世界を救う英雄を育てた英雄   作:スカイハーツ・D・キングダム

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今更ですが明けましておめでとうございます。

相変わらず投稿ペースが激遅気味ではありますが、どうか暖かく見ていただければ幸いです


第27話 強さを求めし者 二大派閥戦

 

──頭が徐々に冷静になっていく

 

バロールとの殺し合いを続ける事約数十分が経過した

ヘル・フィネガスにより理性を失い凶戦士と化していたフィンの理性は徐々に戻っていき、今の現状を理解できる程度には判断力を取り戻した

 

指揮する立場上、自分が指揮を放棄し前線で戦うことはあってはならないと考えていたフィンは、この魔法をこれまであまり使ってこなかった

しかし、度々一夏にリヴェリア、ガレスと共に凹される際に何度も使ってどうにか食らいつこうとしてきた

そんな中で一夏から『せっかく発動すれば発動前とは比べ物にならないくらいに強くなれるんだから理性を無くす程度で使わないのは勿体ないだろ。そんなに理性放棄に悩むならとにかく使い続けろ。そんでその魔法に慣れていけ。上手くいけば、理性を取り戻すことが出来るようになるかもしれないだろ』

なんてこともなさげに言われたが、よくよく考えれば魔法は使い続ける事で自身の魔力を増すことができる。ならば、魔法を使い続ければいずれは魔法による副次効果に対する耐性を得て、理性を取り戻すこともいつかはできるようになるのではないか

そう考え一夏の言う通りヘル・フィネガスを使う回数を増やしていき、遂には発動から数十分程で理性を取り戻すことができるようになった

 

そして理性を取り戻して周囲を見て理解した

今自分がバロールと戦っている最中に、自分達ロキファミリアと敵対関係にあるフレイヤ・ファミリアの面々と抗争中であることに

すぐにでも自分も仲間達の下へ加勢に行こうとしたが、そんなフィンをバロールは逃がさない

自身をここまで傷つけた小さき者を逃すことは この階層主が決して許すことはなかった

 

フィン「クッ!(まいったね。この深層まで来れるのは僕達かアストレアファミリアかフレイヤファミリアだって思っていたけど、よりにもよってこのタイミングでフレイヤファミリアか)」

 

ロキファミリア団長として、すぐにでも仲間達の下へ行きたいがバロールが逃がしてはくれない

フレイヤファミリアは、その実力規模共に自分達にも並ぶ最大派閥

だがそんな彼らを相手に、団長である自分抜きでは厳しいものとなる

どうするべきか、フィンはその優秀な頭脳で正解を導き出そうとした

 

一夏「立ち止まるな!」

 

そうして迷うフィンに一夏が声をかけた

 

一夏「お前、自分の所の団員達を信じられねえのか?あいつらは皆、お前が偉業を達成することを信じて、お前の邪魔をさせない為に必死こいて戦ってんだよ」

 

フィン「!」

 

一夏「もう一度言う。お前は、本当に信じられねえのか?」

 

フィン「…………」

 

今一度周囲で戦う仲間達を見た

皆、劣勢になりながらもどうにか喰らいついていた

 

────フィンを 我らが団長の邪魔をさせない為に

 

フィン「…………スゥー」

 

フィンをその場で目を瞑ると深呼吸をし気分を落ち着かせた

 

フィン「…………ああ、そうだね。確かにそうだ。皆、僕を信じて送り出したんだ。だが、僕は彼らの団長だ。ああやって戦っている中、僕が何もしないわけにはいかない。だから」

 

降り注ぐバロールの目から放たれた光線の雨

 

フィンはその場から跳躍し

 

フィン「こいつを倒す 部下も助ける。両方をこなさなきゃならないのが団長のつらい所だよ、さっさと片づけてやる

 

バロールの目へ目掛け一突きするために特攻するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏「やれやれ。やっと自分のするべきことに気が付いたか。正直バロール単独討伐は五分五分って思ってたが、これなら」

 

ダンジョンの壁面に背中を預けながらフィンの戦いを見届ける一夏

 

