強面男が幻想入り 作:疾風迅雷の如く
宴会の前にあいつのところへ行くか。甘味でも土産にしておけばいいだろう…
「お久~!勇姿!」
…どうやら行くまでもなかったようだ。俺の目的の人物…というか妖怪は俺に軽い挨拶を交わした。
「久しぶりって程じゃねえだろ?フウ…」
俺とこいつ…フウが出会ったのはつい最近のことだ。
「懐かしいね…最初にあった時は敵だったし、今じゃこんなに話せるなんて信じられないよね。」
「まあ、そうだろうな。俺は依頼でお前達全員敵に回したんだしな…」
俺とフウは今でこそ友達だが最初に出会った時、敵同士だった。
~異変解決直後~
俺は妖怪の山に来て依頼をこなしていた。
「やれやれ…縛ってくれるじゃねえか…」
俺は愚痴っていた…その理由は依頼を受けた瞬間エラーが発生してしまい、コマンドのほとんどが使えずにいたからだ。幸いなことにマップとセーブ&ロード、道具の出し入れ、装備の機能は使えるが他は使えないという縛りプレイだ。早い話がコードやヘルプ機能が使えないってことだ。その為ジェットパックが道具に入っているものしか使えないから使い捨ても出来ない…頭痛いぜ。
「待て!」
頭を抱えていると白い犬っぽいの妖怪に絡まれた…
「ここは妖怪の山…お前のような人間が入っていい場所じゃない!」
「博麗の代行、大和勇姿。話は聞いているだろう…通してくれ。」
「博麗の代行…?!敵しゅ」
ドガッ!
「てめえは何をやっている…そこで寝てろボケ。」
敵襲!などとほざきそうだったから俺は殴って気絶させ、その場に寝かせた。
「しかし話が通ってねえな…もう少し先へ進んでみるか。」
俺は何故奴が俺のことを敵扱いしたのかわからず、それを突き止める為にも先へと向かった。
「待て!ここから先は通さん!」
俺の前に鴉天狗の女が立ちはだかるが俺は無視した。
「うるせえ!」
と一言とパンチで奴を気絶させた。
「…このまま頂上まで行くか。」
さっきの白犬と鴉女の行動からして俺は敵として扱われている。ブン屋かつ鴉天狗の射命丸文に取材させる代わりに話は通すようにあるんだがな…
「博麗の代行、大和勇姿。我々は歓迎しよう…」
やっと話が通っている奴に会えたか…全く
「ただし我々の弾幕でな!」
歓迎は随分と過激なもんだった。
「全く…なんでこんなことになっているのか理解出来ん。」
俺はそう愚痴って新しく追加した銃を取り出した。
「全員退避!あれに当たると一撃で気絶するぞ!」
こいつらなんで知ってやがる?確かに妖怪を退治した時に撃ったけれどマップで見ても誰もいない場所だったぞ?だから文が情報を流したというのはあり得ない…
「はっ!」
流石の俺といえども避けることを専念されちゃ当てるのは難しい…となれば…
「ではこうしよう。」
俺はその場を離れ、頂上へと向かっていった。
「そうはさせん!」
案の定バカ達が追いかけ弾幕を放った。
「あらよっ!」
俺は追いかけてきた天狗達を的確に撃ち、沈めた…バカ丸出しだな。
「よくも私の部下をやってくれたな…博麗の代行…」
そいつは見た目は俺よりも1つ下の女子高校生に見えるが雰囲気はまさしく頭領といった感じだ。
「お前は?」
「天魔。お前にやられた天狗達のトップだ。」
おいおい…これが中級妖怪か?中級妖怪だったら神経疑うぜ…
「そうか。じゃ聞くが」
俺の言葉を遮り、天魔は俺を攻撃してきた。
「死ね。小僧。」
「小僧扱いされるのは久しぶりだな。」
いや全く…俺の顔は老けているから40代に見えてもおかしくないしな。小僧と言われたのは10年くらい前の事だ。
「…っ!」
奴が起こしたカマイタチが俺を襲い、俺は避けるがその先に天魔がおり、蹴飛ばされた。
「ぐっ…あの吸血鬼どもよりもやるじゃねえか。」
少なくとも美鈴の全力よりも強かったし、何よりも俺が反応出来なかった…
「紅魔館の吸血鬼と一緒にするな。あいつらはたった500年前後しか生きていない。私の5分の1どころか文の半分にも入っておらんわ!」
どんだけ生きているんだ…こいつは?つーかあいつらの年齢初めて知ったわ。
「俺が対応出来ないほどのスピードでフェイントを織り交ぜるのは初めて見たぜ…」
妖夢の場合は直線的だったから反応出来たがこいつは違う。こいつは妖夢の瞬時的に出るスピードで攻撃とフェイントを織り交ぜる事が出来る…しかもその威力は親戚の中で一番脆いとはいえ相当頑丈な俺に膝を付かせ、血塗れにするレベル…恐ろしい奴だ。今まで戦ってきた奴らとは桁が違う…天魔って裏ボスなんじゃねえか?と思ったのは当たり前だ。それでコードが使えないって難易度地獄なんじゃないか?
