世界を救う英雄を育てた英雄   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第10話 迷宮魔境都市決戦~0

 

大抗争六日目

日付が変わり、7日目を迎えた暗闇の中

集められた多数のファミリア達に指示を出すロキ・ファミリアの頭脳 フィン・ディムナは作戦を伝えるとともに、下がりつつある士気をあげる為、鼓舞するよう煽る口調で話していた

 

フィン「敢えて言おう。この場にいる僕達は全員、敗者だ。あの夜。何もできず、友も、愛する者も守れず、失ってばかりの敗者だ。この戦いに敗れれば、世界が終わるだけじゃない。僕らは皆、負け犬の烙印を押されるだけだ!」

 

勇者の言葉は、感情という感情に火をつけ、恐怖や絶望、不安と言った負の感情をも吹き飛ばし

 

フィン「誰が死んでいった者達を弔う!誰が無念を晴らす!──そんなもの、僕らしかいない!そして、この手で決着をつけ、あの地獄を繰り返させるな!僕らは敗北を知った!なら、屈辱の泥を糧に、次こそ勝ちに行く!そして奴らに目に物を見せよう!──ここはオラリオ、英雄が生まれし、約束の都だと!」

 

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 

多くの冒険者たちが咆哮をあげ立ち上がった

 

輝夜「士気が……爆発した」

 

ライラ「言ったろ?これでいいんだって、あいつはできもしないことをできるって堂々と言ってのけて、口にした嘘で巻き込んで本当にさせちまうペテン師だって」

 

アリーゼ「なら、私達も嘘を真実に!」

 

フィン「始めるぞ!正義の聖戦を!」

 

年が震え、雄たけびは大切な者達が還った天へ突き立つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストレア・ファミリアホームでは、既に傷を完治させた六月が自室のベットで横になりながら、明日を思い浮かべていた

 

六月「…………」

 

ホームの窓から外眺めながらここにはいない相方

そして自身にとって大切だった者がいるであろう方角を見て飛び出そうとしたが

 

六月「……(今行けば 決心が揺らぎそうだ)」

 

すぐさま思い直しベットに倒れこむ

 

六月「…………」

 

そして

この部屋で一夏と交わした会話を思い返しながらゆっくりと目をつむるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏『…………六月……俺、婆のとこ行ってきた』

 

一夏が婆と呼ぶ相手

六月の記憶した中でただ一人該当する者がいた

 

六月『………会って来たのか……ヘラ様に』

 

一夏『……ああ……ステイタスの更新がしたくてよ…大分経験値が溜まっていたから期待が持てた、んで結果は期待以上…こうでもしなきゃあの細目白髪に勝てる算段が持てなかった……お前も一緒にステイタス更新出来たらさらに理想的だったんだがな………お前気絶してたし…』

 

六月『気絶させたのお前だけどな』

 

一夏『まあ……俺と違ってヘラに好かれていたお前は来なくて正解だったかもな』

 

六月『…………なにか…あったのか?』

 

一夏『……別に、いつもみたく喧嘩してきただけだ……』

 

神々の中でも苛烈で横柄な性格だったヘラと他人に縛られることを何よりも嫌う一夏とは相性最悪だったことは六月も理解していた

 

当然アルフィア同様喧嘩することが多く、オラリオで経験値を稼ぎ数か月に一度、六月と共にステイタス更新の為にヘラのいる元へ足を運ぶことが多々あったが、毎度そのたびに一夏はヘラと喧嘩をする

 

ほとんどがわりとどうでも良いことでの喧嘩ばかりだが、まれに一夏にとって重要で譲れないことが原因の喧嘩もあった

 

六月『……喧嘩の原因は……アルフィアとのことか?』

 

一夏『……あの婆、アルフィアがやろうとしたことを止めようとしたが、結局止めきれなかったみたいだ。そのことを言った後、何て言ったと思うか?』

 

六月『……』

 

一夏『『俺や六月は戦うな。絶対に勝てない』だとよ。確かに、俺もお前もあいつに勝てたことは一度もないのは事実だ。だがな、だからといって、まるで1%の欠片も勝ち目がないって信じてるみたいな言い方が癪に触ったんでな、結局口論だ』

 

溜息を吐きながら思い出したのかイライラしている様子の一夏に六月は言葉を選ぼうと頭の中で考えるがそれに構わず続ける

 

一夏『そんで極めつけにあの婆、俺にこう言いやがった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──行くな 私はもう これ以上 自分の子供達が居なくなるのがいやなのだ! 