その周囲には幹部を除いたフレイヤファミリア団員達が地に伏している姿があった

皆、レベル2~4の面々ばかりでよその派閥なら団長になれていただろう

しかし、そこはフレイヤファミリア

この程度では平団員から二軍程度でしかなかった

 

そんな彼らを一夏はわずか一分足らずで殲滅した

他のロキファミリア面々の邪魔をさせない為に

 

ちなみに彼らをこうして殲滅したのはこれで本日9度目(・・・・・)

 

一夏「おーい。もうこいつら誰も起き上がらねえぞ。次だ次」

 

ヘイズ「ヒッ!」

 

一夏が団員達をボコすたびに、わざと見逃した治療師のヘイズに全体治癒をかけるよう呼びかけた

かつて一夏から受けたトラウマに怯え、アレから月日が経ち、レベル4のヒーラーとしてオラリオ二大治療師の一角にまで上り詰め、日々殺し合い同然の修練をする同ファミリア面々の治療を年中ぶっ続けでやり遂げた彼女だが、今なおその恐怖を忘れることはない

 

一夏「どうした?この程度でフレイヤ凶信者のてめぇらはおしまいか?ほらほら頑張れ頑張れ♪戦う事しか取り柄のない社会不適合者のお前らがこの程度で根を上げたら、その唯一の取り得も台無しだろうが」

 

そう煽るように周囲に呼びかける一夏

お遊び感覚でオラリオの精鋭とも呼べるフレイヤファミリア団員を蹂躙するその姿は正しく悪魔か死神か

 

一夏「………(さて、俺がこいつら抑えている間、他の面々はそうしてんのかねえ…………まあ、何とかすんだろ)」

 

そうこの場に居ないロキファミリア面々の安否を信用しながらも、一夏は一夏で自らの役目をこなすのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オッタル「…………一つ壁を越えたかガレス」

 

ガレス「ぬお?なんじゃ、まだランクアップも済ませておらんのに良くわかったのう」

 

フレイヤファミリア最強の男にして団長のオッタルは、腐れ縁にして自身と同じタイプであガレスとぶつかり合いながらも、その進化を肌で感じていた

 

オッタル「無論だ。レベルこそ俺に劣ってはいるが、その佇まいに気迫。俺と同じ領域に入りつつある。何をもってその壁を越えた?」

 

ガレス「なに、ちょいと馬鹿でかい骨を砕いてきたまでよ」

 

オッタル「…………そうか(骨?ウダイオスか?だが今更ウダイオスを倒した程度でレベル7に至る偉業になるのか?)」

 

ガレス「考え事をしとる場合か?ワシを前にその余裕、どこまで持つかのう!!」

 

愛用のバトルアックスを大きく振り下ろし接近するガレス

 

オッタル「…………これは、油断すれば狩られるか」

 

対するオッタルも自身の大剣を握りしめガレスの戦斧と衝突させた

 

その瞬間 両者の膂力を込めた武器を中心に衝撃波が発生し、ふたりの立つ場所にクレーターが形成させる程の力の押し合いが起きた

 

ガレス/オッタル「「ッ!!」」

 

同じタイプ 同じく各々の派閥を長年支えてきた両者は共に己の得意(馬鹿力)を押し付けるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイズ「ッ!」

 

ヘグニ「ッ!」

 

49階層に剣のぶつかり合いの音が響き渡る

両派閥でもトップの剣の腕を持つアイズとヘグニ 

 

互いにレベル6というこのオラリオでは数少ない領域に至る者同士

しかし、現状アイズはヘグニに押され気味でいた

それもそのはず、やはり長く戦闘をしてきた経験値に加え呪剣(カースウェポン)にしてヘグニの愛剣『ヴィクティム・アビス』の能力、体力と引き換えに斬撃範囲を拡張するというまたの名を『前衛殺し』により相手との距離感を見誤り、回避できなかったアイズの身体には切り傷が出来ていた

 

長命種にしてダークエルフのヘグニは、フレイヤに拾われる以前から戦場で多くを斬って来た『戦王』の異名で呼ばれるほどの戦場を渡り歩き、白兵戦においては同族を含めた(一夏を除く)都市最強の実力を有している魔法剣士

 

