世界を救う英雄を育てた英雄   作:スカイハーツ・D・キングダム

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本作はいくつものキャラに強化を加えますが、ラウルはロキファミリアの強化させるキャラクターの中で特に改変の激しい存在にさせる予定です。


第25話 強さを求めし者 ラウル&アナキティ編

 

 

 

 

ロキ「ほい、終わったで」

 

ロキファミリアのホーム一室にて、ロキファミリアの主神 ロキがステイタスの更新をし終え、更新用紙を渡す

 

そこに刻まれた内容に目を通していると、ロキが話し出す

 

ロキ「しっかし、最初驚いたで。遠征から帰って来たかと思っとったら重症のふたり背負っての帰還な上、話聞いたら自分ら深層で数日間サバイバルして強化種と戦り合ってたって、ホンマ心臓に悪ぅ内容やったわ。けど、よう無事やったわぁラウル

 

ロキの話し相手 ラウルは更新用紙に刻まれたステイタスを眺めると軽く腕を摩る

 

ラウル「無事、って言えば無事でいいかな」

 

ロキ「まあ確かに自分かなり瀕死やったもんなあ。偶々ホームに一夏が来とってなかったらもっと危なかったで」

 

ラウル「…………そういう意味じゃ、運が良かったって言うべきか」

 

ロキ「まあともかくラウルは当分安静するように、これは主神命令や」

 

ラウル「……流石にあんな激闘終えたばかりじゃすぐには動こうなんて思わないな」

 

そう言うとラウルは更新用紙片手に部屋から出て行こうと扉に手を掛けた

 

ロキ「ああそうやラウル」

 

そこでロキが呼び止められたかと思うと

 

ロキ「ランクアップおめでとさん

 

笑顔でラウルの成果を褒め称えた

 

ラウル「………ありがとうロキ」

 

それに短く礼を言うが、その口元を僅かに緩ませながら部屋を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深層での数日サバイバル 本来必要な適性レベルに達してないにも拘らず生き延び、更には格上であるバグ・ベアー強化種との激闘を制したラウルとアナキティはそれらの功績が偉業としてカウントされ、ランクアップ レベル3に到達した

 

バグ・ベアーとの激闘は互いにギリギリと言っていいものであった

 

本来であれば勝てるはずない相手であった

それをふたりは気力とこれまで身に着けた全てをぶつけた

 

そんな中でラウルはようやくシン・陰流の技を発動するに至った

 

バグ・ベアーの攻撃からアナキティを守る為、土壇場でそれまで一度たりとも発動が叶わなかったその技術をようやく披露し、バグ・ベアーの片腕を奪い、最後はアナキティと共に全部の力を振り絞りバグ・ベアーの胴体に致命の一撃を絶え間なく浴びせ続け、時間にして約1分、体感では30分のように思えた怒涛の畳みかけの末に、バグ・ベアーはその肉体の機能を停止し、魔石を残して消滅した

 

全てを出し切り、倒すことに成功したふたりは 

それまで耐え続けていた痛みや疲労が一気に押し寄せ、その場に倒れこんだ

 

それでも立ち上がろうと、互いに手を伸ばし合い、重ねた所で力尽き意識を失うも、そのすぐにふたりを探していたロキファミリアの面々が駆け寄り、無事ふたりを回収した

 

実は、ふたりがバグ・ベアーと戦う姿をロキファミリアの面々は見ていた

当初は助けに入ろうとリヴェリアが前に出ようとしたのだが

 

ベート「やめておけ。あいつらは今、冒険している最中だ」

 

アイズ「うん。それになんでかわからないけど、今あのふたりが負けるイメージが湧かない…………本当に危なくなるまで、見ていたい」

 

それをベートとアイズのふたりが割って入り止めた

 

リヴェリア「ッ、だがあのふたりは」

 

それでもなおラウル達を放っておけないリヴェリアは反論しようとしたが、同じようにフィンが諫めた

 

フィン「いや、僕もここは見ておきたい。気づかないかいリヴェリア?数日前と今とであのふたりの変化に」

 

