明星の意思、常闇の暁光   作:瑛慈 翔

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【第8話】ロン毛とツンデレの殺意はいつか

あたしは必要以上に人と関わることは無い。

人に付き合っている暇があったら、魔導器の研究した方が何倍もマシ。

一週間の大半は家の中で過ごしてる。

 

 

五日前。

そんなあたしが、どうしても外出しなきゃいけない日があった。

アスピオの南東にあるシャイコス遺跡の上空で、観測上稀に見ない異常現象が起きたから。

 

当然アスピオ中で大騒ぎになって、あたしを含めた研究者たちは皆、世紀の大発見をこの目にしようと我先に遺跡調査の準備へ乗り出した。

けど、帝国のアホ共が水を差すように「高密度のエアルが発生している可能性がある」という胡散臭い名目つけて、一定期間遺跡付近立入禁止を突き出してきたのよ。

 

帝国の都合なんて知ったこっちゃない。

あたしは遺跡に行ったわ。

手が入って間もない地下遺跡。

そこで原因不明の大規模なエアル反応と消失。

絶対魔導器が関わってるに違いない。

 

どんな魔核なんだろう。どんな筐体なんだろう。

高鳴る気持ちを抑えて遺跡に行ったら、騎士団とエンカウントして一気に興ざめした。

やっぱり、帝国の連中は抜け駆けするつもりだったんだ。

 

 

ええ、このあたしも例外なく咎められたわ。

猫目女騎士に"禁止区域に何しに来たんだ"って、偉そうにね。

もちろん、魔導器専門の魔導士兼研究者として調査しにきたんだって応戦したけど、多分まともに聞いてくれないだろうから、最終的には武力行使も考えた。面倒くさいけど。

 

こいつの上司の金髪騎士もなかなかのカタブツ。

けれど、頭ごなしに突っ返すんじゃなくて、真剣にあたしの話を聞いてくれた。

だからって、引き下がるわけにはいかない。

専門知識も持たない騎士が遺跡の調査やったところで、有益な情報を引き出せるわけがない。

懇々と説明してやったら、とんとん拍子に話は進み、一時協力することになった。

 

 

騎士って、傲慢で怠慢なヤツばっかだけど、中には聞き分けのいいヤツもいるのね。

――と感心したのも数十分だけ。

あたしが遺跡探索に汗水たらしている間、あのパツ金騎士、暢気に女イチャついてやがった。

殺す……っ。問答無用で殺す。

 

最奥で現場を押えたときは、ファイヤーボールで墨屑にしてやろうかと思ったけど、騎士に寄り添う女の方を見て踏み止まった。

服装もそうだが、彼女の持つ雰囲気がどこか浮世離れしていたから。

 

名前は桜。

性別は女、年は私と変わらないと思う。

身なりからして貴族でもないし、一般市民にしちゃあ魔物が屯する遺跡の中にいるのはおかしいし、丸腰だったから、盗掘者やギルドの線も薄い。

あたしを知らないとなれば研究者や魔導士でもない。

とにかく得体が知れないが、只者でもない。

 

騎士が誤魔化そうとしてたけど、あたしに隠し事しようなんてそうはいかないわ。

脅してでも聞き出そうとしたら、怯えるどころかこの女、いきなりあたしのことを可愛いなんて言い出した。

 

バカだ。アホだ。変態だ。

 

初対面でアレだけ無愛想にしていたのに言い寄ってくるなんて、何を考えているのこの能天気娘?!

 

あたしの力を利用するにしたって、他のゲスどもとは何か違う。

ああいうヤツらは、あたしの人権なんて考えてない。

容姿にしたって、せいぜい蔑んだ目で見下して"この小娘風情が"とか"子供のクセに"とか陰口叩くくらいだろう。

帝国がまさにソレだ。

 

 

けれども、あいつの場合はあたしの言動一つ一つ汲み取って、言葉を返してくる。

嘲笑うわけでもなく、腹を立てることもなく。

ただ真っ向から、率直に。素直に。対等に。

ただあいつの言葉がくすぐったくて、耳にするだけで、胸から体中へ熱くなってしまう。

 

挙句の果てには、友達からお付き合いを始めようだなんて、まったくもって不可解よ。

 

――わからない。

ああいう時は、なんて返事すればいい?

どんな言葉を返したら、明確な答えが出てこない。

考えれば考えるほど、頭の中がグルグルして、今にも叫びだしたくなってきて。

気がついたら、あたしはその場から逃げ出していた。

途中で魔物だか、人間だかブッ飛ばしたような気がするけどよく覚えてない。

 

そのくらい取り乱してたあたしは、ただ家に閉じ篭って数日間ベットの中で身悶えた。

あの日は人生最大の汚点だ。

 

 

どの道、あの娘は騎士に連れて行かれて、あたしとは別の世界で生きていくんだろう。

 

もう会う事はない。

考える必要はないのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロン毛とツンデレの殺意はいつか

 

影で爆発する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は人と関わらずにはいられない。

通学中に迷子がいたら面倒見てしまうし、週末学校から帰宅途中、重たい荷物を持った老人がいれば、例え疲れていようが行き先が遠かろうが手を貸してしまう。

困っている人を見かけたら、スルーできない臆病な人間だ。

善意と言うより、性分なんだと思う。

 

そんな私が正常な判断を下せない状態で、許容範囲を越える事態に直面したらどうだろう。

 

 

六日前。

工場裏の森でユーリを助けてから、全てが狂い始めた。

最初から警察に頼ればいいものを誰にも迷惑をかけたくない、自分ひとりで何とかしないきゃと頑張った結果、私は異世界へと放り込まれてしまったのだ。

 

 

――異世界 テルカ・リュミレース。

魔物が跋扈し、人間の生活は結界によって約束された世界。

外に出たら武醒魔導器無しでは、魔物と戦うことすら難しい。

その武醒魔導器も一般には普及しておらず、掌握している帝国の手足となる帝国騎士は役所以下。

もう一つの帝国機関、評議会というのも怪しい。

おまけにドMな暗殺者が闇夜に徘徊し、電波なストーカーも完備。

 

某世紀末とタメが張れそうな世界観だ。

こんな所にいたら、私でなくても心が荒む。

 

 

それを踏まえて昨日のハルルのこと。

ザーフィアスからクオイの森を越えてやってきたら、目当てのフレンがハルルの結界魔導器を直す為にアスピオにGOしてた。

仕方が無いので、魔狩りの剣のエース(笑)カロルの知識の元、ユーリの"フレンの鼻を明かしてリアクションを楽しむ"という不純な動機と人助けのために、私たちはハルルの結界復活のためにパナシーアボトル作成を決行。

 

ここまではいい。

問題はエッグベア戦での私の行動だ。

ユーリとラピードは前線で戦い、エステルは治癒術で援護。

私はエアルに弱い為に武醒魔導器が使えず、できたことと言えば、ヘアースプレーでエッグベアの嗅覚を狂わせたくらい。

それも、ユーリたちのフォローをアテにした上でだ。

年下のカロルだって、エッグベアの止めを刺すなんて好成績残したのに。

 

