Problem child in Parallel universe【更新停止】 作:無名篠(ナナシノ)
よろしくお願い致します。
プロローグ
────カリカリカリ───
味気ない部屋の中で、ペンの音が響く。
───カリカリ、コト、ゴシゴシ───
ペンを置き、消しゴムで間違えた計算式を消していく。
───カリカリカリカリカリ───
そしてまたペンを持ち、計算式を解いていく。
この部屋の主である少年は毎日このように、ただ黙々と勉強をしていた。
計算が終わったのか、ペンを置いた。そして凝り固まった体をほぐした後、少し休むのかと思いきや、すぐに別の問題に取り掛かり始めた。
現在の時刻は午後10時。つまり夜中だ。学生であるならば、最低でも11時には眠っていなければならない。
それに、夜とゆうのは眠る時間いっぱいまで遊びたいものだ。
しかし、彼は遊ぶ事もせず、少しの間休むこともせず、ただ眠る時間が来るまでペンを動かし続けるだけだった。
□■□■□■□■
朝。
6時前に彼は目覚める。ベッドから出て、軽くストレッチをする。その後洗面所に向かい、顔を洗う。そしてリビングの食卓につき、朝食を頂く。
食卓には父の姿も母の姿もない。父はすでに仕事に行き、母はもともと父と離婚しているためいない。
離婚しているとはいえ、父と母の仲はそれほど悪いというわけではない。知り合い以上、友人未満の関係が続いている。
彼は、何か辛いことに遭ったらよく母に連絡している。父には然程相談はしていない。理由としては、単純に父のことが苦手であるし、余程のことでもないので、音楽など気分転換をして忘れていったからである。
しかし、余程に辛いことに遭ったら、迷わず相談している。もちろん”母に”であって、”父に”ではない。
母は何かと話しやすいのでポンポン喋って相談しているが、父はいちいち何か話そうとする度に威圧感の様なものが感じられるため、話しにくいのだ。
分かり易くいえば、年柄年中不機嫌面だった。
だからそこまで親しく話すことなどないし、帰ってくるのが遅いから顔を合わせることも稀であった。
朝食を食べ終えた少年は、学校指定の制服に着替え、鞄を持ち、玄関のドアノブに手を掛け溜め息をついた。
───またつまらない一日が始まるのか………───
そう呟くと、彼はドアを開き学校へ向かった。
■□■□■□■□
───ガチャ───
扉の開く音が響いた。
「ただいま…………」
学校から帰って来た少年は、正気のない寂れた声を発した。
顔色は悪く、何やらとても疲れた様子だった。
理由はなんてことはない。ただ場の空気に取り残され浮かないように、クラスメイト達の話に合わせていただけだ。
それでも始終空気ではあったが…。
それはともかく、
部屋に戻り、バックをその辺に放り投げ、少しぶかぶかのハーフパンツと五分袖のTシャツを着てベッドに身を投げ出す。そして、深いため息をした後にしばらく目を閉じて横になった。
しばらくして、バックの中の荷物を出すために立ち上がると、音楽プレイヤーを手に取り、机まで歩く。
イヤホンを耳に付け、プレイヤーを起動した。
音楽を聴きながらバックの中身を取り出し机に置こうとすると、一枚の「封書」が置いてあることに気が付く。
父が置いたのだろうか。そう考えもしたが、いつもリビングの机に自分宛以外は放置しているからそれはあり得ない。
疑問に思いながらも、とりあえず手に持っていた教材を棚に整理した。
整理した後「封書」を拾い、表裏を隅々まで見る。
不思議なコトに、「切手」は愚か、「差し出し人」の名前すら無い。しかも「住所」すらも書かれてい無い。あるのは素晴らしい程達筆で書かれた自分の名前だけだった。
「切手」も、「差し出し人」も、両名の「住所」も書かれておらず、あるのは自分の「名前」のみ。
この「封書」の送り主はどういった『目的』で送りつけてきたのか。そもそも何故自分の名前を知っていて、誰も居ない家にも関わらずどうやって自分の部屋にこの「封書」を置いたのか。窓や部屋に入られた形跡は無い。泥棒だとしても、こんなどこにでもある何の変哲もない一般家庭の家に入り込んで、何も盗らずに「封書」なんかを置いていくのも泥棒としてはユニーク過ぎる。どこの義賊だ。
考えれば考える程、疑問は増えるばかりだった。結論を出すにはまずこの「封書」の中身を確認しなければならない、そう彼は思った。
「封書」の厚さはそこまでの量ではないのかペラペラだ。大きさもそこまで大きくない。この感覚からして中身は薄い紙であろう。まぁ手紙なのだから当たり前だが…………。
中身に変な物は無いととりあえず決めておき、いよいよ「封書」の封を切る。中身を見ると、予想通り一枚の紙が入っていた。
変な物ではない事に安心し、息を吐く。
とりあえず、中身は確認した。何の変哲もない紙だった。あとは手紙の内容を確認するだけであった。
封から紙を取り出し文面を見る。するとそこには、こう書かれていた。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの”箱庭”に来られたし』
なんだこれは、そう思った。
「封書」の存在はイタズラとかドッキリとかそんなものじゃなく、魔法のように瞬間移動で送られてきた様な不可解さと不気味さがあった。しかし、この文面を見てみればどうだ。まるで中二病患者が書いた様な内容だ。
「異才」だとか「全てを捨てて」だとかこれを書いたヤツは相当手遅れなんだな。と書いた者へ呆れ、哀れみの念を込めた。
こんな内容の手紙にビクビクしていた自分がアホらしい。そう愚痴りながら手紙を破り捨てようとした瞬間、景色が一変した。
青い空に、白い雲。そんな当たり前の景色。窓から見れば当たり前の景色。しかし、自分の窓はここまで大きくない。そして何故か落下している。
そもそも自分は先程まで自らの部屋にいた筈だ。それなのにも関わらず、視界一杯に広がる空が見えることはおかしい。
なら、一体ここは何処で、そもそも何なのか?
直ぐ横を見れば地平線。崖の様なものも見える。
いい景色、その一言に限る。それほどまでの絶景なのだ。
しかし彼はこの景色を見た瞬間青ざめた。
落下に伴う圧力に苦しみながらも、首を動かしチラッと下を見下ろした。
そこに見えたのは縮尺を見違えるほど巨大な天幕。そして、上空4000mはあるであろう高さ。
彼の前に広がるのは─────────完全無欠の異世界だった。
いかがでしたでしょうか?
不定期なので遅くなると思いますが、どうぞよろしくお願い致します。