世界を救う英雄を育てた英雄   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第30話 ロキファミリアの遠征

 

 

ダンジョン49階層ではロキファミリアが数多のモンスターを前に乱戦が繰り広げられていた

 

レフィーヤ「きゃ!」

 

ロキファミリア二軍にしてロキファミリアに入団して日が浅いながらもリヴェリアから後継者と見なされた若きエルフ、レフィーヤ・ウィリディスはモンスター達を屠る為に詠唱を唱えていたが、迫りくるモンスター達に気後れしてしまい、その一瞬の隙間を突かれモンスターに吹き飛ばされてしまう。

 

そんな彼女をモンスターが逃すわけもなく、四方から襲い掛かる

 

レフィーヤ「あ」

 

迫りくる死に一瞬脳が真っ白となり、そのまま棒立ち

 

思わず目を瞑り自身に迫る痛みと衝撃に備えた瞬間

 

周囲のモンスターが微塵切りとなって消滅する

 

レフィーヤ「!?」

 

スタっと何かがレフィーヤの前に降りて来た

 

否、その何かが誰なのか分かった

 

自身がファミリアに入る前、自分を救ってくれた恩人にして、レフィーヤにとっては英雄の様な情景を抱く尊敬するファミリア随一の剣士

 

アイズ「大丈夫?」

 

そう言いながら振り向く彼女────アイズ・ヴァレンシュタインはレフィーヤにそう問いかけた

 

そんな彼女に畳みかける様に多くのモンスターが襲い掛かるが

 

ベート「オラァ!」

 

ロキファミリアの最速が

 

ティオネ/ティオナ「「おりぁあああああああ!!」」

 

ロキファミリア二大連携の双子アマゾネス姉妹が

 

アキ「ラウル!」

 

ラウル「わかってる!!」

 

ロキファミリア二大連携の『ロキファミリアの夫婦剣』が

 

瞬時にモンスターの群れを殲滅し

 

リヴェリア「『レア・ラーヴァティン』!」

 

ロキファミリアが誇る魔導士の魔法が後方から迫る群れを死滅させるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベート「テメェ、さっきのはなんだ?」

 

ダンジョン50階層

 

深層でも少ない中間拠点としても活用できる数少ない階層では、ロキファミリアが遠征中の野営場として利用していた

 

テントや夕食の用意をしていた面々の中にいたレフィーヤにベートが厳しい表情で呼び止めていた

 

ベート「俺が何に対して切れてるか、分かってんのか?」

 

レフィーヤ「は、はい!み、皆さんの足を引っ張ってしまい、幹部の方々の手を煩わせてしまい」

 

ベート「ちげぇ」

 

レフィーヤ「………へ?」

 

ベートに詰められ怯えるレフィーヤだったが、レフィーヤの返答を否定したベートについ言葉を止めた

 

ベート「テメェさっきの乱戦、なんで詠唱止めやがった」

 

レフィーヤ「そ、それは……」

 

ベート「テメェみてぇな魔法以外で身を守る術がねえ奴が詠唱を止めることか分かってんのか?死を意味してんだよ。だが、テメェはビビッて詠唱を止めちまいやがった。これがリヴェリア()なら例えモンスターに身体を食われようが詠唱を止めねえ。テメェら魔導士の役目は敵を前に詠唱口ずさんで最後まで唱え切って放って敵の喉元を食い破ることだろうが!」

 

ベートがキレていたのは先ほどまでの醜態についてだが、足を引っ張った事よりも自身の役目を放棄したことであった

 

ティオナ「ちょっとちょっとベート!その辺にしなって」

 

ティオネ「そうよ。アンタ忘れてるかもしれないけど、レフィーヤはまだレベル3で経験も浅いのよ。まだ私達みたく深層50階層付近にまで来た事がないくらいの」

 

ベート「テメエらこそ忘れてないか?本来ならこいつはこの遠征に組み込まれるはずがなかった。だが婆がこいつに経験詰ませる目的でメンバー入りさせたが、それ以前にこいつは冒険者やる上で致命的に欠けている」

 

間に入って来たヒリュテ姉妹の言葉を受けてもなお口を動かしレフィーヤの欠点を述べた

 

