世界を救う英雄を育てた英雄   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第12話 迷宮魔境都市決戦~2 ぶつかり合う力 本物の魔法

 

各々の魔法を纏わせた拳と手の衝突は拮抗したが、やがて埒が明かないと判断したり両者はその場から飛び距離を置く

 

アルフィア「………魔法を放つのではなく肉体に留め纏わせる行為は完璧だ。私から離れた後も、修練は怠っていなかったようだな」

 

一夏「デフォルトで付与魔法(エンチャント)が付いている魔法みたく留める技術習得しろって最初聞いたときは何言ってんだこいつって思ったが、お前を超すのに必要な技術だったんでな」

 

六月「…相変わらず気配消して接近しても直前に気づいて防ぐとか。ほんとなんなんだ」

 

体術、魔法を使っての戦いも各々のレベル以上の力を見せあった

 

一夏「(…………やっぱ弱くなってるな。ヘラの婆のとこに居た時よりも弱く感じてしまう)」

 

六月「(…………俺たちが強くなった以上に病の進行で弱ってきている)」

 

アルフィア「……(まだ。まだ大丈夫だ。まだ私の身体は保つ)……魔法は問題ない。体術も申し分ない。なら次はどうだ」

 

身に着けていた短剣を握り構えるアルフィア

 

一夏/六月「「…………」」

 

それに対し、六月はあらゆる道具をしまうバングルから、先ほどと同じ刀を

一夏は腰にさしてある二本の刀を抜く

 

六月の刀は手元に白いファーが付いたシンプルなものであり、一夏の刀は片方が短刀仕様で刀身には雷を思わせる模様、もう片方は太刀仕様となっており刀身には風の様な模様が刻まれており、素人目で見ても両方とも業物であることが伺える

 

アルフィア「…………釈魂刀(しゃっこんとう)。それに神武解(かむとけ)飛天(ひてん)

 

売れば何億ヴァリスもする一夏達の握る武器を見てそれぞれの銘を呼ぶアルフィア

 

一夏「──ッ」

 

刀を握りしめながら真っ先に攻めるのは一夏だった

 

二本の刀を、まるでかの剣豪宮本武蔵を思わせる剣技をアルフィアに浴びせんとする

 

普段の一夏は刀をあまり使用しないが

オラリオに行く前に、六月が貸し与え普段は腰に納めていることばかりである

 

どちらも六月が実家から出ていく前に漁って持ち出しているのだが、その真価を発揮できるのは一夏の様な魔法を使える者であるため六月からすれば半分あげたようなものである

 

そんな二本の刀から繰り広げられた剣技を

 

アルフィア「…………」

 

二振りの刃が交差するタイミングをピンポイントで短剣で突いて止めた

 

一夏「──!」

 

止められることも了承済みだった一夏はそのまま刀を振るうが、それら全てを魔導士とは思えない凄まじい剣技を一夏に向け、それをどうにか対応する

 

六月「はあああああああ!!」

 

アルフィア「………!」

 

背後から迫りながら剣を振るう六月に対しては短剣で止めようとせず後方へ逃げるように飛ぶ

力では上の六月とまともにぶつかり合えば勝ち目がないことを判断しての物だった

 

アルフィア「……吹き飛べ」

 

着地した自分を逃さんと迫る両者にアルフィアはそういうと短剣を振るう

 

その瞬間、その枯れ枝のように細い腕に握られた小さな剣からは信じられないほどの斬撃がふたりを襲う

 

六月「──甘い!」

 

それに対し六月は自身の刀振るい、その斬撃を斬って見せる

 

アルフィア「──一思いに吹き飛ばすつもりだったが、そう簡単にはいかないか」

 

六月「…………今の斬撃に、剣技…………そういうことか。アンタオリジナルと思っていたが違った。あれはザルドの技だな」

 

一夏「──マジか。魔導士の癖に剣豪を名乗れる腕があったから職業詐欺と思っていたが、お前お得意のパクリか」

 

アルフィア「人聞きの悪いことを言うな。昔から見て覚えられるタチなだけだ」

 

一夏「──それで俺たちに剣技に体術まで仕込んだってんだからなおのことチート過ぎんだろ」

 

六月「……それは神々が言う『反則・ずるい』って意味の言葉だったか?たしかにあの才能はそういわれても仕方がないが」

 

ヘラの元でアルフィアに修行をつけられていた期間

 

