の住宅街に入っていった。
「おい、そろそろ着くぞ」
公安の男がそう言うのを聞いて、俺は興味津々で窓の外を眺めた。
「…………え?」
目の前に広がる光景に、思わず目を疑った。
ピンクと白の“異様な”家
「……何これ?」
車が停まった場所には、白とピンクの異様なまでに可愛らしい家が建っていた。
外壁のほとんどは白だが、窓枠やドア、屋根の一部、さらにはフェンスまでもがピンク。 まるで少女向けアニメに出てくるようなメルヘンなデザイン。
「公安……また…またなのか……。」
「おい、涼子。降りるぞ」
公安の男が車のドアを開ける。俺は唖然としながら車を降り、目の前の家を見上げた。
「うわぁ……」 絶望
公安の連中、絶対俺で遊んでるだろ。公安の施設の部屋もピンクだったが、まさか家までピンクとは。明らかに周りの家と比べて悪目立ちしている。ご近所付き合いとかどうすんのよ。
「……はぁ」
俺は肩を落としながら、公安の男たちと共に家の中に入った。
内装もピンクと白で統一されている。
リビングにはピンクのソファ、白いテーブル、壁紙には可愛らしい花柄のデザイン。寝室を覗けば、そこにはふかふかのピンクのベッドと、大小さまざまなぬいぐるみが並んでいた。子供部屋が家を侵食してるみたいだ
「………………」
俺は静かに、公安の男たちを振り返った。
「ねぇ、これ……誰がデザインしたの?」
「備品担当が選んだものだ」
「備品担当………っ!!!!!」
「…そんなにピンク色は嫌か?」
公安の男たちは苦笑いしながら、俺の新しい家の説明を始めた。
「監視カメラは各部屋に一台ずつ設置されている。ただし、プライバシーのため浴室、トイレにはない」
「生活費は公安が支給する。日用品の買い物は自由にして構わない」
「学校生活に必要なものはすでに揃えてある」
「既に中学生レベルの知能がある涼子なら1人でも暮らせるだろう」
俺は説明を聞きながら、部屋を見渡す。
まぁ……ピンクなのはアレだけど、広さは十分だな
前世ではワンルームの一人暮らしだったけどだいぶ進化したな……
公安の管理下ではあるものの、今までよりはるかに自由な生活ができそうだ。
そして、いよいよ――
俺の小学校生活が始まる。
入学式当日。俺は白いブラウスに紺のスカートを履き、指定のランドセル(ピンク色)を背負って学校へ向かった。
校門の前には、新入生とその保護者たちが集まっていた。
……普通の小学校って感じだな
校門をくぐると、さっそく周囲の視線を感じた。
「ねぇ、あの子見て!」
「あの子、すごいかわいくない?」
「髪の色、すごい綺麗……」
案の定、俺は注目を浴びていた。
水色の髪と瞳。小柄な体型。綺麗に整えられた顔立ち。
6歳児とはいえ、俺の容姿はこの世界で「可愛い部類」に入るらしい。
まぁ、悪い気はしないけどな
俺はにっこり微笑みながら、教室へ向かった。
–––––––––––これからの、明るい未来を想像して俺は最高の気分だった
………………………
………………
………
「涼子ちゃん、みんなでおままごとしよう!」
「……え」
俺は一瞬、言葉を失った。
「じゃあ涼子ちゃんはお母さん役ね!」
「……」
公安の訓練なら、俺は本気で頑張れたのに。ここでは、"お母さん"を演じなきゃいけない。
「ご、ごはんできたわよ〜」
「もっとお母さんっぽく言って!」
「…………」
俺は小学校というのを舐めてたみたいだ。
入学式から、数日が経った
激動のおままごとを終えて、家に帰ってきた俺はピンクと白の見慣れた部屋のベッドにダイブした。
「はぁ~~~……疲れた……」
疲れた理由は訓練でも、引っ越しでもない。小学校があまりにもつまらなかったからだ。
「はぁ……原作キャラいねぇし……強くもなれない…」
公安の訓練の方がまだ刺激的だったんじゃねぇの? ってレベルで、学校生活は俺にとって完全に「退屈」だった。
まず授業。簡単すぎる。
公安では頭脳面の訓練もあり、前世の知識を持っている俺は手を抜きつつ中学生レベルの範囲まで勉強を終わらせていた。それに比べて、小学校の授業は「ひらがな」や「たしざん」。
「……俺、今さらの"ひらがなの書き方"とか習わなきゃいけねぇの?」
もう笑うしかない。
しかも、先生は俺のことを「お勉強が得意なのね~」とか言って褒めてくるが、違うんだよ。俺は得意なんじゃなくて元々できるだけなの!!なんなら微分積分とかも知ってるんだよ!!!
次に、クラスメイト。
……正直、うざい。
いや、悪い奴らじゃない。俺が可愛いってだけでチヤホヤしてくれる純粋な子供たちだ。そう………純粋な6歳児どもである
「涼子ちゃん、お昼ご飯一緒に食べよ!」
「ねぇねぇ、放課後遊ばない?」
「おままごとしよ〜!」
「涼子ちゃんの髪、すごく綺麗~!」
こんな調子で、俺の周りには常にガキがいる。幼女は可愛いし、そこだけは癒しポイントだ。
いや、そこは嬉しいよ? 嬉しいけどさ……
知能が違いすぎる…!!!!
小学校という "社会" に適応するためには、このガキどもと同じレベルの思考に見せかけなきゃいけないのか……。
正直、公安の方がまだ気楽だったかもしれない。
俺は小学校に来る前、「ここで自由に遊ぶ!」とか「楽しい学園生活を!」とか思ってたけど……
「マジでつまんねぇ……」
––––––俺は枕に顔を埋めて絶望していた
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小説書くの難しい…