Fate/Reprise 〜円環迷宮聖杯戦争〜   作:シン・丸

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プロローグ3/人造生命体β

 薄暗く、見るも無惨なボロい魔術工房、そこで私は造られた。

私を造った魔術師は、魔術協会がユグドミレニアから押収したアインツベルンのホムンクルス技術の情報を買取り、

ある目的のために鋳造された。

目的は単純、神の器とする為

人為的に神の器を作り出すことで神霊を召喚し使役することで世界の侵略を開始するという目的で造られ造られた存在が俺だ。

 

 私の役目とは次の戦いまで器をしっかり保管することらしい。

この工房の壁に鎖で雁字搦めに縛られてる。

本来のホムンクルスの保存方法とは違うが器として改良を繰り返すには、この方が楽らしい。

それにこの鎖、ただの鉄じゃない。特殊な水銀を魔術で鎖状に固めて造られているらしい。

これのせいで魔術はおろか人間としての機能を封じられている。

唯一できることは見る事と聞くことだけだ。

そうこう考えていると遠くからドタドタとした足音が聞こえて来る。

 

「おーい、ベート いるー?」

 

その声の方向を見る。

視線の向こうには、私の姉を名乗るホムンクルス、アルファがノックもせずに入ってくる。

彼女は本来なら器として改造される筈のホムンクルスなのだが、その顔の良さから魔術師に、気に入られ、今や愛玩用として残し、私が新たな素材として作られたようだ。

正直、明るく能天気な彼女のことは苦手だ。

 

「……私の名前は、ベータです。ベートではありません」

 

 本来は名前と言える物ではない、魔術師が私に付けた『識別番号β』

だから特別、愛着がある訳では無い。

ただ毎回言い間違い続けてる彼女に少し呆れて、指摘した

 

「……うん、そうだね。じゃあこれからは、あだ名としてベートって呼ぶね!」

「……もう、それでいいです。」

 

彼女はいつもこうだ。

私が何を言っても自分の考えを押し通す。

 

「でさ、ベート!今日はいいお知らせがあるんだよ!」

「何でしょうか?」

「ほらコレ!見て見て!」

 

そう言って彼女は、私に一冊の本を見せてくる。

 

「これは?」

「シンデレラの絵本!わたしが読み聞かせしてあげる!」

 

そう言いながら満面の笑みを魅せる

 

「……また絵本ですか、飽きないですね。」

「えー、いいじゃん!それに本を読むと賢くなれるんだって!」

 

そう言って彼女は強引に私を抱き寄せて 膝の上に寝かしつける

 

「……その発言が物凄く馬鹿っぽいですが。はぁ、分かりました。読み聞かせ、お願いしていいですか?」

そう言うと彼女は嬉しそうにする。

「うん!じゃあ始めるよ!」

 

そして彼女は絵本を読み始める。

 

これが私と彼女の日常だ。

ホムンクルスに不要なはずなのに確固たる自我を持ってしまった彼女、アルファ。

その自我がどこから来るのかは私には分からない。

ただ、彼女はいつも明るく、元気だ。

そんな彼女に私は救われているのかもしれない。

 

「ねぇねぇ!ベート!聞いてる?」

「聞いてますよ」

 

この生活はいつまで続けられるだろうか?

神を降ろすにはある儀式が開催されないといけないらしい。

その準備は着々と進んでいる。

器として完成したら、私の記憶は神に全てを塗り替えられるだろう。

その遠くない未来について考え、私は軽い恐怖を覚える。

 

 

ーーーーー

 

 彼女がシンデレラを読み聞かせしに来てから数日がたった

日々魔術師によって身体を弄くり回されて、私は痛みに苦しんでいた。

 

「β、身体の状態は、どうだ」

「…最悪です。」

 

そして今日もまた魔術師が訪れる。

 

「そうか、それは良かった」

 

その魔術師は私を見て笑う。

その笑みは私を人として見ていない、実験動物を見るような目だ。

 

「痛覚を無くしてくれたら、改良の際、無駄に暴れる事も無いんじゃないですか?」

 

無駄に苦しみたく無い私は彼に助言をした

ただ彼はニタリと笑いながら言った

 