一夏と六月にそれぞれ体術と剣技。魔法を使える一夏には+魔法と魔力運用に関する教えを叩き込んできたアルフィアだったが、魔法以外はヘラとゼウス・ファミリアの中にいた選りすぐりのを見て覚えそれをそのまま伝授して来たのだった

 

一度見た物を模倣する

強者揃いのヘラ・ファミリアの中でも異端な存在

それがアルフィアという女だった

 

アルフィアの斬撃に対抗するように六月も刀を構えると

 

六月「お返しだ」

 

そういいながら刀を思いっきり振ろうとする

 

アルフィア「──!」

 

嫌な予感をしたアルフィアは瞬時に半歩横へ飛んだ瞬間に、六月の剛腕に握られた名刀から先ほどアルフィアが放って見せた斬撃を上回る規模の斬撃が飛び

 

その結果、六月の足元からアルフィアが先ほどまで立っていた場所、更には後方のダンジョンの壁に至るまでが斬撃の跡がくっきりと残り、その破壊力を物語った

 

一夏「おい、俺のお株盗んじゃねえよ(魔法抜きでこの規模の斬撃って、やっぱパワーだ。パワーは全てを凌駕するのか)」

 

アルフィア「………相変わらず凄まじいな(今のは………残光(ざんこう)、とまでは行かずともそれに近いものだった。アレを、ただのフィジカルだけで)」

 

六月の見せた斬撃に驚く一夏とアルフィアをよそに、更に続けざまに斬撃を放ち、それを避けるアルフィア

アルフィアの不可侵の魔法は近づいた魔法と魔力由来のものを無効化するが、一夏の斬撃魔法のような100%魔法はともかく六月の純粋な膂力で発生させた斬撃までを防ぎきれず、おまけにまともに受け止めようとすれば確実に吹き飛ばさせてしまうため、短剣でそらすのが精いっぱいである

しかし、六月レベルの膂力から繰り出された斬撃をそらそうとすれば短剣が耐え切れず一回で確実に破損してしまうのは目に見えてしまっているので避けざるを得ない

 

だが、だからといってなにもしないわけにはいかず、魔法を放ちながら18階層内を移動してまわるアルフィア

そんなアルフィアを追いかけながら魔法や斬撃を放つ一夏と六月

 

鍛え上げた肉体(六月) 身に着けた技術(一夏) 場当たりの発想とセンス(アルフィア)

 

三者はその全てをぶつけようと 伝えようとし 同時に思う

 

────こいつら/皆と戦うのに ダンジョン(ここ)は狭すぎる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六月の放つ斬撃は、離れて戦っていたアイズたちにまでその余波が飛んでいた

 

アリーゼ「ええ!?離れて戦ってるのにここまで来てるんだけど!アレこっちまで斬撃来ないわよね!?」

 

ライラ「知るかよ!来たらそれまで、なんだったら向こうからの流れ弾ぶつけられないか試してみるか?」

 

ガレス「相変わらずの才渦の化物よ。それと渡り合うあの若造共も異常じゃわい」

 

アイズ「………凄い」

 

この世に生まれ、冒険者として様々な戦いを目にしてきたアイズ

 

そんな彼女にとって、ヘラの最後の眷属たちの階層一つを舞台に繰り広げる戦いは

この先目にするであろう多くの戦いの記憶の中でも、大きく記憶に刻まれる一戦となると幼いながらも確信を持つのだった

 

リヴェリア「よそ見をするなお前たち!まだ敵は生きて私たちを狙っている。こいつをあの者達の戦いの場へ行かせてはならない!」

 

アリーゼ「邪魔させないため!って言いたいところだけど、あの戦いの場に乱入したらハチの巣確定じゃないの?」

 

リュー「それは──そう、なのかもしれません」

 

輝夜「もうこのモンスターをあっちに行かせた方がいいのではないか?」

 

アイズ「ダメ!あのモンスターは私たちが倒す──倒してもっと強くなる!」

 

ガレス「ガハハハッ、小娘どもの中で一番根性があるのはうちの不良娘だけらしいな」

 

アリーゼ「ちょっと、そんなことあるわけないでしょガレスのおじ様。アストレア・ファミリアのみんな!ここが正念場よ!ちびっこに負けちゃダメだからね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口々にヘラの生き残り達を規格外と評していた面々をよそに

戦いは更に加速していた

 

一夏「『発火せよ(イグナイト)』」

 

一夏は発現した炎魔法を飛天と神武解に纏わせる

 

