世界を救う英雄を育てた英雄 作:スカイハーツ・D・キングダム
補足というかこちらのベルの設定としては、幼少期に一夏に鍛えられたことで並大抵のことじゃ対したことがないと思っており、痛みや恐怖心に対しても強い耐性が出来ているため初心者冒険者にありがちなマイナス要素がほぼ存在しておらず、自分の祖父母が神であると知ってからは神に対してのスタンスや扱い(原作ベルは神とは敬い目上として扱う物だったが、祖父母が神であると知った今作のベルは神は結構下界の人間に近く割と身近な存在だと思っているため、割と気楽に接しながらも最低限目上として扱うようにしていますが、後々とある神に対して怒りと殺意を向ける事となります)が大きく変わっています。
また本作のベルはヘスティアを『神様』ではなくヘスティア様と呼びます。
初めて会った日
突然自分の眷属入りを願い出たベルに驚きながらも眷属にし、探索系零細派閥のヘスティアファミリアが誕生した
その日のうちにヘスティアはベルになぜ冒険者になったのか、何がしたいのかを問われ彼は
ベル「僕にとっての英雄。あの人を救える英雄になる為です。後は、僕のお爺ちゃんが昔言っていた出会いって奴に巡り合いたくてここに来ました」
真っ直ぐな目で答えた
ヘスティア「英雄……それに出会いねえ」
ベル「はい。昔、僕はある人に命を救われました。昔から英雄譚に出て来た英雄たちに憧れていたんですが、あの日僕を救ってくれたあの人は間違いなく僕にとっての英雄そのものでした。ですが、あの人にはあの人を救ってくれる誰かが居なかった。だからこそ、僕がなりたいんです。僕を救ってくれたあの人にとっての英雄に!」
ヘスティア「…………そっか。まっすぐな夢だね」
初めてベルを見た最初の印象はまるで兎の様な白い少年だった
今のベルに対する印象は、まっすぐで強い想いを抱き、その先へ突き進もうとする少年へと変わった
ヘスティア「それで出会いって、お相手は女の子かい?マセてるねえ」
ベル「確かにお爺ちゃんが言ってましたね。付け足すと『男たるものハーレムを目指さんか!』とも言われました」
ヘスティア「君教えを受ける相手間違ってないかい!?」
ベル「あ、ご心配なく。その後すぐに僕のお婆ちゃんに折檻されて兄さんから訂正と補足交じりの説明を受けて今では考えを改めてます…………今にして思えば幼い子供になんて知識教えてきたんだろ……」
ヘスティア「な、なんかそのベル君のお爺ちゃんとお祖母ちゃんって僕の知ってる知神みたいだね」
どこか呆れた様子をしながら呟いたヘスティアだったのだが
ベル「まあみたいっていう、本神そのものだと思いますが」
ヘスティア「え?」
そうなんてことない様に言うベルだったが、ヘスティアはベルの言葉に一瞬思考が止まり
ヘスティア「え、いやいやいや、ちっ、ちょっと待って!それじゃあベル君の家族のふたりって!!」
ベル「…………今貴方が想像している相手だと思いますよ。ああそう言えばヘスティア様ってあのふたりの姉に当たるんですよね────ヘスティア大叔母さんって呼んでもいいですか?」
ヘスティア「その呼び方は止めてくれないかい!?────いやでもそうだったんだ…………君ってゼウスとヘラの孫なんだね」
ベル「死んだ両親がそれぞれの派閥だったらしいんですよね。────そして、この教会は、生前母が何度も訪れていた場所でもあります」
ヘスティア「!」
ベル「フフッ、母の思い出の眠る地に来てみればヘスティア様、貴方と出会った。僕が運命の出会いを感じたのはこれで二度目ですよ。こういう出会いを僕は求めてました」
ヘスティア「────ベル君」
ベル「僕は夢を叶えたい。だから強くなりたい。だから、ここから始めましょう。この、古くて寂れたこの廃教会から。僕と貴方から始まる 【
ベルが手を差し出しながらも先ほど以上に強い眼差しをヘスティアへ向け
ヘスティア「────ふふっ、ソレどっちかって言えばボクのセリフだと思うんだけどなあ…………でも、うん。気に入ったよベル君。ならボクも主神として、眷属の君を精一杯手を貸すよ!君の夢が叶えられるように」
