世界を救う英雄を育てた英雄   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第18話  新しい生き方  

 

一夏「悪いな。時間割いてくれて」

 

フィン「気にしないでくれ、他でもない君からの声掛け。無視するわけにいかないからね」

 

シャクティ ベルとアイズ

彼ら彼女らによりもう一度立ち上がる気力、そしてこれからの生き方を自ら決めた一夏は手始めにギルドへ行きそこで自分がこれからどうするかをギルドの大神ウラノス、ギルドを動かす立場にあるエルフ、ノイマンに意思表示をしてきた

 

その内容はある意味彼らにとって喜ばしいことではあったが、それと引き換えに彼らは一夏の言葉を無視できないだけでなくこれまで以上に御しきれない立場になることを理解したが、一夏の言葉を聞いてこのままでいることの方が駄目だとわかり、ついには一夏の好きにさせる方針に決めたのだった

 

それが終わった後は複数のファミリアにとある提案をして周り、最後にはロキファミリアに顔を出し、フィンを含めた首脳陣に話し合いを求め、それを応じたフィン達が一室に集まり話し合いを始めた

 

一夏「まず先日の件…悪かったな、お前らにも八つ当たりに近いことしてしまって」

 

先日、フレイヤファミリアを感情の赴くまま蹂躙した際、止めに入ったフィン達にも牙を向けかけた事を謝罪する一夏

 

自分でもアレは駄目だった事に気づいており罪悪感を持っていた

それも日頃から何かと関わりがあり、このオラリオでも自分と近い目線で物事を見ていた彼らにある種の親近感を抱いており、ましてやアイズと同じファミリアだったこともあり自分でも多少贔屓目に見ている節がある実感があった

 

フィン「いや…それは気にしないでくれ……君の怒りは最もだ……理由は大体察した……彼らが君に喧嘩売るのは何時ものことだが、よりにもよってのタイミングで喧嘩を売った向こうが悪い……それより、本題は?」

 

フィンとそのそばに居るリヴェリアとガレス…そして主神のロキが一夏が座る椅子と向かい合うように座りこちらへ目を向けた

 

一夏「………まず、初めに。俺と六月はアルフィアに鍛えられてきた………ってのは知ってるな?」

 

リヴェリア「ああ、初めてお前の口からそれを聞かされた時はとにかく驚いた」

 

ガレス「あのアルフィアが、後進育成なんてやっていたとはな。ほとんどの者に心を許さず、騒がしいことを嫌っていたあの女がな」

 

一夏「そもそもアルフィアが俺たちを拾って育てたのは、先のない自分に代わって黒龍を倒すための希望を作る為だった。そして、闇派閥に協力し俺たちと戦うことにした理由だが、もうお前らなら理解してんじゃないか?」

 

フィン「…………自らを打ち破らせることで上の段階に昇華させること……だよね」

 

一夏「……ああ、あいつも世界の為に自らの命を捧げようとしての行動だったんだろうが…………結局あいつは馬鹿な選択をしたと俺は思っているよ」

 

三首領「「「…………」」」

 

一夏「悪い、話がそれたな。とにかくあいつは俺たちに黒龍を倒すよう願っていた。まあ、アルフィアに恩があった六月はともかく、あいつやヘラの先人たちの事なんざ知ったことない俺は無視していたけどよ。アルフィアとの最後の戦い、六月の死、色々考えた末、これからの新しい生き方を見つけてさ。決めたんだよ…………俺は、黒龍を倒す

 

ロキ/三首領「「「!!」」」

 

これまで六月と違い、ヘラの先人たちのやろうとしたことを継ごうとしなかった一夏を見てきたので、この一夏の宣言には驚いた

いったいどういう風の吹きまわしか

 

一夏「ただ先に言っておくが、別にあいつらの意志を継ごうとは思ってない」

 

ロキ「(嘘は………ついてへんな)」

 

一夏「動機としては単純に、今になってこのまま世界が滅びるのを指くわえて見てられないのと、見て見たくなったんだよ」

 

リヴェリア「…………何をだ?」

 

一夏「俺を追いかけ、超えようとするやつらをな。今、俺を明確に超えようと俺に言ってきたガキどもが居たんだよ。その一人はアイズだ」

 

ロキ/三首領「「「!!」」」

 

一夏「傲慢なことを言わせてもらうが、今の俺はこのオラリオだけじゃない、。現代に生きる全人類最強だと俺は思っている」

 

ガレス「…………ああ、生意気なことを言っておるが、それは事実じゃわい」

 

リヴェリア「仮に、ここで我々対お前一人とやり合えば確実にこちらが負ける」

 

一夏「……元々俺は、アルフィアという大きな壁を超えようと躍起になっていた。俺に挑むオラリオの冒険者共は、いつも俺の隣を歩いて、唯一対等だった六月と蹴散らした。アルフィアを超えるのは俺か六月のどちらかだと思うほどにな。けど、あいつを不完全な形で超え、更には隣を歩いていた六月は消え、俺に残されたのは…………最強と言う空虚な椅子のみだ。俺の横にも、俺の後ろにも…………俺に追い付く者も、追いかける者もいない…………敢えて言おう…………頂点っていうのは、退屈だ。そして虚しい」

