世界を救う英雄を育てた英雄   作:スカイハーツ・D・キングダム

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本作のアンタレスは原作にはない新たな強化がなされます。

それと仕事がこれから忙しくなるのでもしかしたら今以上に投稿ペース遅れるかもしれません。できるだけ執筆する時間を確保して投稿していきたいと思っておりますので気長に待っていただければ幸いです。


第22話 進化する古代の神食い

 

アンタレス

 

それは古代に封印された怪物

 

ほんの少し前

アンタレスが封印されていた遺跡に調査に来ていたオラリオ外で活動する

女神アルテミス率いるアルテミスファミリア

 

だが、調査に来たタイミングでまさかの封印が解けたアンタレスに遭遇し、そのまま眷属を殺し、そしてアルテミス本神を取り込んだ

 

結果古代のモンスターアンタレスはアルテミスの持つ神の力を我が物とし、この下界を滅ぼそうとした

 

だが、取り込まれる際に最後の力で自身の残留思念を生み出したアルテミスがその足でオラリオへ向かい、そこでヘルメスを通じ、アンタレスを最も倒せる可能性のある者

 

すなわち、織斑一夏に討伐依頼を出した

 

そうして依頼通り遺跡のある地へ足を運べばそこには黒く巨大なサソリ型モンスターとその眷属に当たるだろう小さいサソリ型のモンスターが辺り一面を埋め尽くしていた

 

一夏「話に聞いてたよりも事態は深刻だな。話によれば取り込まれたアルテミスがアンタレスを遺跡に封じ込めていたって言われたが………まあ何であれ、頼まれた仕事はこなすか。それじゃあ手初通り頼むぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────アストレアファミリアの正義馬鹿共!

 

アストレアファミリアの正義馬鹿共「「「「「「誰が正義馬鹿だって!?」」」」」」

 

アンタレスとその周りの眷属達の群れに飛び込む一夏とそれに続く形で飛び込んだアストレアファミリアの面々達

 

この依頼をヘルメスから受け取った際に一夏が依頼を受ける条件としてアストレアファミリアの面々の同行を要求し、集結したアストレアファミリアと共に古代のモンスター討伐を始まる

 

一夏が群れの中に入れば周囲の眷属達を体術で潰して回りながら適度に斬撃を放つ

 

それに続きアリーゼを筆頭に皆が魔法や武器、体術で同じく倒していき、群れをあらかた減らせば一夏は本命であるアンタレスへ向け斬撃を飛ばした

 

斬撃をまともに受けたアンタレスは仰け反って見せたかと思えば胸元にある結晶………よく見れば青髪の女性…………女神アルテミス本神がその中にいた

アンタレスの結晶部分が光ったかと思えばこちらに向け一直線上にエネルギー波が放たれ、それを一夏と後方で戦っていたアストレアファミリアは回避した

 

そうしてアンタレスが放ったエネルギー波は彼方まで飛んでいくと、その場所からこちらまで届くレベルの爆風の衝撃が襲った

そのエネルギーの正体は、本来下界では使用を禁じられている神の力、アルカナムと呼ばれるもの

 

一夏「女神を取り込んで、アルカナムを使ってくんのかよ…………あんなのまともにくらったら流石に死ぬわな」

 

少しヒヤッとしながらも命の危機を味わうこの感覚をどこか楽しんでいるようにも見える

 

やがてアンタレスの猛攻を搔い潜るとその胴体に重い一撃を叩き込み一瞬動きが鈍くなったところでアンタレスの結晶部分までくれば

 

一夏「…………これを突き刺せばいいわけか」

 

アルテミスが最後の力で思念体を作ったと同時に、その力で天界から神をも殺せる武器『オリオンの矢』を召喚し、この武器でアンタレスに取り込まれた自身諸共殺すよう依頼した

 

神の力を取り込んだアンタレスの現在の力は、もはや三大クエスト級のモンスターと遜色なく、放っておけば下界を滅ぼしかねない

 

今現在一夏がアンタレスと戦えているのは、神の力を完全にコントロールしきれていないのと取り込まれたアルテミスの抵抗によるところが大きい

 