ベル「はい!これからよろしくお願いします────ヘスティア様」
ヘスティア「うん。こっちこそよろしく────ベル君」
こうして、この寂れた廃教会から ひとつの【
オラリオに足を踏み入れ
冒険者登録を済ませ、担当アドバイザーの言う通り上層でモンスターの討伐を行い日々の生活を稼ぎながら自身も鍛錬を欠かさず実力を磨こうとするベル
反対にヘスティアは昼間ジャガ丸くんの店でアルバイトをし日銭を稼ぎ、夜になる前には帰って来たベルを出迎えていた
素朴で質素な生活を送る両者ではあるが、ベルの方は内心不満を募らせていた
一夏に鍛え上げられたベルは恩恵を刻む前であれば恩恵無しの武装した兵士百人と戦り合っても余裕で勝ち抜けるくらい強いが、恩恵を刻んでからは更に拍車が進み、他の駆け出しやレベル1冒険者と比べても頭が二つ三つほどずば抜けていた
その為上層のモンスター相手ではまだまだ物足りなさを感じつつも担当アドバイザーであるハーフエルフのエイナ・チュールの『冒険者は冒険してはいけない』という冒険者に死んでほしくないが為に出たアドバイスには『でも冒険しなきゃ強くなれません』と反発したが、エイナに気を利かせて最低限の言いつけ(駆け出しは上層1~3階層)を守るのだった
また、恩恵を刻んだ際(背中に刻む為脱がせたら見た目と年齢に反し不釣り合いなほど筋肉質な身体つきと傷跡が残っていてギャップの差に慄く)、ヘスティアが更新用紙に刻まれたベルのステイタスを見て驚いていた
なにせステイタスは初期値のままではあるが
スキルと魔法欄にはそれぞれ発現の証の文字が刻まれていたのだった
《魔法》
【ライトニング】
・速攻魔法
《スキル》
【
・早熟する
・高みを目指し、追い抜き超えようとする限り効果永続
・英雄と定めた者への懸想の丈により効果向上
通常、スキルや魔法も発現するのは恩恵を刻んで時間が経ったとき、或いはレベルアップや劇的な変化や体験を通して発現することが大半であり、初めから何かしら発現するのはごく少数
だがベルはスキルと魔法を発現
それもスキルに関しては前代未聞の成長促進系の物だった
驚きながら呆然と更新用紙を見ていたヘスティアを背後から覗き見たベル
初めての更新だったので
ベル「【英雄一途】って、こんなのが浮き出るくらい僕って拗らせてるのかな」
ヘスティア「いやベル君!?君神聖文字が読めるの!?」
ベル「一応お爺ちゃんやお婆ちゃんが教えてくれたので、後僕は英雄譚とか読むの好きだったのでそれの原作読むために他の言葉も学びました。エルフやアマゾネスとかの言葉分かりますし読めます」
ヘスティア「き、君って意外と知的なんだね」
ベル「いえ、全部兄さんの受け売りです。『あらゆる知識は武器になるから絶えず学んで行け』。そう言われて育ちましたので」
ヘスティア「そう言えば君のお兄さんって?」
ベル「僕を助けてくれて、僕が英雄って思った人です。一応お婆ちゃんの眷属で僕に戦い方やいろんなことを教えてくれた師匠でもあります。そして僕が憧れ尊敬する兄同然の人でもあります」
ヘスティア「そっか………じゃあ戦い方とかも」
ベル「当然習いました。………まあこんな小柄で服の上とかじゃ鍛えてる証拠とか分からないからほとんどの人から第一印象が弱く思われてますが………小柄やだなあ」
ヘスティア「わ、わかるよベル君、ボクも小さいからよく神々から身長をネタに弄られたりするしこんなナリだから威厳とか貫禄ないって舐められたりされるからさ」
ベル「………そう言えばお爺ちゃんが貴方のこと『ロリ巨乳』って言ってましたけど…………どういう意味か理解できませんでしたが貴方を見て理解しました」
ヘスティア「嫌な理解の仕方しないでくれないかい!あの愚弟孫になに教えてるんだい!!」
ベル「まあこの話は置いておいて…………このスキルと魔法って…………確かお爺ちゃんって雷の権能持ってましたよね?」
