強面男が幻想入り   作:疾風迅雷の如く

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何という文字数…約6000文字!
多分二度とこんなに書けないと思います。


第35話

皮肉にも異変を起こしたのは守矢神社…つまり俺が調べようとした神社だった。おそらくだがあの夢が関係していると見ていい。事実それまで思い出せなかったあの時の被害者…東風谷早苗に出会い守矢神社のことも思い出せた。

今更だがこの世界はゲームの世界のようなものと考えて良い。現にイベントに関する記憶が欠如している。これまで断言出来なかったのは幻想郷に「〜程度の能力」が存在するからだ。俺の場合は「コマンドを入力し実行させる程度の能力」だろうと考えていた。

しかし今まで起こってきた異変に直接関わることに関しては妨害される。

 

例えばレミリアが起こした異変は天候変更のコードを使ってもボス戦で逃げるを選択するように無効化された。幽々子の起こした異変では直接解決出来るようなコードがそもそも存在しなかった。萃香の異変は表示に遅れがあったものの行動したのはほぼ一瞬。そして永遠亭一同の異変では迷いの竹林で何かが誘導して無理やり早めに解決させようとしたとしか思えない。前回に至ってはもはや異変ではなくただのイベントだ。

 

そして今回…守矢神社に関する記憶の欠如が何よりの証拠だ。何か都合が悪ければそれが無効化される。あるいは捏造された記憶なのか…どちらにしてもこの幻想郷は謎が多い。

「常識は敵だ…」

幻想入りする前に呟いた言葉を再び呟き、階段を登って行くとその先には早苗に頼まれた相手が2人…いや二神がいた。

「来たな博麗の代行。」

1人は紺色の髪の女神。その性格は幽々子と紫を足して二で割ったような奴だ。厳格かつ威厳がある…と言えばいいだろうが俺から言わせれば鬱陶しい。

「ようこそ、守矢神社へ。」

そしてもう片方は見た目は金髪少女だがその中身はドス黒いものを抱えているのがよくわかる。神は神でも邪神と言えばわかりやすいか。

 

「…お前達は神か?」

「不敬が過ぎるぞ。屈せよ。」

前言撤回。紫すらも大物に見えるくらい小物だ。

「だが断る。俺はお前達を敬ってもいなければ味方ですらもない。」

「我は建御名方神!軍神と呼ばれ崇められ、恐れられた神!それを敵と見なすものは勝利を捨てることと同義なり!」

なるほど日本版勝利の女神って訳か。どんな能力か調べてみるか。

 

『名前 八坂神奈子

性別 女

種族 神

能力 乾を創造する程度の能力』

 

乾(いぬい)を創造…なんだそりゃ?某テニヌマンガの某汁でも作るのか…?これだけだとわからんし、もう片方でも見てみるか…

 

『名前 洩矢諏訪子

性別 女

種族 祟り神

能力 坤を創造する程度の能力』

 

2人合わせて乾坤…神奈子の方は乾(いぬい)ではなく乾(けん)か。

『乾を創造するということは天を操るに等しい。坤を創造することは地を操る。これ創造する神現世に有り…とは博麗の巫女の日記の談で語られている』

うるせえ!どうせ兄貴達とは違って学はねえし、留学したのも米国で殴り合いする為だ!

『ちなみに建御名方神は日本の創造神のイザナギの子孫である。』

どうでも良いわ!

 

「過去の栄光を持ち込むんじゃねえよ。そんなんだからこの幻想郷に来ざるを得なかったんじゃないのか?八坂神奈子。」

そんな俺の心情とは別に俺は神奈子を挑発していた。

「何故私の名を…!?」

神奈子はしまったと言わんばかりに口を手でふさいだがもう遅い。

「ようやくボロ表したな。俺の前で威厳を保つのは止めておけ。返って滑稽だ。」

俺が威厳を保つ奴を小物扱いする理由ってあれなんだよな…親父と親父と同期の元専務が原因だ。親父は穏やかな性格で威厳を剥き出しにするというよりは勝手に滲み出ると言った感じだが専務は威厳を出そうとムキになって社員から嫌われて失敗する…ってパターンだ。株主総会(といっても形式上なだけで実際には株は親父や親戚共が所有している)でその専務は首になって路頭を彷徨うことになったのは余談だ。