一夏「神殺し…………確かに俺は死後自分の魂がどうなろうが知ったことじゃない…………そういうところでも俺に依頼をした理由なんだろうなあのヘルメス()は…………」

 

神殺しが重罪なのは理解している

それゆえ下界の人間たちは神を殺すことができないでいる

 

しかし一夏は例外だった

 

一夏「…………世界の為…………神様の一柱を犠牲に世界を救えるなら安いもんだ…………」

 

そう言うと持っていた矢を振り下ろす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「しかしまあ…………やれるだけの事せず楽な道を選ぶのも、犠牲を良しとする考えも…………どっちも好かねえな」

 

ことなくそのまま捨てていった

 

一夏「…………ぶっつけ本番だが、ダメもとでやってみるか」

 

そう言い一夏は結晶に触れると

 

一夏「…………『解』」

 

アンタレスに取り込まれたアルテミスの入った結晶に斬撃を送り込んだ(・・・・・)

 

その瞬間アンタレスが突如苦しみだし、身体を振り回し一夏を下ろそうとした

 

一夏「やっぱりな、俺の考えは正しかったわけだ。『解』『解』『解』」

 

アンタレスに続けざまに『解』を叩き込む

 

すると結晶を中心に光があふれ出たと思えば結晶の中にいたアルテミスが目を開きこちらへ手を伸ばし、少しずつ結晶にヒビが入り出し、ついには

 

一夏「神殺しはいつかの機会ってな」

 

中にいたアルテミスをアンタレスから引き剝がすことに成功し、アンタレスから距離を置く

 

その間もアンタレスは地面に悶えながら、アルテミスを引き剝がされた影響で自身から抜け出るアルテミスのアルカナムを抑え込もうとする

 

一夏が行ったのは世界を断つ解のような術式対象を広げた行為ではなく、術式対象を限定的にまで絞りこむことでアルテミスを取り込み繋がったアンタレスとの魂の境界へ解をぶち込むこと

アンタレスがアルテミスを殺さず取り込んだのは、取り込むことでアルテミスのアルカナムを使える様にするためだった

 

だが、一夏が放った魂の境界を断つ『解』を受けたことでアルテミスを取り込んだ状態を維持が出来なくなり、更にはアンタレスに取り込まれ魂が沈んでいたアルテミスの息が吹き返し結果アルテミスを引き剥がすことに成功させた

 

一夏「さて、こうして会うのは初めてかアルテミス?」

 

アルテミス「あ、ああ…………まさか…………生きて出られるとは思わなかった」

 

一夏「ああ、俺もアンタを殺さずに助けきれるか半信半疑だった。輝夜!お前の羽織被せてやってくれ!いつまでも女神の乳晒すのまずいだろ」

 

アルテミス「────///!」

 

一夏の言葉で、今自分が全裸であることに気が付いたアルテミスはその場で胸元を両手で隠しながらしゃがみ顔を赤くしていた

 

輝夜「ご無事で何よりですアルテミス様。私達はアストレアファミリア。もう安心してください」

 

一夏達に駆け寄った輝夜がそう言えば自身の羽織を被せ、裸体を隠させた

 

一夏「後は,あのサソリを始末すれば終わりか…………!」

 

アルテミスを剥がし、アルカナムも抜け落ちていきもはや大した相手にはならない(それでも階層主級の力がある)

どうせならアストレアファミリアの経験値にでもしてやろうか考えていたその時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悶えていたアンタレスに異変が起きた

 

 

 

まず肉体から取り込んでいたアルテミスの神としての力の流失が止まり、身体が発光したかと思えば白い繭のようなものに包まれた

 

一夏「…………嫌な予感だ」

 

あのまま繭に入ったアンタレスを倒した方がいいと思いながら斬撃を飛ばそうとしたその瞬間

 

繭にヒビが入り、そこから巨大な手が這い出て、遂にはアンタレスが繭から飛び出した

 

