Fate/Reprise 〜円環迷宮聖杯戦争〜 作:シン・丸
「一体何故このようなことになったのでしょうか……」
聖堂教会よりこの地で行われる聖杯戦争の為に派遣されてきた神父、
彼はこの亜種聖杯戦争において監督役の補佐として先んじてこの街へやって来たのだが、後から来る予定だった監督役の司祭が一向に来ないのである。
そう、来ないのである!
到着予定日から1日が過ぎ2日が過ぎ1週間過ぎた所で流石におかしいなと思い聖堂教会側へ連絡をとってみれば今更か?と呆れられ、
告げられたのは監督役に任命されたジョンドゥ神父は何者かに襲われ現在意識不明とのこと。
…‥普通、そういうのって真っ先に現地に居る者に連絡が来るものでは?
……いえ、忙しかったんでしょうきっと、はい、そうに違いありません。
ですが代わりの方も来ないというのはどういうことなんでしょうか?
「他にも優秀な人は、いるでしょう!その人達はどうなんでしょう!
ハンザ神父、言峰神父、キアラ・キッショウイン、名を上げればキリが無い、是非彼らに来てもらいましょう!」
私の要求に対して電話の向こうの彼は淡々と答えてくれた
「ハンザ・セルバンテス殿は、お連れの方達と共にアメリカのスノーフィールドにて豪遊中につき連絡がつきません。
次に言峰綺礼殿は『私は激辛麻婆豆腐の辛さにこの世の真理を見た、辛さの求道者となる』と言って冬木市にてラーメン屋を開きました。今の彼を連れ戻そうとすると、あの地獄の様なラーメンを食わされるので誰も行きたがりません。
他の腕が立つ者達も今は、別件で忙しく、其方には派遣できません。
キアラ様………キアラさんは、呼べますけど貴方如きに、制御出来るとは思えませんのでお勧めしません。
で他に用は?」
電話向こうからさっさと終われと言うプレッシャーに当てられ
「いえ、何も。」
私は、そう答えるしかなかった。
「では、監督役代理、頑張って下さいね」
彼はそう言うと電話を切った。
「……どうしろと言うんですかッ!!」
本来監督役補佐だった私は、正真正銘の監督役となる。それはまだ良い………
いや良くないが、だが他に最も深刻な問題がある、そう思いながら右手に浮かぶ赤い十字架を見る。
私、マスターに選ばれちゃったらしいんですよね!
マスターである私が中立なはずの監督役してたら確実に怪し過ぎるから無理ですよ、あぁもう泣きたい。
「主よ…私何か悪いことしましたかね。」
はぁ、と誰もいない礼拝堂にてため息を一つ。
「嗚呼いけません。幸せが逃げてしまいますから……まぁ現在幸せかどうかと聞かれれば不幸よりではありますが、これも主に与えられた試練と思うことに致しましょう。」
しかし、望み等ない私に令呪が現れたのは謎ですが、自身が行うことは変わらず一般人の保護、及び、神秘の隠蔽。そして脱落したマスター及び巻き込まれたマスターの助力。
後半に関しては私がマスターになってしまったので完全に中立であった監督役補佐の時よりは信用はされないとは思いますが……やらないよりはマシだと思いますので、はい。
「何事も、話し合いで解決出来ればいいんですが、ソレで解決出来るならば聖杯戦争なんて始まりませんし、世界中で戦争が起こることもないでしょう。土台無理な話です。」
瞳を閉じてこれから必要なあれやこれや、それとこの亜種聖杯戦争について少しきな臭いことがあったのを思い出す。
「そういえば此度の聖杯戦争、中国政府が何か関わっているんでしたっけ?……監督役のジョンドゥ神父なら何か他にも知ってらっしゃるんでしょうか…………いえ、居ない方の話をしてもしょうがないですね。教会の方にも先程から連絡が着きませんし……。」
眉間にシワを寄せて考え込む。が、今考えても仕方の無いことなので頭の隅に追いやり優先すべきことを纏めていく。
「……隠蔽や一般人の保護も必要ですが、今、1番優先すべきことはサーヴァントの召喚、でしょうか。」
__他マスターからの襲撃、更に一般人を他のサーヴァントから守るためにもサーヴァントの召喚は必須。一応召喚方法は聞いているで必要な物を揃えれば問題は無い……のですが。
「元々マスターで来る予定はなかったので聖遺物とかはないんですよねぇ……聖遺物なしだと相性がいいサーヴァントが呼ばれるんでしたっけ……
まぁ、元々勝ち抜く気は…というより最後まで残れる気がしませんので強さとかは正直あまり気にしないのですが……
せっかく来て下さるサーヴァントの方に申し訳ないような……。
いえ、ここは誠意を見せるところですかね。
サーヴァントの方の願いが叶うように行動すべきでしょう。
……一般人を害するもので無ければいいのですが。」
ぐるぐるとその場で小さく円を書くように歩きながらぶつぶつと独り言を言っている姿はここが無人の教会でなければすぐさま通報されかねないほど不審であった。
「……何はともあれ召喚をしなくては。」
ぴたり、と動きを止めて教会内にある倉庫へと向かう、彼処にはある程度のモノはあるのでなんとかなるだろう。
ーーーーー
「魔法陣、はコレでいいんですかね?……教えて貰いはしましたが実際にやるとなると緊張しますねぇ」
倉庫を後にし、教会の地下室に向かいそこで魔法陣を描いていく。
__初めて書くものなので多少不格好な気がするが、そこは気にしないで頂きたい。
英霊召喚の準備を終えると深く、深く息を吐き、首に提げたロザリオを掲げる。
「……主よ、罪なき子らを守るために御身の力をお貸しください。」
__瞳を閉じて神に祈る。私には祈ることしか出来ない。自分のような人間に何処まで出来るかは分からない。
……少しでも人が死ななければいい。これから聖杯戦争に挑むと決めたのに甘い考えは消えてくれない、きっとたくさんの人が傷つくだろうし死んでしまうだろう。
けれど、それでも……祈ることは許されるはずだ。行動して被害を減らすことは可能なはずだ。
私にできることはそれだけ、死ぬのは少し怖いけれどその覚悟さえなければ無駄に命を落とす事だろう。
こんな私に力を貸してくれる酔狂な英霊が居るのなら……と手を伸ばし、詠唱を開始する。
「素に銀と鉄。礎に偉大なる主を
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する
──告げる
汝の身は我が下に我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者
汝三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」
__びりびり、と魔法陣から強い魔力を感じた。今にも吹き飛ばされかねないで、立っているのもやっとと言っていいだろう。
「……成功、しました。」
震える足をなんとか堪えながらそう呟くと、眩い光が当たりを包み込む。
そして一瞬の内にその光が消えると魔法陣の真ん中に人影が現れた。
「サーヴァント、……ルーラー。此度の聖杯戦争の調停役として、召喚に応じ参りました。貴方が私のマスターですか?」
__召喚の衝撃で思わず閉じていた瞳を開きサーヴァントの姿を目視する。この世のものとは思えないほど美しい女性。見ているだけで目が潰れかねない程の輝き。今すぐにでも膝をついて祈りたくなるようなその姿。
__ああ、主よ……私は一体何方を召喚したのですか?
ルーラーの彼女、設定の段階ではキャスターを名乗ってましたが此度は設定を変えさしていただきました
参考: https://telegra.ph/%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%8B%E7%A5%9E%E7%88%B6%E3%81%AE%E6%86%82%E9%AC%B1-01-10