ハルルの結界が直ったのも、ユーリたちの活躍とエステルの力があってこそ。

皆は凄い。

それに比べて、私は――

 

 

「何もできない。どころか、すんごい足手まといだよね……」

 

 

蚊の鳴くような声で呟き、周囲へ目を滑らせた。

ここは私の心境のように薄暗く湿っぽい場所。

太陽の光は一切届かず、代わりに青白いランプが点々と無骨な岩肌を照らしている。

見ての通り洞窟の中なのだが、入口の両脇にはご丁寧にも騎士が立ってて、その奥に佇む街にはポツポツと明かりが灯っている辺り、一応人が生活しているらしい。

 

学術都市アスピオ。

人類が存在しているのか分からんほど閑散としている都市だ。

学術って言うくらいだから、皆インドアなのだろうか。

立派な建物のお陰で辛うじて街として収まっているが、雰囲気だけ言うなら、お話に出てくる悪の魔女が集団で煮えたぎる毒壷をかき回しながら暮らしてんじゃないかってくらい辛気臭かった。

こんなところにあの爆裂ツンデレ美少女リタが住んでいるのか、かなり信じがたい。

 

 

「――おい、おいって。桜、聞いてるのか?」

 

 

物思いにふけていると、一人の青年が私の顔を覗き込んできた。

年の頃は二十代前後、相手の情欲を煽るような美しい眉目を持つ美青年だ。

加えて、細くしなやかな肢体を際立たせる黒の装束に、清流のような漆黒の長髪がとても魅惑的なのだが、いかんせん日頃の品性と異性に対するデリカシーが壊滅的だったりする。

現にこのまま接吻するんじゃないかってくらい、キレイな顔を平然と突きつけてくるもんだから、やられた方がたまったものではない。

 

 

「ちょ、ユーリ、顔近過ぎ! 何なの?」

 

「そりゃあ、コッチのセリフだ。

声掛けてもぼんやりしてっから、風邪かなんかだと思うだろ。

顔も赤いし、また例の熱が振り返したのか」

 

「これはあんたが近づくから……っ」

 

「いいよ。オレがみてやっから、じっとしてろ」

 

「迫られて、じっとできるわけねーでしょ!

みるってなんだ? まさか古典的にデコで計るつもりなのか?

悪いが、私は脇に体温計を挟む派だから、ご遠慮して下さい、お引取り下さい、やめろっつってるだろーが、このロン毛!」

 

「知らねーよ。

手は歩きっぱなしで血行良くなってってから、正確に計れる自信ねーの。

ほれ、大人しく頭貸せ」

 

「羞恥心ないんかお前! 私は大丈夫、 少し考え事してただけだから」

 

 

拒絶されると思わなかったのか、私に突き放されたユーリは驚いたように目を見開き、ムッとした。

 

 

「大丈夫って、お前な……。まあいい、周りが見えなくなるほどの考え事ってなんだよ」

 

「ユーリが女性に対して鈍感なところを嘆いてた」

 

「オレの下んねぇことまで、真剣に考えてくれてるたぁ嬉しいね。

将来お前が面倒見てくれるとか」

 

「いや、ユーリの彼女になる人はきっと毎日ヤバい言動くらって、血管ブチ切れんだろうなって」

 

「もう何も考えるな。

その分だと、オレが何してたかも見てなかっただろ」

 

「大方、街に入れろって、門番と押し問答してたんでしょう」

 

「それはわたしです。桜、わたしたちのこと、ちゃんと見ていたのですか?」

 

 

顔をしかめて突っ込んできたのは、エステリーゼことエステルだった。

桃色の髪にエメラルドグリーンの瞳をした花のように可愛らしいお姉さんで、その気品に溢れた物腰の通り、身分は正真正銘皇族だったりする。

色々と一生懸命でかっ飛ばした姉ちゃんなのだが、今回ばかりは私が悪い。

 

 

「あ、違ったんだ。ゴメン、エステル」

 

「ユーリとばかりズルイです。今度からはわたしとも戯れてください」

 

「……マジでゴメン。私、エステルの話がまったく見えてこない」

 

「後でちゃんと説明するのでかまいません。

それより、フレンのことなのですが、ここに立ち寄ったのは間違いありません。

中で会わせるようにお願いしても、通行許可証がなければ、一般人は立ち入り禁止だそうです。

呼んで来てもらうよう頼んでみたのですが、やはり同じで……」

 

「フレンさんが居ないと始まらないとわかってはいたものの、これじゃあ、卵が先か鶏が先か。

他に入る方法があればいいのにね」

 

「だから、それをボクたちで考えようって、今話してたんじゃないか。

まったく話聞いてなかったんだね」

 

 

素で返していたら、カロルにまで呆れられた。

年の頃は小学校高学年。ライトブラウンの髪を一丁前にリーゼントでキメた一見パワフルな男の子なのだが、ハートはミジンコ並みだったりする。

要するに、からかうとおもしろい。

しかし皆の視線を一身に受けた私にはそんな余裕はないし、隻眼のわん公ラピードまでもが足元までやってきて、様子を窺ってきたものだから堪った物ではない。

 

 

「うっ。ワンコの上目遣いなんて卑怯だ。

漢前なのに可愛く見えてしまう、なんというワンコマジック……!」

 

「ラピードは単にお前の様子がおかしいから寄ってきただけだと思うんだが」

 

「家帰ったら、留守番してた家犬が尻尾千切れんくらい振りながら飛びついてくるくらいのクオリティが今のラピードにある」

 

「理解できんが、お前がとてつもなく疲れてるのがわかった。

やっぱ昨晩の腕枕じゃあ、足んなかったようだな」

 

「足りんとか以前の問題だろうが」

 

 

ユーリが飄々と言ってのけたように、昨晩の野宿でヤツは本当に仕掛けてきた。

――腕枕を。

最初こそ「桜の枕はこっちだぞ」と冗談半分で誘ってきたユーリだが、私が「テメェのベッピン拝みながら、カッチコチの上腕二等筋枕なんて安眠妨害以外なんでもないもん、誰が食らうか」と全力で拒絶したら、逆鱗だった。

恐ろしいほど爽やかな笑顔を湛えたユーリが「現実を見せてやる」と拳を鳴らしながらやってくる。

笑みに細めた瞳はやがて据わり始め、口元はつり上がり、カロルが震え上がる程の闘気を漏らしつつ「テメェ、また懲りずに"お姉さん"か?」「一晩中オレの腕枕食らったら、嫌でも野郎だってわかんだろ」「遠慮するな。思う存分オレの筋肉枕を堪能しやがれ」と接近するユーリに、エステルが果敢にも立ち向かったが、無残にもラピードの餌食になってしまった。

モフモフ的な意味で。

この時、友として、彼女との友情を疑った。

 

満点の星空の下、完全に孤立無援になった私が、180センチもある男とサシで格闘する事数秒。

私の殴る蹴るの抵抗空しく、ユーリの足払い一本で仰向けにさせられ、即行膝枕を食らった。

もちろん逃れようとしたが、ヤツの腕が私の頭を挟んで敵わず。

横で静かに眠る美顔見てドキドキするわ、寝息が頬や耳に当たって胸がヒヤっとするわ、枕は生暖かくて硬いわで、ロクに眠れなかった。

冷静に考えてみたら、アレは腕枕じゃなく、片手フェイスロックだったと思う。

 

 

「嫌がる女子相手に関節技キメたまま就寝すんなよ!