飛天も神武解も、釈魂刀と同様に大昔に作られた名刀も名刀であるとともに、ある秘められた能力が存在していた

 

それは

 

一夏「『ブラストウィンド』!」

 

言いながら飛天を振り下ろすと、アルフィアに向け爆風の斬撃が放たれた

 

速度は六月の斬撃を上回るそれを不可侵でガードするが爆風込みの斬撃であったために着弾の際に爆風で周囲が見えずにいた

六月の斬撃を警戒し爆風によって出来た土煙から逃げようと飛び出してきたのを逃さず斬撃を放つ六月

 

アルフィア「──『ゴスペル』!」

 

その斬撃から逃れるために放つ不可視の音の衝撃波

 

それはこれまでの音の衝撃波をも大きく上回る出力だったのだが、僅かな時間斬撃と拮抗したかと思えば力負けし音の衝撃波を切り裂いたが避けるまでの時間を僅かに稼ぐことが出来たが

 

一夏「そこだ──『ファイアボルト』!」

 

アルフィアが斬撃から逃れることを見越した一夏がすかさず神武解を振り下ろすと、今度は炎と雷を纏った斬撃が放たれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルフィアの片腕を吹き飛ばした

 

アルフィア「──!」

 

一夏「ようやく解いたな不可侵」

 

飛天と神武解に秘められた能力

 

それは、魔力を流すことでそれぞれに込められた属性を発動させることができる点

 

飛天なら風魔法

神武解なら雷魔法を発生させられる

その出力は使用者の実力に左右される

 

それに加え、先ほど一夏はそれぞれに炎の魔法『(カミノ)』と斬撃魔法『御厨子(みづし)』を重ねるといういわゆる『三重付与魔法(トリプルエンチャント)』を発動して見せそれをアルフィアに放った

竈は本来、高火力の炎を放つのに反し、速度がなく範囲も狭い為普段は手足に纏わせて直に叩く戦法に利用してきた。御厨子との併用も不可能ではなかったが、御厨子の強みだった不可視の高速の斬撃が炎を纏うことで不可視でなくなりおまけに速度も落ちてしまう。だが飛天と神武解に込められた属性の魔法と重ねることで速度問題を解消でき、威力も跳ね上がることに成功

 

本来ならば階層主をも一撃で屠る威力のそれを何気なく放って見せているが、これは魔法を会得し、なおかつ魔法を武器や身体に留め纏わせる技術を会得したうえで魔力を物に流し込みながらも魔法運用の能力を併せ持って初めて成り立つ

予め魔法を付与し限定的に使用できる魔剣のような力を有しているが、その真価を発揮するには上記の条件を満たしたときである為、殆どの者ではせいぜいただの刀としてしか使えず、魔剣と違い魔力を流す技術がなければ発動すらできない問題児、それがこの二振りの刀である

 

そして一見、対魔法戦において無敵に思えるアルフィアの不可侵 静寂の園(シレンティウム・エデン)には唯一の弱点があった

それは、360度全方位に対して魔法を無効化させる結界というだけではなく、発動しているアルフィアの『中』にも作用するので、自身の放つ魔法の威力を著しく低下させる弱点がある

しかし、逆に言えば魔法を解いた時こそ、守りを捨てた時にこそ、静寂のアルフィア本来の力を発揮すると言えよう

その状態のことをアルフィアは『煩わしき音を抑え込むための封印』と評している

 

先ほど、飛天での一夏が放ったトリプルエンチャントによる斬撃は不可侵で受けることはできたが、その直後に六月の膂力による斬撃が来たことと逃げ遅れを警戒するあまり、不可侵のままでは抑え込めるだけの魔法を放てない為、つい封印を解き無防備を晒したことと、アルフィアでも一瞬反応に遅れる速度の魔法を放ったことで、ようやくその身体にダメージを通すことに成功した

 

一夏「………長かった。てめえと出会って数年。こんな形でしかてめえに傷を負わしきれないことについては不服でしかない。が、それでもようやくだ、お前に傷を負わしきれた」

 

アルフィアにダメージを負わせられたことについて不服な一夏だった

それはそうだ

二対一 それも病の進行でここまで弱らせてようやくだったのだから

 

アルフィア「─まさか、この私が病以外で血を流すことになろうとは」

 

一夏「……ああ、ランクアップ前の俺だったら、ここまでの速度は出せなかった。それに、昔のアンタなら。これにも反応できていた。──本当に弱くなったな」

 

