ただでさえヒロアカには魅惑的なヒロインが多いです。
(癖が歪む音)
どうしてくれるんですか。
突然だが、君は神を信じるか?
気がふれたとかよくある宗教勧誘でもない。
少なくとも俺は無宗教だ。
仮に神様、もしくはそれに準ずるものがいたとしても明確にお告げなり奇跡なりの干渉はしてこないものだと思っていた。
何でこんなことを言っているのかというと、目の前に土下座している女神(?)がいるから。
「本ッッッ当に申し訳ありませんでした!!」
えー、オーラ的な神々しい何かを感じることには感じるし、何というか異世界もののアニメとかに出てきそうな翼の生えた神様のような見た目をしているので神様(暫定)なんだが、いかんせん絵面が絵面だ。
とりあえず起こそうとした時点で、今の自分に手がないことに気が付いた。自分の身体を見ようとするが、視点が下を向いただけで白い床しか映らない。
もしかしなくても俺死んでます?
「はい、■■ ■■様は今、いわゆる魂だけの状態になっております。」
そっかー
うん、まあ惜しむほど大した人生を送っていたわけじゃないからそれはいいや。人間生きてりゃいつか死ぬ。
「そ、それがですね――
――というわけなんです。重ね重ね、申し訳ありません。」
なるほど、要は世界のデバッグ作業みたいなのに巻き込まれて、存在ごと消滅したと。いやー、疎遠気味とはいえ残してきた家族に悪いなとは思ったんですけど、その心配もないのは助かります。ひょっとしてラノベみたいな転生とかさせてもらえる感じですか?
「はい、本来であれば輪廻の輪に戻ってもらうところだったのですが、その・・・消滅しかけた影響で、通常の輪廻には戻れなくなっています。貴方様の魂の、■■がだいぶ落ちていまして・・・」
えーと、つまり?
「観測次元より低位の次元、そちらの世界で創作物として認知されている世界への転生になります。」
や、やったー!少なくとも前世よりは豊かな人生が送れそう!
夢もなければ恋人どころか親しい人間すらいない、ただ食べる・働く・寝るの繰り返しよりかは面白い人生になりそう!
ありがとうございます!
「」(憐みの目)
あ、そうだ。自分がいることでその世界に何かイレギュラーが起こったりしませんか?
「いいえ、そちらの表現でいうところのIF世界線となりますので、最悪、滅ぼしていただいてもかまいません」
そんなことしませんよ!?
しいて言うなら、第二の人生がすぐ終わるようなことにならなければいいなとは思いますけど。創作だからこそ、命が軽い世界観とか割とあるので。
「でしたらあらかじめ完全耐性を授けましょう。何があろうとも死なない程度にはなれます」
不老不死ですか?ううむ・・・いえ、“人生”を送りたいので遠慮します。
「わ、わかりました、ちょっと待ってください今剥がします・・・えいっ!」
えっちょっと待って痛い痛い痛い魂だけなのに痛い!ヤメ、ヤメロー‼ア˝ッ---!
大丈夫です!結果論になりますけどまだ自分消滅してないんで!
「いいえ、ただでさえこちらの不手際で存在を抹消させた挙句、魂までも砕こうとしたことはどうあっても許されません。」
いえ、まぁ大丈夫です。今はええと、その、自分今どうなってます?
「はい、一度付加した完全耐性の剥離を試みたのですが、すでに馴染んでしまった部分が残っているために不完全ながら耐性が残っている状態です。魂の“容量”の都合上、ほかの特典を与えることすらできなくなりました。」
・・・経緯はともあれほしかったものは手に入ったのでそこまで深刻にならんでも・・・
「これにより、転生先の候補が大きく減ってしまいました。具体的には、この“耐性”を許容できるのが異能バトル物の世界を除きほぼ存在しないのです。」
まぁ転生先ガチャよりかは万倍マシだな。あれだ、後はもうお任せでもいいかな?なんかこう、意識が―――
「せめて、この魂が少しでも良い来世を送れるようにしましょう。」
そう呟くと、上位存在である
「潜在願望は・・“少しでいいからモテたい”ですか。では、特に苦労なくヒロインと結ばれる世界のほうがいいですね。ヒロインのタイプは・・・」
「原作は“僕のヒーローアカデミア”、分岐点をこのあたりに作成して、出生時の性別比をいじって―――」
「では、よい来世を。」
空虚な人生だった。
才能があるわけでもなく、努力する情熱があるわけでもなく。
追うべき夢も、あこがれた背中もなかった。
ただ、漠然と退屈な日々を過ごしていた。
今世の世界がアニメか漫画か、はたまた小説かはそんなに重要じゃない。
「目指せ充実した転生ライフ!やるぞーー!!!」
前世においては創作の中の存在だったかわいいヒロインも、架空の胸が躍るバトルも、遠い世界の話だった青春も。全部手が届く場所においてもらったんだ。目いっぱい楽しんでやろう。
「・・・それはそうとして原作聞くの忘れてた。」
ベッドから起き上がり、カーテンを開ける。
現代日本の閑静な住宅地が広がっている。ふむ。
カレンダーにはアメリカンな画風の美女が描かれている。どっかで見たような気がするが、思い出せない。多分見たことがある作品のはずだ。片っ端から異能バトル系ラノベ・マンガ・アニメを思い浮かべるが、こんなキャラはいない、だが妙に既視感がある。
一枚めくる。
最初のアメリカン美女と同じで、ヒーローっぽいコスプレをしている美女。炎属性のようだが、やっぱり覚えている限りこんなヒロインが出てくる作品はない。
次。メカクレ金髪でパンクな美女。わからん。
次、くのいち。銀髪でボディーラインがえっち・・・次いこう。
仮面の美人。手の甲から鱗みたいなのを生やしている。
全身甲冑、性別不明。ただ、長い白髪が兜の隙間から伸びている。
次。ヒロアカのミルコ。コスプレイヤーか?