あれでグッスリ眠れるヤツの顔面を拝みたいわ」

 

「拝んでただろ、オレの寝顔」

 

「腕に力入れたまま爆睡できるユーリの生態が知れません。

身動き取れない私が、何度貴様のゆるい寝顔に油性マジック叩き込んでやろうと思ったことか。

つか、腕に私乗せた状況で魔物が襲ってきらどーすんの?!」

 

「見張りはラピードがしてただろ。

それにお前に預けてたのは右腕だ。

オレは左で刀振るうから、支障ねーよ」

 

 

ラピードはエステルの魔の手から逃げていたと思うが。

魔物が出てきたら、私を右腕で抱きしめて起き上がり、あの器用な抜刀を繰り出そうというのか。

支障大有りだ。

 

 

「前は私の事を嫁入り前の娘さんとか、年頃の女の子とか言って優しく扱ってくれたのに。

今じゃ距離無し許可無しムード台無し、年齢指定寸前のフェイスロックで一晩明かすって何なの?

ラブコメなの? ギャグなの? 全然ウケないんですけど!」

 

「愛情だよ。アイジョウ」

 

「悪意の間違いだろ」

 

「睨むなよ。好意と悪意の区別がつかねーほど、愛に飢えてんのか」

 

「お前の愛が歪んでるんだ。

斜めに構えてほざく愛情ほど、胡散臭いもんはないわ。何より脈略なさ過ぎる」

 

「脈略ならあるぞ。クオイの森で。

気絶したままオレにしがみついたり、膝枕で安眠するお前を見て、眠っていた父性本能がかつて無い程激震した」

 

「永眠してしまえ。

そんな変態領域に片足突っ込んでそうな父性愛。

あんたの彷徨える愛のお陰で私のMPは臨界点突破しそうだ」

 

「精神的に疲れてる時は愛情が一番だって、宿屋のおばさんが言ってたぞ」

 

「愛情と言う名のプロレス技なんていらん。

もっとプラトニックな愛が欲しい」

 

「これ以上ないほど純粋だ」

 

「上から目線で胸張ってのたまうところが凄く皮肉です。

まったくもって説得力ないわ」

 

「無表情で切り捨てるなよ。オレが空しいだろ」

 

「一人で悶え空しがってろ。

私のリアクション見て楽しんでいるのが透けて見える」

 

「二人ともホント仲がいいよね。うらやましいよ。

ボクもそのくらいの仲になればいいのに」

 

 

ユーリと私のワケのわからん喧嘩を見ていたカロルは、誰かを想いながら呟いた。

何を羨望してんのかしれないが、かなり間違った見解をしているようである。

エステルに至っては、衝撃を受けたように固まっていたかと思うと、光の速さで私の腕を抱いて、ユーリから引き離した。

 

 

「いけません。こんなに毒されて……。

一刻も早くフレンに会いに行かなくちゃ、桜がユーリの手篭めにされてしまいます」

 

「されないから」

 

「されるタマじゃねーだろコイツ」

 

「こうなったら、一か八かわたしの身分を明かして中へ通してもらうしかありません。

大丈夫です。いざとなったら、ユーリが桜を人質にとって突入します!」

 

「突入すんな! んな事したら、フレンさんが音速でやってくる! ユーリのドタマへ天誅食らわせに!」

 

「それも計算のうちです」

 

「尚悪いわ!」

 

「無闇やたらとオレの罪状増やすのは勘弁してくれ。

動きにくくて敵わねえよ」

 

「皆して、街の入口で物騒な話してる方が敵わないよ。

あそこに裏口があるから、まずはソッチに行ってみない?」

 

 

門番の騎士の視線を気にしたカロルがこそこそと左奥にあるドアを目で指した。

表口から隠れるように小ぢんまりと設置されたドアは普段使われていないのか、見張り一人付いていない。

試しにドアノブを回してみたら、案の定施錠済み。

ノブから手を離したユーリは拳を鳴らしながら次の手段に出た。

 

 

「ブチ壊すか」

 

「安易にブチ壊すな」

 

「じゃあ、塀でも越えてみっかな」

 

「もはや不正な手段しか思い浮かばんのか、お前……」

 

「わたしたちはともかく、桜にとってあの高さは酷だと思います。

強硬手段が取れない以上は、フレンが戻ってくるまで待った方が賢明かもしれません」

 

「エステルは桜とフレンを会わせたがっているようだが、こっちは悠長に待機してるほど暇じゃないんでね。

やっぱ、鍵ぶっ壊した方が安全で確実だ」

 

「鍵ぶっ壊したら、私のハートが罪悪感で木っ端微塵だ。

泥棒捕まえるのにこっちも犯罪起こしちゃダメだって、ハルルで散々話したでしょう。

貴方もこれ以上罪を重ねたくないって言ったよね」

 

「バレなきゃいいとも言ったはずだぜ。

だいたい、オレはこういう時に規則だの法だのって、回りくどいもんに縛られんのがイヤで、騎士をやめたんだからな」

 

「騎士とか以前に一般人として問題大有りだ」

 

「かてえこというなよ。もっとフランクに行こうぜ。

……て、また会話に参加してねーヤツがいるな。

カロル、 お前、ドアの前で何してんだよ」

 

 

ユーリの声が聞こえないのか、カロルは一人熱心にドアノブをいじくり続けている。

この状況下で何をしているか、考えられることはひとつしかない。

嫌な予感がして止めるよりも早く、ガチャリと施錠が外れるような音を返ってきた。

 

 

「よし。開いたよ、皆」

 

「開けたって、ドアの鍵か?! こんな短時間で?!」

 

「ナイスだ、カロル先生。

オレが代わりにドアをブッ壊すところだった」

 

「壊すって、乱暴だな。

まあ、こんなことができるのは魔狩りの剣の中でもボクぐらいだから、ユーリが強硬手段とりたくなのも無理ないけど」

 

「年端のいかない少年が生活のお供にピッキング……っ!