「…そういうなら仕方ないねぇ。だけどあんたはここに来た以上私達を妨害しに来たってことだろう?」

「今回は博麗の代行ではなく動けないダチの代わりだ。」

「ダチ?」

「そうだ…てめえら妖怪の山の勢力とドンパチするらしいじゃねえか。」

 

ドンパチ…ようするに早苗の言う戦争だ。このまま放っておけば必ず混乱する。こいつらが妖怪の山を制覇した後何をするかだいたい想像がつく。

人里だ。幻想郷の人口の9割以上が人里に住む。当然奴らは神という種族である以上信仰心が必要だ。その信仰心を生み出しやすいのが…人だ。つまり人里の人をターゲットにしてしまえば信仰心を得ることが出来、力も得る。

 

現代の日本においては無宗教が多く、一つの宗教に集中することはないが昔の日本や外国は違う。その理由は周りの環境が大きい。

例えば戦前の大日本帝國憲法は天皇は現人神であり、神であるから崇めなさい…といった内容が書かれており戦前の日本は天皇を崇める宗教団体となっていた。つまり国教となっていた。

 

しかしこの幻想郷は娯楽が多くあり豊かな江戸時代のイメージをベースとしたところで宗教に頼る必要もなくなってしまった。

つまり幻想郷の連中は影響されていないので宗教に無関心…という訳ではないが外とそんなに変わらないのが現状であり誰につくかはそいつ自身の判断に委ねることになる。

 

だが妖怪の山の勢力とドンパチやれば話しは別だ。

 

話は変わるが選挙に勝つには三つのバンが必要とされている。看板(血統)、地盤(コネ)、鞄(金)だ。よくよく考えてみればわかることだが親父や雄大ならともかく、そこらへんにいる普通のリーマンが選挙をしても大物議員の息子に勝つのは不可能に等しい。選挙をするにも金がかかるし、知名度がなきゃ話にならない。そして何よりも日本人に限らずとも人は血統に拘る。それは信仰心も同じだ。

 

建御名方神がイザナギの子孫なんて初めて知ったがイザナギの知名度は高い。俺でも知っているくらいだからな…それを利用すればあっという間に広まり信仰心が得られる…これが看板の力だ。

鞄…金についてだがそれに相当する物が信仰を得るには後々のことだから今は不必要なのでスルー。

地盤はコネだが奴らは新人。だがらこそ後押しをする団体を作ろうとしている。それこそが妖怪の山の勢力だ。

 

人々は俺や霊夢、魔理沙、咲夜のような例外は除いて妖怪を恐れる。それは妖怪よりも人間が圧倒的に弱いからだ。故に人々は夜に人里から出ない規則がある。それを破ったら腕一本もげる程度ならまだマシな方かもな…とにかく妖怪達の手によって自分の身体の一部、あるいは全てがなくなると言っていい。実際下野会もそれで処刑された…というかしたしな。

そんな妖怪達の代表格の住む妖怪の山の連中を押さえることが出来る勢力が出てきたら…人々はそっちを支持するだろう。そうなれば畏怖であれ何であろうとも人々が信仰するのは幻想郷の背景から考えて間違いない。

 

「…まさか天魔か!?」

そう思ってしまうのは無理はない。俺だって同じ立場ならそう考える。

「合っているが違う。あいつもダチで現時点で動けないが下手な鬼よりも真っ向勝負を好む性格だ。不在を狙ってドンパチを仕掛けるお前達相手に逃げる程弱くはない。」

フウ…天魔はヤムチャ化しないライバルだ。正々堂々として何者でも逃げない相手だ。まあもっとも事務処理相手では逃げるけどな。

 