ヘスティア「ああそうだね。ゼウスはその雷の力を持ってボク達オリュンポスの神々の頂点に立てたんだ…………日頃のゼウスを見て育ってきたベル君には信じられなうかもしれないけど」
ベル「………あまり否定しづらいです。ああでもお婆ちゃんがもしヘスティア様が地上に降りていたら会いたいって言ってましたよ」
ヘスティア「ヘラがかい?そう言えばもう随分会ってなかったねえ。そのうち機会があったら君の育った村に連れて行ってくれないかな」
ベル「はい。………この魔法、僕の父の主神だったお爺ちゃんの影響を受けてますね…………それにこのスキル…………兄さんへの憧れが形になってますね」
ヘスティア「確かに下界の子供たちのスキル魔法の発現は何かのきっかけがトリガーになるケースが多いけど、だからと言ってこのスキルは破格すぎるよ!成長促進のスキルって、他の神々が喉から手が出るほど欲しがる代物だよ」
ベル「………これ隠した方がいい奴ですよね?」
ヘスティア「だね。せっかくファミリア作ったばかりで下手な相手に目をつけられて派閥大戦仕掛けられたりしたらこっちが不利過ぎるよ」
ベル「じゃあ魔法はともかくスキルは隠すという方向で」
ヘスティア「異議なし!」
芽生えた魔法を使いこなせられるように、またスキルの恩恵の通りの成長促進を施すために敢えて格下モンスターに魔石食わせて強くさせた上で戦うなど上層という限られたフィールドで最大限己を高められるように奔走する毎日
そんなある日
ベル「はい。ヘスティア様」
ヘスティア「へ?」
ヘスティアに小箱を差し出すベル
その中にあった物は、ふたつの青い花弁模様に小さな銀の鈴がついたリボン
それは少し前に、街でついヘスティアの眼に止まっていた物と同じだった
ヘスティア「………これ、なんで?」
ベル「…………少し前、貴女が店のショーウインドウ越しにあったこれを眺めてたのを見かけたので…………よくよく見たら貴女が身に着けている髪留めが切れそうだなあって思って…………すみません、気が付くのが遅くなって」
ヘスティア「ち、違うそうじゃなくて!…………なんでこれを………」
ベル「え?だって欲しかったんじゃないんですか?」
ヘスティア「い、いや別にボクの髪留めはそんなすぐ必要がせばまれてる訳じゃないから」
ベル「ヘスティア様」
慌てたように反論するヘスティアをベルは諫め
ベル「神は下界の人間の嘘が分かることは知ってますが、僕もそれなりに相手の嘘が分かりますよ…………」
ジト目でヘスティアを見ながら言い
ヘスティアもその目に負け
ヘスティア「…………ちょっと良いなって思ってたけど、ファミリア結成したばかりで無駄遣いするのは駄目だなあって思って…………」
ベル「…………それじゃあ、僕からの贈り物は…………気に入って頂けたんですね…………よかったー」
ヘスティア「!」
ベル「女性になにか送るのはこれが初めてだったので、担当アドバイザーの方に相談もして買ったから、変に重くとらえられないか心配だったんですよね」
そう安堵した表情を浮かべながらソファーに腰掛けるベル
ベル「それとヘスティア様。髪飾り程度で無駄遣い認定するほど貯蓄に困ってませんから、欲しかったのなら言ってください。僕がいくらでも買い揃えますから」
ヘスティア「…………」
そうは言うが、駆け出しからすれば決して安くはないものだろう
それでも彼はなんてことなさげに言ってくれていた
夢に憧れ、それを叶えるために奔走する唯一の眷属が見せた優しさや思いやりのある姿は、一柱の処女神にある想いを芽生えさせた
ヘスティア「ベル君」
────ありがとう
頬を紅くしながら微笑みながら感謝を伝えた
女神ヘスティアと出会い眷属入りを果たしてから二週間
その日もダンジョンの上層で格下相手に作業の様に延々と狩り続け、時々魔石を食べさせ強化した個体とも戦うがやはり物足りなさを覚える日々を送る
ソロで冒険者になって日が浅い自分がこの下の階層に行くにはステイタスを上げるか他の冒険者とパーティを組むべきだが、駆け出しの自身と組めるとしたら同じ駆け出しくらいだがそれならば潜れる階層は今とさして変わらないだろう