つか、どっちにしたって不法侵入でしょうが!」

 

「不法侵入は禁固1年未満、又は一万ガルド以下の罰金です。

ユーリたちだけでも止めて欲しいのに、同意の意思のない桜まで、罪をきせるわけにはいきません。

わたしと待っていましょう」

 

「そだね。私達はフレンさん来るまで、ここで待機してよ」

 

「はい。二人仲良く待機です」

 

「じゃ、ユーリ、カロル、私はエステルとここで待ってるから」

 

「お前らな……、ったく。

ウダウダ言ってないで、さっさといくぞ」

 

「あ、ちょっと、ユーリ?!」

 

 

エステルと拒んでいたら、突然ユーリが私の腕を鷲掴みにして、ぐいぐいと中へ引きずり込んだ。

抵抗する間もなくトアを潜って、まず目に飛び込んできたのは一面の本棚。

図書館なのだろうか、淡いランプに照らされて、大小さまざまな種類の本が所狭しに並んでいる。

 

 

「わあ……。本が一杯、凄いです。ステキです!」

 

「エステル、何をはしゃいでんの! つか、何一緒に入ってきてんの?!」

 

「これでお前らも共犯だな」

 

「んなワケあるか! あんたが無理矢理引っ張ってったんでしょうーが!」

 

「そ、そうです。一言も断りもなく、桜を引きずり込むなんて。

誘拐と変わりませんよ、ユーリ」

 

「エステルだって、一緒に入ってきて凄いとか喜んでたじゃん」

 

「カ、カロル。わたしはただ、たくさんの本に感動しただけです。ユーリの誘拐とは関係ありません。

傍に桜がいなければ、パッサリ殺ってました」

 

「や、殺らないでよ」

 

 

可愛らしくふてくされるエステルの口から、穏やかではない発言が飛び出し、カロルは身震いした。

仕留める気だったのか。

戦慄を覚える私とは正反対に、当のユーリは素知らぬ顔で部屋を観察している。

それが気に食わないエステルは、彼を真っ向から嗜めた。

 

 

「ユーリ、あまり彼女を振り回さないで下さい。

今のは強引過ぎますよ」

 

「こいつにはこれくらいがいいのさ。

行動力はあるくせに、フレン並に堅気なところがあるからな」

 

「ユーリが無茶苦茶なだけでしょ。

力ずくでこられたら、抵抗のしようがないじゃないの」

 

「男は押しが大切なんだよ。な、カロル先生」

 

「押しが強いとモテるの?!」

 

「モテん、ウケん、惚れねーわ!

おいそこの自称用心棒のニート予備軍、いたいけな少年に変な事教えるな!

……ったく、中に入っちゃったら、言い逃れのしようがないじゃない」

 

「元気出して、桜。落ち込むだけ損だって。

ほら、皆、ボクたちに気付いてないようだしさ」

 

 

言われてみれば、私たちがあれほど騒いでいたというのに、注意どころかページをめくる音しか返ってこない。

ローブをまとった人たちが黙々と読書に励んでいて、まるで周りが見えていないようだ。

 

 

「ほら、問題なかっただろ」

 

「どや顔すんな。結果論でしょうが。

表の騎士に侵入現場押えられたら、即お縄で最終説教魔人フレンさんが召喚されたかもしれないのよ」

 

「その方が手っ取り早くていいんじゃないか」

 

「そうだね。最悪のシチュエーションだね。

私を帰すなんて話聞き入れるどころか、ヌッ殺されるかもしれないね」

 

「やめなよ二人とも。

こんな公の場で痴話喧嘩なんてみっともない」

 

「これのどこが痴話喧嘩なのよ!」

 

「先生相手に殺気立つな。大人気ないぞ」

 

「私はまだ成人してない」

 

「んじゃあ、オレが父性愛炸裂してもOKなワケだな」

 

「残念、道徳的にNGだ。

何をする気か知れないが、いい加減その得体の知れないラヴは自重しろ」

 

「冗談だよ。本気で怒りなさんな」

 

「わざとキレさせたアンタが何を言ってんの」

 

「二人ともさ、それを痴話っていうんじゃないの」

 

「言いませんよ。カロル。

フレンという者がありながら、ユーリのフェロモンごときで、桜が落ちるはずないじゃないですか」

 

 

ニッコリと言い放つエステルから、言い知れない威圧感を受けて、カロルを含めた私達は口を閉ざした。

硬く握り締められた拳から、落ちるんじゃねーぞ貴様と釘を刺しているようにも窺える。

重たくなる空気を察したカロルは、慌てて話題変換を試みた。

 

 

「ね、ねえ。桜とエステルはフレンって騎士を探すんだったよね。

ざっと見てみたけど、騎士っぽい人はここにはいないようだよ」

 

「かなり広い都みたいですから、ほかの場所にいるかもしれません。

桜、わたしと一緒にフレンを探しに行きましょう。

二人で探せば、きっと早く見つかります」

 

「そうね。フレンさんなら、リタさんの居場所も知ってるはず。

騎士だから多少の融通は利くかもしれない」

 

「あいつが融通が利かすかね。

建前と規律ってのに、とことんうるさいからな」

 

「やってみないとわかりません。

まずは手近な人を捕まえて、フレンたち騎士団のことを聞いてみましょう」

 

 

否定的なユーリを差し置いて、エステルは張り切ってフレン探索に取り掛かった。

図書館にいるローブを着た研究者たちは、誰も彼も本を睨んで近寄りがたい雰囲気を出している。

キョロキョロと部屋中を見回していた彼女は、本を読みながらこちらに歩いてくる男に目を留めた。

 

 

「すみません。そこの人、少し尋ねたいことが……」

 

「悪いが、他を当たってくれ」

 

「ピアズクラスター」

 

 

ぶっきら棒に断った男の鼻先をエステルの刃が数回掠めた。

 

 

「すみません。少し尋ねたいことがあるのですが」

 

「な、なんでも聞いて下さい……っ」

 

「ここに騎士団、フレン小隊が訪れませんでしたか?」

 

「ふれん? き、協力要請にやってきた騎士団がいたけれど、もう出発したんじゃないかな。

確か、遺跡荒らしの討伐だとかで……」

 

「ハルルの結界魔導器を直しに行ったのではなくて、遺跡荒らしの討伐です? 本当ですか?」

 

「本当だ! オレが知ってるのはそれだけなんだ……っ!」

 

「ああ、待って!」

 

 

エステルが健気に詰め寄るほど、男は後退していった。

 

 

「待って下さい。どうして逃げるのです?!」

 

「エステルがどんなに可愛く詰め寄っても、片手に剣ちらつかせてたら、誰だって逃げるわ。

傍から見たら、復讐に燃える女剣士と悪の魔導士だよ」

 

「ボクはこれだけ物騒な展開披露しても無反応な魔導士たちのスルースキルに驚きだよ。

桜の言うとおり、まずは刃物を納めた方がいいんじゃないかな、エステル」

 

「で、でも……」

 

「間違って他の人や本棚にぶつかったら大惨事だよ」

 

「わかりました。本に罪はありません」

 

 

本かよ。

しぶしぶ剣をしまうお姫様の思考回路に今更ながら疑問が過ぎった。

一方、ひとまず解放されて脱力するメガネの男だったが、息つく暇もなく第二の刺客の声がかかる。

 

 

「なあ、あんた。モルディオって知ってるか」

 

「モルディオ、だって?」

 

 

ユーリに尋ねられた男は微かに表情を強張らせる。

答えに迷ったようだが、立ち憚る黒い男から何か勘付いたのか、更に続けた。

 

 

「もしかして、お前達あの変人リタ・モルディオの知り合いなのか?!」

 

「変人?」

 

 

リタが変人?

思わぬ異名に皆が興味を示す中、私だけが眉を寄せた。

少し強気でおなしなところはあるが、年頃の女の子に変人とは言い過ぎではないか。

 

 

「変人って、リタさんのこと?」

 

「本人に会ったことがないのか?

