Problem child in Parallel universe【更新停止】 作:無名篠(ナナシノ)
少々執筆に時間を回せないわいい内容が浮かばないわで遅れました。これも全部妖怪って奴のせいなんだ!(違
あと駄文注意ですので、読む際はご注意を………
───場所は箱庭二一〇五三八〇外門。箱庭の外壁と内側を繋ぐ入り口の階段前に、一人の少年が立っていた。ダボダボのローブに跳ねた緑色の髪の毛が特徴的な彼の名は『ジン=ラッセル』、黒ウサギが所属するコミュニティのリーダーだ。
何を考えてるのか頭を下げている彼の表情はどこか暗く、何かの「使命感」に囚われている様子であった。
「ジン坊っちゃーン!新しい方々を連れてきましたよー!」
だが、外門前の街道から彼の名を呼ぶ黒ウサギの声に気づいたジンははっと顔を上げる。
こちらにやってくる黒ウサギとその側にいる ”女性二人” を見ると先程の暗い表情はなくなり、頬を緩めた。
「あ……お帰り、黒ウサ…………ギ……」
だが、そこまで言いかけて彼は言葉を失った。理由としては、目の前にいる黒ウサギが誰かを背負っているからだ。
ジンの様子に気づいたのか黒ウサギはハハハ……と思いっきり引きつった苦笑を浮かべた。
背負われている彼の黒髪は水で濡れていて垂れ下がっており、何かのロゴマークが付いている白い五分袖の服と黒のハーフパンツはだいぶ乾いてはいるが、やはり湿っているのが目立つ。
そして何より印象的なのは、白目全開で気を失っていること。
ジンは考える。
黒ウサギと一緒に来た ”女性二人” は間違いなく召喚に応じてくれた者達だ。なら彼は誰だ? 服装から見て箱庭の住人の様な軽装をしてはいるが
、「外」から黒ウサギが運んで来たのなら別の可能性も出てくる。箱庭の「外」に存在している各 ”コミュニティ” 、通称『国』の一員。
だが『国』の一員ならそれ相応のギフトを持っている筈だし箱庭に来るのなら普通は複数人の団体だ。単独は珍しい、なら…………。
ジンは自分の知識で考えられる可能性という可能性を探した。
ふと、新たな可能性が彼の中に浮上した。仮定の話だか無い訳じゃない、だが到底信じられないような可能性を。
「…………え……えっと………く、黒ウサギ? 君が背負っている男性の方ってもしかして………彼女たちと同じ……………?」
訝しく聞いてみると、黒ウサギはコクリと頷いて答えた。
ジンは理解した。彼も黒ウサギが呼び出した者の一人であり、自分たちのコミュニティを ”救って” くれるかもしれない「人類最高クラスのギフト保持者」であるという事を。
(でも、隣の ”女性二人” と比べると全然そうには見えないんだけどなぁ……)
それに気絶して黒ウサギに背負われているのも気になる。
ジンはこうなった経緯を彼女に尋ねるのであった。
□■□■□■
───時は、数時間前に遡る。
十六夜の指摘で ”四人目” の存在に気がついた黒ウサギは、急いで湖から引き上げ安否を確認した。
白目全開で気を失っているが、心臓は安定しており呼吸も穏やか。飲み込んだであろう水も数回のマッサージで吐き出した。
ホッとした黒ウサギは十六夜に早口で捲し立てた。
「も、もう! 十六夜さん! 気付いていたら何故教えて下さらなかったのデスカッ!?」
しかし十六夜はケラケラと笑いながら、
「いや教えたぜ? 『アイコンタクト』という名の会話で」
そんな風に平然と答えた。
「そんなので分かるわけないじゃないですか!」
「なに言ってんだ黒ウサギ。他の二人はちゃんと気付いてたぜ」
「う、ううう嘘です! 絶対嘘です!そんなことある訳───」
「あら、気付いていたわよ?」
「………うん。普通は気付く」
「───ッ! どうして初めて会ったのにそんなに息が合うんですか!?」
「「「以心伝心?」」」
「黙らっしゃい!このお馬鹿様方!!」
どこからともなく取り出したハリセンで三人の頭を叩くと、スパァーンッ! と軽快な音が響いた。
(この問題児たちは………!)