 

 

六月『──!』

 

一夏『……初めてあの婆の弱い所を見た気分だった……』

 

信じられない物を見た一夏と信じられない事を言われた六月

 

それだけふたりにとってのヘラという女神は、人間視点でも、神視点でも日ごろの態度振る舞いからは想像つかないほどの神物だということをものがたっていた

 

一夏『俺は、そんなヘラの手を払いのけてここに来た…………なあ六月……逃げるなら今のだぞ』

 

六月『………』

 

一夏『俺はあの女と戦い死ぬかもしれないことを理解した上で挑む。まあ、俺は縛りの影響で戦いを避けられねえし。だが、お前はアルフィア相手に本気出せねえ、なんだったら何もできず殺されるのが目に見えている。逃げるか他のとこで戦うかのどちらかにしておけ………』

 

一夏の言葉には、愛した相手を傷つけられない六月への気遣いが感じられた

だが 同時に理解した

この後控えているアルフィアとの最後の戦い 

それが、アルフィアとの最後の別れになる

 

アルフィアは 生まれつき身体が弱く 元々二十歳を迎える前に無くなると言われていたほどに病弱だった

妹のメーテリアはそれ以上に弱く ふたりとも恩恵を刻み、人を越えなければ当初言われていた余命以上を生きられなかった

結局メーテリアは二十歳を迎える前に

アルフィアは三十を迎える前に無くなると聞かされていたが

予想以上に寿命を削っていた

この先に控えている戦いで

アルフィアは文字通り、すべてを出し切って死ぬつもりでいるとふたりは心で理解していた

なぜ残り少ない時間を自分の為に使わないのか

なぜこの方法しか思いつかなかったのか

 

いろいろ思うことはある

 

本当は戦いたくなんかない

 

だが

 

六月『──アルフィアとは 俺も戦う。あの人は強い。仮にふたりがかりで挑んでも勝てるかわからない。だが、それでも お前ひとりにけじめをさせない』

 

このまま アルフィアと戦わない 会わない道を選択すれば おそらくこの先

自分には悔いしか残らなくなる

 

だからこそ 逃げの選択肢を最初から持たなかった

 

一夏『…………六月』

 

一夏は そんな六月の決心した顔を見て引き留めることをやめにしたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は暗転し フィンを筆頭に集まった各ファミリアの首脳陣のみの 最後の作戦会議

 

集まった一夏と六月は言う

 

一夏『はじめに言っておく。アルフィア……あの女は俺たちがやる』

 

六月『だからその他の戦力配分やその他の戦場配置については期待しないでくれ』

 

そのふたりの言葉にまわりはざわめく

 

そんなふたりにアリーゼが自分達アストレアも加勢すると言うが

 

六月『アリーゼ。悪いがこれは、俺たちヘラ・ファミリアがやらなきゃいけない戦いだ』

 

一夏『ああ、あの女は……俺たちの獲物だ。他の誰にも手出しさせねえ』

 

拒否し、フィンとしてはこのオラリオ最強/最凶コンビをくすぶらせる選択はなかったので進んで敵の最大戦力を相手取ろうとするふたりの決断を快く受け取った

 

フィン『………相手は神代始まって以来の逸材 ハンデを背負っているとはいえ、君たちは勝てるのかい?』

 

勝てればいいが 最悪負けることになろうとも、アルフィアを大きく消耗させる

ザルドと単独でやり合おうとするオッタルと同等かそれ以上のリスクをふたりは背負おうとしている

そういうことを含め フィンは問いかけた

 