それならまだ自由の効くソロの方がマシである
そう考えながら進んでいいと言われた上層4階層付近まで差し掛かったところ
ベル「────はは、マジ?」
思わず作り笑いが出たが全く笑えないモノの存在が目に映った
ベルの視界の先には一体のモンスターが居たが、それは本来な上層ではなく中層に湧くはずのモンスター
そしてかつて幼いベルを殺しかけた因縁の相手である
ミノタウロスだった
ダンジョンでは時々下の階層のモンスターが上の階層に上がってくることがあり、このミノタウロスもそうだろう
或いは
ともかくこの状況はベルの様なレベル一の駆け出しには絶望的とも言える状況だ
なぜならミノタウロス討伐に必要なレベルは2であり、更に個体によってはレベル3
このミノタウロスは通常個体であるのだが、それを差し引いてもやはり絶望的だろう
レベル2でも場合によっては敗北すら有りえる中層のモンスターの中でも上に入るくらい強いモンスター、それがミノタウロス
この世界ではレベル差一つでは大人と子供くらいの力の差があることが常識であり、加えかつての因縁の相手を前にベルは震えていた
最もそれは 恐怖から来る震えではなく
ベル「とんでもない 僕はこういうのを待ってたんだよ」
ようやく自身の全力をぶつけられるであろう相手と遭遇したことへの武者震いから来るものだった
本来 レベル1冒険者がミノタウロスと遭遇すればそれは死刑宣告を受けたも同然の絶望だが、このベル・クラネルはオラリオに来る前、幼少から一夏の英才教育と言う名の地獄の修行を受け続けたことで常人が持ってるはずの恐怖心のタガが外れ、怯える所で怯えられずむしろ自らその恐怖に飛び込もうとするイカれっぷりを見せてしまう男へと変貌した
ベル「…………このまま逃げたとしてもまず逃げ切ることは無理。それに上へ逃げて他のレベル1冒険者の方々を巻き込むことがあったら最悪死んじゃう。だからここで僕がこいつと戦うのは仕方がない、致し方がないんですよエイナさん」
そう自身が待ち望んだ好機を前に言い訳を並べながら好戦的な笑みを浮かびながら支給品のナイフと愛刀『神武解』を抜く
ベル「さあ、冒険の時間だ」
その言葉と共にミノタウロスに向け自身の全部をぶつけるのだった
その少年を見たのは、遠征帰りの道中遭遇したミノタウロスの群れを狩った際に逃げられた個体を追いかけ、上層に駆け出した先でだった
自身が狩るはずだったミノタウロスをその少年は己の全力を持って相手取っていた
身体能力を見ればレベル1程度であり、握る刀以外は支給品の安物であることから駆け出しであると分かるがありえない光景だった
恐らく冒険者になって1週間から2、3週間程度の人間がミノタウロス相手に一歩も引くどころか渡り合い、ミノタウロスの攻撃を全て紙一重で避け顔や目、脇腹などミノタウロスの筋肉部分に刃物を当てても食い込みかえって危険だということが理解してるからこその攻撃部位を選択して浴びせ続け
『ライトニング!』
掌から放つ雷魔法は通常レベル1で放ったところでミノタウロスには効果が薄いはずが雷の持つ貫通力がミノタウロスに確かなダメージを蓄積して行き
攻撃を浴びせて生まれた隙を見つけ、頭部に短刀を突き刺しながら
『ライトニング!』
ゼロ距離から放つ雷魔法がミノタウロス内部に存在する核とも言える魔石を貫き砕け散り、ミノタウロスは消滅するのだった
戦いを終え、息を吐きながら深呼吸する少年
その少年にゆっくり歩み寄る
最初見た時は気が付かなかったが戦いを見ているうちに気が付いた
なぜならその少年は
アイズ「ベル……だよね?」
ベル「ア、アイズ姉さん!?」
都市の外にいるはずの兄弟弟子だということに
様々な方がベルのスキルの事を母方の祖母であるヘラの持つ激しい執着や執念が憧れや情景へとその姿を変え、その対象であるアイズに向けたことでスキルが発現しそれをヘラとヘラの眷属達の様な対象へ向けた重い感情と似たようなものではないかと考察されており、本作では魔法はゼウス、スキルはヘラを受け継いだ設定にしております。