「いや、それは駄目だ。痛覚を無くそうとすると、より時間をかける事になる。いつ聖杯戦争が始まるかわからんのだ、なら少しでも早く器を造らなければいけないだろう」

「……そうですか。で?今日は何をする気ですか?」

「今日は君の魔術回路の本数を増やしてやろうと思ってな」

 

魔術師はそう言って私に近づくと、私の腹に手を当てる。

すると私の身体の中に何かが入ってくる感覚があった。

 

「っあぅう!」

 

魔術師の手が離れると同時に私は腹を抱えるようにうずくまる。

身体の内側から内臓を揉まれるような痛み、魔術師に抗議しようとするが痛みで言葉にならない。

そんな私の様子を見て魔術師は笑う。

 

「クククッ、痛いだろう?だが我慢しろ」

 

そう言って彼は再び私に手を向けるとまたも痛みが襲ってくる。

今度は先ほどより強い痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。

 

「ひぐっ!ああっ!や、やめっ!」

「ククッ!良い声で鳴くじゃないか」

 

そんな私の反応を楽しむかのように彼は笑う。

そしてしばらく痛みに耐えた後、魔術師は手を離す。

 

「はぁ……はぁ……」

「ふむ、これで魔術回路の本数は増えた筈だが、どうだ?」

 

そう言って彼は私に鏡を見せてくる。

そこには先ほどより明らかに顔色が悪くなっている私が映っていた。

 

「……最悪です。身体がだるいです」

 

そう答えると魔術師は満足そうに頷く。

 

「そうか、なら良かった。ではまた来るぞ」

 

そう言って魔術師は部屋を出ていった。

 

………苦しい、痛い、気持ち悪い、吐き気がする。

……それでもまだ耐えられる、この程度の苦痛は今まで味わってきたものと大差ないからだ。

 

「大丈夫?」

 

そう言って私の顔を覗き込むのはアルファだ。

彼女は心配そうにこちらを見つめてくる。

……正直言うと少し辛いけど。彼女を心配させたくないから強がって見せる。

 

「……大丈夫です」

 

しかしその様子を見て、アルファは私の異変を感じ取ったらしい。

そして私に語りかけてくる。

 

「嘘ついちゃダメだよ。ベートはわたしと違って、あんまり自分から喋んないから。辛い時は辛いって言っていいんだよ」

「……はい、分かりました」

 

その言葉を聞いて彼女は私を優しく抱きしめてくれた。

……あぁ温かい。この温もりがあるだけで私は救われた気分になるのだ。

彼女は優しく私の頭を撫でながら言う。

 

「今日はゆっくり休もうね」

「……はい」

 

そんな会話の後私達は眠りについた。

 

ーーーーー

 

……それからも地獄のような日々が続いた。

毎日毎日魔術回路の本数は増え続ける。それは痛みを伴っていたけれどそれでも耐えきった。そんなある日のこと魔術師が唐突に言ったのだ。

 

「……ふむ、そろそろ良いだろう。明日、最後の施術をするとしよう」

「やっとですか……」

 

思わず出た言葉だったが魔術師は特に気にした様子もなく続ける。

 

「これで最後だからな。せいぜい残りの時間を楽しんでくれ」

 

そう言って魔術師は部屋を出ていった。

……やっと終わるんだ。

そう思うと急に気が抜けて睡魔に襲われてしまった。

……深い眠りだった。生まれてから初めてよく眠れたと思う。

 

そんな時だ。

 

「……ベート」

 

私を呼ぶ声がした。

 

…… 私は重い瞼を開けるとそこにはアルファがいた。彼女は心配そうにこちらを見てくる。

 

「ベート!大丈夫?」

「……はい、大丈夫です」

 

私がそう答えると彼女は安心したように笑うが、

 

「実は明日の改良で私の身体は完成する様です。

これでもう苦しまず済みますね。」

「えっ」

 

続きの言葉を聞いて、まるで全身の血の気が引いた様に顔色を悪くした。

 

「ねぇ、もしそれが終わっても、また、わたしと一緒に絵本を読んでくれる」

 

彼女は、今にも泣き出しそうな顔で、聞いてくる

 

「それは……厳しいでしょうね。器として完成した私は、きっと正真正銘器としての機能しか残されていないでしょうから」

「………今二人で此処から逃げ出そうよ!」

「……え?」

 