ベート「いくら婆から後継者に指名されるだけの才能があろうがビビって足手まといになった上テメェの役目を果たすことを止めちまった。足を引っ張るのはこの際良い、あの程度のモンスターが何百体こようが叩きのめせるからなぁ。だが、敵を前にビビッてぶっ潰すどころか身を守ることも、考えることも放棄してやがる。この世界じゃ、そういう奴から真っ先に死んで行く。────テメェにはまだ早ぇな」

 

それだけ言えばベートは去り、その場にはティオネとティオナ、レフィーヤが残る

 

ティオナ「ううううっ、やっぱベートって新人に当たりが強いなあ」

 

ティオネ「でもベートの言うことも一理あるでしょ?」

 

ティオナ「分かってるけどさあ、アタシ達はまあ育ちが育ちだから命のやり取りとかについては心構えがあるけどレフィーヤは元々そういうことが無かったから仕方がない部分もあると思うんだけど」

 

レフィーヤ「はい…………」

 

ティオナ「でもベートが意地悪であんな厳しいこと言った訳じゃないのは分かってあげてね」

 

レフィーヤ「え?」

 

ティオナ「アタシもティオネも入団したての頃はよくベートに怒られてたなあ」

 

ティオネ「でもあの頃はああやって怒るベートが煩わしくて怒ってたわ」

 

アイズ「────あの人の檄は優しさから来るものだから。レフィーヤみたいにダンジョンでミスした若手には今みたいに怒って発破をかけるのと同じことが起こさないためのふたつの意味合いがあるから」

 

レフィーヤ「そう……なんですか?」

 

ベート「おい、余計なこと言うんじゃねえよ。俺はただテメェらが甘ぇからその分俺が厳しくしてるだけだ。テメエらも幹部やってんだったらたまには俺の代わりに檄でも飛ばせ」

 

アイズ達の物言いに獣人特有の優れた聴覚で聞いていたベートがテントを組み立てながら背中越しに反論した

 

アイズ「ねえレフィーヤ。怖いのが嫌ならこう考えて────怖くても動かなきゃ変わらない────怖くても考えなきゃ変わらない────怖くても止まったままじゃ怖いままだって…………」

 

レフィーヤ「!」

 

アイズ「だから、まずは怖くても詠唱を止めないことから初めて。途中で足を引っ張っても私達がフォローするから、私達を信じて、失敗を恐れず口を止めないで────私達が死んでもレフィーヤに近づけさせないから

 

レフィーヤ「アイズさん────」

 

アイズの言葉を聞き終えたレフィーヤは持ち直すとせめて今晩の料理で役に立とうと奮闘し、そんなレフィーヤを見てティオネとティオナが料理大会を開き

 

最初に調理を始めたティオナが作ったのは肉や野菜を大雑把に切り大雑把に調味料をぶちまけて焼いた大雑把な男飯風肉野菜炒め

 

続いては日ごろ愛するフィンの為に良き妻になろうと花嫁修業代わりに料理の練習をしていたティオネだったが、元々の性格や力加減の下手さによりまともに調理できずストレスが溜まり最後には怒りながら食材を潰していったことで調理を放棄

なおテントを組み終え調理を眺めていたベートに『ダンジョンで食材無駄にすんじゃねえ!!』と怒りのかかと落としを叩き込まれ更には『大雑把でも食材無駄にせず飯作り出来てた分あいつの方がマシだな』と、自分よりできないだろうなあと思っていた妹に負けた発言されふたつの意味で撃沈するのだった

 

そして戦いでは役に立てずにいたので今度こそ役に立とうと気合を入れ料理を作ったところ他二人とは比べ物にならない出来のクリームシチューを完成させたのだが、肝心な所でコケて中身ぶちまける珍事件を起こしシクシクと泣き崩れる始末

 

そんなレフィーヤにアイズは

 

アイズ「任せて」

 

そう言うとまな板の上に鶏肉を乗せ

 

アイズ「ベートさん。調理手伝ってください」

 

ベート「ああ?んな手の込んだもん作れねえぞ?」

 

アイズ「野菜の皮を切ってまとめるだけでいいです────ラウルにソーセージないか聞いてこないと」

 