あいつなら、町外れの小屋に住んでるよ。

あんたたちが何者で、何の用があるかは知らないが、興味本位に近づいて怪我しないようにな」

 

 

男は一気に捲くし立てると、エステルに注意を払いながら早足で去っていった。

その背中を見送ったユーリは、私に意味ありげな視線を投げ掛ける。

 

 

「怪我したくなかったら、か。

えらく物騒なヤツなのな。モルディオってヤツ」

 

「そこは否定しないわ。脅しに魔術使おうって子だったから」

 

「こ、怖いの? その人?!」

 

「ああ、怖い怖い。なんせ、魔核泥棒だからな」

 

「え、えええ~っ?! 魔導士で泥棒?! ユーリ、そんなヤツに会いに行くの?

ボ、ボク、アイテムの補充しておきたいから、ここで待ってるよ」

 

「じゃあ、私はユーリと行ってこようかな」

 

「桜も?! あ、危ないよ。ボクと一緒にいようよ。

さっきの人も怪我するって、聞いてたでしょ。

火炙りにされたり、引き裂かれたり、噛み付かれたりするかもしれない」

 

「それなんて魔物だ。

私はリタさんに頼みごとがあるの。それに殺る気出してるユーリを放置できないでしょう。

カロルはエステルとここで待ってなよ」

 

「いいえ。わたしも行きます。

桜をモルディオの餌食になんてさせません。

剣一突きで瞬殺、見事合成素材にしてくれます」

 

「合成? いや、リタさんは女の子……」

 

「いいんじゃねーの。頭数は多い方がいいだろうし」

 

 

それは戦闘要員としてか。

殺る気満々のユーリたちを目の当たりにした私はリタを守るため、狂人達と共に町外れの小屋へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

中央広場から東の奥深くへ降りたところにひっそりと立っている、二階建ての小さな家。

ドアには張り紙があり、乱暴な走り書きであることを除いても私には読めなかった。

 

 

「……字が読めん。ここに来て、思わぬ問題が」

 

「何だって? ――『絶対、入るな、モルディオ』だってよ」

 

「ここがモルディオの根城なのですね。

ユーリ、乱暴をして相手を刺激してはいけませんよ」

 

「じゃあ、カロル。頼む」

 

「すみません、何方かいますかーって! どうしてボクが!

用があるのはユーリと桜しょ。ボクは関係ないじゃないか」

 

「エステルが刺激すんなっつったからな。

顔見られてるオレや桜じゃあ、警戒されんの目に見えるから、先生ならと考えたんだけどね。

モルディオの野郎、ウンともスンともいわねーな。しっかり鍵もかけてやがる」

 

「ドアノブもぎ取ろうとすんな。取立屋かあんたは」

 

 

ユーリがドアノブを破壊せんばかりに回し始めたので即止めた。

本人に会う前から、殺る気満々だ。これは全力で阻止せねば、

元々リタに会うことに気が進まなかったエステルも、ここぞとばかりに援護射撃に出る。

 

 

「きっと留守なんですよ。

いない人は捕まえられませんし、ここは後にして、早くフレンを……」

 

「てことは、家捜しできるってことだよな。

幸い鍵開けの名人がここにいるし、準備も万端だ」

 

「任せてよ!」

 

「任せられるか! 白昼堂々と窃盗すんじゃない!」

 

「いい加減にしてください。ユーリ、貴方はどうして桜に意地悪ばかりするのですか。

この家に忍び込んだから、中に潜んでいるかもしれないモルディオに桜が食べられてしまうかもしれないのですよ。明日の血肉にされるかもしれないのです!」

 

「いやだから、リタさんは女の子だって……」

 

「相手が魔物だろうが、野郎だろうが、食われねーようにオレがこいつを守ればいいだけの話さ。

そのために傍にいるんだからな」

 

「ゆ、ユーリ……」

 

「うあ、熱々だね」

 

「オレはいつだって熱いぞ。

泥棒の横面殴りたくてウズウズしてら」

 

 

赤面するカロルの言葉に対して、両拳を打ち付けて応えるユーリに絶望した。

イイ男に守るなんて言われたら、惚れてまうだろうが。私のひと時のトキメキ返せ。

静かに打ちひしがれる私を見たエステルは、励ますようにガッツポーズをした。

 

 

「元気出してください。桜はちゃんとフレンが美味しく頂いてくれます」

 

「何元気一杯にとんでもないこと言ってんの」

 

「仲良くするという意味ではないのです?」

 

「……いや、前にもそんな……どこでそんな知識を……、もういいわ。

とにかく、私たち街に入った時点で既にアウトなの。これ以上の違法かまして騒ぎにでもなったら最後、どう足掻いても言い逃れできないのよ」

 

「毒を食らわば皿まで、じゃなかったのか」

 

「空気読め。私がも一度中にいるか確認する。

ダメなら他の人にリタさんの行方を聞いてみましょうよ」

 

「お前の好きにすればいいさ。オレのやることはもう決まってる」

 

「頼むから、荒事はやめてよね」

 

 

緩く構えるユーリから嵐の前の静けさを予感しつつも、私は気を取り直して戸を叩いた。

 

 

「リタさん、リタさーん、こんにちはーっ。

シャイコス遺跡でお世話になった、桜です」

 

 

ドアを軽くノックしたものの、リタ宅の沈黙は続いたままだった。

やはり誰もいないのだろうか。

諦めずにもう一度ノックしようとしたところ、中からバタバタと騒がしい物音が聞こえてきた。

物が落ちたり、駆け回ったり、中で乱闘してんのかってくらいけたたましい音が続いて数秒後、ドアの向こうから甲高い声が返ってきた。

 

 

『――桜? 桜なの?』

 

「この声、やっぱり……!」

 

『あたしに言い寄ってきた変な女?!』

 

「間違いない。ツンデレ爆走必殺魔法少女リタ・モルディオさんだ」

 

 

物言いからするに、あれから勘違いしたままのようである。

また話が通じなかったらどうしよう。

なんて話を切り出すべきか頭を捻ろうとしたら、驚愕の瞳が自分に集まっているのに気付いた。

 

 

「お前、女相手に言い寄っただ?

明るい未来が待ってる青春真っ盛りの少女が、その若さで同性に走るのはどうかと思うぞ。

つか、オレがこれから殴ろうってヤツはやめとけよ」

 

「桜って、結構マイナーなんだね。

人の趣味をとやかく言うつもりはないけど、ボクには世界が遠すぎて理解できないよ」

 

「理解の問題ではありません。

フレンがいながら、女の子に手を出すなんて……だったらせめて、わたしにして下さい」

 

「遠慮します、一昨日来て下さい。つか、私はノーマルだ」

 

『人ン家の前で変な話しないでよ。

帝都にいるはずのあんたが、なんでここにいるの。

騎士が"桜には二度と会わせない"って息巻いてた傍から、これ?』

 

 

アスピオで騎士。

しかも、リタに私を会わせないと言ってのけるヤツといえば、一人しかいない。

 

 

「フレンさんのこと? ここにフレンさんが来たの?!」

 

『来たわよ。あんた、あいつを追いかけてきたんじゃないの?』

 

「それもあるけど、リタさんにも会いに来たんだよ。

貴方の知識が必要なの」

 

『あたしの知識?』

 