「一体誰なんだい?」

今まで空気だった諏訪子が辛抱出来ずに口を開き、そう尋ねた。

「お前達がよく知る人物だ。」

俺は上着を脱ぎ収納し、上半身裸となった。

「「!?」」

俺が上半身裸となったことか、それとも身体の剛体か、あるいは呂布やマフィアからつけられた傷に驚いたのかわからないが二神は目を開いた。

「俺の身体の傷は何が原因かわかるか?…茨の道を突き進んだ結果がこれだ。俺のダチもお前達の起こそうとしている戦争のせいでその茨の道へと突き進まなければならない。茨の道へと進ませる覚悟があるかどうか…俺がしっかりと確認しなきゃいけねえ。」

「博麗の代行…何故そこまでする?」

「俺のダチだからだ。それ以上に理由なんざいらねえ!もうお喋りはなしだ…行くぞぉぉおっ!」

 

「鉄の輪!」

おっと…諏訪子が仕掛けたか…それにしてもうざったい。こういう時は…

「ほらよ!返すぜ!」

俺は諏訪子の放った輪を掴み、それを投げ返した。

「投げ返すなんてそんなのあり!?」

そんな彼女の言葉は虚しく、脱落した。そうだよ…これが俺らしさだ。今まであーだのこーだのと考えていたが何も考えないレミリア&フランの時の戦い方が一番充実していた。今回はその戦い方に戻しただけのことだ。

「諏訪子!」

神奈子が諏訪子を心配したのを見て俺はすかさず、神奈子の後ろに回り込み銃を持ち神奈子の頭に銃を向けた。

「仲間の心配するよりも自分の心配をしたらどうだ?」

「何っ!?」

「Go to hell.(地獄へ行け。)」

俺は弾幕モードの銃の引き金を引き、撃ったがそこに神奈子の姿はなかった。

「王手。」

おいおいマジか?相手が神とはいえ俺の後ろを取るなんて幻想郷じゃ初めてだ。だけど後ろ取っただけじゃ…意味ねえんだよ。

「大和空掌弾!」

俺は隙を見つけ神奈子の足を目がけ、空掌を放つと神奈子は苦しそうに体勢を崩した。

 

「もう終わり…という訳ではあるまい。神…それも戦争を起こそうとしたのならば立て。」

まだ戦闘は終わっていない。コマンドが異変が解決したとは表示されないのが何よりの証拠で神奈子と諏訪子はまだマップに敵表示のままだ。

「いくら私達が弱っているとはいえ、ここまで理不尽にやられると少し落ち込むよ…」

諏訪子は立ち上がり口の中の血を吐いた。

「そうか。なら今度からはその理不尽さを感じる間も無く倒してやる。今は眠っておけ。」

「そういう、訳にもいかないんだよ。一応私も神だ。いくらあんたがすごいからといって人間は人間…それは事実。だから私は奥の手を使わせて貰うよ。まさかこんなところで…しかも人間相手に使うとは思わなかったけど死んでも恨まないでよ?」

諏訪子がそう言って目を光らせると先ほど諏訪子が血を吐いた場所から白蛇らしきモノが出てきて「キシャー!!」と威嚇し俺に睨みつける。

 

「ああ?何ガンつけてやがる?」

俺は睨み返し冷たくドスの効いた低い声で脅すと「助けて〜諏訪えもん〜」と言わんばかりに眼鏡のダメ少年の如く白蛇達は諏訪子の後ろへと隠れてしまった。…俺はジャイアンか?

「…ミシャグジを脅し、しかもそれが通用する人間なんてのはもはや人間じゃないよ。」

「俺はれっきとした人間だ。だがちょっと違うだけで他は同じだ。」

同じ…だよな?呂布とかの方が余程人外だぞ?…うん。あいつと比べたらそうなるか。

「どこがだ!?某世紀末覇者のような体格に威圧感!どっからどう見ても人間辞めているだろ!!」

諏訪子がキャラ崩壊してキレ俺に突っかかた…それにしてもミシャグジに続いて世紀末覇者?またわからん用語が…さっきから聞いてればなんだ?ヘルプ!