六月『……負けるつもりで戦うバカがどこにいる』

 

一夏『まったくだ。あの女 静寂のアルフィアは 俺たちが殺す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「…(あいつら…すげぇ騒いでんな……フィンが口八丁に全員をその気にさせたか?……あいつそういうの得意だからな)」

 

廃教会の屋根の上では一夏が寝ころびながら、冒険者達の雄たけびを聞きぼやいていた

 

教会内にはアルフィア達がいるだろうがそんなものお構いなしに過ごし、当然アルフィア達も自分たちのいる教会の上にいることに気づいているがお構いなし、というよりもう好きにさせていた

 

一夏「(……実感湧かねえな……後経った数時間後には下にいる奴と死闘繰り広げなきゃいけねえなんてよ)」

 

思い返される

この世界に来て、アルフィアとの出会いからは始まった第二の人生

 

嫌な相手だった

大嫌いだった

 

いつか自分の手で切り伏せたかった

 

覚悟はしているつもりだった

だが、それとは違う理由で眠れそうにない一夏だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレボス「……本当にいいんだな?」

 

ザルド「何度目だ?俺たちはとっくに覚悟を決めている」

 

アルフィア「………」

 

エレボス「……なら、お前たちはこの戦いの行きつく先に、なにを望む?」

 

廃教会の中で、神として

これよりすべてを賭して戦おうとする者達に問う

 

その問いに

ふたりの最強派閥の生き残りは

 

ザルド/アルフィア「「未来」」

 

ザルド「オラリオの後進どもが俺たちを喰らい いずれは『黒き終末』を乗り越えてることを望む」

 

アルフィア「この世に『希望』をもたらす為 そして妹の子が、戦わずに済む世界にする」

 

それぞれの夢を 願いを重ねた

 

エレボス「…………もし 世界の命運をかけた戦いに巻き込まれていったとしたら?」

 

笑みを浮かべたまま わかりきっている答えを再び尋ねた

 

そんな邪神の問いに 武人と魔女は未来に思いを馳せるように言葉を重ねた

 

ザルド/アルフィア「「その時は 数多の『英雄』が 子の前に立ちはだからんことを 未来の英雄どもに託す」」

 

エレボス「──いいだろう ならば、エレボスの名において宣言する。今日から俺たちは共犯者で『必要悪』。そして世の歴史に罪過の象徴として刻まれる『絶対悪』! それでも俺だけは お前たちの遺す『偉業』を永久に讃え続けよう!」

 

神は誓いを刻む

 

決して破られることのない『契約』と『誓約』を気高き英雄たちと取り交わす

 

それは だれにも知ることのない 『英雄神話』の欠片

 

エレボス「さあ──『次代の英雄』を生みに行こうぜ」

 

ふたりの英雄に不敵な笑みを浮かべながら言うエレボス

 

それに無言で答えふたりであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──私が初めて お前たちと出会ったとき 確信した

 

──お前たちはいずれ ゼウスとヘラの眷属(私達)をも超える逸材に至る

 

──残り少ない時間の中で 私にできることを考えた末に思いついたのは 後進の育成 

 

──そして ゆくゆくは私の命をも糧に英雄へと至らせる事

 

──そのためだけに 私は お前たちを利用した 

 

──六月 お前の私への恩と好意を利用する形で縛らせて済まない 私の様な女を好きになってくれたのは お前が初めてだった 

 

──許さなくていい 憎んでもいい だがもし 来世があるなら その時は お前に私の全てをやろう

 

 

──そして   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「騒がしいな……」

 

大抗争7日目

 

オラリオ中から響く爆音やモンスターの暴れる声を目覚ましに目を覚ました一夏

 

どうやら闇派閥は、都市中の門を破壊し、外から集めてきたモンスターを都市内へ放ち、冒険者達の指揮系統を乱そうとしている

 

闇派閥の狙いはバベルの塔を破壊

 

かつて 地上に神々が降り立つ前

 

