悪虐少女は自由に生きる   作:卓球さん

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こんにちは。やっとこの5話を書けたのでとても楽しいです


悪魔、主人公に出会う

 

 

 

あれからまた1年の月日が流れた。俺も立派な小学2年生だ

静岡のピンクハウスでの生活にも、流石に慣れてきた。毎日自炊したり洗濯したりするのは結構面倒臭い。

家には監視カメラもあるが、前より自由度は高い。公安の連中も俺が「制御できる幼女」だと安心しきっているらしい。

 

まあ、しばらくはおとなしくしてやるよ。今はまだ、逃げる時じゃない。

 

でも……この生活、 刺激が足りねぇ!

 

小学校生活は正直つまらん。公安の訓練に比べたら、授業なんてお遊びだし、クラスメイトもただの子供たち。

たしかにチヤホヤはされるけど、それもすぐに飽きた。

 

それに、 原作キャラがいねぇ!!!

 

緑谷も爆豪も、1年A組の連中も、ここにはいない。

「俺は一体、何のために小学校に来たんだ?」と、何度思ったことか。

 

だから俺は、公園巡りを始めた。

 

目的は二つ。

一つは、 原作キャラを探すこと 。

そしてもう一つは、何か面白いことがないか探すこと。……ヴィランに絡まれたら俺の遊び相手になってもらうつもりだ

 

放課後、俺は毎日のように静岡の公園を巡って歩いた。

「もしかしたら、どこかで"あの二人"に会えるかもしれない」という淡い期待を抱きながら——。

 

そして、ついにその日は訪れたんだ。

 

その日も俺は、放課後にいつものように公園を歩いていた。

気まぐれに道を歩いている時——視界の端に、どこかで見たことあるような"金髪のガキ"が映った。

 

……あれ?

 

公園の砂場。

そこにいたのは、爆豪勝己 。

そして、そのそばには…… 緑谷出久の姿もあった。

 

マジか!!

 

心の中でガッツポーズをする。ついに見つけた。

 

爆豪と緑谷、そしてその周りに何人かのガキどもが集まっている。

どうやら、みんなで何か遊んでいるようだった。

 

俺は気配を消しながら、少し離れた場所で観察を始めた。

心臓がバクバクと、凄い音を立てて動いている

 

 

 

「なぁデク、お前これできんのか?」

 

爆豪が、少し挑発気味に言った。

指差したのは、公園のジャングルジム 。

 

「え、あ……うん、やってみるよ!」

 

緑谷は笑顔で答え、ジャングルジムによじ登る。

……が、途中で手が滑ってあっさり落下。

 

「っ!!」

 

緑谷は砂場に尻もちをついた。

 

「……やっぱダメじゃねぇか!」

 

爆豪が 「ケッ」 と鼻を鳴らしながら笑う。

周りのガキどもも 「あーあ、やっぱり〜」「無個性のデクには無理だよー!」 なんて言い出す。

 

……うーん。

 

これは、いじめってほどじゃない。だが見てていい気分じゃないな

でも、明らかにひどいなって思える行為ではある。

……これが後のいじめに発展していくんだろうなぁ

 

俺は思わず 「はぁ〜……」 と溜め息をついた。

 

 

「……おい、お前ら何やってんの?」

 

ズカズカと歩み寄り、喧嘩腰でそう言い放つ。

 

「……は?」

 

爆豪が振り向く。

 

「はぁ? 誰だテメェ」

 

「水理涼子。そっちは?」

 

俺は腕を組んで爆豪を睨みつける。

 

「はぁ!? なんでテメェに自己紹介しなきゃなんねぇんだよ!」

 

「えー?そんなに名前言うのが恥ずかしいの? そっかそっか〜、じゃあ"ボサボサ頭"でいいや」

 

「……っ!!」

 

爆豪の眉間に ピキッ と青筋が浮かぶ。

 

「オイ、ナメてんのかテメェ!!」

 

「別に。ただ、お前さっきから感じ悪いなーって思っただけ」

 

「はぁ!? 何がだよ!!」

 

「何がって……あの子がジャングルジムから落ちた時、普通心配するもんじゃね?」

 

「っ……」

 

爆豪が一瞬、黙る。

 