 

フィン「…………」

 

一夏「自分で言うのもなんだが、俺はある程度対等、もしくはそれ以上の実力のある誰かが居て、意欲的になるタチだ…………そんな今、まわりとの間に大きな差をつけて上に立った。今俺より強い存在なのは黒龍くらいだと思った。だからこそ、これから俺は、ゼウスやヘラの先人たちを本当の意味で超える為に力をつける………と同時に俺を超えたいっていったガキ共に触発されてもう一つ並行で進めることを決めた。ガキ共が、自分たちの目標を叶えられるよう、強くて聡い冒険者に育てあげる

 

ロキ/三首領「「「…………」」」

 

一夏「無論、俺一人が強くなったって意味はない。そんなことは闇派閥との大抗戦で痛いほど分かったよ。いつか来る黒龍との戦いにも、より強くなった冒険者たちの力も必要になる。そこで俺は考えた」

 

椅子から立ち上がり、部屋の壁を軽く叩く仕草をして一夏は言った

 

一夏「このオラリオ全体のレベルを上げるべきだ。ダンジョン攻略や医療に技術に生産業面などあらゆる分野で成長することこそが、この先を乗り越える為に必要だ。手始めにお前らロキファミリアが今以上に発展し強くなるために手を貸すことにする

 

それは オラリオ始まって以来の前代未聞のことだった

 

なにせ他派閥同士が協力し合うことこそあれど、オラリオ全体の発展に貢献する為に一個人が尽力すると言うのだから

それも それを口にしたのが 現代最強の男 織斑一夏だったことに一同は驚く

 

ロキ「じ、自分、なにゆうとるか分かってんのか!」

 

リヴェリア「都市の強さを上げるために、自ら手を貸す…………やり方は違えど、オラリオを次のステージに上げさせようとしたアルフィアとザルドのようなことをしようというのか」

 

ガレス「それがどれほど過酷なことか、お主分かっておるのか?」

 

フィン「ああ、派閥ひとつをまとめ上げ、自力を伸ばすことすら困難。けど君は、一つの派閥ではなく都市全体と言ったね?算段はあるのかい?」

 

一夏「なければ言いださねえよ。本当はやりたくはないが、俺のいた世界の知識をフル活用することにした」

 

地球の知識(主に地球にしかない商品や発明品)をこの世界で再現することで得られる富は、事前に話したヘルメス曰く、下手すれば大国を買い取れるだけの額を生み出せるとまで言われ、元々はそれらを生み出した先人たちへのリスペクトと盗作するみたいであまりやりたがらなかったが、短期間で多額の資金を作り出すには、これが最も有用であることを重々承知しており、一夏自身やむを得ずに実行することとなった

 

一夏「そこが探索系だったり商業系の派閥によっては、必要になる資金は変わるが、オラリオ最大派閥のお前らロキファミリアが一度の遠征にかかる費用はいくらだ?数百万?数千万?もしくは億単位か?どっちにしろ自分たちの力を上げるためには金はいるだろ?だから、そのために必要な資金を俺が幾分か負担してやる。派閥によって出す額は変わるが」

 

フィン「…………ひとついいかい?ここまでお膳立てして、君への見返りはなんだい?いや、いつか来る戦いに備えて力を蓄える必要があるのは理解している。けど君がそこまでして君自身へのリターンはどうなんだい?」

 

一夏「………まあ敢えて言うなら、金出すだけで強くなって貰えるなら安いもんだって思っての行動だ」

 

リヴェリア「なっ!?」

 

一夏「いやだってよ。なにすんのも金は必要だろ?商業系ならビジネス広げる為に技術上げたり開発やらに金はいる。お前らみたいな探索系なら物資や装備とかみたいな攻略に必須なもの揃えるのに金がいる。強くなりたい、もっとすごいものを作りたい、やれることを増やしたい。でも金がないからそれができない。そういう問題を抱えた所に対して金をばらまくだけだ」

 

ガレス「……間違っておらん、が、なんなんだその考えは」

 

フィン「つまりは一夏。君はこれからうちに対して、まあ支援金を出すつもりでいいんだね?」

 

一夏「そうだ。手始めに」

 

テーブルの上にアタッシュケースを置くと、中を開けて見せた

そこには大量の金貨が積まれていた

 

一夏「とりあえず三千万ヴァリス用意した。今後のお前らのファミリアの成果やファミリアのレベルが上がるごとに出す金額を変えるつもりだ。そして俺からお前らの希望は唯一つ────でかくなれ。かつての最強派閥なんざ目じゃねえくらいにな」

 

それは 不完全でもかつての最強/最凶(ゼウスとヘラ)を超え切れていない者達に向けた忠告、もしくは期待とも言えるものだった

 