その姿は先ほどと大きく変貌した

先ほどまで巨大な黒いサソリだった時と打って変わり、巨体の2足歩行の人型生物へと変化した

目に当たる部分には左右2対の翼が生えており、背には剣の紋章、右手には剣が備わっている

そして頭上には方陣が顕現している

 

輝夜「なんだ…………あれは………」

 

アリーゼ「あれって…………さっきの巨大サソリよね?」

 

リュー「そ、そのはずです…………ですが、さっきまでの面影が…………」

 

ライラ「ああ…………綺麗さっぱりなくなってやがる……」

 

アンタレスの変貌した姿に驚く一同

 

アルテミス「ま、まさか………!」

 

その中で、アルテミスだけは驚愕していた

 

アルテミス「し、進化させたのか!?身体から流失するアルカナムを抑え込むのではなく、残ったアルカナムで自らを進化させたのか!?その使い方が出来る程度にまで成長していたのか!?」

 

そう

アンタレスは無くなりつつある残された神の力を使い自己進化を果たした

 

より強く より強靭に より最適に

 

自身から女神を引き剥がし、自身の命をも脅かしかねない 

 

たった一人の男を屠る為だけに

 

一夏「…………」

 

想定外の事態に陥りながらも、一夏は冷静に現実を受け入れつつ構えだした

 

対するアンタレスは一夏に向けゆっくり歩き出すと両者が対面を果たす

 

互いの距離は約2メートル

 

その近すぎる距離感で両者は無言で睨み合った

 

アリーゼ「…………(やばい…………なんなのこの空気…………重い)」

 

リュー「(動けない…………あそこだけ別次元………)」

 

輝夜「…………(私の勘違いじゃなければ、あのモンスター…………一夏に並んでないか?)」

 

アルテミス「……あ…っ…ああ────!…………(あれは私の力だったからこそわかる…………あのモンスターは…………もはやアンタレスでもモンスターでもない…………別のなにかだ)」

 

沈黙がその場を支配し

 

睨み合う両者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に動いたのはアンタレスだった

 

右腕に備わっていた剣を一夏へ振り下ろし、それを片腕で受け止めた一夏だったが

 

その瞬間、一夏の立っていた地面に亀裂とクレーターができるほどの衝撃が発生した

 

一夏「ッ(こいつ…………パワーはレベル7の俺に近い………)」

 

腕に来る痺れに耐えていると剣が光り出したので思わずその場で回避すると剣は地面に下ろされ地面を破壊した

 

そのまま頭部に蹴りを叩き込み仰け反ったところへ

 

一夏「『解』」

 

斬撃を放ち胴体に切断面を作りそのまま左腕を振るい第二激目を放とうとしてアンタレスの剛腕と衝突し両者共に吹き飛んだ

 

リュー「なっ!?」

 

ライラ「吹き飛んだ!?」

 

輝夜「あのモンスター、一夏と真っ向から撃ち合えるだけの力があるのか!?」

 

片や遺跡の方へ吹き飛んだアンタレス

 

片や近くの森に吹き飛んだ一夏

 

遺跡の瓦礫をどかしながら一夏のいる方へ行進するアンタレスを見ていれば

 

同じく森から出てきた一夏の姿があった

なおその手には食べかけの果実が握られている

 

一夏「…………(あの剣、六月の収集していた武器の中に似た奴があったな…………なんだっけか…………ああそうだ、確か退魔の剣って言ってたな。あらゆる呪いや災いを退ける正なるエネルギーが込められていたっけ…………俺は見たことないが、邪悪な存在や穢れた存在に対してアレで斬られれば一発で消滅していたな…………それにしてもこの果実、アンタレス復活の際、遺跡を中心に周囲の生命が奪われた影響か水分が抜けてスカスカで実に)不味い」

 

ぺッと果実を吐き出しながら斬撃を飛ばした

 

その斬撃を受けながらもアンタレスは両足に力を込め、一夏の目の前まで急接近し掴むとそのまま遺跡の方へ投げ飛ばし

 

一夏「やるかサソリ!」

 