「なのに笑ってたよな、お前。そっちの取り巻きも」

 

取り巻きのガキどもが気まずそうな顔をする。

 

「別にいいじゃん、できなくたって。お前らは何?出来ないヤツはバカにする主義?」

 

「……」

 

「だっせぇ」

 

俺がそう呟いた瞬間、 爆豪の表情が険しくなる。

 

「……オイ、てめぇ」

 

爆豪が、ギロッと睨んでくる。

 

「俺より強ぇのか?」

 

「は?」

 

「俺より強ぇなら、言いたいこと言っていいぜ」

 

「……はぁ?」

 

こいつ、こんなに好戦的なのか……。なんていうか、高校生爆豪よりちょっと単純な感じだな。面白い…この時期の爆豪ってこんなに面白いのか…!

 

俺は呆れながらも、ニヤリと笑う。

 

「ま、やってみりゃわかるんじゃね?」

 

「……ほぉ?」   

【挿絵表示】

 

 

爆豪の目が ギラリ と光る。

 

——面白くなってきた。

 

その場の空気がピリつく。

周りのガキどもが 「ケンカ!?」「マジ!?」 とザワつき始める。

 

「や、やめようよ……!」

 

緑谷がオロオロしながら止めに入る。

 

「……っち、いいとこだったのに。」

 

俺は肩をすくめる。まあそういうのは緑谷の良いところでもあるからな

 

「まあ、お前と遊ぶのは"今"じゃなくてもいいな。」

 

爆豪は 「チッ……」 と舌打ちをする。しかし…

 

「……おもしれぇ」

 

その瞬間——爆豪の顔にニヤリとした笑みが浮かんだ。

 

「お前、気に入ったわ」

 

「は?」

 

「気に入ったわ」と言った爆豪は、ニヤリと笑いながら腕を組んだ。

 

「ま、また会ったら遊んでやるよ、水理涼子」

 

俺も自然と笑みを浮かべる。

 

「ふぅん? まぁ、お前が逃げなきゃな?」

 

「はぁ!? 誰が逃げるかバァァァカ!!」

 

爆豪は顔を真っ赤にして叫ぶ。まるで子供だな……いや、子供なんだけど。

でも、その単純でわかりやすい性格…結構好きかもしれない。

 

「……ね、ねぇ……」

 

突然、緑谷が俺に話しかけてきた。

 

「あの……さっきは助けてくれて、ありがとう……」

 

「んー? まぁ、別に助けたつもりはないけど?」

 

俺は肩をすくめる。

 

「ただ、見てて気分が悪かったから口出ししただけだし」

 

「それでも……その、嬉しかった……!」

 

緑谷はそう言って、ニコッと笑う。

なんだろう、この純粋な感じ。妙に眩しいな……。つーか緑谷顔、結構可愛いな…

 

「おい、デク!!」

 

爆豪が乱暴に緑谷の肩を掴む。

 

「オマエ、そいつに媚び売ってんじゃねぇぞ!」

 

「え!? そ、そんなつもりじゃ……!」

 

「デクのくせに、いっちょ前に感謝してんじゃねぇよ!!」

 

「おいおい、またそれかよ」

 

俺は呆れたように爆豪を見つめる。

 

「そんなに『デク』って呼ぶの好きなのか?」

 

「はぁ!? 事実だろ!?」

 

「出来ないから…木偶の坊だから"デク"……とかそんな感じ?」

 

爆豪が不機嫌そうに睨んでくる。

 

「……確かに、こいつはお前より運動とか出来ないし……無個性なんだろ?」

 

緑谷がビクッと体をこわばらせる。

 

「けどさ、それってそんなにバカにすることか?」

 

「っ!!」

 

爆豪の表情が一瞬だけ曇る。

 

「別にいいじゃん。できないことがあるなら、それをどうにかするのが人生ってもんだろ?」

 

「チッ……! うるせぇ、クソガキ!!」

 

「お前もクソガキだろうが。」

 

俺がそう言うと、周りのガキどもがクスクスと笑い出す。

 

「勝己が負けたみたーい!」

 

「くっそー!! うるせぇぇぇ!!」

 

顔を真っ赤にした爆豪は、俺を睨みつけた後、 「またな、クソガキ!」 と叫んで走り去った。

 