「魔導器に詳しいって聞いたから。

エアルのこととか、相談をお願いできないかなって」

 

『……』

 

「やっぱダメ?」

 

『……あんただけよ』

 

「え?」

 

『入っていいのは、桜だけ。

他のヤツが入ってきたら、問答無用でブッ飛ばすわ』

 

 

つっけんどんに言い渡され、私たちは顔を見合わせた。

エステルやカロル、ラピードは置いていいとして、問題はユーリだ。

彼は予想通り硬い表情で小さく唸った。

 

 

「お前一人で御せる相手なのか」

 

「言うこと聞いてくれるかはわからないけど、害はないわよ。……うん、多分きっと」

 

「目を泳がせながら言わないでよ。

なんだか待ってるコッチの方が不安になってくるじゃないか」

 

「わたしもついて行きます。

貴方を一人になんて出来ません」

 

「気持ちはありがたいけど、向こうは私一人を指定してるのよ。

大勢で押しかけて逃げられたり、暴れて人が集まったら、それこそ面倒でしょう。

魔核のことは私が聞いておくから、ユーリたちはここで大人しくしてて」

 

「わーったよ」

 

「くれぐれも慎重にね」

 

「気をつけてください」

 

 

皆に別れを告げて、いざ私一人、リタ宅へと踏み込む。

けれども、入室後、三歩進んだろ頃で、何かにつまずきこけそうになった。

見下ろしたら、床一面に分厚い本が散乱しており、所々本の山脈がそびえ立っている。

隅を通ろうにも、何かをかたどったオブジェが並んでいてままならない。

ここで寝泊りできるのかと疑問に思ったが、どうやら一階は研究部屋で、吹き抜けになっている二階が寝室のようだ。

黒板に描かれた意味不明な文字の羅列を眺めいると、後ろの方で鍵の閉まる音がした。

 

 

「あんまり人ン家ジロジロ見ないでくれる」

 

 

振り返ると、出入り口のドアの前で一人の少女が仁王立ちしていた。

ブラウンの髪をショートカットにした小柄の可愛らしい少女で、以前とは違い、今は白いローブを着ている。

彼女は私と目が合うなり、闊歩しながら私の元までやってきた。

 

 

「あ、リタさん。お久しぶり」

 

「何が久しぶりーよ。あんた、お城に連れてかれたんじゃないの?

あのカタブツ騎士が、"桜は城にいる。医者に診せるから君は気にしなくてイイ"とか、ムカ爽やか話していたのに、当のあんたはあたしの力が必要だ?

しかもツレは騎士じゃなくて、剣士にお嬢様にガキに犬なんて、奇妙な面子で、よく街に入ってこれたわね」

 

「いきなり来て、図々しいよね」

 

「ち、違うわよ。ここ数日であんたに何が起こったのか、ちょっと気になって……、あ、あんたの心配なんかしてないわ、誤解しないで!

あたしはただシャイコス遺跡の件をうやむやにしたくないだけ、興味あるのは魔導器だけなの。

だ・か・ら! あんたが困っていようがどーしてようが、魔導器の"ま"の字も掠らん下らない話聞かせに来たのなら、物理的に問答無用でアスピオ圏外へと叩き出すからね!」

 

 

一言ったら、百返す饒舌なリタ氏は反論を許さない勢いで捲くし立ててきた。

そわそわとローブの裾をいじり、目も合わしてくれない辺り、私に相手などしている暇などないのだろう。

 

 

「私の身体が反応するのは主にエアルだから、魔導器とは言い切れないよね。

ごめん、他当たってみるよ」

 

「あ、う……っ! 待ちなさい。魔導器はエアルを動力にしているのよ。関係なくはないわ」

 

「いやでも。ぶっちゃけ、リタさん、忙しそうだし」

 

「時間くらい割けるわよ」

 

「外に待っているフェロモン全開お兄さんが、今正に殺気全開お兄さん化してるかもしれないし」

 

「野郎の都合なんて知らないわよ」

 

「やっとアスピオに入れたのに叩き出されるくらいなら、自ら穏便にお暇しようかなーなんて……」

 

「うだうだ言ってないで、とっとと話す! でないと、家から出してやんない」

 

「監禁?! 散々脅しといて、結局選択肢は無いんかい!」

 

「さっさと話す! ブツクサ言え! 何でも良いから隅々まとっとと吐く!」

 

 

だん、と地団駄踏まれて、ワケもわからず私の事情を説明する羽目になった。

私が異世界からきた人間で、エアルに弱いこと。

フレンが手配した医者に診せる予定であったが、キュモールに拉致監禁させられたこと。

ユーリに助けてもらい、自分の体質について調べる為にアスピオまでやってきたこと。

 

エアルの話だけで良かったのだが、リタの剣幕に負けて、全てと言っていいほど吐いた。

けれども私のなけなしの度胸も空しく、目の前の少女が仏頂面でこめかみをピクピクさせている辺り、オチは間違いなく暴力だと思う。

 

 

「――てなワケで、リタさんに私とエアルの関係を調べてもらおうと思ったの。

すみません。ごめんなさいでした。誠に申し訳ございませんでしたから、武力行使は止めてください。痛いのは嫌です」

 

「具合が悪くなったとなれば、エアル酔いと判断するのが妥当なんだけど。

魔導器に触れただけでそうなるなら、エアルそのものの適応能力が低いのよね………にしては、すぐに元気になるなんて。

理屈から言えば、体内のエアルを代謝するのに……メカニズムにどうにも納得できないわ」

 

「あの、何言ってるかサッパリわかんないんだけど。

痛いことする? 気絶系?」

 

「ちょっと、そこでじっとしてなさい」

 

 

リタに真顔で言われて、意味もわからずその場で硬直する。

彼女は私の正面に立つと、両手を突き出し、何もない空間から円盤に近い立体映像展開し、パソコンのタイピングのように素早く円盤を弾き始めた。

 

 

「何してるんですか。リタさん」

 

「動かないで、今あんたの話が本当かどうか調べてるんだから」

 

「CT検査みたいなもん? MDI? レントゲン?」

 

「何ワケわかんないこと言ってんの。いいから、ソコで大人しくしてて。

えっと、…………うん、変わりないわよね――……よかった。

……? ここ違う」

 

「リタさん?」

 

「……おかしいわ。何なの、これ

もしかして……違う。エアルを――」

 

「リタさん、ねえ、リタさんってば。顔色悪いよ」

 

 

青ざめながらも立体映像に食いつくリタから只ならぬ気配を察し、恐る恐る声を掛けようとした。

しかし、寸でのところで、前触れもなく玄関の扉がブッ飛ぶ。

予想外の襲撃に驚愕する私とリタであったが、すぐに警戒は解かれた。私のみだが。

 

 

「桜ーっ! 助けにきました!」

 

「エステル、それに皆!」

 

 

舞い散る本と埃を裂いて、ユーリたちが突入してくると、真っ先にエステルが私に飛びついてきた。

柔らかい抱擁、優しい花の香りが鼻をくすぐる。

思わずウットリしそうになったが、すぐさまエステルの手が顔や胸や腰をペタペタ蹂躙してきて、それどころではなくなった。

 