一瞬何を言われたのか理解出来ずに固まってしまう。しかし直ぐに我に帰ると私は答えた。

 

「……無理です」

 

すると彼女は悲しそうな顔をする。そんな彼女を見て心が痛んだが、それでも私の意志は変わらない。

何故なら此処から逃げ出せば私は、生かされるかも知れないだが彼女がどうなるか分からなかった……だから逃げるわけにはいかない。

すると彼女は何かを決意したような表情をして何かしらの魔術が施されたナイフで私の身体に巻き付く鎖を切り壊した。そして…

 

「分かったよ……なら私が先に行くよ!」

 

そう言って彼女は、駆け出そうとする。しかし私は慌てて引き止める。

 

「……待ってください!何を考えているのですか!?」

 

私がそう言うと彼女は振り返り微笑みながら言った。

 

「大丈夫だよベート、きっと上手くいくから」

 

そんな根拠の無い事を言って彼女は走り出した。私も後を追うように走るが、距離が縮まるどころか段々と離されていくばかりだ。

今まで一回も歩いた事さえなかった私では追いつく事は無理だろう。

だけど彼女はそんな私を振り返りながら励まし続ける。

 

「頑張って!」

 

彼女の明るい声を辿り、満月の光だけが照らす薄暗い木々の中、私は走る。

……気が付くと彼女は立ち止まりこちらを見ていた。

私は息を切らしながらもなんとか追いついた。

そんな私を見て彼女は微笑むとこう言った。

 

「もう少しで出口だよ、だから頑張ろ?」

 

そう言った彼女の顔はとても魅力的だった。……思わず見惚れてしまったほどに。

それからしばらく歩き続けた後、私達は森を抜けた。

そこは見渡す限りの花々が広がっていた。その景色の美しさに息を飲むと同時に不安が込み上げてくる。

 

「……これからどうするつもりですか?」

 

私がそう聞くと彼女は少し考えてから答えた。

 

「雨風が防げる場所は最低限欲しいよね…これから色々大変かも知れないけど、まぁ大丈夫大丈夫!何とかなるって!」

 

そう言って彼女は明るく笑う。その笑顔を見て私も不安が和らいだ気がした。

 

 

 

 

 

 

 

パァン!

 

 

 

 

 

 

 

突然、乾いた音が辺りに響く。それと同時に目の前に目の前に赤黒い花が咲く。

 

「………………は?」

 

血だまりに倒れる一人の少女の身体、それは真っ赤に染まりきっていて。

さっきまで自分に笑いかけていた彼女は花園の上に倒れ伏している。

微塵も動かない。あぁ、私はすぐに気づいてしまう。

俯せに倒れた状況の彼女の胸が、少しも上下していないことに。

呼吸をしていない………

 

「……え?アルファ?」

 

私は彼女の肩を揺する。

 

「アルファ……起きてください。」

 

何度も呼びかけても返事がない。

……死んだ……? なんで!?さっきまで元気だったのに!!なんで急に死んだんだ!!??そう思いながら、音のした方を見た。

そこには、嫌と言うほど見慣れた男がいた。

 

「……ふむ、予定より早いがまあ良いだろう」

 

私はその男を睨みつけながら聞いた。

 

「オマエは……何を……!?」

 

すると男は答えた。

 

「見て分かるだろう、ソレを打ち壊した。」

 

男の持っていた拳銃からは煙が立っていた。

 

「……どうして?」

 

私は疑問をそのまま口にするしかなかった。

 

「どうしてだと、お前は自分らが何をしようとしていたか理解しているのか?

神の器として完成する、その栄誉を、その幸福を、貴様の造られた意味を、全て無駄にしようとしている事に!」

 

男は声を荒げて言った。

 

「その女もそうだ!顔が良いだけの木偶の坊を、愛してやったと言うのに、貴様を逃がそうなどと考えやがって、下らない!」

 

男は激昂する。その言葉を聴いて〝俺〟は、腹が煮えくり返るほどの怒りに支配された。

俺は、アルファが鎖を切った時に使ったナイフを持ち男に襲い掛かった。

 

「うおおおぉぉぉぉ!」

 

しかし、その攻撃は簡単にいなされた。

 

「ふん!馬鹿め」

 