黒ウサギには自分の未来があまり良い形には想像出来なかった。コミュニティ的には非常に素晴らしいチームワークなのだろうが、個人的には頭を抱えざるを得ない。
だが今は頭を抱えている場合ではない。命に別状は無いとはいえ、このまま放置というのは忍びない。
「と、とにかく! 当初の通りまずは箱庭に向かい、仲間と合流します。話はそれからです。よろしいですか? 皆さん」
異議は無いのか無言で頷く三人。
ハァ、と黒ウサギはため息を吐いた。ここまで来るのに長かった、本当に長かった。だがこれでいい。ここはスタートライン、これから頑張って行こう。そう彼女は意気込むのだった。
背後で怪しい動きをしている問題児達に気づかずに…………
□■□■□■□
───時は戻り、箱庭入り口前
「───という訳がありまして………」
事の経緯を説明し終えた黒ウサギ。
説明している最中にどんどん疲れた様子を見せる彼女の心情を察しながら、ジンは労いの言葉をかける。
「そうなんだ……お疲れ様。………ところで、その十六夜さんという方は? 見た所、男性は黒ウサギが背負っている人以外見当たらないけど…………」
「え………………」
背負ったままクルリと振り返る黒ウサギ。
そしてそこにいるはずの ”一人” がいないコトに気がついてカチンと固まる黒ウサギ。
1、2、3、と何度数えても一人足りない。あの金髪ヘッドホンの問題児サマがいない。
突然の出来事にフリーズすること数十秒。黒ウサギはなんとか持ち直すも、衝撃が大きいのか少しフラついている。
「───え………あれ? い………十六夜さんは? 十六夜さんは何処に……いったい何処に行ったのですか?」
「 十六夜君? ………あぁ、彼なら ”世界の果てを見てくるぜ!” と言って駆け出して行ったわ。あっちの方へ」
あっちの方と言って飛鳥がさした方向は先程通って来た道の向こう、つまりあの湖がある方向であった。
「な………なんで止めてくれなかったんですか!!」
「 ”止めてくれるなよ” と言われたもの」
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「 ”黒ウサギには言うなよ? 絶対に言うなよ?” と言われたから」
「嘘です! 今度こそ嘘です! というかそれ絶対に言う流れでしょう!!」
早くも泣きたくなってきた黒ウサギ。なんで言わなかったか理由を聞いてみると二人揃って「面倒臭かった」という始末。
話しかける前は新たな人材に胸を躍らせていたというのに、蓋を開けてみればどいつもこいつも問題児ばかり。ここまでくると嫌がらせにも程がある。眠っている四人目が常識人である事を心から祈らざるを得ない。
そんな彼女とは裏腹に、ジンは蒼白になって叫んだ。
「た……大変です! あそこには、”世界の果て” にはギフトゲームのために野放しにされている幻獣が!!」
「……幻獣?」
聞きなれない言葉に反応する耀。
幻獣とは、本来現実には存在しない生物のことを指す。だがジンは当然のように言っていた。そのことから恐らくこの世界には普通に存在するのだろう。
そして、それに近しい存在も。
「は、はい。ここではギフトを持った獣を指す言葉で、特に ”世界の果て” 付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、人間ではとても太刀打ちできません!」
「あら、それは残念。なら彼はもうゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?……………斬新?」
「冗談を言っている場合じゃありません!」
ジンは必死に事の重大さを訴えるが、二人は肩をすくめるだけ。
チラリと黒ウサギの方を見ると怒りなのか悲しみなのかプルプルと震えていた。
いなくなった十六夜という同士を連れ戻すためには、もう黒ウサギに頼るほかない。
こんな時、何もできない自分に腹がたつ。ジンは知らず知らずの内に左手を握り締めていた。
「ハァ…………ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、この方と御二人様のご案内をお願いしてよろしいでしょうか?」