対するアイズは若年14歳にてレベル6に到達して見せた才女にして一夏の弟子であることもあり、同年代と比べても潜り抜けて来た過酷な戦場は数知れず、一夏の目利きによれば現状のオラリオにおいてはアイズが頭一つ抜けていると言わしめるほどである

 

しかし、いかに才能に恵まれたとしても

 

アイズ「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

ヘグニ「俺と同じレベルに立てたことで同格のつもりか小娘が。貴様はまだ、俺より下だ!」

 

一夏や六月、アルフィアの様な規格外な例外を除き、死線を潜り抜けて来た数の差が勝敗を大きく分けることがほとんどであり、日ごろから同派閥内で殺し合い同然の日々を送り、対人戦に優れたヘグニが有利に進めることは当然だった

 

加え、普段のヘグニは弱気な性格をしているが、人格改変魔法『ダインスレイヴ』により、無慈悲な戦王と化していた

 

ヘグニ「貴様のその剣技、戦いの中で見せた潜在能力。目を見張るものがある。流石はあの男の弟子と言った所か。だがまだ青臭い。その程度では俺には届かん」

 

アイズ「…………」

 

呼吸を整え、自身の愛剣デスペレートを握りなおすアイズ

 

アイズ「………これが、フレイヤファミリア一の剣士」

 

そうして何かを見定めたかの様な顔を浮かべたかと思えば

空いている手を腰に伸ばすと、もう一本の武器にしてアイズの愛刀飛天を抜き

 

アイズ「……!」

 

二本の武器をを持ちながらヘグニに突っ込んだ

 

それに慌てることなくヘグニはアイズと剣の鍔迫り合いをして見せた

 

純粋なステイタスや剣技ではヘグニに劣るアイズは、ヘグニを手数で攻め続ける事で勝ち筋となる抜け穴を見つけようとした

 

ヘグニ「ッッ調子にのるな!」

 

ヘグニは怒りながらも剣を振るう手を止めず

 

ヘグニ「【永久に滅ぼせ、魔の剣威をもって】」

 

アイズ「!」

 

超短文詠唱を口ずさむと

 

ヘグニ「『バーン・ダイン』!」

 

容赦なく至近距離から放たれた魔法は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女のいた場所諸共根こそぎ吹き飛ばすのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘディン「リヴェリア様。降伏してください」

 

アイズとヘグニの戦う戦場の近くでは、両ファミリアの参謀同士がぶつかり合っていた

 

都市最強の魔導士

 

彼女の魔法の腕やその出力は都市最強に相応しく、ある条件下でしか彼女を上回る火力を出せない一夏を抑えて最強と呼ばれている

 

しかし、相対するヘディンも負けていなかった

フィンと並ぶ頭脳の持ち主にしてかつては『理王』と呼ばれるほどの軍を率いて戦場を掌握能力に長けた、フレイヤファミリアにおいては団長副団長を差し置いて本当の意味での頭を張る存在

加え、彼はヘグニと並ぶ魔法剣士であり、ヘグニが白兵戦を主体とし剣を用いて戦うのに対しヘディンは魔法を主体に中遠距離戦に優れた魔法剣士である

しかも純粋な近距離戦はヘグニには及ばないながらもそれでもレベル6に相応しい実力を持っているため、攻撃、防御、支援の魔法特化しているリヴェリアだが、白兵戦、遠距離での撃ち合いにもなれば当然

 

リヴェリア「──分かっていたが、やはりこのような形式では、分が悪いな」

 

近距離戦で大きく劣るリヴェリアが不利であるのは目に見える結果だった

 

白兵戦に加え、ヘディンは超短文詠唱で発動する長射程広範囲の魔法と一点集中の魔法を持っているため、早撃ちでもリヴェリアに勝ち越してしまう

 

ヘディン「ええ、ですのでどうか、これ以上私に貴女を傷つけさせないでください。高貴な方」

 

脳筋蛮族揃いであるフレイヤファミリアでも数少ない理性的でありエルフであるヘディンは、エルフ達から崇拝される存在である王族の血を引くリヴェリアはフレイヤに次ぐ高位の存在と見なし、普段の彼にしては珍しく手心を加えようとしていた

 

リヴェリア「…………降伏だと?ふざけたことを言う」

 