そう言われ、改めて戦っているふたりを見るリヴェリア

 

確かに、ステイタス上の変化は見られなかった

だが、そこにあったのは、確かな動きの変化

 

片やラウルは自身なさげでモンスターと対峙した時は目に見えてわかる程に怯える姿をよく目にした

片やアナキティはラウルの様な目に見える臆病さは見せない者の、よく見なければならない程度には恐怖と戦っている様子が随所見られていた

 

だが、明らかに不利なはずの今のふたりからは、一切の恐れも迷いも見られず感じられず攻めていた

それもただ攻めていた訳ではなかった

 

バグ・ベアーが攻撃を振り下ろせばラウルは持っていた剣で受けるのではなく受け流し、アナキティが胴体に攻撃し、アナキティがフェイントをかけた挑発でバグ・ベアーの視界を誘導させれば、そこでできた死角からラウルが割り込み、シン・陰流奥義『抜刀』でアナキティよりも更に深い傷跡を作り刻んでいく

ラウルが危うくなれば、アナキティが服を引っ張り攻撃を回避させ、アナキティが危うくなれば逆にラウルが割り込み刀身で受けてガードをする

 

そうやって互いに支え合い、守り合いながらバグ・ベアーの猛攻に対処していく

 

最後に別れてからの短い期間の間に、見違えるほどの変化を見せたふたりに、リヴェリアは息を呑みながら気が付けば見入っていた

 

フィン「…………迷いや恐れをなくした者は、戦いにおいて特に強い。今のふたりならきっと」

 

その言葉通り、ふたりは無事にバグ・ベアーに勝利したのだった

 

ふたりを回収したロキファミリアの面々はすぐに地上へ帰還した

手持ちのポーションや治癒魔法だけでは完全に治しきれない、特にラウルの負傷具合が目に見えて大きかったので一行は急ぎ足で地上を目指し、道中治癒魔法による延命を両者にかけ続けていた

 

幸運にも丁度ロキファミリアのホームに遊びに来ていた一夏の手により酷かった傷跡は全て治しきり一命を取り止めたのだった

 

そうしてダンジョンでの一騒動から2日が経った頃、傷も癒え、動き回れる程度には回復したのを見計らったロキによってランクアップを告げられたラウルはロキの部屋から退出し、ホームを歩いていた

 

歩きながらも、ラウルはダンジョンでの自身とアナキティが経験した冒険を振り返っていた

 

あのような地獄かあの世への片道路線に片足突っ込んでいた状態から、よく無事に生還できたと、珍しく内心で自分を褒めたい気持ちが湧いていた

 

そして、ダンジョンでの生きるか死ぬかのサバイバル、格上との死闘を終え、気が付けばホームにある自室で目を覚ました時から、まるで世界が違って見えていた

それは、ダンジョンで生死の境を彷徨った経験か

もしくは、それまで心の中で渦巻いていた焦燥や己に対しての負の感情が薄れた影響か

 

どちらなのか、あるいはどちらでもない別の理由なのかはわからなかったが、一つだけ確かなことはあった

 

それは

 

ラウル「────なんとなく、道が見えた気がする」

 

それまで無我夢中で強くなろうと必死にもがいていた時は、どこに行けばいいのか、どこに進んでいるのか、ずっと迷走しているような気持ちだった

 

だが、ダンジョンでの経験が、ラウルを上のステージに押し上げたのだった

今なら、ラウル自身、どう進めばいいのか、どこへ行けばいいのかが分かる気がした

 

これを理解できるか否かで、その人物の成長度合いに大きく関わることとなる

それは即ち、精神の成長の現れでもある

 

この時のラウルは知る由もなかったが、これにより彼は、本来の世界線の自身とは見違えるほどの成長を遂げることとなる

 

一夏「ラウル」

 

そんなラウルに声を掛けたのは一夏

その傍らには木刀を持ったアイズもいる

今日もホームで一夏相手に修行をしていたのだろうことが、想像つく

 