遺跡の壁を足場にしながら好戦的な笑みを浮かべるとそこからは両者の取っ組み合いへと発展し、互いに拳と拳が衝突し合う中でも一夏は徐々に斬撃を殴りながら仕込みアンタレスは徐々に身体に切り傷が蓄積していき、ついにはアンタレスの片腕を奪って見せ

 

一夏「ラァ!」

 

アンタレスの顔面を殴り、遺跡に残された石板や墓と衝突し次々と吹き飛ばしていった

 

アリーゼ「よし!一夏が優勢!」

 

ライラ「最初互角に殴り合っていたが、やっぱ一夏の方が強え……」

 

輝夜「後はこのまま、何事もなく押し切れば…」

 

遺跡の建造物に吹き飛ばされたアンタレスを見て、優勢になっている現状に満足していた一同

このまま順調にいけば一夏が勝てるだろうと誰もが思ってた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガコン

 

 

一夏「ん?」

 

吹き飛ばされたアンタレスから何かの音が聞こえたかと思えば、アンタレスが姿を見せた

 

リュー「なっ!?」

 

輝夜「馬鹿な…」

 

アリーゼ「嘘…」

 

その姿を見たアリーゼ達は驚きを隠せなかった

 

それもそのはず、姿を見せたアンタレスの肉体は、元の形に修復されていた

 

一夏によって斬り飛ばされたはずの腕は生え、戦闘中に浴びせた斬撃や打撃による傷跡全てが何もかも消えており、まるで初めから無傷だったかのようだ

 

一夏「………何かしたな?」

 

そうぼやいた一夏に向け一瞬で接近しそのまま拳を振り下ろすアンタレスの攻撃を避け、続けざまに斬撃を放った

 

一夏「────!」

 

が、その斬撃をアンタレスは避けた

まるで見えているかのように

 

ネーゼ「あ、あのモンスター、一夏の斬撃を避けた!?」

 

ライラ「嘘だろおい…」

 

アスタ「ありえない………」

 

アンタレスの回避行動を見たアストレアファミリアの面々は信じられない物を見たかのように目を見開いた

 

アリーゼ「なんで…………一夏の斬撃が当たらないの!?」

 

一夏の魔法【御厨子】は

相手に触れて発動する相手の肉体強度と魔力総量に応じ自動で最適に切断する『捌』

指先から放つ不可視の高速の斬撃『解』

 

そのふたつを使うがそのうちの『解』は視認することはまず不可能であり、六月のような超人的な五感や一夏のスキル(異端の眼)のような魔力を視認する方法などがない限りは見切ることはほぼ不可能

 

それもアンタレスは先ほどまで一夏の斬撃に対応できず斬られていた

にも関わらず、この短期間で一夏の不可視の斬撃を、まるで見えているかのように回避した

 

一夏「なら」

 

一瞬で接近し胴体に触れた状態でゼロ距離の『解』を放ち胴体を貫通して見せた

 

一夏「!」

 

が、それをくらってなお一夏へくらいつくのをやめないアンタレス

それどころか

 

一夏「ッ(こいつ…………さっきと比べて傷が浅い)」

 

先ほど斬撃をくらった際に深くついた傷跡が、今は深く切り込めていなかった

 

一夏「(さっきより強めにやってこれかよ……なら)」

 

自分の魔法の効き目が弱いと見るや、魔法ではなく完全な体術メインな戦い方へ帰るとそのまま魔力を纏わせた拳で殴りつけた

 

何度も何度も顔や胴体を殴り続け、数十発目に差し掛かった時

 

 

 

 

────黒き閃光の一撃がアンタレスの胴体に叩き込まれ、アンタレスの胴体へ大穴を開けた

 

リュー「こ、黒閃………」

 

黒閃を決め、潜在能力が引き出された一夏は、そのまま拳を叩き込み続けた

 

一夏「(このままこいつに反撃させないまま押し切ってやる)」

 

何度も何度も殴り続け、次の黒閃を決めようと無我夢中に拳を叩き込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガコン

 

 

 

アンタレスへ叩き込んだ拳の回数が100を超えそうになった辺りで、一夏は違和感を覚えた

 

