Fate/Reprise 〜円環迷宮聖杯戦争〜   作:シン・丸

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プロローグ2/夢見の魔術師

ーーー時計塔降霊科教室ーーー

 

「ふぁ〜」

 

 長い桃色をした癖っ毛の髪に赤いベレー帽を被った、いつも眠たげな降霊科の学生、

モルフィメア・ルゲイエスは大きな欠伸をしながら

次の授業準備の為、重い瞼をこすりながら教室へと足を踏み入れた。

 

「相変わらず、他の場所とは違う独特の雰囲気だね」

 

 私自身、時計塔の雰囲気は別に嫌いという訳じゃない。

静かで幻想的、たまに小鳥の囀りも聞こえる此処は眠りに入るには最高と言ってもいい。

ただ、魔術師の卵としての私は、この場所があまり好きではない。

それは、私がまだ未熟で半人前の魔術師という現実を突き付けられる気がするからかも知れない。

 

「まぁ……それは、魔術刻印を受け継げなかった私の独り善がりの嫉妬かぁ……」

 

少しアンニュイな気持ちになりながら教室に置いてあった魔術礼装を鞄に入れ教室から出ようとすると前から元気な声が聞こえて来る

 

「モルフィメアちゃん!おはよう!」

「…おはようございます、フラットさん」

 

彼はフラット・エスカルドス。時計塔での先輩であり、この時計塔でもいろんな意味で有名な人物だ。

 

「今日はいつもより少し眠そうですね!昨夜は夜更かしでもしたんですか?」

「そうかなぁ、私はいつも眠たいけどねぇ」

「それを、自分で言っちゃうのはどうかと思いますよ……」

 

 そんな他愛のない会話を続ける。こんな感じの彼だが、魔術師としてとても優秀だ。私が大量の時間を掛けて論理を組み立てた魔術術式も彼なら一瞬で解析し解体される事だろう。

 

「そういえば、フラットさんはどうしてこんな場所に?降霊科に何か用が?」

「いやぁ、実は、モルフィメアちゃんに教えておこうと思って!」

「…何をですか?」

 

 私の返答を待ってましたと言いたげな顔で彼は続きを言う

 

「実はフランスのアイヴェール・ニューで聖杯戦争の予兆があったんだって!

モルフィメアちゃん前カウレス君の聖杯戦争の話、興味有りそうに聞いてたから教えた方が良いかなぁって!」

 

予想していた斜め上の話題に珍しく目が醒める感覚を感じる

 

「……その話は本当なのですか?」

「本当だよ!聖杯戦争が始まったらモルフィメアちゃんにとって、良い勉強になると思って!」

 

 確かに彼の言う事は間違ってはいない。境界記憶帯(ゴーストライナー)、彼らはかつて生きた英雄の影法師にして人々の信仰を受けて形作られる、そして聞いた話では契約によって垣間見ると言われている彼らの過去の夢など彼女にとってはとても興味深い研究対象である。

実際聖杯戦争から生還した人物が、現代魔術科に編入したと聞いた時は、違う学部にも関わらず、彼の話を聞きに行くほどだった。

 

「フラットさん……その話は誰から聞いたんですか?」

「えっとね、教授が地下室で話してたのを聞いたんだよ!本当なら俺も行きたかっただけど教授に別の仕事を貰ってるからいけないんだよ…」

 

まるでガックシと言う擬音が聞こえて来そうな程、落ち込んだ姿を見て嘘では無いと確信した。

 

「……そうですか」

「あれ、もしかして、興味ない?」

「いえ、大変興味深い内容でした。教えて頂きありがとうございます………

では私はフランスへの旅行の許可を取りに行きますので失礼しますね」

「あっうん!カッコいいヒーローとかゴジラを呼べたら俺にも、教えてね!」

「ええ」

 

にっこりと笑いながら、私と彼は別れた。

 

ーーーフランスーーー

 

ロンドンからフランスまでの約1時間のフライト。飛行機の窓から見える景色は青空と白い雲のみ、快晴だ

 

「ふぁ〜そろそろ着く頃かな……」

 

 到着まで後10分といった所だろうか。先程まで寝ていた為欠伸をしながら今回の目的を整理する。

フランスのアイヴェール・ニューの聖杯戦争を調べるため、そして何より…………

 

「多分いるよね……フラットさんが言ってた英霊が」

 

そう、私はその英霊に用があるのだ。

英霊……いや、正確には英雄の夢

 

 彼女の家系、ルゲイエス家は夢という現象に根源を見出した一族、もしサーヴァントの夢を解明出来たのなら根源に近づくはず。

 

「これは、ちょっとした冒険になりそう」

 

飛行機は着陸し、アナウンスと共に私は不安と期待を胸に、飛行機から降り空港を後にした。

 

ーーーフランス・アイヴェール・ニューーーー

 海沿いの小さな街。約1年前から連続殺人事件があってから野次馬的な観光客が増えてしまって治安はお世辞にもよくは無い街。

特に見る物もない為、目的も無しに歩いていると古い協会があった。

かつての聖杯戦争では聖堂教会の者が監督役として戦いを管理していたらしい。

 

 わたしも危なくなったら避難させて貰おうと、この街に着いてから左手に浮かんだ赤い紋様を見ながら少し自虐的に笑った。

 

 

 

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