 

「いつまで経っても出てこないので、思い切って入ってきちゃいました。

怪我はないようですが、 痛いところはないですか? 一人で怖くはなかったです?」

 

「痛いところはないし、心配かけたことは悪いと思うけど、変なところ触るな!」

 

「あ、ごめんなさい。女友達でも、触れてはいけない部分があるのですね。

でも、触れないと患部がわからないことがあるのです。

こんなにやつれている桜を放ってはおけません」

 

「桜がクタクタなのは多分、ユーリとエステルがハッスルしまくったせいだとボクは思うよ。

ドアと一緒に桜の最後の砦までぶっ飛んだんだよ」

 

 

カロルの荒んだ瞳は、しっかりと私たちを客観的に見ていた。

さっきまでユーリに違法だのなんだの言ってたくせに、その張本人が器物破損に不法侵入かさねてどうする。

主人たちと違ってラピードは始終大人しいものだ。

黙ってユーリの傍らにつき、人ン家入ってもはしゃぎ回ることなく、どっしり構えている。

 

 

「尖った耳ともっさり尻尾。よもや、ワイルド系ワンコに癒しを求めたくなる日がやってこようとは。

視姦で我慢するから、どうか愛でさせてラピード」

 

「ワ、ワフ……?」

 

「目が怖いぞ、お前」

 

「癒しにかけてはラピードに負けてはいられません。

わたしも聖なる活力で対抗します。ファースト……」

 

「おい、止めろって」「止めなさい!!」

 

 

ワンコに対抗心燃やすエステルに制止をかけたのは、ユーリとリタの二人。

いつものように何気なく止めようとしたユーリとは違い、新参者のリタは皆から奇異の視線を受けた。

 

 

「な、何よ」

 

「モルディオさんだっけか。

下町の魔核盗んどいて、他人の心配か」

 

「盗む? 何のこと?

人ン家のドア吹き飛ばして、土足で上がりこんだ挙句、他人をドロボウ呼ばわりするワケ?」

 

「そりゃあ、お前。桜を引き込んだ後、厳重に鍵なんて閉めるからだ」

 

「ボクでも開かなかったから、ユーリとエステルがドア壊して、やっと入ってこれたんだ。

内側からドアノブにロープでも縛ってたのか知らないけど、あんなにガッチリ閉められちゃあ、中で桜に何されてるのか心配しちゃうよ」

 

「家の前で物々しい発言連発してたら、施錠だけじゃ心許無いわ」

 

「ごめんなさい。リタは桜のお友達だったのですね。

わたし、てっきり悪い魔物か、悪党かと」

 

「まも……っ」

 

「エステル、フォローになってないよ」

 

 

顔を引きつかせるリタを見て不穏な空気を察した私は話題を変えようと、皆を紹介することにした。

とは言っても、各々事情があるわけで、名前と魔核泥棒についてだけだが。

一通り話を聞いたリタは、ユーリを見て、ハンと鼻で笑った。

 

 

「名前だけであたしを疑って、わざわざアスピオまで足を運んだと。単純ね」

 

「魔核泥棒の特徴ってのが、マント! 小柄! 名前はモルディオ!……だったんだよ。

他にアテはなかったし、桜の件もあったからな」

 

「ローブ姿で背が低い。リタの特徴とピッタリだね」

 

「泣かすわよ、ガキんちょ。

小柄の魔導士なんてそこら中にいるし、あたしぐらいの知名度があれば、泥棒の偽名にはうってつけでしょう」

 

 

彼女の言うとおり、ユーリの上げた情報だけでは犯人を特定し難い。

リタは性格に難があるかもしれないが、この堂々とした態度からしてら、こそこそ盗みなんてしそうにない。

 

 

「リタさんは泥棒なんてしないと思うよ。

有名な人だって、フレンさんが紹介してくれたのを覚えてるもの。

名前と顔が通った人なら、足がつきやすいことなんてできないんじゃないかな」

 

「他の連中から変人って呼ばれるくらいのヤツなら、外聞気にせず、胸張って盗みでもしそうじゃないか」

 

「大の野郎が女の子に向かって変人言わない。

リタさんは、私のあの胡散臭い話を全部聞いてくれたんだよ」

 

「相手の話を最後まで聞くのは、信用を得るための常套手段だ。

鵜呑みにするのとはまた別だよ」

 

「ああいえばこう言う。こういえばああ言う」

 

「そうとう性格捻くれてるのね。仲間の意見くらい、素直に聞いてあげれば?」

 

「テメェもあんま、うちの桜をかどわかすなよ」

 

「か、かどわかしてなんか……っ! この子が勝手に言ってるだけ、あたしは何もしてない!」

 

「リタさんがやったって証拠も薄いし、友達を庇うのは当然でしょ」

 

「友達? あんたが一方的に友達になろうって言ってきたんでしょーが!

あ、あたしは認めた覚えは……」

 

「無いの?」

 

「無いことは無い、けど……」

 

「なんでソコで赤面するんだ」

 

「うっさい! あんた、人のこと泥棒泥棒ってしつこいのよ。邪魔なの。

こっちは、桜とシャイコス遺跡の件で――、あ!」

 

 

ユーリに睨まれたリタは何かひらめいたのか、身を翻して、いそいそと支度し始める。

手近な道具をかき集めて、重ったるいローブを脱ぎ捨てると、そこには以前見た冒険者風の少女が立っていた。

 

 

「おいおい。オレの前で逃げる準備かよ」

 

「バカ言わないで。シャイコス遺跡に行くのよ。

パツキン騎士があたしに協力要請してきたのを思い出したの。遺跡に盗賊団が出たって」

 

「ここを教えてくれたメガネの人も、そんなこと話してたよね。

ひょっとして、ユーリの言う魔核泥棒ってリタじゃなくて、その盗賊団じゃない?」

 

「どうだか。しっかし、フレンのやつ、桜のこと釘を刺しに着ただけじゃなく、協力仰いでたとはね。

なのにこいつがここにいるってことは、さてはフラれたな」

 

「フレンが浮気です?!」

 

「エステル、違うから」

 

「桜、フレンを許してあげてください。きっと一時の気の迷いです。

浮気は男の甲斐性だと、本で読みました」

 

「シュレッダーかけとけ。ヒモの謳い文句の筆頭を植えつけるような本」

 

「フレンは貴方に会えなくて、恋しさのあまり同じ年頃の女性に声を掛けてしまったんです。

傷つき疲れ切った彼を救えるのは、貴方だけ。寛大な心と胸で受け止めてあげてください」

 

「フレンさんは、たかが小娘の胸の中になんて好んで飛び込まないと思うよ」

 

「心配しなくても、桜くらいの胸の厚みがあれば、フレンのドタマなどジャストフィットするはずです!」

 

「計ったのかお前。その自信は一体どこからやってくる?!」

 

 

一人燃え上がるエステルを鎮火させようと試みたが、何ひとつ通じない。

その不毛な光景を見ていたカロルは、事態が飲み込めない様子で首をかしげた。

 

 

「なんでエステルは、あんな躍起になってフレンって騎士と桜を仲良くさせようとしているのかな?」

 