『ミシャグジ…道祖神、性神、蛇神、守屋神、農耕神、風水神、等の信仰形態を持つ自然神。』

『世紀末覇者は外の世界の漫画に出てくる登場人物の称号。行けるものなら外の世界でご調べください(笑)』

ミシャグジについてはわかったが世紀末覇者については俺を完全にバカにしてやがる…いいだろう。絶対に行ってやるからな。その言葉覚えてろ。

 

「俺が人間を辞めているなら俺の親戚はどうなる?あいつらは水中で酸素ボンベや空気ボンベ等の道具がない状態で10時間連続で潜ることが出来るぞ?」

俺の実家には縦25m、横25m、高さ12mの巨大なプールがある。そこで俺は特技の一つの水泳をしているのだが…その下には何時間も潜っている奴らがいる。

奴らによると「水の中に溶けている酸素を取り込んでいるから平気」らしく中には水中ダイバーや海底調査委員会の現場職員になっている奴もいた。

もちろん雄山も婆さんも例外でなく水に沈む程度の重りをつけてそれを実行し、そのまま7時間連続で戦いやがった。…潜水ですらないと突っ込みを入れたいのだが突っ込んだら負けだ。

「…そいつらは人間辞めているよ!人間が10時間も水の中で呼吸もしないで生きられるか!」

こいつはまともだ。うん。

「そうだよな?普通は5時間くらいしか潜れない筈だ。」

婆さんに重りをつけられてプールに突き落とされ、無呼吸の状態で雄山と戦わされた。危うく負けかけて死にかけた時もあったしな。

「それもおかしい!世界ギネスでも1時間も潜れないって!!」

「いや可能だ。肺活量を極限まで増やし、無駄に酸素を使わなければ5時間くらいは出来る。」

そのおかげで無駄なく動くことや水の動きの感知と同様に風の動きも感知出来るようになった。…本当に辛かった。

 

「ま…そっちの方も回復したことだし。第二ラウンド行こうか。」

雑談をしている間に神奈子が復帰して弾幕を張ろうとしていたのが見え、そちらを見ると神奈子がため息を吐いた。

「バレていたんじゃもう勝ち目はないよ。これ以上やったところでヘトヘトになるだけだ。」

「同感。そうなったらお祭りも楽しめないし止めておくよ。」

このままじゃ…面倒だな。適当なことを言って黄金銃でトドメを刺すか。

「汝等それでも神…それも戦闘に特化した者なのか!?ジリ貧を恐れる神など未来が見えたわ!せめて俺の手で逝けぃ!」

俺は神奈子と諏訪子にメガトンパンチのコードを入れパンチでトドメを刺す。

『妨害者チルノ、妨害者鍵山雛、妨害者河城にとり、妨害者射命丸文、首謀者八坂神奈子、extra洩矢諏訪子を倒しました。異変を解決しました。』

…それにしても妙だな。

普段の俺なら「それじゃお望み通りさくっとトドメをさして終わろう」くらいだが…今回は違った。前にもこんなことがあり、その時は挑発する為に小物臭いセリフを吐こうとしたが口が勝手に動いた。…いや今回は口だけじゃない。黄金銃を取り出そうとしたらメガトンパンチのコードを入れてパンチでトドメを刺した。これもコマンドの影響か?それとも…

「勇姿さん!」

考えるのは後だ。霊夢がやって来た以上ゴタゴタ考えても仕方ない。

 

「霊夢か…」

俺が脱いだ上着を再び着ると霊夢が降り、駆けつけ…俺の胸を叩いた。

「勇姿さんのバカァッ!バカバカバカ!」

「おいどうした?」

「早苗から聞いたわよ!…何で私を除け者にしたの?」

除け者か…確かに除け者だよな。どう言い訳するか。

「早苗を利用して試したかった。霊夢の愛がどれほどなのかをな…」

また勝手に喋っている…よくもまあこんな小っ恥ずかしいセリフが出てくるものだ。

「…」

ん?とりあえず黙らせるには成功したか。でも霊夢の顔が赤いし、とっとと帰って様子を見るか。

「帰るぞ霊夢。」

俺はそう言って階段を下り、人里へ食材などを調達した。




皆様年末はどうでしたか?私は不調の一言でしたね…来年からより良い小説を書いていこうと思います。ではよいお年をお迎えください。
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