リヴェリアは魔法で焼かれた服の一部を軽く手でヘディンを見る

 

リヴェリア「私の友が、団長のあいつが今己の壁を超えようとしているというのに、私が降伏など笑い話にもならん」

 

それは、派閥の副団長としてのプライドか

それとも友としてか

 

あるいは両方か

かの王族エルフのお転婆娘と呼ばれていた彼女は 上に立つ者としての威風堂々たる佇まいのまま

 

諦める姿勢を一切見せず対峙するのだった

 

ヘディン「……そうですか……ですが、貴女ならそう言うと思いました」

 

そう言うとヘディンはリヴェリアに右手を向け

 

ヘディン「【永争せよ、不滅の雷兵】」

 

超短文詠唱を行うと、ヘディンを中心に雷の矢が周囲に形成されその数およそ数百を超えた辺りで

 

ヘディン「『カウルス・ヒルド』!」

 

ヘディンのその言葉と共に無数の雷の矢がリヴェリアに向け射出された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドヴァリン「お前たちは確かによくやる」

 

ベーリング「敵ながらその連携は目を見張る」

 

グレール「だが、ふたり二組(ダブルタッグ)と四人一組での連携」

 

アルフリッグ「果たして同じだと思っていたのか?」

 

ガリバー兄弟「「「「所詮は我らの無限の連携の劣化でしかないな」」」」

 

ティオネ「だああああ!うるせえ!!そのムカつく喋りを今すぐ黙りやがれ」

 

ティオナ「ティオネ口調が戻ってるよ」

 

アキ「これが無限の連携───今まで見て来たことはあっても実際に肌に感じたのはこれが初めて」

 

ラウル「…………」

 

両派閥でも連携においては派閥トップの面々はこぞって集団戦に持ち込んでいた

 

小人族ではフィンに次ぐ実力を持つレベル5の四ツ子 ガリバー兄弟による『無限の連携』は、揃えば如何なる第一級も打ち破れると言われる見事な連携を売りにしツワモノ揃いのフレイヤファミリアに幹部として居座っている

 

対して同じレベル5にしてアマゾネスの双子 ティオネとティオナはスキルの影響で傷ついてからが本番であるがやはり姉妹と言うこともありロキファミリア内では高い連携能力を持っている

そんな彼女達と共に戦うのは 同じくロキファミリア内に置いては彼女達と同等以上の連携を見せる『ロキファミリアの夫婦剣』 ラウルとアナキティのコンビだった

 

純粋なステイタスでは種族差を考えるとアマゾネス姉妹が勝っているが、その足りない分を連携で補うガリバー兄弟

 

ドヴァリン「しかし、解せないな」

 

ベーリング「ああ、解せないな」

 

グレール「そこのアマゾネスはともかくお前たちの様な幹部でもない格下が」

 

アルフリッグ「僕達と同じステージに立つなんて」

 

ガリバー兄弟「「「「片腹痛いな。特に超凡夫。お前が一番場違いすぎる」」」」

 

自分達と同格でもないラウルとアナキティ、特にスキル魔法を持たないラウルを下に見る発言をするガリバー兄弟

 

その発言に仲間を馬鹿にされたことで怒り出すティオネとティオナ

 

アキ「取り消しなさい!今の言葉!!」

 

特に自身の愛する男を馬鹿にされたアナキティは短剣に力を込めながら向かおうとした

 

ラウル「アキ」

 

が、ここでそれまで黙っていたラウルが呼び止めた

 

アキ「ラウ…ル」

 

ラウル「落ち着け。あんなくだらない挑発にのるな」

 

そう言うと怒り心頭だったアナキティの頭に軽く手を乗せ落ち着かせようと撫でた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウル「大体一人一人強くないからって連携して、それがなきゃ第一級でも対して強くない、特別な強みもない四人の言葉にマジになるなんてらしくない

 

ガリバー兄弟「「「「────は?」」」」

 

と思いきゃまさかの挑発返し

 

が、これに続き

 

ティオネ「…………は、確かに言えてるわ。団長みたいに単体で強いわけじゃないし団長みたいに賢いわけじゃない」

 

