ゴジラが消し飛ばした丘の中心……その中央で水色の髪をした女性が立っていた。
「浄化魔法(プリフィケーション)!」
彼女の名はアクア。
アクシズ教が崇める女神であり、水を司る女神である。
彼女は人間は立ち入ることが出来なくなった土地の除染作業をしていた。
「まさかカズマの言った通り、本当に放射能に汚染されてるなんて……」
ゴジラの放射熱線の爆音は確かにアクセルにも届いていた。
ゴジラを知らないアクセルの人々が魔王軍の襲撃かと慌てふためいているところに帰って来たカズマが「ゴジラが現れた」と言わなければ、アクアはここまで迅速な対応をすることが出来なかっただろう。
最初に聞いたアクアでさえ、酔っぱらって夢でも見たのだろうと鼻で笑ったのだ。
しかし女神の直観とでもいうべきか、カズマとめぐみんが実際に放射線を浴びていることに気づいたのだ。
もしギルドに放射線の危険性を指摘できるカズマがいなければ、この丘には野次馬達が駆けつけていただろう。
「ともかくこれは私しかできないわ!おいしいシュワシュワのためにもがんばらなくちゃ!」
なぜこの世界にゴジラが現れたのか?その問いはこの丘を浄化した後に考えればいい。
自分以外がこの丘に来れば被爆してしまうだろう。
アクアは気合を入れ直した。
そのころアクセルのギルドでは、実際にゴジラを目にしためぐみんが現地にいけなかった野次馬達に囲まれていた。カズマの忠告により、丘周辺は立ち入り禁止となっているのだ。
「なあめぐみん!聞かせてくれよあのゴジラってやつのこと!」
「ふっふっふ……聞きたいですか!?」
「お願いします!」
めぐみんはその言葉に気を良くし、少しでも目立つようテーブルに登り語り始めた。
「あれはまさに神の獣!溶岩が冷え固まったような体!山のような巨体!」
「おお!」
「私は見た!カズマの腕の中から!ゴジラが放った光を!その光があらゆるものを消し飛ばすのを!」
「すげえ!」
「私は思った!いつかあの力を手に入れてやろうと!あれがゴジラ!破壊の化身よ!」
そんなにいいものかよ……
カズマはめぐみんと比べてぐったりと落ち込んでいた。
放射能がどれほど危険か日本人としては嫌というほど知っているのだ。
自分が放射線を浴びているとアクアに指摘されたときは生きた心地がしなかった。
浄化魔法を使ってくれたアクアを見て、この女神を特典として連れてきて良かったと感謝したのは初めてかもしれない。
あの瞬間だけはアクシズ教に入ってもいいかとまで考えたのだ。
「そもそもどうして創作物が異世界に来るんだよ……」
アクアの後任がやらかしたのか?他にも怪獣がやってくるのか?
いくら異世界に魔法があってもゴジラに敵う訳がない……
「そんなに落ち込むな」
「ダクネスか…」
どこかへ行っていたダクネスもー実際は貴族として町の異変に対処していたー戻ってきていた。
「いざとなれば私が盾となる!ゴジラの熱線にも耐えきってみせよう!」
「塵一つ残らん…残っても皮膚がドロドロになって死ぬぞ」
「えっ」
アクセルの外壁も耐えられないだろうな……
「もう駄目だぁ…おしまいだぁ…!」
「大丈夫ですよカズマ!私がゴジラを超える爆裂魔法を身につけてやりますよ!」
カズマはめぐみんのドヤ顔に少しだけ癒しを感じ、どうか平穏が続きますようにと祈るのであった。