そうして野菜を切るベートの横で皮を切った野菜に鶏肉ソーセージと次々に切り野菜の皮で出汁を作って具材を鍋に入れ、塩と調味料を入れて味を調えながら煮込み続け

 

アイズ「完成。『鶏肉と野菜たっぷりポトフ』」

 

見事な出来栄えのポトフを完成させその場全員に配り口にしていく

 

レフィーヤ「お、美味しいですよこれ!!」

 

ティオナ「うん!野菜がホクホクで鶏肉がすごく柔らかいよ!」

 

ティオネ「うっううう。強い上に美味しい料理も作れるって、反則でしょ(涙)」

 

ベート「さっき切った野菜の皮で出汁の味が染みてるな」

 

アイズ「───うん。上手くできてる」

 

一通り食事を終えるとポトフの入った鍋を運ぶ

 

レフィーヤ「アイズさんって、あんなに料理できるんですね」

 

アイズ「……昔お兄ちゃんから料理教えてもらったから」

 

レフィーヤ「え、お、お兄さんって、一夏さんのことですよね?あ、あの人って料理が出来たんですか!?」

 

ティオナ「出来るも何も、レフィーヤも食べたことがあるんだから知ってるはずでしょ?」

 

ティオネ「まあでも食べたことはあってもで料理作ってるあの人見たことがないなら知らないのも無理ないわね」

 

レフィーヤ「し、知りませんでした」

 

そうして他の団員達にも食事を運び終え、消灯を迎えるまでその日の50階層は賑やかのままだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

51階層に存在するカドモスの泉から採取できる泉水を取る為にアイズ、ティオネ、ティオナ、レフィーヤ。フィン、ガレス、ベート、ラウルのメンバーが二班に別れ採取に向かう

 

階層主を除き、現在確認されているモンスター中最強こそがカドモス

そのカドモスが守る泉に向かい採取することができたアイズ達であったが

 

カドモスが何者かによって倒されていた

 

この時点、否カドモスの泉に向かう道中一切の魔物の気配がなく一度も戦闘がなかった時点で違和感を覚えていた

 

階層主を除き最強であるカドモスを倒せる派閥、更にはこの深さの階層に来れるファミリアとなれば限られる

しかし、アイズは人が倒したとは思わなかった

なぜなら、カドモスのドロップアイテムがそのままになっていたのだから

 

カドモスレベルのドロップアイテムともなれば相当高価なのだからまず拾わず放置するなどまずありえない

 

ともなれば

 

アイズ「多分モンスター………でもカドモスを倒せるくらいのモンスターがこの階層に?」

 

嫌な予感がしたアイズはすぐ拠点に戻るよう言い全員が急ぎ足で来た道を進んだその時だった

 

芋虫型の謎のモンスターに終われるフィン達と合流した

 

曰く泉の水を採取していた所襲撃され攻撃をしたが、吹き出した酸性の体液によりフィンを庇ったラウルの片腕に直撃し負傷した

 

更に畳みかける様に生まれ落ちるモンスター達に囲まれた

 

瞬時に指示を出すフィンに続くロキファミリア面々

 

ベート「おい爺!馬鹿ゾネス共!」

 

ベートが大岩に蹴りを叩きこみサイズを小さくさせれば

 

ティオナ「────そっか!」

 

その意図を理解したティオナが岩を持ち上げ芋虫型モンスターに投げつければモンスター達が体液を爆散させ散り

それに続きティオネとガレスも同じように岩を投擲し、フィンは不壊属性(デュランダル)が刻まれたアイズの愛剣デスペラードをアイズから借りて自らも芋虫型モンスターを仕留めていき、ラウルは無事な方の腕で剣を握りシン・陰流の技を使い一回の使用で剣を解かされながらも敵を仕留め新たにバングルから予備の剣を取り出し再び挑む

 

ティオナ「ラウル!腕怪我してるのに無理しないでよ!」

 

ラウル「団長たちが戦ってる中、俺が戦わないわけにはいかないだろ。それにまだ腕が一本残ってる、問題ない!」

 

ティオナ「問題あるでしょ!」

 

ティオネ「これはまた無茶したってアキに怒られるでしょうね」

 