男は俺を蹴り飛ばした。俺は地面を転がる。

 

「ぐあっ!」

 

痛い、苦しい。だが、そんな事はどうでもよかった。ただ目の前にいる男を殺せば良いのだ。そうすればアルファも報われるはずだ。だから殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すころすころすころすコロスコロスコロスコロスコロス……

 

自分が感情(殺意)と言う動作不良(エラー)を起こし、正常な、判断が下せなくなっている事は分かっている。

だが、そんな事もどうでも良い 俺は身体中の魔力回路を躍動させ、魔術を起動させる。

体内中の魔力(オド)が己が身も燃やし尽くす、炎と変わる。

……もう、自分でも何をやっているのか分からない。ただ本能に従い行動しているだけにすぎないのだ。

そんな俺の状態を見た男は驚愕の表情を浮かべていた。しかしすぐに落ち着きを取り戻すと俺に向かって言った。

 

「なるほど、これは予想以上の化け物だ」

 

男は、俺に向かって銃を構えた。

 

「だが、この程度では私には勝てんよ」

 

そう言って引き金を引いた。

 

パァン! 乾いた音が鳴り響く。魔力で強化された銃弾は反応速度を超えたスピードでベータの頭に向かっていくが…

ジュゥゥと銃弾は炎により溶けちった。

 

「なっ!……チッ」

 

男は少し驚くが、すぐに冷静になり再び発砲する。しかし何度やっても結果は同じだ。全て蒸発してしまうのだ。

 

ーーーーーー

 

(何故だ?)

あいつの身体を造ったのは私だ。魔術回路の追加をしたのも私だ。

だがいくら魔術回路の数が多くても魔術刻印を持たずしてこんな強力な魔術を行使できるものなのか?何故だ、おかしい、不可能だ。

そんな私の思考を無視してベータは突っ込んでくる。そして手に持ったナイフを振りかざしてきた。私はそれを避ける事は出来たが、アイツの左手が私の首を掴んだ。

 

「ぐっ!」

 

苦しい、息できない。私は何とかして手を剥がそうとするがビクともしない。そのままベータは私を持ち上げた。そして地面へと叩きつけた。

背中に激痛が走る。骨が折れる鈍い音がした。

痛みに耐えながら立ち上がろうとする私を蹴り飛ばし、倒れた私に馬乗りになったまま首を絞めてきた。

ミシミシと言う嫌な音とジリジリと肌が焼ける音、そして酸素を求めて激しく上下する喉。

そんな状況に恐怖を覚えながらも私は懸命に抵抗した。しかしやはり力はコイツの方が強いようで振りほどく事ができない。

そしてボギィと言う音と共に首の骨が砕ける音がした。それと同時に視界が真っ暗になった……

 

ーーーーー

 

 「…はぁ…はぁ」

 

自分の下に倒れ込んだ死体を見て乾いたような笑みが浮かぶ。

 

「ハハッ」

 

あぁこんなにも簡単だったのか、こんなにも人は脆いのか、

 

この事に最も早く気づいて最も早く殺して居たら、俺は君を失わずに済んだのかも知れ無いのに俺は、辺りを見回す。

花々が広がる草原は、ただの焼け野原になっていた。

少女の死体は、そこにはない。あるのは、ただ燃えて、残った灰だけだ。

 

「俺は……」

 

何もできなかった……彼女を守れなかった……

その後悔だけが、この胸の中に渦巻いている。

 

「  」

 

言葉にならない声だけが月夜の中に消えていった。

 

ーーーーー

 1年後

 

「…腹が減ったなぁ」

 

俺はそう呟きながら、街を歩く。

あの満月の日から、1年が経った。

 

俺はあの日以来、胸の渇きと空腹感に苛まれている。

その飢えを埋めようと、その渇きは満たそうと俺は、暴れる事しか出来なかった。

初めての殺しは、怒りだった。俺に笑い掛けてくれた彼女の敵だったから。

次の殺しは、防衛だった。街に流れ着いた時、襲い掛かってきた奴らを殺した。

次は、金が欲しかったから。この胸の飢えを埋めようと幸せそうな奴を殺した。

次は………

次は……

次は…

 