拳を叩き込まれたアンタレスは、確かに大きな手ごたえと確かなダメージを負わせられていた

だがそれが今では

 

一夏「この感じ──!」

 

一夏の拳を受けても仰け反らなくなったどころか、手ごたえが感じられなくなった

しかも徐々にこちらの拳を見切り避け始め、まるで『次はこちらの番だ』とでも言うかのような薄ら笑いをアンタレスが浮かべ退魔の剣を振り下ろすと、それを回避したのを見逃さずそのまま空いた拳を叩き込もうとし、それを一夏が片腕でガードした

 

一夏「────!」

 

そこで再び感じた違和感

 

一夏「(この殴られた感じ………まさかこいつ)」

 

思考する一夏をお構いなしに今度はアンタレスが一夏を吹き飛ばし森の木々へ衝突させた

 

ライラ「………なあ、輝夜………お前見たか?」

 

輝夜「………ああ、私は確かに見たぞ」

 

リュー「み、見たとは何を……」

 

ライラ「気が付かなかったのかリオン…………あのモンスター、最初は一夏の拳に全然反撃できなかったし確かに効いてた…………けどよ」

 

輝夜「あの頭の方陣が一回転した瞬間からだ。動きが 攻撃の効きが 戦い方が 何もかもが変わった

 

アリーゼ「ま、待って輝夜、少し頭がこんがらがってきちゃったわ。つまり何が言いたいの?」

 

輝夜「わからないか団長。あの方陣が回転した瞬間、まるで急速に成長を遂げたかのように変化した…それもこの短時間でだ」

 

アルテミス「…………まさか」

 

 

 

同じころ、一夏も気づき始めていた

森の木々と衝突し、木に持たれながら先ほどの戦闘を振り返り、考察する

 

一夏「今の一撃…………拳に魔力を纏ってやがった……俺と一緒で…………なぜ急に…………元々できていたのか…………それとも…………このタイミングで覚えたのか……」

 

拳をガードした方の腕の拳を広げて閉じてを繰り返しつつ、頭の中で浮かんだ疑問の答えを探していた

 

一夏「………(あの方陣がまわった時の音…………最初に斬撃を浴びせまくって吹き飛ばした時と同じ奴だった…………つまり、俺の斬撃に対応できるようになったのも、俺の拳による攻撃の効きが悪くなって対応できるようになったのも、あの方陣が回転した後だった…………もし、俺の仮説が正しいなら…………)──!」

 

考え込んでいた一夏の下へ、アンタレスが退魔の剣を振り下ろして襲撃した

 

それを避けた瞬間、アンタレスの振り下ろした退魔の剣から極太い斬撃が放たれ、森の中央まで大地と木々を巻き込んで斬り飛ばす

 

一夏「(こいつ…………)」

 

アンタレスの攻撃を避けながら森を出ると

 

輝夜「一夏!」

 

丁度近くにいたアストレアファミリアとアルテミスと遭遇した

 

輝夜「よく聞け一夏!あのモンスターは」

 

一夏「分かってる────適応してるんだろ

 

アストレアファミリア/アルテミス「「「「!」」」」

 

一夏「ずっと疑問だった。始めのあいつはただ退魔の剣と肉弾戦しかしなかった上俺の攻撃に対応することができず俺の攻撃はよく効いていた。それが今じゃどうだ?あの方陣が回転してからは俺の攻撃が効きづらくなり、対応ができるようになった。つまり、これが変化したアンタレスの能力、あらゆる事象への適応。最強の後出しじゃんけんみたいなもんだ」

 

アルテミス「…………そうだ……アンタレスは残っていた私のアルカナムで自身を進化させただけじゃない。あらゆるものに適応することで自己進化できるように自らの肉体を作り替えた。もはやアレは、アンタレスではない。アンタレスだった別のナニカ。アレを生かしておけば、ゆくゆくは黒龍以上の存在に成り得る。いや、それこそ地上を滅ぼし、神すら殺せる領域にたどり着く可能性すらある…………わ、私は、なんてものを生み出してしまったんだ」

