ゴジラVSめぐみん   作:雁木まりお

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エリスとの邂逅

「お久しぶりですね、サトウカズマさん」

 

 転生者が一斉に新たなる神託を授かった夜、カズマもエリスとの再会を果たしていた。カズマがこの空間に来るのは3度目、最初は初めて死んでアクアと出会った時、2度目は雪将軍に殺されてこの世界で初めて死んだ日である。

 

「エリス…様…?俺、なんでまたここに、えっ俺もしかしてまた死んだ?やっぱりまだ被爆したままだった?なんだよあのポンコツ駄女神!全然除染できてねーじゃねーか!」

「落ち着いてください!まだ貴方はまだ死んでいません!これは夢!夢の中なんです!」

 

 エリスは女神エリスとしてカズマと会うのはまだ2度目である。女神らしくあろうとしていたが、カズマはこの空間に来たことがあるため自分が死んだと勘違いさせてしまったようだ。クリスとして会うのとはまた別の、畏敬の念を込めた視線に気恥ずかしさを感じる暇もなく取り乱したカズマを落ち着かせるはめになってしまった。

 

「夢…?いや、でも王都にゴジラが出たって聞いたし、もしかして寝てる間にゴジラに踏まれたとかで死んだんじゃ…」

 

 王都から離れたアクセルにも、王都がゴジラによってほぼ壊滅したという話は雷鳴のように広まっていた。それを聞いたダクネスは別人のように落ち込んでしまって、先ほどまでパーティ全員でダクネスを励ましていたはずだ。いつの間にか寝てしまっていたのだろうか?

 

─確か俺は、落ち込んだダクネスを慰めるために高価な酒を開けて…アクアも流石に女神らしくめぐみんと一緒にダクネスを介抱してたんだっけ─

 

「…急性アルコール中毒?」

「いえ、転生した日本人の皆さんに、私が夢の中に神託という体で現れているんです」

 

 どうやらこれは本当に夢の中ではあるものの、目の前の女神エリスも本物であるらしい。試しに自分の頬をつねってみると確かに痛みを感じるし、目の前の美少女からはいい匂いがする。

 

「…今なにかセクハラされたような気がしますが、今回は大目にみてあげます。サトウカズマさん、話を聞く準備はできましたか?」

 

 少し目が冷たくなった女神エリスだったが、今更この程度のことで腹を立てるようなことは無かった。そんな余裕すらないというのが正しいかもしれないが。

 

「カズマさん、貴方たちにはあの現実に顕現した怪獣王ゴジラから、この世界を救ってほしいんです」

「…エリス様、やっぱりあれは…俺が見たあの怪物は本当にゴジラなんですか?」

 

 忘れもしない、めぐみんと一緒に見たあの巨大な怪獣、規格外の強さは日本人の魂に刻まれた怪獣王ゴジラそのものだった。自分が今まで見た映画の中のゴジラとは違っていたが、知識が、魂がゴジラだと叫んでいた。

 

「ええ、私も認めたくありませんが、あの存在はゴジラというしかないでしょう。姿形どころか、放射能までまき散らされては否定などできません」

「いやでも、俺のいた日本にはあんなバケモノいませんでしたよ!魔法のまの字も怪獣のかの字もない、普通の日本でした!異世界があったからって…」

「…カズマさんはアクア先輩からこの世界の成り立ちを聞いていますか?」

 

 この世界の成り立ち?聞いたような聞いていないような…

 

「この世界は地球を参考に創られました。アクア先輩の管轄である地球に、魔法を使えるゲームのような要素を加え、法則も完成形から逆算して創られたんです。そして、地球もそうです。地球も他の世界を参考に創られた星なのです」

 

「その参考になった星も、更にその参考になった星も、その更に参考になった星もそうです。私たちの世界は孤独ではありません。だがしかし、人間や私たち程度の女神では知覚できないほどその始まりは遠いところにあるのです。」

 

「何度も、何度も時間の中で世界が誕生を繰り返す度に、世界の記憶ともいうべきものが文明の中で創作物、もしくは神として現れることがあります。おそらくはあのゴジラは異なる世界で実在する、本物のゴジラなのです。そのゴジラが今、この世界で神に成ろうとしているのです」

 

 本物の、ゴジラ。カズマはゴジラの英名がGODZILLAであることを思い出した。神と成る獣、それがあのゴジラだというのか。

 

「そんな…そんなこと」

「案外私たちの世界も、他の世界で創作物になっているかもしれませんよ?ゲームとかライトノベルとか」

「笑えない冗談ですね…滅ぼされる側からしたらたまったもんじゃないですよ」

 

 全く笑えない、違う世界の奴が楽しんで読んでいたらなんだというのか。この痛みは本物だというのに!自分たちは王都のように滅びをまつしかないのか?

 

「ただ滅びを待つつもりはありません。相手がゴジラであろうとこの世界を滅ぼされるわけにはいかないんです」

 

 カズマの前の女神エリスは諦めていなかった。エリスはカズマの目を見てこう言った。

 

「カズマさん、この世界を救ってくれませんか?」

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