ラウル「一夏さん。先日は治療していただいて、ありがとうございます」

 

頭を下げるラウルに一夏は顔を上げるよう呼びかける

 

一夏「治療っつうか、俺がやったのは魔法やポーションじゃ治せなかった身体の損傷部位の再生なだけで治療とは言えねえんだけど」

 

ラウル「で、ですが、俺が一命取り止められたのは、一夏さんのおかげだってロキが言ってましたので」

 

一夏「あー、そうか(まあ確かに俺のスキルで傷跡を治したが、あれは治癒魔法や回復魔法とは違ってあくまで修復再生に特化していて痛覚云々まではどうすることもできねえから後々それ治すためにアミッド達治療師達にも手伝ってもらったんだがなあ)」

 

軽く頭を掻きながら一夏はどこか遠くを見つめる

 

ラウル「あ、それとこれも」

 

ラウルは懐から何かを取り出すとそれを一夏へ差し出す

 

一夏「…………お前、これ」

 

ラウル「はい。天与の暴君(タイラント)、いえ 六月さんのバングルです」

 

その差し出したものとは あの日28階層で拾った誰かの遺品 シン・陰・六月がいつも着けていた特殊なバングル

生物以外のあらゆるものを保管し、それを装着者の任意で出し入れできる代物 この中には、生前の六月も使っていた武器や実家から持ち出した数多くの物が収められていた

 

一夏「…………どこで見つけたんだ?」

 

ラウル「28階層。休んでいたらなんか光るものが見えた気がしたのでそこに行ったら落ちてました」

 

一夏「…………その階層。俺やアストレアファミリアの面々も探しに行ったがあいつも見つけられなかった…………まわりに遺体は」

 

ラウル「なかったですね。本当にこれだけでした」

 

一夏「…………そっか」

 

受け取ったバングルを暫く眺める一夏

 

ラウル「勝手で申し訳ないですが、最初これを使おうとしたんですが結局使えなくてずっと懐に入れてました」

 

一夏「あー、まあこれ一応あいつの実家の物だから、あいつと同じ血筋にしか使えないようになってるからな」

 

ラウル「そ、そうだったんですか、どおりで…………」

 

一夏「…………でもありがとな、見つけてくれて………ほらよ」

 

ラウルに礼を言う一夏だったが、そこで持っていたバングルを投げ渡した

 

ラウル「え、ちょっ!これ」

 

一夏「やるよ」

 

ラウル「え?」

 

一夏「だからあげるって。これは、見つけたお前が持つべきだ。ああでもこのままじゃ使えねえからアスフィにお願いしてそれ弄ってもらうか。流石に技術的な理由でこれを複製させるのは無理だろけど中身弄って使用者権限を変えるくらいなら多分できそうだからよ。それでお前が使える様になるはずだ」

 

ラウル「いえ待ってください!なんでこれを俺に渡すんですか!これは貴方の親友の形見ですよね!それをなんで無関係の俺に」

 

一夏「…………まあ確かに、本音を言えば、俺の手元に置いておきたい所だ」

 

ラウル「なら「だがな」!」

 

一夏「俺が思うに、これは 戦いにおいて大きく欠けている者が持つべきものだって考えている…………お前は知ってるかは分からねえが、あいつはスキルの影響で圧倒的な身体能力と代償に、魔法を習得できず一切の魔力を持たない。なんだったら魔法由来のバフデバフを受けない特異体質だった。だからこそ、そんなあいつを支えたのが、このバングルだ。これがあるおかげで戦いにおいて優位に進め切れた。まあこれはあくまであいつにとってサポートアイテム的な使われ方だったが…………一方で、お前は魔法を一切習得しきれてない。この先発現するかもしれないが、逆に言えばしないかもしれない…………まあこれは資質によるがな…………つまり俺が言いたいのはな、あいつと一緒で欠けている者であるお前は、これを使って少しでも欠けた部分を埋めてこの先を戦っていくべきだってことだ」

 

ラウル「…………一夏さん」

 