ティオナ「特に目立った魔法にスキルがあるなんて話聞かないし」

 

アキ「…………そうね。無限の連携なんて売りにしてるけど」

 

ラウル「…………要するにこれが意味する答えは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティオネ/ティオナ「「兄弟揃わなきゃ格上に勝てない」」

 

ラウル/アキ「「なんだったら格下にも負けかねない」」

 

四人一組の挑発にふたり二組の挑発を被せて来た

 

自分達よりも一回り下の冒険者の言葉は それまで誇って来た自分達の強みを、ひいては自分達を侮辱するものだった

 

ガリバー兄弟「「「「舐めるな餓鬼共が!!」」」」

 

怒り狂うガリバー兄弟は各々の武器を握りしめながら手始め、手始めに自分達を挑発したラウルに向け集団リンチしようと襲い掛かる

 

ラウル「ッ」

 

そうして襲い掛かるガリバー兄弟を前にラウルは腰を屈めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレン「どこ見てやがるクソ犬!!」

 

ベート「!」

 

49階層全体を広いフィールドとして利用しながら、ベートとアレン

両ファミリア最速同士がぶつかり合う

 

だが

 

アレン「遅ぇんだよ!」

 

同じレベルでありながらも、両者の間にあるステイタスは、先にレベル6に上がっていたアレンが上回っていた

その上ベート以上に冒険者としてのキャリアに加え、ホームでは常に殺し合い同然の日々を送って来た

何度も何度も団長であるオッタルに戦い挑み、上に立とうとし、気が付けばフレイヤファミリア内で二番目の席である副団長になっていた

 

最も当人の副団長としての人を率いる資質は団長のオッタル共々なく、参謀のヘディンに大きく劣っている

 

そんなアレンは持ち前の長槍でベートに迫りくるが、それをどうにか回避する

 

アレン「俺の道を塞いでデケェ口開いてたがそんなもんか!?」

 

知略ではヘディン 剣技ではヘグニ 連携ではガリバー兄弟 個としての力ではオッタルに劣る彼が唯一優れる物

それが同レベル帯でも見切りきれるのが容易ではないその足から来る速度だった

 

加えてアレンは長年ベートと犬猿の仲であることがオラリオでも知れ渡っているほどの相性の悪さがあり、アレン自身同ファミリアのオッタルやその他幹部、自分に屈辱的なまでの敗北を味合わせたヘラファミリア(一夏 六月)を除けば殺ってしまいたい相手だと認識している

 

互いに浴びせて来た攻撃の数々

その総数はやはりアレンの速攻がベートを多く傷つけた

 

ベート「…………ぺっ」

 

唾と共に口内の血を吐き捨てるベート

 

ベート「チッ……」

 

アレン「俺と同レベルになれた程度で対等になったつもりかクソ犬?テメェはずっと、俺よりも下だ」

 

疲労が目立つベートに対し、アレンは余裕そうに上下関係を見せて来たが

 

ベート「………ああ。流石は、兄貴を除いたら都市最速の冒険者様だな

 

アレン「…………アアッ?

 

その言葉は アレンを怒らせるには十分すぎる物だった

アレンにとって自身の速さは自慢であり力や知略もない自分が唯一誇れるものだった

 

ベート「事実だろうが────テメェスキルや魔法使っておいて素の兄貴以下だろうが。ああ、それかこう言ったらいいか?都市で二番目の足ってよ」

 

アレン「────テメェ、そんなに死にてぇらしいな。望み通りにしてやる!!」

 

だからこそ、そんな自分の取り得にして奪われた称号を突っつく真似をしたベートを確実に屠ろうと周囲の岩場の間を高速移動で駆け巡り、ベートの目で捉えきれない速度まであげ

 

アレン「あのクソヒューマンの前に、テメェが死ね!!」

 

二つ名の女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)の通り、女神の進む道を阻む全てをひき殺さんとばかりに、加速に加速を重ねたアレンはベートに向け必殺の一撃を込めた槍を向け特攻した

 

ベート「……ようやく今のままで本気になったか(・・・・・・・・・・・・)。なら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────俺も出すか

 

そう言いながらベートは両腕に巻いた包帯を解き

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