「さてね。一度聞き出そうとしたら、女心がわかんねーのかって、叱られたからな」

 

「あー、それってエステル、実はユーリのことを気に入ってるんじゃない。

ユーリを桜に取られたくないから、フレンを当て馬にしてるとか。

いいなあー、ユーリ。二人の女の子から引っ張りダコにされるなんて」

 

「絶対ありえねーな。隙あらば、オレを排除しようとしてきたお嬢さんだぞ」

 

「……それって、殺……。

ボク、女心ってわかんないや」

 

「複雑怪奇だよな」

 

「あんたら、下らないこと喋ってないで、さっさと支度しなさいよ。

それとも、さっさと警備呼んだ方がいいのかしら。

――桜、いつまで詰まんない事してんの。あんたはあたしとくる!」

 

 

青筋浮かべたリタはユーリとカロルを尻を叩くように急きたて、私の腕を引っつかんだ。

今の今まで私と掛け合いをしていたエステルは、リタの突然の行動に驚き、止めようと私の反対側の腕を掴む。

 

 

「ちょっと待ってください。桜をどこへ連れて行くのです?」

 

「渡したいものがあるから、二階に連れてくだけよ。逃げたりしないから安心なさい」

 

「桜……?」

 

「ごめん。エステルはユーリたちと一緒に準備してて。

すぐ済むと思うから」

 

「わたしも……、わかりました。ユーリたちと待っています。

桜もできるだけ早く戻ってきて下さい。

何かあったら、ユーリではなくわたしを呼ぶのですよ」

 

「わかったから、まず闘争心丸出しで剣引き抜くの止めようね、エステル」

 

 

刀身さらそうとするエステルをなんとか宥めて、私はリタと共に二階の私室へ上がった。

リタの私室は一階から梯子を昇った先にあり、一階の3分の1のスペースにベットにタンスの他、本やらフラスコなどが錯乱している。

 

 

「リタの私生活が心配です」

 

「ほ、ほっといてちょうだい。

ところで、あんた、エステリーゼに事情話してないの?」

 

「うん。一緒にいるのはフレンさんに会うまでだからって、ユーリに口止めされた。

リタさんは話した方がいいと思う?」

 

「ムリに話す必要はないんじゃない。信じろと言う方が無茶な話なんだから。

ただ治癒術がね……。

エアルの代謝ができない身で、あんなもん素で受けると大変だろうから。

ちょっと待っててよ……と、あったあった」

 

 

リタはベットのそばにあった木箱の中から、黄金色の首輪を取り出した。

ワンポイントは小さな赤い宝石だけのシンプルな首輪。

私は一目でそれが何か理解できた。

 

 

「魔導器? もしかして、私に渡したいものって、それのこと?」

 

「そ。元々エアルの低燃費を目的に作られた武醒魔導器なんだけど、魔核の精度とサイズ、筐体の関係で、術技使うどころか体内に吸収する前に拡散しちゃう困った代物になっちゃって……」

 

「エアルの代謝の時点で、私わかんない」

 

「通常、エアルは魔導器を媒体にして吸収し、技にして代謝するわ。

魔術の場合は利用した後、またエアルに戻る。

エアルの濃度が強くなるとあたしたちでも具合悪くなるけど、それは代謝活動が活発になって疲労するものなの。

でも、あんたは一度死に掛けた。代謝の限度を越えてるのよ」

 

「その魔導器は体内に吸収する前に拡散するんだよね。

てことは、これを私がつければ、降りかかるエアルを拡散してくれると」

 

「付け焼刃かもしれないけど、無いよりマシよ」

 

「本当に私がつけていいの? 魔導器って、手に入り難いって聞いたよ」

 

「別に。それ作った魔導士が失敗作だって、魔核だけ取り外して筐体処分なんて酷い事するから、研究者の名の下、顔面に鉄拳制裁……もとい、無理言って譲ってもらった物だから。

あたしの懐痛まないの」

 

「それ強奪……いや、なんでもありません。ありがとう、リタさん」

 

「いいのよ。正直何に使おうか持て余していたから。試しにつけてみて」

 

 

リタから差し出された魔導器へ、恐る恐る手を伸ばしてみる。

指先で触れてみたものの違和感はなく、手にとってみたら見た目よりも軽い。

どんな素材を使っているのだろうか、身に付けてみたら、元から私の為に作られたのかってくらいフィットした。

ふと、リタの方を見てみると、首元に赤い宝石のついた首輪がはまっているのに気付く。

 

 

「リタさんも首に魔導器つけてるんだ。私とお揃いね」

 

「偶然よ、偶然! 魔導器の種類ってのはアクセサリーから、結界魔導器みたいな大きなものまで、ピンキリあるの。

身に付けられる程度になってくると、それこそ星の数ほどあるわ。似たようなのをつけててもおかしくないわよ。

だから、あの、……ペアルックじゃないんだから!」

 

「そーいや、ユーリとエステルは同じ腕輪だったか。デザイン全然違うけど」

 

「そうそう。だから、あんたは何も気にしなくてもいーの!

ともかく、あんたの体質、生まれて此の方エアルに触れたことがないと言うより、もはや遺伝子レベルね。

……調べてみないとわからないけど、異世界から来たってのも、あながち嘘じゃないか」

 

「いやあの、実話なんだけど。リタさん、まだ信じられないの?」

 

「当然よ。エアルを代謝できないなら、今まで受けたエアルは何処へ行ったの。

まさか長い時間駆けて代謝したとか、身体通過して大気中に戻ったとか。

何らかの形で蓄積されてるのか、他のところに使われているのか。

もしかして、人間魔導器?!――ふふふっ、面白い。より綿密な検査が必要だわ」

 

「元が可愛いのに、笑顔が不気味な不思議。

その前にリタさんの身の潔白証明しないと、ユーリが許してくれないよ」

 

「あの男のことなんて知ったことじゃないけど、あんたの立場もあるし、少し付き合ってあげる。

あたしとしても、濡れ衣おっ被せたヤツに色々と思い知らしてやりたいから。――そう色々とね」

 

 

どうしよう。笑いに肩を揺らす彼女の"いろいろ"から殺意しか感じられない。

魔核泥棒さん、逃げて、超逃げて。

いや、逃げられるのはまずいから、フレン辺りに捕まえられるのが妥当なんだろうか。

嫌な方向に獅子奮迅するパーティに、早くも後悔を募らせつつも、私たちはアスピオから南東にあるシャイコス遺跡に向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

■続く■




だらだら長くなった夢小説です。
実は8・9話は、元々2話で1話でしたが、80KB越えた時ヤバいと思って分けました。
ただリタに会いに行くだけで、どうしてこんなに長くなたのか。
あれこもれもと詰め込み過ぎたのが原因だと思うのですが、まま作成するとオリジナリティの欠片もなくなるので勘弁です。
シャイコス遺跡終わらして、リタ仲間にするところまでを1話で収めたかった。

作成してて思ったのですが、カロルと主人公の口調がそっくりな不思議。
若干リタと主人公も似ています。……どうしよう。
人数増えてくるとキャラの扱い難しくなるのに、新たな難題が。
……なんとかします。それではまた。


瑛慈 翔
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