かつても今も、乗り越えようとした壁は徐々に弱まりつつある事実

そのことに内心言いようのない気持ちになる一夏

 

六月「もう、やめてくれ義姉さん!その傷のまま戦えば確実に死ぬ。負けを認めて投降してくれ」

 

アルフィア「もう……勝った気でいるのか、愚弟。分かっているだろう。私が意思を曲げることはないと。それに、『ゴスペル』」

 

 

音の魔法の源である魔法のエネルギーを押し付けると煙と共に何かを焼く音がその場に流れ

 

アルフィア「──ッ」

 

アルフィアが音のエネルギーを火の代わりにし、高温になった短剣の表面を吹き飛んだ腕の断面に押しつけることで塞いでいることを、一夏と六月は察した

 

一夏「…………そうまでして、まだ戦う気か。いや、それでこそ俺の人生最強の敵。俺が目指し超えようとした壁。そうでなきゃおもしろくねえ」

 

例えみじめな姿を晒そうとも、決して死なない目を向けながら戦意を失わないアルフィアに不敵な笑みを浮かべる

 

アルフィア「………それで、お前はいつになれば本気を出す

 

突然アルフィアが一夏に向け放たれた言葉

 

六月「──?」

 

一夏「──」

 

なんのことかわからない六月と先ほどまでの笑みを消した一夏

 

アルフィア「気づいていないと思っていたのか?お前はわかっていたはずだ。ただレベルが上がった程度では、六月とふたりがかりでは私に勝てないことを。今日、ここまでの私との戦い以外で勝てる算段があるのではないか?あるならさっさと使え」

 

一夏「…………やっぱわかるか」

 

アルフィア「わかるに決まっている」

 

一夏「…………はあ。普段空気も読めんのにこういうことは察せられんのはなんなんだ。アレか?姉だからとか抜かさないよな?」

 

アルフィア「いや、私がお前ならそうするだろうと考えたまでだ」

 

一夏「…………お前マジで嫌いだ」

 

アルフィア「今のはなぜだ」

 

一夏「もういい。お望み通り、使ってやるよ。俺を焚きつけたん、後悔すんなよ」

 

そう言うと一夏は、自らの両手指を重ね掌印を結んだ

 

アルフィアは表情を変えた

 

そして確信する 目の前の男がやろうとしたことを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法にはいくつもの種類や属性が存在する

例外を除き、魔法を習得できるのは最大で三つまでであり、才能のないものは一つも習得できない

 

だが その数ある魔法全てには、最終的に到達するステージが存在する

 

その最後に到達できた者は 神時代が始まって1000年経過した今も限られた者しか存在しない

 

会得条件も厳しく

 

魔法の会得

 

スキルと魔法 もしくはそれ以外での結界術の会得

 

最低レベル6相当の魔力量と魔法の才

 

それら全てを重ね初めて会得する

 

だがそれでもまともに発動はできず 具体的な空想をも思い描くイメージ力を持ってブレンドして完成する

 

印の名は 地獄の王 閻魔を表す閻魔天印

 

そして口にするは 己の世界を開くワード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

領域展開(りょういきてんかい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間 一夏の足元から世界は具現化されていく それに引きずり込まれる六月とアルフィア

 

外から見れば突如現れた直径十メートルの黒い球体に三者は取り込まれたように見えるだろう

 

しかし、外に反し、中は明らかに10メートル以上の空間 否 別空間と言って差し支えないだろう

 

中の空間 領域内には数多くの骨が散乱し、その中央 様々な生物の頭骨で象られた寺のお堂にてっぺんに印を結びながら佇む一夏

 

 

領域展開  伏魔御廚子(ふくまみづし)

 

これこそ一夏の手持ちで唯一アルフィアに勝ち筋を見出すことができた奥の手

レベル6ランクアップした際 スキル欄に現れたこれは 

魔法を使う者でもごく限られた者しか会得できないソレを 若年19歳にて会得して見せた

 

この領域内の風景を生得領域(しょうとくりょういき)と呼ばれる心象風景、いわゆる精神世界を結界という形で具現化し、相手を閉じ込めるもの

そして結界には発動者の持つ魔法──術式をひとつ付与する

 

六月「こ、これが……」

 

一夏「魔法に精通しているアンタなら知ってるよな?これのやばさが」

 

領域を発動させるには 最低でもレベル6クラスの魔力を持ってなければならず、一度の発動には魔力をごっそりと持っていく おまけに一度使い領域が崩壊すると一時的に付与した魔法が使用不可となるというデメリットを抱えている