一夏「それにだ。お前が見つけた階層。あそこは俺もあいつらも六月を探すために訪れたがコレを見つけ切れなかった、だがお前らはコレを見つけてきた…………こんなことを言うのは妄想が過ぎるかもしれないが、まるで、あいつが自分の次にこれを使うに相応しい奴の前にこれを置いたように思えんだよな…………」

 

ラウル「!」

 

一夏「まあ、無理強いはしない…………だができることなら、これを使って欲しい…………頼む。きっと、あいつも喜んでくれる」

 

ラウル「…………」

 

一夏の言葉を聞き終えたラウルは改めてバングルを見た

 

正直に言えば、考えなかったわけではない

これをもし、自分も使えたならと

 

だが これを果たして自分が使っていいか

 

これは自分ではなく、これの元々の持ち主の親友だった一夏

 

或いは彼が居候先としていたアストレアファミリアに渡すべきではないかと

 

そう考えが頭の中を巡っていたところで、一夏にこれを自分に託そうとした訳を聞き

 

そして

 

ラウル「…………わかりました。なら、俺はこれを、六月(先代)よりも使いこなせるようになります!」

 

バングルを右腕に填めながら、そう宣言したラウル

 

そんな様子に一夏は小さな笑みを浮かべる

 

一夏「ああ、やって見せろ。ああそれから、さっきアキがお前を探してたぞ。多分まだ中庭に居るはずだから、会って行け」

 

ラウル「あ、はい!」

 

そう言われたラウルは駆け足気味で、ホームの中にはへ向かっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウル「あっ」

 

アキ「あっ」

 

中庭の噴水がある場所にて、ふたりは顔を合わせた

 

噴水の淵にもたれていたアナキティを見つけたラウル

それと同時にたまたま向いた先にいたラウルを見つけたアナキティ

 

ラウル「…………」

 

アキ「…………」

 

それからふたりはどちらかが口にすることなく、そばにあるベンチに二人並んで座りだした

 

両者の間に 少しばかりの沈黙が場を覆うのだった

 

アキ「怪我…………もう大丈夫みたいね」

 

ラウル「!────まあ……アキの方もすっかり傷が癒えたみたいだな」

 

アキ「私はラウルほど傷は深くなかったから…………」

 

思えば戻ってからの三日間 怪我人だった為ふたりがこうしてまともに顔を合わせて話すのはしばらくぶりだった

こうしてふたりは これまで顔を合わせられなかった時間を取り戻すかのように話し出した

 

ラウル「…………」

 

三日ぶりに顔を合わせた同期の姿を改めて見た

ホーム内と言うこともあり、ダンジョンに潜る用の服装ではなく完全な私服

普段の彼女はしっかりとした真面目な性格であり、今の服装と重ねることで、実年齢以上に大人びて見える

 

ラウル「(あれ…………アキってこんなに大人だったっけ)」

 

出会ってからまだ5年は経っていないが、毎日顔を合わせていた同期の変化に今更ながら気が付くラウル

これまで必死な毎日を送り続けていた為、その変化に気づける余裕はなかった

 

それがこの遠征を終えたことで、それまで持てなかった心の余裕と開くことのできた視界が、こうして同期の成長した姿を認識できたのだ

 

なんというか今の彼女の姿は…………

 

アキ「ラウル」

 

ラウル「え、ああ!なっ、なに!?」

 

会話中、らしくない考えが頭の中で浮かんでいるとアナキティに突然名前を呼ばれつい動揺してしまう

こちらの考えを読まれてないか一瞬警戒していると

 

アキ「────話し方(・・・)、変えたのね」

 

ラウル「………ああ」

 

予想とは斜め上の言葉がアナキティから発せられたことで、落ち着きを取り戻しつつ返答する

 

ラウル「アキの昔の語尾の『二ャ』と似たような理由」

 

アキ「む、昔の私の黒歴史言わないで!」

 