躊躇いも無く人を殺した、自分の中にあった黒い感情に従いただきただ殺した。腹が減ったから、金がいるから、ただムカついたから殺した。

理由なんて何でも良い、俺はただ殺したいから殺した。

もう考える事すらしなくなっていた。

あの日以来俺はただ淡々と人を殺し続けた、街を徘徊する化け物の様に、もう、そこに理由など無いから。

 

「……ハッ」

 

そんな自分に笑えた。あぁ俺は結局何の意味も成す事なく死ぬだと。

 

 

ーーーーー

 

 満月の夜、街を歩いていた時、魔力の流れを感じる男が前から走って来た。

 

「魔術師か……今日の獲物はあいつで良いか」

 

右手に紅紋様が浮かぶ魔術師の後を追って俺は街奥の廃墟に入って行った。

 

「態々こんなにも殺しやすい所に入ってくれるなんて今日はついてるな」

 

魔術師の男は廃墟の中、異形の雰囲気を感じさせる、魔法陣を前に詠唱を始めた。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 降り立つ風には壁を。

 

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ 閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。 繰り返すつどに五度。

 

ただ、満たされる刻を破却する ――――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に。」

 

詠唱を始めた、魔術師の隙だらけの背中に俺はナイフを突き立てた。

 

「がぁ!」

 

魔術師は悲鳴を上げる。しかし、まだ息はあるようだ。

俺はそのまま、心臓に突き立てたナイフを捻りながら抜く。

そして、もう一度刺した。

 

「……ぐふぅ……クソ、クソ、クソォ!…俺は…俺は勝って……聖杯……を」

バタン

 

 俺は魔術師の体を少しでも、目立たない場所に処分し、後は金目になる物を奪ってやろうと思っていると魔術師が持っていた本に目を奪われた。

その本の中を読んで見ると。

 

「……魔術の詠唱のメモ、これは召喚術か?」

(確か……聖杯がどうのこうのと言ってたな)

 

俺はその本を手に取り魔法陣の前で続きを読み上げる

 

「…我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。 汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」

 

しかし何も起こらず、魔法陣にも何の変化も起きなかった。

(失敗……か)

 

俺はそのまま廃墟を出て、帰ろうと振り返った時、後ろから大きな轟音と衝撃が襲う。

 

「なんだ!?」

 

俺はすぐに後ろを振り返る。するとそこには青い、靄の様な物が集まっていく光景があった。そして、その靄はやがて人の形をとり始める。

靄が完全に人の姿になった時、まるで童話のお姫様の様な、可愛いらしい女の子が立っていた。

 

「貴方が私のマスターですか?」

 

その問いに俺は、答えられなかった。

 

「…?あの、聞こえてますか?」

 

俺の目の前で手を振りながら聞いてきた

 

「あ、あぁ、聞こえてるよ。」

 

俺がそう答えると少女は安心したのかホッと息を吐く。

 

「良かったです!では改めて問いますマスターは貴方ですか?」

「……違う」

 

俺は少しぶっきらぼうに答えた。正直面倒臭い事に巻き込まれたく無いからだ。

ただ彼女は予想外の言葉だったのか、目をぱちくりしながら言った。

 

「えっでも貴方の手には令呪があるでしょう、それに魔力の流れはわたしと貴方を繋いでます。

だから貴方は、私のマスターさんです。もし良ければお名前を教えて下さい」

 

人の話聴かずに勝手に話を進めるその姿が何処か、姉を自称していた彼女に重なって見えた。

 

「アルファ……」

「アルファさんですか!」

「あっいや違う!…ベーtァ………ベートだ」

 

咄嗟に出てしまった名を否定して、彼女に付けてもらった名を言う

 

「…?アルファ・ベートさんですか、良い名前ですね!」

「………もうそれで良い。………お前の名前は」

 

こちらの複雑な、心境の事など知る由もない彼女に訂正するのも面倒なので、諦める事にした。

 

「あっすいませんでした。遅れましたがサーヴァント ライダー

貴方の夢を叶えに参上しました。これからよろしくお願いしますねマスター。」

 

 

 

 




自分が設定を作ったキャラの為、掲示板時代に載せた小説と結構設定を変えてます


参考: https://telegra.ph/%E6%9C%88%E5%A4%9C%E3%81%AE%E5%85%89-01-06
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