 

リュー「ア、アルテミス様のせいではないです!」

 

アリーゼ「そ、そうですよ、誰もこんな結果になるなんて予想できないですよ!」

 

実際にはアルテミスから奪った力で起きてしまった結果であるためアルテミスのせいではないのだが、自分の力のせいで地上を滅ぼせる怪物を作り上げてしまったことにショックを隠せずにいる

 

一夏「しかもそれだけじゃない。あいつ、俺との戦いで俺みたいに魔力を纏わせる技術と斬撃を放てるようになりやがった。おそらくあいつの適応は、解析が完了しても更に適応を続ける。適応の起点は受けた攻撃と相手との打ち合いで相手に対して有効打になるものを模索する際………時間が経てば経つほど相手に対してより有効打になる攻撃ができるよう自らを適応進化させていく。このままいけば、いずれは黒閃や世界を断つ斬撃すら習得しかねない」

 

アストレアファミリア/アルテミス「「「「!!」」」」

 

一夏「(古代に封印されたモンスター…………正直そこまで強いと期待してなかったが、これは思わぬ誤算だな…………こいつ仕留めた暁には、ステイタスは大きく上昇する…………あの時(アルフィア戦前)の俺だったら、負けていただろうな。世界を断つ斬撃なら簡単に仕留めきれるだろうが、今のあいつは俺の斬撃を見切るから当てられる可能性が半々、下手すればこの攻撃のせいで適応して俺のように世界を断つ斬撃を習得しかねない。生半可な技では倒せず、火力でのゴリ押しでも適応されればしまい…………あのモンスターを確実に倒す方法……)…………アレをやるか」

 

そう呟きながら両手の指を組み始める一夏

 

それを見たアストレアファミリアは

 

輝夜「────まずい、リオン!アルテミス様をお連れしろ!」

 

リュー「は、はい!」

 

すぐに一夏から距離を取る為に全力ダッシュをした

 

彼女たちはこの二年間、一夏と同行しダンジョンに潜ることもあったため、一夏の行動をある程度予測することができ、両手の指を組む動作により、この後起きることも理解し、巻き込まれないようにするためにその場から全速力で退避した

 

やがて森の中からアンタレスが飛び出し、そのまま一夏へ剣を振り下ろそうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣が命中する寸前

 

印を結び

 

 

 

 

領域展開

 

 

己の世界の扉を開くその言葉を口にした瞬間

 

一夏とアンタレスを発生した結界内に引きずり込み

アンタレスは一夏により周囲の遺跡の一部ごと結界内へ引き込まれたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルテミス「な、なんなんだ…………あれは?」

 

輝夜「…………あれは一夏の領域展開…………伏魔御廚子です」

 

リュー「今あの中では、無数の斬撃の嵐がアンタレスを飲み込み切り刻んでいます」

 

 

織斑一夏の領域 伏魔御廚子(ふくまみづし)

 

それは、領域内に入った対象に、無数の斬撃を絶え間なく浴びせる一夏の切り札

 

領域の必中効果としては

領域内の魔力を帯びたモノには『捌』 

魔力の帯びてないモノには『解』

 

これら二種類の斬撃が対象を切り刻む

 

通常領域は魔力を持つ者に対して有効打になるが、六月のような魔力ゼロ相手には効果を成さず、領域殺しとも言える存在には無力だが、一夏の領域はそのような存在相手であっても有効打を与えられる

 

一夏は考えた

 

適応済みの技をアンタレスに当てた所で有効打にならず、かといって生半可な威力の初見の技を当てたとしてもそれでも破りきれず適応されてしまう

 

だからこそ考えたアンタレスの唯一の攻略法

 

それは────初見の技かつ一撃で仕留める事

 

一夏「って考えたから初見かつ威力のあるコレ使ったっていうのに…………これは俺の読み違えか?」

 

領域の中 伏魔御廚子の中心にて、印を組みながら必中の斬撃を大量に浴びせているのだが

 