次。ヒロアカのリューキュウ。二連だな。
次。ちょっと異色のサメっ娘・・・ん?
待て。待て待て待て。
一枚目に戻る。通しで見る。
ついでに自分の格好を鏡で見る。
黒髪の少年が憔悴した顔でこちらを見ている。身を包んでいるのは、アニメ“僕のヒーローアカデミア”で主人公が着ていたものと同じ有英の制服。
カレンダーを見直す。
[ヒロインビルボードJPカレンダー 上半期版]
「」
「嘘だろ」
時計を見る限りまだ早朝、調べ物をする時間くらいはありそうだ。
「[男女比] [現在]っと」
ふむ、最初の個性保有者の誕生からしばらくの時点で、個性ウイルスが変異。Y性遺伝子の発現率に偏りが発生、さらに代を重ねるにつれてXX優位の進化圧力がどうのこうの。で、現在“男”は無個性で2割程度、個性ありの場合オスの三毛猫並み*1、無個性の人って全人類のおよそ2割くらいだったっけか。
全人口のうち無個性の男が4%,個性がある男が0.024%。男女比はおおよそ24:1。
「まぁ99:1とかよりかはマシか。」
ワンチャン前世比でモテモテにはなれるって考えればそう悪くはないはず。*2
学生証を見る。
[学科年組] 特別科1年Ⅹ組
[出席番号] No.00
[氏名]
[生年月日] 2月29日
[個性] 耐性
「いや突っ込みどころ多いな!?」
オーケー、いちいち突っ込んでいたら気が持たない。にしてもイケヤか。IK〇A...ウッアタマガ
あれか、イスでも壊せってか。
家の中を見て回るも、親ないし保護者的なのはいなかった。ただ、生活の痕跡はあるうえに、引き出しの中に合った通帳には学生にはだいぶ過剰なほどのお金が。入金には“政府補助金”とだけ書いてある、実質日本政府が親代わりで保護されてるっぽい。俺は絶滅危惧種かよ...絶滅危惧種だった。えっと、日本の人口が1億人と仮定して*3個性を持つ男性は2400人程度か、まあまあいるな。*4
転生後初の朝食だからと気合を入れて作ったが、そのせいで若干時間が押している。食器洗いは食洗器に任せて、リュックを背負って身だしなみチェック。
「いってきます!」
前世では全力で取り組んだことも、ひょっとしたら自分の人生の当事者意識さえもなかった。でも、今世の俺はきっと一味違う。
誰もを救うヒーローになれなくても、物語の主人公のような“カッコイイ”人間に。そのためにはなんだってしてやろう。行くぞ、俺のヒーローアカデミアはここから始まるんだ!
女性しかいないならヒロインアカデミアにでもなるのか?
なら今されてるのは痴漢じゃなくて痴女かぁ・・・
電車に揺られるたびに尻なり腕なりにやたらと触れられて若干現実逃避気味に考える。ほぼ女性しかいない車内のこう・・・擬音でいうなら「ムッワァ♡」って感じの空気からは全力で意識をそらしている、あと細い指がツーっとあちこちを這いまわる感触からも。俺童貞ぞ?雄英高校つく前に股間の勃〇で人生が終わらないことを祈りながら、俺はほんの少し溜息を吐いた。
歪みに歪んだ作者の性癖は活動報告あたりに載せておきます。
癖の開示・リクエスト等はお気軽にどうぞ