 

その代わり、その代償に見合ったメリットも併せ持っている 

 

1つは『環境要因による術者のステータス上昇』

 

領域内は術者の精神世界、もしくは術者の術式の中のようなものであり、術者自身が最も行動しやすいホームグラウンドのような環境になっており、潜在能力を遺憾なく発揮できる

 

 

もう1つ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「さよならだ」

 

 

 

 

領域に付与された術式は 必中する

 

そして領域はあらゆる魔法の術式効果を中和無効化してしまう

つまり領域内ではあらゆる守りに優れた魔法を使おうとも貫通する

 

付与した術式は斬撃魔法 御廚子

 

その必中効果は 領域の術者以外の魔力を持つ全てに必中の斬撃を浴びせる

 

ザッ

 

アルフィア「──」

 

その瞬間 アルフィアの身体に斬撃が刻まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仰け反りながらも立ち上がると

 

アルフィア「まさか、本当にこの年で領域を会得していたとはな」

 

そのまま二本の指を立たせて見せ

 

アルフィア「『シン・陰流(かげりゅう) 簡易領域(かんいりょういき)』」

 

アルフィアの足元に光る円が出現すると、それまでアルフィアを襲っていた必中の斬撃が止んだ

 

一夏「──アレは」

 

六月「──簡易領域。それもウチの…………」

 

それは 領域使い、凶悪な魔物・悪意を持つ者達に対抗するため編み出された 別名弱者の領域

 

名を「シン・陰流」

 

領域に対抗するすべのひとつは、こちらも領域展開を使うこと

領域に領域を重ねるとその間必中効果は中和され発動しなくなる

 

だが多くの者は領域展開を会得できない者ばかり

 

そこで編み出されたのが簡易領域 魔力によって構築する結界術の一種にしてこれはスキルや魔法ではなく、技術であるため決してステイタスには刻まれない

無論本物の領域ではなく簡易である為、領域展開には及ばないものの僅かに時間を稼ぐことができる

 

一夏「……まさか、アンタがそれを覚えていたなんてな」

 

アルフィア「お前たちに修行をつけていたあの頃。六月が実家から指南書を持ち出していた事と、魔力がなく発動こそできずとも幼少期から見て育った六月からお前が習っていたのを見て覚えた」

 

一夏「またかいい加減にしろ!だが、そんな簡易領域で本物の領域を使う俺から逃れられると思っていたか?」

 

どうにか命拾いしたアルフィアに強気な口調で話していた一夏だったが、その内心穏やかではなかった

 

通常、領域に対抗するすべを持たなければ詰みであるが、簡易領域は簡易領域でしかなく、いずれは押し負けてしまいそのまま領域の必中効果による蜂の巣となる

その証拠に、アルフィアが生み出した簡易領域は徐々に削られていき、もう10秒も立てば簡易領域は破壊されて一夏の勝ちが確定する

 

だというのに

 

一夏「(俺の勘が言っている。このまま押し切らなければヤバイって)」

 

もうすでに王手を指しているにも拘わらず焦る一夏

 

アルフィア「──本当に危なかった。お前が未熟なおかげで助かった。領域の完成度と練度が極めて足りないおかげでな

 

一夏「──何を」

 

アルフィア「お前もあの年増エルフも、魔法の何たるかを理解しきれていない」

 

簡易領域が崩壊されるまで5秒

 

アルフィア「いい機会だ。教えてやる。本物の魔法というものを」

 

そう言うとアルフィアは、残った方の腕で掌印を結んだ

 

一夏「──させるか!」

 

今度は逆に一夏がアルフィアのやろうとしていることに確信を持ち阻止しようと飛び出し、六月も続いて飛び出す

 

結んだ印の名は 守護を意味する 帝釈天印

 

簡易領域崩壊まで残り1秒の所で彼女は唱えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

領域展開

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、アルフィアの足元の簡易領域を上書きする円が出現したかと思えば、それは一夏の領域を徐々に飲み込み

 

ついにはその半分を取り込んだ

 

それだけではなく 

 

アルフィアの背後には アルフィアと亡き妹との思いでの詰まった廃教会 そしてそれを上回る巨大な黒の鐘が領域内の頭上に出現した

 

 

終焉の果ての彼方(ロスト・オブ・エンド)

 

アルフィア「これが、本物の魔法の極致。領域だ」

 

 

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