地上に現れた大穴から大量のモンスターが溢れ 人類は後退してきた

だが、当時の人類は 神が遣わした精霊の協力ありきとはいえ モンスターたちと戦い抜き、遂に大穴のある大地へたどり着き

 

そこへバベルの塔 現在のダンジョンの出入り口を作り封じ込めたことで

モンスター達の侵略を封じることが出来た

 

もし 今バベルの塔が崩壊することになれば

オラリオから世界へ 数多のモンスターが溢れ、今度こそ人類は滅亡を迎えるだろう

 

一夏「……行くか」

 

屋根からおり、歩き出そうとしたその時

 

一夏「……お前なんでいるんだ六月」

 

廃教会から、タイミングよく六月が出てきており呟いてしまう

 

六月「いや……行く前に、最後この教会を見ておきたくてな。オラリオに行く前、アルフィアが思い出の場所って言っていたのを思い出してさ」

 

一夏「……あいつ、お前には先に話していたのかよ。まあお前らよくよく考えたら、ヘラのとこに居たころよく喋っていたしその時か」

 

六月がここを知った訳を聞き自分の中で知ったタイミングを軽く想像し、改めて六月に問う

 

一夏「六月、最後に聞くぞ……覚悟はできているか?」

 

六月「…………覚悟なんてできてない……ただ、それでも、ここで行かなきゃ、俺はきっとこの先、後悔だけが残りそうだ。だから行く」

 

一夏「そうか…………なら戦う前に言っておく。この先、お前が死にそうになっても、俺はお前を決して助けない。助けようとしてふたりまとめて死ぬかもしれねえからな。だから、逆に俺が死にそうになっても、俺を絶対助けるな。いいな?」

 

六月「……ああ、わかった」

 

一夏「………んじゃ改めて、いきますか」

 

こうして ヘラの若きふたりの眷属は、戦場となっている都市を歩き出した

 

道中襲ってきたモンスターや闇派閥の団員たちは次々と仕留め

順調にバベルの塔へと歩き続けた

 

やがてバベルのある中央広場に行くと

フィンの作戦通りバベルを囲うように氷魔法で構築した氷壁

 

こうすることで、敵の参謀であるヴァレッタは罠と気づきつつも『砦』を崩すために手札の最高戦力であるザルドを向かわせると考えこの計略を実行

 

氷壁内には、ザルドと一対一を望むオッタルが待機している

 

一夏「……おい」

 

隣を歩く六月に呼びかける

一夏が目を向けた先には

 

ザルド「……また会ったな凶鬼(オーガ)天与の暴君(タイラント)

 

バベルを囲う氷壁の前に

まるでこちらを待つかのように立っていた暴食 ザルドがいた

 

六月「……どけ、お前に用はない」

 

ザルド「お前たちにはなくとも俺にはある。──アルフィアはこの先にいる。既にダンジョンへ潜り、お前たちを待っている。この氷壁は、そこに潜んでいる猪小僧と俺の為の決着の場だろ」

 

一夏「……気づいていたか。ならネタバレするが、あそこに入った瞬間、周りに潜んでいる魔導士たちが結界を展開してお前を閉じ込める算段だ。お前かオッタル、出られるのは勝者だけ」

 

六月「一夏!こっちの手の内さらすようなことは」

 

一夏「大丈夫だろ。こいつはそれを聞いたところで逃げやしない。今日この地で死を決めた男だ。それに、罠と分かってそれを崩して勝ちに行くのは、曲がりなりにも旧時代最強だった奴の矜持が許さねえ、むしろ罠と分かるならそれすら喰らう腹積もりだろ」

 

ザルド「…………フッ、どこまでも見透かすな小僧。俺がここにいるのは、あいつと戦うためでもあるが、お前たちと最後に話がしたかった」

 

──お前たちは、この先の戦いに何を望む

 

エレボスが自分やアルフィアにしたような問いをぶつけた

 

一夏「……決まっている」

 

六月「……ああ、俺たちが望むものは」

 

