ケーキ屋で打ってる切れ端の詰め合わせみたいなものと思ってお読みください
「……じょ?」
グリードは気が付くと、見知らぬ場所に立っていた。
「【はて? 小生はさっき、ホウ酸団子確定ガチャを引かされてたはずだが?】」
地平の果てまで花畑が広がり、眼前には大きな川が一本流れている。火星では見られない雄大な景色にどこか感動を覚えつつ、グリードはしゃがみこんで足元の花を観察する。
葉も節も無い花茎に、血のように赤い花が放射状に咲いている。どこか不吉な、しかし美しいその花の名をグリードは知っていた。
「【……彼岸花じゃね?】」
以前読んだ、地球人の宗教について書かれた本の挿絵を思い出す。極楽と銘打たれたその絵に、今彼がおかれているその情景はひどく似ているような気がした。
「【あれ? これもしかして、小生死んだ系?】」
自分たちにはない『死後の世界』という概念にはひどく驚かされた記憶があるが、まさかお目にかかる機会があろうとは。
もう一度当たりを見渡せば、河原には人間と思しき老婆がいた。これもまた彼の予備知識通り――かの名高き
既に犠牲者も出ているようだ。背後には大量の修道服が山と積み重なっており、全裸に剥かれた数名の老若男女がさめざめと泣き崩れている。
なお当の老婆は怒涛の死人ラッシュの中、全身からムカデのような何かを生やした白人の青年と絶賛死闘中だ。お目当ては彼が身に纏う虹色の道服らしい。
「【死後の世界も過酷なんだなぁ(ぐりを)】」
呑気に呟きながら、グリードは何気なく川の対岸へと目をやり……そこに立つ者達と目が合った。
「……まじぃ?」
思わずグリードは呟く。そこに立っていたのは、五匹のテラフォーマー。いずれも今は亡き、グリードの同胞たちであった。
「【お前ら……!】」
懐かしい顔ぶれに、不覚にもグリードの涙腺が緩む。感極まった彼は喜びのまま、時速300kmで駆けだそうとして。
「あらあら。どこに行くの♡」
いつの間にか背後に回り込んでいたDATSUEBAによって、ガッチリとその肩を掴まれた。
「じ……」
グリードはその手を紳士的に払おうとしてみる……が、微動だにしない。
「……ジョウッ」
ちょっと力を入れてみる。やはり動かない。
「じぎぎィェアァッー!!!!」
全力で振りほどこうとしてみる。むしろ甲皮にひびが入った。
「……ま、まじィ?」
愕然とするグリード。その背後で紅色のDATSUEBAがにっこりと笑った。
「川を渡りたいのかしら? なら、やるべきことは一つ……
「ぎょえええええええッ!?」
※※※
「【という夢を見たのさ】」
――ゴキブリも臨死体験をするのか。
この日プライドの脳内にまた一つ、いらない知識が増えた。
本編に反映されたりされなかったりする与太話
グリードを看病しているのはナースのコスプレをしたテラフォーマー。