「確かに貴様はレミリア・スカーレットや八雲紫を相手にほぼ無傷で勝った…だが上には上がいるということを覚えておけ。」
天魔は持っていた剣で俺に斬りかかった…俺は反応は出来ずその場で首を落とされた…
「ならば俺はその上を超えるだけのことだ!」
首が落とされたと思うのはこれまでの俺だったらの話だ。俺は剣をmachine-gunで防ぎ、はじき返した。
「…博麗の代行は伊達ではないということか。」
天魔は俺を賞賛し、剣を捨てた…
「当たり前だ…何故俺を襲うのかてめえらから事情を聞かなきゃならねえしな。」
俺もmachine-gunを捨て、素手となった。
「ほざけ。幻想郷に害を成す者が…」
幻想郷に害を成すって…俺は単純にイベントをこなしているだけだ。それが幻想郷を滅ぼすことになっているなら仕方ないのか?
「行くぞ…天魔ぁぁぁぁっ!」
「こい!代行ぅぁぁぁぁっ!」
それが殴り合いの開始の合図だった
3日後…未だに殴り合いは続いていた。俺はスタミナとパワーが売りだからそこまで持つが…こいつも相当タフだ…
「はぁーっ…はぁーっ…」
互いに満身創痍となり身体は言うことを聞かず、もはや気合と根性の勝負となっていた。
「ぬぅぅぁぁぁぁっ!!」
天魔は吠え、俺に向かって走り、突っ込んだ。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
満身創痍の身で出来ることは捨て身のカウンターが一番良い。もしもここで避けてカウンターを放っても天魔は倒れない…そう考えた俺はいつの間にか突っ込んでいた。
ドンッ!!!
互いの拳が当たり、顔にぶつかった…
「ぬっ…!」
俺は膝をつき、負けた…と思った。
「代行も大したことない…ね…大したこと…」
バタッ!
天魔が倒れ、俺の勝利が確定した。勝因は体格差だろうな。俺の体格は世界でも稀に見るほど大柄だが天魔は女性の平均くらいといった感じだ。その代償に身体はボロボロ…あざだらけの酷い状態だった。
『依頼を終えました。コマンドの機能を回復します…回復が終わりました。ご褒美として新しいコードと道具を入手しました。』
…これで良かったようだな。なんにせよコードで体力を回復しておこう。…ん?後ろにマップに敵のマークが?
「らぁっ!」
俺はとりあえず全快となったのでそいつを蹴っとばして置いた…
「そんな…」
などと聞こえたが無視して俺は天魔を担いだ。
「頂上にでも行くか。」
そして天魔が目を覚ますと天魔は素の話し方になり、事情を話した。敵対している時の口調は天魔としての権威を示すらしい…
「それじゃてめえは紫に言われてやったってことか?」
あの女…それでエラーが発生したのか。
「そうなるよ。それに噂の博麗の代行…つまり勇姿がどれだけやれるかって気になったしね。」
「俺が勝ったとはいえ期待はずれだっただろう?」
「期待はずれとは大違い…まるで勝てる要素はなかったね。よくあそこまで善戦出来たと思うよ。」
おいおい…冗談いうなよ。
「よく言うぜ…俺を散々あざだらけにした癖によ。」
俺がそう言うと天魔は乾いた笑い声を上げる。
「…いきなりで悪いけと友達にならない?」
「何を言ってやがる…てめえはとっくに俺の友達であり、ライバルだよ。」
「本当?」
「ああ…そうだ。」
「ありがとう…実は友達なんて鬼しかいなかったんだ。」
「いなかった?」
それから天魔は友達がいない理由を話した…天魔は妖力が生まれつき中級妖怪クラスしかなく、馬鹿にされ続けた。天魔曰く妖力に頼らず自らの努力のみで実力をつけ、ここまで成り上がったらしい。当然妖力が少ないのに実力はある為嫉妬、侮蔑などの目で見られていた。天魔になったらなったで媚びを売る天狗達が増え、現在友達と呼べるのは自分と同等の実力を持つ鬼の四天王と呼ばれる四人だけらしい。
「そうか…それじゃ俺が鬼以外で初めての友達ってことになるな。え〜と?」
「…フウって呼んで。本名は嫌いだから…」
「それじゃフウ。よろしく。」
「よろしくね。」
そして冒頭に戻る…萃香が霧状になっていた時に風が使えるようになったのはこの天魔と戦ったおかげだ。
「おばちゃん!もう一本!」
…こいつの正体は天魔なんだが普段は甘い物が好きな女子高校生みたいなことをしているから一般人から見れば全然わからない。むしろその親しみやすさから人間と間違われるくらいだ。…俺なんか時に妖怪と間違われたからちょっと羨ましいもんだよ。
「フウ、ちょっと聞きたいことがあるんだが…伊吹萃香って知っているか?」
俺は萃香について尋ねた…
「萃香ね〜…萃香は鬼の四天王の内の一人で技の萃香なんて呼ばれていたよ。密と疎を操る程度の能力持ちで簡単に言えば密度を操ることが出来るって言えばいいかな?対処する能力がなきゃ勝てない相手だけど…その萃香に喧嘩でも売るの?」
鬼の四天王…つまりフウの友達か。
「似たようなもんだな。」
実際には喧嘩じゃなく異変の時に戦うんだけどな。
「…じゃあ勇姿が勝ったらとっておきのお菓子をあげる!」
「お菓子か…もし負けたら?」
「妖怪の山で天魔の仕事を手伝ってもらうよ!」
「そりゃ酷え。絶対に勝たないとな。」
俺は苦笑して代金を支払ってその場を去った…