ラウル「アキは恥ずかしいから変えたんだったっけ。俺は………それまでの情けなくて恥ずかしい自分から、強くなった未来の自分をイメージしてそれに近づくためにまずは話し方、今までみたいな気弱な新人みたいな話し方から卒業しようって思ったからだ」

 

アキ「…………そっか」

 

ラウル「そういえば聞いたよ…………ランクアップおめでとう。これでアキもレベル3の仲間入りか…………」

 

アキ「そう言うラウルだってランクアップしたんでしょ。ロキから聞いたわよ…………そ、それで、なにか発現は………」

 

言いづらそうにしつつアナキティはラウルにランクアップの際にスキルか魔法の発現はあったかを聞くと

 

ラウル「あー、駄目だった」

 

それを特に気にしてないような口調で答えたラウル

 

アナキティ「そ、そう…………なんだ」

 

アナキティはそれに対しどこか落ち込む姿を見せた

ラウルはいつも努力している

今回のダンジョンでのサバイバル中もバグ・ベアーとの死闘の際も、自分以上に頑張り成果を出してきた

にも拘らず、その努力や頑張りの証とも言えるランクアップでの結果はまたしてもノースキル、ノーマジック

 

なぜこれだけ頑張って来た男には目に見える報いが来ないにも拘らず、自分には報いが来たのかが分からなかった

いっそのこと自分の持つスキルを何らかの形で変えた上で譲渡してあげたい

 

そんな気持ちがアナキティの心の中で渦巻いていると

 

ラウル「大丈夫」

 

そんなアナキティの姿を見かねたラウルは落ち着かせるように、優しい口様でアキの頭に手を置くとまるで震える野良猫でも優しく慰めるかのように撫でながら言葉を続ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウル「俺さ、焦ってたんだ…………自分が強くなってないって思うことで、自信も持てずにいた…………でも、アキは俺にすごいって言ってくれた…………その言葉が救いになったんだ………だから今なら言える…………例え、魔法が使えなくても、スキルがなくても、亀の一歩でもアリの一歩でも、自信を持って言える………『俺は強くなっている』ってさ…だから大丈夫……今はまだ、俺の事を凡夫だとか大したことない奴とか言う冒険者や神々はいる…………だけど、そのうちオラリオ中の冒険者や神々が掌返すような男に俺はなるから…………だからアキ、見ていてくれないかな…………その時には、きっとアキも今以上の冒険者になってるだろうから…………一緒に強くなろう…………

 

空いた方の手でアキの手に優しく乗せながら言うラウルの言葉を聞き終えたアナキティ

 

その表情はどこか晴れやかで、それでいて目に涙を浮かばせながら嬉しそうな顔になっていた

 

アキ「ええ……約束…………一緒に強くなろうね」

 

ラウル「ああ、一緒に………これからも、俺の背中はアキに任せる」

 

アキ「うん…………私の背中も、ラウルに任せるわ」

 

互いに小指を絡ませ約束を誓い合う

 

ラウル「さて、そうと決まれば俺は書庫で勉強でもしてくるから……また後で」

 

そう言いながら立ち上がり書庫のある方へと歩き出そうとするラウルだったが

 

アキ「待ってラウル」

 

アナキティに呼び止められその場で止まる

 

ラウル「な、なにアキ」

 

アキ「………少しの間……目を瞑ってくれないかしら」

 

そう言われたので戸惑いつつも言われた通りに目を瞑る

 

ラウル「(な、なんなんだ…………アキは俺にどうして欲しいんだ?それともなにかしたのか?)」

 

心中で謎の緊張がラウルを襲う

 

そんなラウルの姿がおかしいのか

 

アキ「……フフッ」

 

アナキティは笑みを浮かべるとその瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウルの身体に頭や身体を軽くこすらせるようにくっ付きながら 尻尾をラウルの腰に巻きつかせ、その身体を堪能するかのように目を瞑るのだった

 

ラウル「!?(な、なんか柔らかい感触が…………それに腰に何かが巻き付いて…………そ、それになんか顔の近くからアキの息する音が…………え、これ…………アキが俺にくっついてない!?尻尾絡ませてない!?なんか近すぎないかこれ!?)」