1つの派閥の長であり、その頭脳であるフィンは少しの間思考した

一夏の言葉には団長としての私情抜きにしても思うところがあるのは事実

 

そして この先、自分達が強くなるには

この目の前にいる彼の手助けが必要になる

 

それを理解する

 

そうして考えに考えた結論をフィンは口にした

 

フィン「…………どうやら本気みたいだね。わかった…………君の支援をありがたく受けることにするよ。ただ、一方的に君に借りを作るのは僕たちとしては心苦しい。だから、なにか僕たちに手を貸して欲しいことがあるなら言って欲しい」

 

一夏「そうか……なら要望と言うか、今後このファミリアへの出入りをいちいち確認せず普通に入らせてほしい。まあ安心しろ、お前らファミリアの方針云々に指図する気はない。よほど黒いことじゃなければ俺も口出しはしないからさ。それと、本格的にアイズを鍛えたいからもしかしたら今後あいつ連れて駆り出したりすることも許してほしい」

 

ロキ「……本格的にアイズたんを弟子として起用するつもりやな………本音言えば、あんまあの子をよそのファミリアに連れまわすのは反対なんやけど」

 

リヴェリア「………あの子が、あんなに子供らしくなれたのは、お前のおかげなのも事実…………どうか無理はさせないで欲しい」

 

一夏「ああ、任せな」

 

こうして 現代最強と最大派閥との間に太くも大きな繋がりが結ばれるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから時は飛び 約二年の歳月が流れた

 

その間起こった出来事を時系列順に並べて行くと

 

まず ヘルメスファミリアとの間に一夏の持つ知識から生まれる利権を最大活用できるよう合作し、結果わずかな期間で巨万の富を得ることに成功した一夏は、それを元手に様々な分野に特化したファミリアに支援金と称して多くのヴァリスをばらまき、オラリオ中のファミリアの成長の手助けをした

その中には、ガネーシャやアストレアファミリアも含まれており、とにかく有望な所には見境なく支援金を送った

また、ギルド長ロイマンにこの先の未来を交えた話し合いの末、オラリオ中のファミリアからの税金搾取額を大幅減免させることに成功し、税金を理由に苦しい生活をしていた貧困ファミリアを救うこととなった

 

それだけでなく、なんとレベル6にランクアップした僅か数か月後には、レベル7にランクアップする結果となった

ランクアップ条件であった一定のステイタス値の到達と偉業の達成

 

これは 領域展開 領域展延の習得

更に術式対象を世界規模にまで拡張させたこと

そして 格上だったアルフィアへの勝利

ついでに単独でランクアップしたフレイヤファミリアを相手取り半壊させたこと

 

これら多くの戦闘や偉業が一夏を僅かな期間でレベル7へと昇華させた

しかも ランクアップしておきながら、成した偉業があまりにも大きかったことで、このままレベル7のステイタスをランクアップ条件値へと上げればそのままランクアップすら可能であった

 

なおランクアップのためのステイタス更新するよりも前

一度喧嘩別れしたヘラの下へいけば、アルフィアと六月の死に恩恵が消え、その繋がりが消えたことで憔悴しきっていたヘラに会えば

これまで見たこともない様子で一夏に抱き着き泣いてきた

ヘラの事が嫌いだった一夏だったが

こんなふうに泣きつかれたことに、流石に戸惑いながらも少しの間そばにいて泣き止むのを待った

そして泣き止んだヘラにステイタス更新とは別にもう一つの要件を果たそうとした

 

それは、ヘラにとっては孫にあたるベルの存在とその居場所を話し、一緒に暮らすかどうか聞くことだった(なおゼウスの事を話せば即刻行こうとしたが止めた)

ベルと暮らす際の条件として、ゼウスへの折檻を自重するように言い聞かせた

親のいないベルにとってはゼウスは紛れもなく家族であり、ヘラもまたベルにとって家族であるのは事実。しかし、ベルとの暮らしの中で、またゼウスが逃げ出したくなるくらいの折檻をして、ゼウスがベルを置いて逃げるなんてことになればベルが悲しむと言い、せめてベルが冒険者になる年齢になるまでは折檻を抑えてほしいと願いを伝える

そうして一夏の条件を呑んだヘラを連れ、ベルとゼウス(ヘラの姿を目撃してベル置いて逃げようとしたので取り押さえた末に一夏から『孫置いて一人逃げようとする爺は送還されても仕方ないよなあ』と脅し、その姿を見たゼウスは『ひぃぃぃ!ま、正しくヘラの眷属じゃ!』と驚かれ、内心傷つくのだった)のいる村に着き、三人の生活が始まったのだった

 

忙しかった一夏だったが、それでもアイズやベルを鍛えることをやめることはなく順調にことを運んできた

 

しかし、フィン主導の下行った

闇派閥残党掃討作戦決行の日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無垢なる悪意が 正義の派閥に牙をむくのだった

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