「……あれ、これ爆豪に勝ったことになってるの?」

 

呆気に取られながら呟くと、緑谷がクスクスと笑った。

 

「水理ちゃん、すごいね……! かっちゃんにあんな風に言い返せるなんて!」

 

「……まぁ、私も結構言いたいこと言うタイプだからな」

 

俺は鼻をこすりながら、ニヤリと笑う。

 

「それにしても、お前もすごいよな」

 

「え? ぼ、僕が?」

 

緑谷が目を丸くする。

 

「そう。お前、さっき落ちたのに、すぐにまた登ろうとしてたじゃん?」

 

「……っ!」

 

「普通、落ちたら怖くなってやめるもんだと思うけどな。」

 

「……だ、だって……僕、諦めたくないから……」

 

緑谷がぎゅっと拳を握る。

 

「かっちゃんみたいにはできなくても……僕にだって、やれることはあるって……そう思いたいから……!」

 

……あぁ、こいつすげぇな

 

俺は小さく笑って、緑谷の頭をポンポンと撫でた。

 

「……なぁ、お前…ヒーローに必要なものって何だと思う?」

 

「え!?えっと……その……」

 

「諦めない不屈な心だよ」

–––––そう、不敵に笑顔を浮かべて言う

 

「オールマイトが諦めたところをみたことはあるか?」

 

緑谷はハッと息を呑み、目を大きく見開いた。

 

「……オールマイトが……諦めたところ……?」

 

俺の問いを繰り返すように呟く。その瞳は、まるで答えを探すように揺れていた。これが進化してあのブツブツになるのかな

 

「ないよな?」

 

「……うん、ない……!」

 

「だろ? だからお前のその根性、結構ヒーロー向きなんじゃねぇの?」

 

俺はニヤリと笑いながら、緑谷の頭を軽くポンポンと叩く。

 

「でも……僕、個性もないし……」

 

「はぁ?個性がなくたってなんとかするのがヒーローだろ?」

 

俺の言葉に、緑谷は再び息を呑む。

 

「例えばさ、お前が誰かを助ける時に、"個性がないから無理"って言うのか?」

 

「っ!」

 

「……僕は……」

 

緑谷は拳をぎゅっと握りしめ、真剣な顔で考えている。

 

「……僕は……どんなに無理そうでも……助けたいって、思う……!」

 

「なら、それでいいんじゃない?」

 

俺は肩をすくめる。

 

「お前は、お前のやり方で"ヒーロー"目指せばいいんだよ」

 

「……!」

 

緑谷の目が、少し潤んでいるように見えた。

 

「水理ちゃん……僕、頑張るよ!」

 

「まあ、好きに頑張れよ」

 

俺はそっけなく言いながらも、心の中で「いい感じに原作通りに育てよ?」と密かに期待する。

 

「……あ、そうだ」

 

緑谷は何かを思い出したようにポケットをゴソゴソと探る。

 

「これ……!」

 

そう言って、小さなヒーローグッズを取り出した。オールマイトのストラップだった。

 

「これ、僕のお気に入りなんだけど……水理ちゃんにあげる!」

 

「……え?」

 

「さっき助けてくれたお礼……! それに、水理ちゃんの言葉、すごく勇気が出たから……!」

 

緑谷は少し照れくさそうに微笑みながら、俺に差し出してくる。

 

「……ふぅん」

 

俺はそれをじっと見つめる。

ヒーローにはなれないと知りながらも、諦めない。

それでも、誰かを助けたいと願う。

 

「お前、オールマイト好きなんだな」

 

「うん! だって、オールマイトみたいなヒーローになりたいから……!」

 

緑谷の純粋な目。

俺は小さく笑って、そのストラップを受け取った。

 

「……ありがと」

 

「えへへっ!」

 

緑谷は嬉しそうに笑う。

 

–––––俺の知っている原作の緑谷出久が、今、目の前にいる。

この世界が原作通りに進むかどうかは分からないが……

少なくとも、こいつが"ヒーロー"を諦めないなら、きっと物語は動いていくんだろう。

 

「じゃ、そろそろ帰るわ」

 

俺はポケットにストラップをしまいながら言う

 

「えっ、もう帰っちゃうの?」

 