一夏/六月「「決着」」

 

ザルド「──!」

 

一夏「まだ生き足りてない、まだこの世に未練がある。満足してない、テメエの人生を生きて生きて、生き抜いてねえのに終わらせてたまるか。そのために、俺の──壁となって立ちはだかるあの女を超える」

 

六月「俺は、今も覚悟を決めきれていない、だがこのままいけば、大切な人たちが死ぬ。この戦いに赴かなければ、悔いが残る。俺の中の思いと決着をつける為だ」

 

ザルド「…………そうか…………」

 

それだけ聞くと、ザルドは残った片腕の脇に挟んでいた兜を被る

 

ザルド「ならばせいぜい、悔いのないようにしろ。あの女は俺よりも強い」

 

そう言うと氷壁の中へ行こうとしたの一夏が呼び止め

 

一夏「待て、これは餞別だ」

 

そういうと一夏はザルドの胴体に触れると、僅かに発光するザルド

 

ザルド「──身体が、僅かに軽くなった!?」

 

一夏「俺のスキルだ。これでお前の中の毒を分解して見せた。とはいえさすがベヒーモスの毒だ。大体一、二割程度の分解が限界だった」

 

ゼウス・ファミリア全盛の頃、当時のザルドは三大クエストのひとつ陸の王者『ベヒーモス』とファミリア総出で戦い、相手を喰らえば強くなれるスキルによりベヒーモスを喰らいパワーアップを果たしたのち討伐に成功した

しかし、その代償に全モンスター中最強の猛毒を持つベヒーモスを喰らいその毒素が身体に残り続け、結果長く生きられない身体へとなった

 

一夏のスキル分解再生(スクラップアンドビルド)は体内を部分的に分解し、新たに作り替える

毒物の分解の際は、その毒物の強さに応じて分解にかける時間が変わる

 

一夏「もう少し時間をかければ、分解できる量も変わるが、これ以上はアルフィアとの戦いに支障をきたすからな」

 

ザルド「……なぜだ」

 

一夏「……あんた、オッタルと戦って勝とうが負けようが今日死ぬつもりなんだろ?ならせめて、最後くらい少しでも全力でやれるようにしたいだろうからな。それにあんたの片腕、うちの相方が奪っちまったし、片腕のないあんたを倒したところであいつがランクアップできる保証はねえし」

 

ザルド「はっ、まるで俺が負ける前提で話を進めるな」

 

一夏「そうだな、こんだけお膳立てして負けたらあんた。言い訳できないな」

 

ザルド「…………ぬかせクソガキ。ならばあの猪小僧に勝った暁には、次はお前の首を貰い請け負う」

 

一夏「やってみろよおっさん。その時は逆に俺がお前の首を切り落としてやんよ」

 

不敵に笑いながらもにらみ合うふたりの姿に呆れた様子を見せる六月

 

六月「もう行くぞ一夏」

 

一夏「ああ…………おっさん」

 

ザルド「なんだ…まだ俺に生意気なことを言うつもり」

 

一夏「あんたのやり方は間違えている。だが、自分の時間を他者を生かすために使おうとするあんたはまるで英雄だ。最も、俺はそんなやり方で英雄になるとかごめんだけどな」

 

それだけ言うとバベルからダンジョンへと駆けていく

 

ザルド「…………今のオラリオも案外捨てた物じゃないのかもしれないな。さて、俺も、最後の最後にケジメをつけるか」

 

腰に収めていた大剣を握りしめ、氷壁の中へ入っていくザルド

 

やがてそんなザルドの姿を見た隠れ潜んでいた魔導士たちは氷壁の外を結界で囲む

 

そうして結界の中では ふたつの旧時代最強が衝突し、ふたつの剣撃が都市中へ響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルフィア「来たか。愚弟共」

 

一夏「よう、傍若無人細目白髪女(アルフィア)。殺しに来たぞ」

 

六月「ケリをつけようか。義姉さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 迷宮魔境都市決戦~1

 

 

 

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