 

目を瞑ったことでなおの事感じやすくなり今の自分の状況を予想しながら心臓をバクバクさせながらラウルは耐えていた

 

そして 時間にして約1分ほどの時間が流れた時だった

 

ようやく離れる気配を感じた時だった

 

アキ「ラウル」

 

アナキティはラウルの耳元に顔を近づけたかと思えば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────守ってくれてありがとうね すごくかっこよかったわ

 

 

ラウル「!」

 

その言葉に思わず目を開くとすぐ目の前にアナキティの顔があった

 

アキ「フフッ………」

 

後ろに手を組みながらアナキティは その場から去り

 

後に残ったラウルは先ほどまでの状態を思い返しながら、アナキティの顔を思い浮かべていた

 

あれだけ近い距離で彼女の顔を見たのは初めてだっただが、大人になりかけの彼女のあの笑みはラウルから見ても

 

ラウル「…………反則だろ///」

 

この日から ラウルは出会って数年にも満たない同期の猫人を意識するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方 ラウルと別れたアナキティはと言うと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナ「あああああああああああああああああああああああああああああああ///」

 

自身の部屋のベットに倒れると枕に顔を埋めながら恥ずかしそうに喚くのだった

 

アキ「あ、あんな///あんなことなんでしたの私は///」

 

普段の彼女を見て来た者が見れば驚くほどに彼女は喚いていた

 

なんであんなことを進んでやったのか自分でも分からなかった

ただ、ラウルと三日間会えずにいた期間中、何度もラウルの部屋があるであろう方角を見つめることが何度かあった

心配する気持ちはあった…………だがそれ以上に

ラウルに会いたかった 話したかった 触れ合いたかった 

そんな気持ちが溢れていた三日間

 

ようやく会えたことで ついこれまで離れ離れだった時間を取り戻す為にそばにいた

 

不思議だった

こんな気持ち これまで抱いたことはなかった

 

いや よくラウルと一緒にいると団員達から付き合ってるのかと冷やかされたりしたが、その時は特に受け止めることなく流してきた

 

でももし、今そんなことを言われたら

 

アキ「────ああ///」

 

想像するだけで顔から熱が上がっていくのが感じられる

 

自分らしくない

 

こんなに動揺してしまうのはらしくない

そんなことは分かっているはず

 

そう思いながら、これまでと今のラウルを思い浮かべた

 

いつも幸薄気味で、目に見える努力の成果が見られないことに落ち込むラウルの姿を何度も見て来た

そんな彼の姿を見ていれば 自分がそうなっているわけでもないのになぜか心が痛かった

 

ラウルが大したことない 二つ名を蔑称の様に陰口で言われるのを耳にするたびに、自分が言われたわけでもないのに腹が立った

 

そして

自分を肯定し、前を向いて歩き出した彼の姿を見た時

まるで自分自身のように、アナキティの心に嬉しさが溢れたのだ

 

自分がずっと見続けて来た彼が急速に成長していく姿が

強くなった自分だけでなく、アナキティもまた同じように強くなっているだろう未来を想像し共に行こうと手を差し出してきたことが

 

そして気が付けば、ラウルに身体をこすらせるように自分からくっ付いてしまった

今までの自分なら絶対にしないであろう行動だったが、彼に触れた時

なんだか満たされるような感覚を覚えた

落ち着く 安心する感情が溢れた

いや、ダンジョンでふたりだけになった際にくっついて眠ることがあったがあの時も同じように安心し、落ち着けていた

 

だが、今彼にくっついた時、それとは別に、ラウルに対して今まで感じたことの内ドキドキとした気持ちが流れた

 

苦しいはずなのにどこか心地よくて 壊れてしまいそうなほど脆く切ないはずなのに

とても大切な気持ち

 

アキ「…………ああ///これじゃあロキの言う通りじゃないの///」

 

机の上に置いてある自身の更新用紙に目を向けながら呟く

 

