「ベル・クラネルがあのミノタウロスを撃退してくれました!すぐに体制を立て直しなさい!!」
「こっち魔法頼む!!」
「アイテムが足りないよアスフィ!!」
「魔法を使いつつ節約しなさい!私が指示するまでは回避に徹しなさい!!」
まずい…食人花が多すぎる処理しきれないこのままではジリ貧…
こうなれば…
「正面!凍炸薬!」
「了解!」
凍炸薬が当たり、動きを止めた食人花の隙間をアスフィは潜り抜ける
「はぁ!!!」
「いい剣筋だ、だが甘い」
確かにその短剣が刺さったはずだった
固い肉に阻まれる短剣が抜けない
「なっ!!」
「無駄だ、ふん!」
アスフィが吹き飛ばされる
「とどめだ」
「ぐっ!」
「アスフィ!!!」
アスフィがとどめを刺される瞬間
「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」
爆音が鳴り響く
「【紅焔】!!」
それと同時に火炎が食人花を焼き尽くす
「アイズさん!!」
「ベル!!」
「お前ら急ぎすぎだ!!」
「落ち着けレフィーヤ!」
これを好機とみたアスフィが後退する
「ベルは!?」
「そこで眠っています!早めの治療を!」
「エルフ!」
「ああもうわかりましたよ!!」
また轟音がなる
「アリアああああああ!」
「【
レフィーヤがそこを見上げる
「アイズさん!!」
レフィーヤの声に気付きアイズは一瞥する
ベルが怪我をしていることに気づき駆け寄ろうとするが
正面の怪物へ意識を戻す
「レフィーヤ…ベルをお願い」
「はい!!」
一瞬の場の膠着を見抜いたアスフィは血だらけながらも指示を飛ばす
「【凶狼】!前衛頼みます!」
「了解した、鍛冶師、雷をよこせ」
「【雷陽】!!」
銀雷が走る
「つぶれてろ」
「【凶狼】!!!!」
「うるせえ」
「がああああああああ!!!!」
オリヴァスが吹き飛ばされる
「ぐっぞおおおお!!」
「寝てろ」
「ガッ…」
ベートの蹴りによりオリヴァスは気絶する
「ちっ使えない男だ」
アイズから離れたレヴィスがオリヴァスに近づく
「くだらん男だったがこれぐらいの役には立つだろう」
レヴィスがオリヴァスの心臓を貫く
「あれは…」
「魔石…」
「魔石を埋め込まれた人間!?」
「おぞましい…!27階層の悪夢で見たものよりも…」
その場にいた全員がレヴィスの行動に動きを止める
その隙にレヴィスが魔石を取り込む
「アリア!59階層にこいお前の知りたいことを教えてやる」
「待って!」
レヴィスが緑肉に取り込まれ姿を消すと同時に
緑肉が崩壊を始める
「お前ら引くぞ!!このままだと死ぬ!」
「入り口は!?」
「こっちです!」
全員が必死に退避する
二日後
「あれ…」
すっごく見慣れた天井だ…
よくないことなんだけど…
「起きましたか…では言わせていただきますね…」
「は、はい…」
「何をしたら全身粉砕骨折に内蔵損傷、全身裂傷をするんですぁ!!」
「すみません!!」
アミッドさんが怒鳴る
「レフィーヤさんが応急処置をしてくれなかったら大変なことになってたんですよ!!」
「すみません!すみません!!!!」
「はぁ…全くあなたといい【剣姫】といい無茶が過ぎます毎回のようにここまでひどいけがをされると困ります」
「あはは…」
アイズさんもひどいけがすることあるんだ…
「ひとまず数日は絶対安静でお願いします戦闘なんてもってのほかですからね」
「は、はい」
「それとあなたのことをずっと心配していた方が面会に来ていますから」
「?」
アミッドさんが部屋を出てから数秒後
『ベル!!!』
アイズさん、ヴェルフ、ベートさんが同時に病室に入ってくる
「大丈夫…?傷は痛まない?」
「また助けに来るのが遅くなってすまん!!」
「無事だな!生きてるな!!」