ガレス「無駄口叩いてないで戦えお前たち!」

 

そんな彼女たちの周りを魔法を展開し風の膜に覆われたアイズが体液を浴びることなく飛天の風で切り刻んでいき

 

レフィーヤ「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ。帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢。 雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】」

 

彼女達に守られながら詠唱し続けたレフィーヤが詠唱を完了させ

 

レフィーヤ「『ヒュゼレイド・ファラーリカ』!」

 

広範囲魔法による火力で百を超える敵を殲滅させた

 

ティオナ「やったよレフィーヤ!」

 

レフィーヤ「あ、ありったけをつぎこんだのでその………」

 

敵を倒しきったレフィーヤを称賛するティオナに照れながらも答えたレフィーヤ

 

ベート「おい」

 

そこでスッとふたりに近づいたベート

 

レフィーヤ「は、はい」

 

緊張しながらも顔を向け

 

ベート「…………今のを忘れるな。テメェの魔法は俺達にだって通用する。俺達の足手まといになるのも戦力になるのもテメェ次第。フィンみてぇに言うなら『勇気を示せ』って奴だ」

 

レフィーヤ「────はい!」

 

それだけを言えばベートはフィンの方へ歩いて行った

 

ティオナ「ね?ベートが意地悪であんなこと言ったんじゃないってわかったでしょ?」

 

レフィーヤ「はい。ベートさん、ああやって周りを鼓舞してたってことが分かりました」

 

理解と安心にレフィーヤはその場で膝を曲げ安堵した

 

ベート「おい、あのモンスターなんざ見た事ねえが、婆達がいるキャンプ場に戻るべきじゃねえか」

 

フィン「…………そうだね。嫌な予感がする」

 

そうして一行がリヴェリアを筆頭にキャンプ場に待機している面々の下へ戻れば、先ほどと同じモンスターの群れに加え、階層主級の巨体の人と虫の要素を合わせた外見の未確認モンスターが出現していた

恐らくは同系列だろうが倒して破裂させれば芋虫とは比べ物にならない量の体液が50階層中に散らばり被害は尋常ではないだろう

 

そこでフィンは指示を出す

周りの芋虫型は自分達が討伐し、残る大型モンスターは

 

フィン「アイズ、あのモンスターを仕留めろ」

 

アイズ「わかった」

 

触れれば解ける溶解液を出すモンスターを最も効果的かつ相性よく仕留められるのはこの中ではアイズだろうと判断し、その指示に従うアイズもまた用意をした

 

風魔法を唱え風を纏いながら飛天を抜きモンスターに向け振り下ろせば嵐がモンスターを包み込みその中に捕らわれ、そこへ風を纏ったアイズが飛び込み竜巻の中を高速移動で切り刻んでいき、とどめの一撃

 

アイズ「『リル・ラファーガ』」

 

全身に纏っていた風をデスペレートの剣先に一点集中させ放つ突きの一撃は、容易くモンスターを貫き粉々にした

 

無事モンスターの殲滅を終え、死人を出すことなく地上へ向け帰還するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが道中

 

中層に出没するモンスター、ミノタウロスの群れを逃がす失態を犯し、上層へ向け逃げるミノタウロスを追いかけたアイズは目撃した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白き少年の冒険を

 

 





【設定資料】

こちらのアイズは原作と違って料理(特に甘いもの)を作るのが人並みに出来ます。
これは幼い頃時々アイズに甘い菓子を作ってあげたことで料理に興味を持ち出し、簡単な奴から教えていき(強くなること以外に興味を向ける様子に感心して)徐々にレパートリーを増やし今ではロキファミリアでも上位に数え切れるくらいに料理作りが出来るようになりました(なお母代わりのリヴェリアよりも料理が出来るのでリヴェリアはうれしく思う反面自分の半世紀も生きていない子供が自分よりも女子力あげて行く姿に複雑な心境を抱く)。

団員達の寝床は基本それぞれ男女に別れ一人から複数人用のテントに別れて眠りますが、約一組の男女は同じテントで一夜を良く明かします(ほぼ恋人の猫人が夜中にテントに入り込む)ので周りは空気読んで大体100メートルくらい距離置いてテントを張るのでいつも周りが空いています。
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