「ああ、そんな暇じゃないからな。……でも、ストラップのお礼にいいもん見せてやるよ」

 

「え?…いいものって?」

 

手のひらからふわふわと水を出していく

水はまるで意思を持つかのように宙を舞い、形を変えながら大きく膨らんでいく。

 

「えっ……なにこれ……!?」

 

緑谷の目が驚きに見開かれる。

 

「ふふん……いいもん見せてやるって言ったでしょ?」

 

俺は得意げに笑いながら、水をさらに形作っていく。

オールマイトの姿を、等身大で――。

 

『水の彫刻』

 

水は流れ続けながらも、形を維持し、次第に見覚えのあるシルエットになっていく。

 

筋骨隆々の体格、堂々とした立ち姿、そしておなじみのオールマイトスマイル。

 

水で作られたそれは、光を反射しながらキラキラと輝き、公園の中央に堂々と立っていた。

 

「す、すごい……!!!」

 

緑谷が感嘆の声を漏らす。

 

「まあ、私の個性ならこれくらいはできる」

 

俺は腕を組んで、少し得意げに言う。

 

「すごい……すごすぎるよ、水理ちゃん!! これ……これ、本物のオールマイトみたいじゃないか……!!」

 

緑谷はまるで夢でも見ているかのように、キラキラと目を輝かせながら、水のオールマイトを見上げている。

 

「いや、本物のオールマイトには程遠いだろ」

 

「そ、そんなことないよ! オールマイトのあの力強い姿勢とか……! ちゃんと再現されてるし……!! こ、これ、写真に撮りたい!!!」

 

興奮してポケットからスマホ……は当然出てこず、慌てて手をパタパタさせている。

 

「残念だったな。水だから、そのうち崩れる」

 

「ええっ!? も、もうちょっとだけ……!!」

 

緑谷は必死に水のオールマイトを見つめ、まるで焼き付けるかのように細かい部分まで観察している。

 

その目は純粋な憧れと尊敬に満ちていた。

……ああ、本当にコイツは"ヒーローオタク"なんだな。

 

「ふぅ……そろそろ限界か」

 

俺が手を引くと、水のオールマイトはふわりと揺らぎ、形を保てなくなっていく。精密な形のものはちょっとキツいな

 

「–––––あっ」

 

緑谷が小さく声を漏らす。

 

「ばいばい、オールマイト」

 

水はやがてバラバラと細かい粒子となって崩れ、公園の砂場へと静かに消えていった。

 

「……すごかった……」

 

緑谷は呆然としたまま、余韻に浸っているようだった。

 

「……お前、ほんっとにオールマイト好きなんだな」

 

俺がそう言うと、緑谷は少し照れたように笑う。

 

「うん……僕、オールマイトみたいなヒーローになりたいんだ……!」

 

「……そっか」

 

俺はニヤリと笑いながら、ポケットの中のストラップをそっと握った。

 

「まあ、頑張れよ。未来のヒーロー」

 

「えっ?」

 

「なんでもない。じゃ、帰るわ」

 

「う、うん! 今日はありがとう!」

 

「……あ、そうだ」

 

俺は立ち去る前に、ふと思い出したように足を止める。

 

「お前の名前って?」

 

「え?」

 

緑谷が目を瞬かせる。

 

「私は名乗ったけど、お前らは名乗ってなかったよな?」

 

「そ、そうだったっけ……? えっと……」

 

緑谷は少し恥ずかしそうにしながら、ぺこりと頭を下げた。

 

「僕は……緑谷出久! えっと、デクって呼ばれることもあるけど……」

 

「ふーん……緑谷出久、な」

 

俺は名前を反芻しながら、軽く口角を上げる。

 

「じゃあな、緑谷」

 

俺は軽く手を振りながら、公園を後にした。

 

–––––こうして、俺は"未来のヒーロー"と出会った。

 

 

この先、物語はどう転ぶかわからない。

でも少なくとも、俺はこの世界をもっと楽しめる気がしていた。

……それにしても楽しくて幼女口調取れちゃってたかな?なんて帰り道を歩きながら考える。

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、私はニヤニヤが止まらなかった

 

 

 

 

 




書きたいところを書けたので満足
評価とコメントしてくれた人、ありがとう!
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