その更新用紙には レベル3にランクアップした際のステイタスやスキルが記入されており、アナキティが他人に知られたくないとされていたスキル猫恩返(キャットリターンズ)

その下に更に別のスキルが発現していた

 

スキルの名は

 

猫愛情(キャットラブ)

 

効果は自身が唯一と定めた対象が範囲内にいる際の戦闘時における全ステータス高補正化更にその対象との親密度や過ごしてきた時間が多ければ多いほど強化割合が上昇していく

 

これが発現した際にはロキに『やっぱラブリー猫やん!』と涙流しながら大声で笑われた

 

当然このスキルが発現した時自分でも驚きながらも頭に思い浮かんだその対象に顔を赤くしながら飛び出した

 

そして、自分の気持ちに整理着ける為、この思いの正体がなんなのかを確かめることも目的にラウルと顔を合わせてきた

 

結果

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキ「────もう、ラウルのこと────ただの同期として見れないじゃないの///」

 

この日 アナキティは 自身の心に芽生えた恋心を自覚するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「うわっ……かなり良い場面目撃できたなあぁ。こっそりついて行って正解だった」

 

アイズ「お、お兄ちゃん………さっきのふたりの様子……なんだかいつもと違ってて、なんでかドキドキしちゃった…………」

 

一夏「お、お前も興味持ち出したか?ちょっとついでに言ってやるかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【キャラクターズファイル】

 

ラウル・ノールド

 

本作で大きく改変された人物

原作のような自己評価の低さはありつつも、そんな弱く才能がなくても足掻きたい気持ちで自身を鍛え続け、これから先の未来にて、原作の自身とは見違えるほどの姿を見せる。

ダンジョンでの死闘を終えたのちに、アナキティの様に自身の口調を変える所からその意識改変を行い、例えスキルや魔法が発現しなかったとしても、絶対に強くなると断言ができるくらいに前を向けるようになった。

また、アナキティが行った行動や感謝の言葉を述べられた際の近い距離から見た彼女の笑みを見た時からただの同期としては見れなくなり、極めつけはこの後に一夏から『もし、あいつのやったことの意味が知りたいなら書庫にある動物の本の中から猫に関するページを読め』と言われ、その通りに読んだ結果、アナキティが自分にしたことの意味(猫が身体を人や場所にこすりつけたりするのはマーキング(自分の居場所の主張)を意味しており、尻尾を絡めるのは愛情表現)を理解してから更に大きく意識するようになり、その後、以前とは打って変わって共に過ごす時間が増えていくに反してアナキティからのアプローチに悶々とする日々が続いた結果

 

 

 

アナキティ・オータム

 

本作で大きく改変された人物

原作同様ラウルのことを気にしつつその身を案じており、ラウルを生かすために命を掛けようとしたが、自信を守る為、共に生きて帰る為に戦う道を選んだラウルに対し今まで抱いたことのない感情が芽生え、それがスキルに発現する形で露わとなる。

再会した際に、ラウルの発した言葉を聞き終えたことで嬉しさがこみ上げ、気が付けば猫のようなマーキングや愛情表現をしてしまいラウルの前では恥ずかしさを隠していたが自室に戻った際には恥ずかしさのあまり悶えたが、ラウルに向ける感情の正体を自覚し、これ以降、これまで以上にラウルといる時間が増え、気が付けば無意識に身体や尻尾をラウルにくっつけ絡ませるなどのアプローチをするようになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョンでの死闘を終えた約1年後 

 

オラリオで行われる聖夜祭 オラリオの街並みを一望できる高台にて

 

ラウルからの精一杯の告白の末 アナキティは涙を流しながら その想いを受け入れ

 

この日 周りから夫婦と茶化されてきた若き唯人(ヒューマン)猫人(キャットピープル)の男女は 雪が降り注ぐ夜空の下で結ばれたのだった 

 

 

 





ソードオラトリア16巻のラウ×アキは最高でした!

早く17巻を読みたい

このふたりの関係に何か進展があるのかどうか気になるわあぁぁぁ!!
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