「だ、大丈夫ですよ…?」
「よかった…」
「ミノタウロスにぼこぼこにされたって聞いてな驚いたんだぜ?お前がいまさらミノタウロスにぶっ倒されるなんてありえないと思ってよ」
「ああ、それは──」
言葉が詰まる
「どうしたベル?」
「…ううんなんでもない、それよりも【ヘルメス・ファミリア】の人達は大丈夫だったんですか?」
「うん…ベルが先陣切ってモンスターを倒したおかげで…アイテムの消費が抑えられて全員生還」
「よくやったなベル」
「…はい」
三人が顔を見合わせる
「わ、悪いベル俺そういえば今から仕事の話が…」
「わ、私もリヴェリアのお勉強…ある…」
「お、おれは依頼を…」
「あ、はい!忙しい中来てくれてありがとうございます!」
三人が病室から出る
「気…使ってくれたんだなぁ…」
病室の外にて
「あれベル…」
「ああ…」
「落ち込んでるな…」
「何があったか詳しく知ってる奴いねえのかよ」
「黒いミノタウロスが片腕を失って逃げたくらいの情報しかないな…」
「私は…赤髪の怪人と戦ってたから…」
しばらく色々と話し合っていると
「おや、三人とも来ていたんだね」
「フィン…」
「僕もベルに話したいことがあってね少し様子を見に来たんだけどベルは起きてるかい?」
「起きてるけど…」
フィンは見透かすように
「それ含めて話に来たんだ」
「でも今は…」
「今は僕に任せてくれ」
三人は顔を見合わせフィンに任せるというようにドアの前を譲る
「ありがとう」
フィンがドアを開く
「ベル、起きてるかい?」
「あ、フィンさん…」
「少し話がしたい、今いいかい?」
「…はい」
フィンさんは座る
「ベル、悔しいかい?」
「え…」
唐突な質問しかしそれはベルの心をこじ開ける
「五年前のあの時よりも悔しいかい?」
「それは…」
決してヒュアキントスさんや極彩色のモンスターに一度負けた時のような悔しさが軽いものだったとは言わない
けれど…あれは…
「僕はねベル、敗北は悪くないものだと思っている」
「え…?」
大派閥の長であるフィンさんがそういうことを言うとは思わなかった
「驚いたかい?僕だって別に最初から強かったわけじゃないそれこそ君の義母や叔父に散々泥をなめさせられたさ」
「そ、それは…」
「けれどね僕はそれでよかったとも思っている」
「え…?」
「そのおかげで僕は今日まで生き残ってLv.7なんてものになっている、それは彼らに負けた後僕がそこで腐らなかった証だ」
「あ…」
「そうだベル負けたっていい悔しくたっていいそこを踏み台に君が何をなすかだ」
「何を…なすか…」
「ああ、君は今回その場にいた人を全員救ったそれこそきみがなした偉業だ」
ああ、そうだいつまでそこで止まっている
強くなるって決めたんだ、英雄になるって決めたんだ
なら…するべきことがあるだろ
「ありがとうございます!フィンさん」
「ああ、元気が出たならよかった、それで本題に入っていいかい?」
「本題ですか?」
「ああ、僕たち【ロキ・ファミリア】の遠征についてだ」
「遠征…」
「今回は僕たちの未到達領域である59階層への遠征を目的としている」
「深層…」
「そうだ、その遠征にベルは最前線部隊として来てほしい」
「最前線…」
「ああ、恐らく59階層は報告にあった緑肉に浸食されている可能性がある」
フィンさんは真剣な顔で
「もし浸食されている場合君の知っているモンスターが複数いると思われる」
「あの極彩色のモンスターも…」
「ああ、十分に可能性はあるだから力を貸してくれベル」
「フィンさん…」
僕は静かに
「僕たちはファミリアなんですから頼み事は聞きます」
「ああ、そうだったね教えた僕が忘れていた」
僕たちは静かに笑いあう
次から次章です遠征やります