城塞都市アクセルから少し離れた丘の上。
その上に立つ禍々しい古城が光に包まれた。
天を突き地を砕く原初の崩壊が顕現する。
人類最強最大の攻撃手段<爆裂魔法>が放たれ、古城は跡形もなく崩壊する…ことはなかった。
「おお、今日はいい調子みたいだな!」
「ふっ、燃え尽きろ、紅の中で…キュウ」
爆風の余波を浴びながら、カズマとめぐみんは談笑していた。
魔力切れで倒れこむめぐみんを背負い、爆裂魔法の出来をほめるカズマ。
ここ最近の日課である廃城への爆裂魔法を見ていたおかげで、カズマは爆裂魔法の良し悪しを判別できるまでになっていた。
「しかしほんと頑丈だなあの城…手加減はしてないんだよな?」
「してませんけど!?私の真の力が覚醒した暁にはあんな城どころかアクセルごと滅ぼしてやりますよ!!」
「魔王軍かよお前は」
しかし二人は気付いていなかった。
あの城の中には本物の魔王軍幹部がいること、そして文字通りアクセルを滅ぼせる存在がいることを…
「あああああ!!毎日毎日爆裂魔法を打ち込みやがって!!今日こそアクセルまで出向いて犯人をぶっ殺してやる!!」
「ベルディア様が切れたぞ!」
城の中ではついに我慢の限界を迎えたベルディアがキレ散らかしていた。
それも無理はない。
なにしろ一日一回、時間は不定期でバカに爆裂魔法を撃ち込まれているのだ。
ここまで我慢したベルディアは懐が深い方だろう。
「戦支度をしろ!はた迷惑な騒音にはうんざりだ!!爆裂バカをめちゃくちゃにしてやる!!!」
「「「はっ!!」」」
ズシンッッ!!!
その時、また城が揺れた。
「なんだ…!?また爆裂バカの仕業か!?」
「いえ…これは…地面が揺れている…?」
ゴゴゴゴゴゴゴッッ!
地面が割れる。
巨大な岩でできた剣が地面を切り上げた。
否、それは規格外の背びれだった。
溶岩が冷え固まったような鱗。
それが頭頂から長い尾まで一切の隙間もなく鎧のように全身を覆っている。
強い怒りを感じさせる瞳が古城を捉えた。
「GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
異世界にゴジラが現れた。
ゴジラは深い眠りから目を覚ました。
あの忌々しい光を浴びてから、途切れることのない怒りがあった。
それはどれだけ暴れても、破壊しても、破壊されても途切れることはなかった。
海に浮かぶ建造物や空を飛ぶ駆動体を破壊するため、自らの全てをなげうった。
しかし、あと一歩のところで力及ばず肉体が崩壊し、駆動体の中にいる人間を殺すことは出来なかった。
爆音で目を覚ますと、そこは異世界だった。
ゴジラは目の前の古城を見て思った。これは人間が作ったものだ。破壊しなければならない。
「ゴジラじゃねーか!!!」
「カッカカズマママッなんなんですかあれえ!?」
カズマは錯乱しためぐみんを背負って逃げながら映画の中の存在が現れたことに驚愕していた。
「めぐみん!あれってこの世界のモンスターじゃないのか!?」
「紅魔族の里でも聞いたことありませんよ!!」
「てことは本当にゴジラが日本からやって来たのか?!」
ゴジラは逃げる二人を目で追いながらも古城の中に小さな生き物ー実際にはアンデッドーが
大勢いることを察知し、攻撃をしかけようとしていた。
「GURRAAAAA!」
巨大な顎が開かれ無数の牙が城の壁面にめり込み、ミシミシと嫌な音を立てた。
「うおおお!?このバケモノ城にかけた魔法を力だけで破ろうとしてやがる!」
ベルディアは城に魔王城の結界の簡易版をかけていた。
簡易版とはいえその結界は転生者のような規格外でもなければ破れないほど強力なものである。
ちなみに窓からこっそり<死の宣告>をゴジラにかけようとしたが効かなかった。
「ベルディア様!!もう城が持ちません!」
「そんなことはわかっている!奴が城を壊してるうちに逃げるぞ!」
逃げ出した瞬間、堅牢な結界と古城は半ばから崩壊し、瓦礫の山となった。
ゴジラは城を壊した後、駆け出した魔王軍をじっと見つめた。
そして、跡形もなく吹き飛ばしてやろうと思った。
「カ…カズマ…なんか光ってるんですけど…」
「!?ヤバいヤバい伏せろおおお!」
ガコンッ
突如ゴジラの背びれが空へと突き出し始めた。
カズマはその光景を初めてみたが何が始まるのかはもうすでに知っていた。
青白い光が尾の先から頭頂部へ伝播していく。
ゴジラは大きく息を吸い込み、そして光を放った。
その光は空を裂き、大地を割り、あらゆるものをなぎ倒した。
めぐみんは悲鳴をあげたかもしれないが、その声はかき消された。
カズマは目を瞑っていたが、視界は白に染まっていた。
世界が元に戻った時、ゴジラはいなくなっていた。
丘だった場所には破壊の痕跡だけが残っていた。
「あれは…一体何だったんだ?」
カズマは体を確認しながら起き上がった。
冒険者として多少レベルをあげていたおかげか、ベルディア達より離れた場所にいたおかげか、奇跡的に助かっていたのだ。
「め…めぐみんは?」
あたりを見渡すと少し離れた場所にめぐみんが座り込んでいた。
「あれが…ゴジラ……!」
ゴジラvsデストロイヤーもやりたいね