そう言ってジンの前に背負っていた四人目をゆっくりと下ろす黒ウサギ。
「うん、わかった。黒ウサギは…………」
「はい、問題児を捕まえに参ります」
それと事のついでにと呟きながら、怒りのオーラを全身から噴出させ、艶のある蒼い髪を淡く美しい緋色に染めていく。
「”箱庭の貴族” と謳われるこのウサギを馬鹿にしたしたこと、骨の髄まで後悔させてやりますよ!」
外門めがけて空中高く跳び上がった黒ウサギは外門の脇にあった彫像を次々と駆け上がり、外門の柱に水平に張り付くと
「一刻程で戻ります! 皆さんはゆっくりと箱庭ライフをご堪能ございませ!」
そう言い残して外門に亀裂を入れて跳躍し、”世界の果て” に向かって文字通り弾丸の如くスピードで四人の前から消え去った。
その衝撃で巻き上がる風から髪の毛を庇う様に押さえつけていた飛鳥が呟く。
「…………箱庭のウサギは随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」
「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属ですからね。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限りは大丈夫だとおもうのですが…………」
そう、と空返事をする飛鳥は心配そうにソワソワしているジンに向き直ると凛とした、しかし親しげのある声色で話しかけた。
「黒ウサギも ”堪能ください” と言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」
「え……あ、はい。コミュニティのリーダーを務めている『ジン=ラッセル』です。齢十一になったばかりの若輩ですが、よろしくお願いします。飛鳥さん、耀さん」
「よろしく、ジン君」
「…………よろしく」
ジンが礼儀正しく自己紹介をすると、飛鳥と耀もそれに倣って一礼した。
自己紹介も済ませ、いざ箱庭へ! とはまだならず、ジンの困惑とした視線は仰向けに気絶したままの男性へと向けられていた。
飛鳥はその視線の先に気づき、補足説明を加える。
「あぁ、彼なら私たちも名前は知らないわ」
「そうですか…………わかりました。彼については目覚めてから後々聞くとして、このままというのもアレなので僕が背負っていきますね」
だか、体格の差というのだろうか。一生懸命ジンが運ぼうとしてはいるものの、重いのか半ば引きずりながら歩いている。それでも倒れないのは大したものだろう。
飛鳥と耀の二人はお互いの顔を見た後、頷きあいながら背負われている彼の襟首を掴み、引っ張った。
突然引っ張られたことによってバランスを崩し倒れそうになったジンは困惑したのち抗議の意を唱える。
「ちょ、ちょっと! 何するんですか!?」
「貴方が持つと重いでしょう? 私たちが変わるわ」
「そんな! 貴女方でも重いでしょう? それに女性にそんな事させられません!」
この中で動ける唯一の男としての意地なのかリーダーとしての意地なのかはわからないが、頑として彼を離そうとしないジン。
だが飛鳥にもプライドというのがある。子供一人に持たせるほど薄情のつもりはない。
「大丈夫よ、こうやって持てば……ほら」
それの何処が ”持つ” になるのだろう、とジンは思った。
彼の襟首を飛鳥と耀の二人が持ち、持ち上げている。飛鳥は若干辛そうだか、耀は涼しい顔をして余裕そうだ。
成る程確かに持っているといえば持っている。しかしこれは吊り下げているという表現がふさわしいのではないのか。
持ち上げられている彼も、喉が締まって顔を青くしている様に見える。
「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずは………そうね、軽い食事でもしながら話をきかせてくれると嬉しいわ」
飛鳥は困惑した表情をしたジンの手を取ると、胸を躍らせ、子供みたいな無邪気な笑顔で箱庭の外門をくぐるのだった。
襟首を掴んだ彼を耀と共に引きずりながら。
誤字脱字などの(ry
ハァ……………文才が欲しい