肝心のアンタレスはダメージこそ受けているものの、その肉体への損傷具合は予想に反して軽傷で済んでおり、とてもじゃないが倒しきれそうには見えない

 

一夏「…………(もしかしてだが、こいつの適応って術そのものだけじゃなく攻撃方法もカウントされるのか?この場合はあの時の適応は解に対してではなく斬撃そのものに…………仮にそうなら初見技の捌をくらっても軽傷で済んでる理由になる。これは想定外だ…………けどまあ)」

 

少しずつこちらへ斬撃を浴びながらものノソノソと近づくアンタレスを前に一夏は慌てる様子は見せず

 

それどころか両手の印を解きそして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────■     (フーガ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「あぁ────くっそしんどかった」

 

領域の結界が崩れ去り、戦いの結末が明かされた

 

崩壊した領域からは、両腕を空へ伸ばす様子の一夏が出てきており、その周囲には誰もおらず、まるで何かが吹き飛ばした後の様な状態になっていた

 

なおその片手にはアンタレスの頭上に顕現していた方陣が握られており戦利品のようなそれを雑に引きずりながらアストレアファミリアとアルテミスの下へ行き見せびらかした

 

一夏「これドロップアイテム扱いなのか知らんけどどうする?誰かこれ記念に貰うか?」

 

ライラ「いやよくそんなわけ分からんもん勧めて来るなお前」

 

アルテミス「…………本当に…………あのアンタレスを倒したのか…………これが、現代人類最強…………」

 

一夏「それにしても、あの親玉倒したらまわりのサソリ共も死滅するなんざ、少し惜しい気がするなあ…………どうせならあいつらお前らの経験値の糧にすればよかったのによお」

 

輝夜「いや、お前の戦いが凄まじすぎてそんな余裕がない。こちらにまで流れ弾が来ないか気にしながら戦うのは面倒が過ぎる」

 

双方戦いを終えた後に短い時間ではあるが会話を交わし、その後遺跡の下にそのままとなったアルテミスの眷属達の遺体を回収し、全員を埋葬した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして 本来であれば救われることのなかった女神は無事に救われ、進化した古代のモンスターは現代最強の手により屠られたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから程なくして

 

この時の戦いにより一夏は見事、かつてのゼウス・ヘラファミリア以来のレベル8に到達し、名実ともに本当の意味で全冒険者の頂点に立った

 

そんな一夏にオラリオの神々や冒険者に住民は思った

 

────てっぺんに立ったのに今のままの二つ名でいいのかと

 

ゼウス・ヘラ亡き後のオラリオでは、フレイヤファミリア団長にして当時の冒険者の中で唯一のレベル6 オッタルが最強とされ二つ名は『猛者(おうじゃ)

まさしく頂点に相応しい異名だったが、そのオッタルを当時レベル4だった一夏は打ち勝ち、その後レベル7になった際に、レベル6に上がっていた一夏に一方的な敗北を刻み込まれ、頂点としての威厳はなく、もはや名ばかりの最強

唯一勝っていたレベル数も今や追い抜かれ

 

ここまでくれば神々は早急に真の最強に到達した人類に対し相応しい二つ名を与えようと神々にしては珍しく真面目に頭をひねり考え込み

 

遂に決められた 最強の冒険者の二つ名

 

その名も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────王我(オウガ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして新たな二つ名を貰い、今もまた己とオラリオ全体のレベルを上げられるように奔走する一夏だったがこの日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「来い お前に頂点(強さ)を見せてやる」

 

狼人「ぐあああああああああああ!!!」

 

雨の降る夜に 一人の悲しい目をした 若き狼人(ウェアウルフ)と出会った

 





アルテミス────原作と違い一夏の手により生還を果たし、一人世界を放浪し新たな眷属を迎え入れた。殺された眷属達の事を今でも忘れず、アンタレスの封印された遺跡近くに埋葬された眷属達の墓へ命日になれば会いに行くのだった。

また命を救われたことで一度は一夏をオリオンと呼び求婚したが一夏からは『神との恋愛なんて面倒だから無理』と割と厳しめに拒否られた。
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