世界を救う英雄を育てた英雄 作:スカイハーツ・D・キングダム
とある日の日の正午に差し掛かる少し前
ロキ「最近コソコソしとるが、自分なに企んどるん?」
フレイヤ「フフッ」
ロキ「どうせどこぞのファミリアの子供に目ェつけたっちゅうことやろ?」
アイズ「(…………早く終わらないかなあ…………。先に怪物祭に行ってるティオナ達と合流したいし、もしかしたらベルと会えるかもしれない。出来るなら案内してあげたい)」
ある店で密会する女神フレイヤとロキ、そして護衛のアイズ
怪しい動きを見せたフレイヤに対し詰め寄るロキにフレイヤは不敵な笑みを浮かべ
フレイヤ「そうね…………あの子は、私が今まで見てきたことは違う輝きをした魂をしていたわ」
フレイヤは、神の中でも珍しく下界の人間の魂を見る目を持っており、その目を通して気に入った魂を持つ者を自身の眷属へ迎え入れるのだった
フレイヤ「見つけたのは偶然、今は力不足でも、あの魂はきっと…………ごめんなさい、急用ができたわ。また会いましょう」
ロキ「はあ!自分から呼んどいてそりゃあないやろ!ってここの会計ウチに押し付けんな!!」
窓を眺めながら話をしていたフレイヤは突然立ち上がると一方的に切り上げそのまま店から出た
アイズ「…………(どういうこと?)」
そのフレイヤの一連の行動と言動に違和感を覚えるアイズ
アイズ「(話してたのに突然の急用…………窓を眺めてた時に急に表情を変えて…………つまり、窓の外になにか…………誰かを見つけて…………もしそうならその誰かって…………何かを報告しに来た団員…………それとも…………神フレイヤが目を付けた誰か?)」
あまり考えることが得意ではないながらも今見た一連について思考をするアイズ
ロキ「チッ…あんの色ボケ女神がぁ………アイズ、もう行ってもええで」
アイズ「!────いいの?」
ロキ「ティオナ達とまわる約束したんやろ?護衛は良いからはよ行ってこんかい」
アイズ「……行ってきます」
そう言うとアイズも先ほどのフレイヤ同様店を飛び出し、残されたロキは頭を掻きながらため息をし
ロキ「………そろそろ一夏が戻ってくる頃このタイミングで、なにやらかす気かあのアホは………」
神としての勘を働かせ、自身も主神として動き出そうとするのだった
怪物祭
ガネーシャファミリアが主催する年に一度のそのイベントは、モンスターを調教したガネーシャの眷属が見世物にするというもの
当然初めて目にするそのイベントに、ベルとここ数日留守にしていたヘスティアは合流の後に街中でヘスティアが冗談半分のような口ぶりで行うことになった
ベル「デート…………人生初デートの相手が大伯母さんですか」
ヘスティア「それは言わない約束だろベル君!?」
そんなやり取りがあったが概ね祭りのイベントを一通り楽しむ二人
やがてひとしきり楽しんでいれば突如響く叫び声にふたりは驚く
それもそのはず、彼女達が楽しんでいた会場に、調教をしていたはずのモンスターが複数体が逃げ出し会場はパニックとなった
逃げ出したのはソードスタッグ、トロール、シルバーバッグ
どれもレベル1では討伐困難なモンスターばかり
それでも放っておけば会場にいる住民達が危険なため、対処に当たるガネーシャファミリアの横でベルはいつもの癖で持ち歩いていた神武解を抜き、すぐさま討伐にかかった
一方、シルバーバッグ以外を倒していた別の場所にいたアイズとティオナ、ティオネレフィーヤに脅威が降りかかっていた
突如、地面から正体不明の植物状のモンスターが彼女達を襲う
レベル5の中でも高い腕力を誇るヒリュテ姉妹の打撃攻撃ですら効果がなく、少しはなれた場所にいたレフィーヤが魔法詠唱をすればモンスターはレフィーヤを狙って攻撃し、当たる直前にアイズが助けに入り、アイズは回避しながら風を纏いながら打撃を繰り出すも効果がない
導き出されたこの正体不明のモンスターの特徴は、レベル5でも通じない打撃無効と魔法に反応して動く
恐らくは斬撃系の攻撃が効くはずと
だが、今日の祭りに彼女達は誰一人として武器を持ってきていなかった
アイズは内心でホームに愛刀達を持ってこなかったことを悔やみ、とにかくモンスターを住人達に向かわないように時間を稼ぐ
同時刻
ベルは建物を飛び回り高所に上がれば、それを追いかけるシルバーバッグ
大猿型のモンスターは素早い身のこなしで当初はなぜかヘスティアを狙って襲い掛かったため、ベルが横から顔を蹴り飛ばしヘイトを向けさせヘスティアから離すように立ち回る
ベル「(なんでこのモンスターはヘスティア様を?…………モンスター襲う対象を選ばないはず…………なのに近くにいた人ではなくなぜか優先的にヘスティアを………とにかく早くこいつを仕留め────!)」
高所から迎え撃とうとしたベルだったが、ふと視界にある光景が浮かぶ
ここから距離数百メートル先で戦うアイズ達の姿を
更に、アイズが丸腰で戦いどこか苦戦しているようにも見えた
その僅かな時間と姿を見てベルは理解する
ベル「(なんだあのモンスターは────でも姉さんが危ない!)」
手元にある神武解へ目を向けすぐにでも投げようかと考えたが、未だこちらを追いかけるシルバーバッグの姿に、ここで得物を無くすのはまずいと考える
素早く動くシルバーバッグに魔法を当てるのは簡単ではない、外せば街中で二次被害が起きかねない
ベル「………どうする」
今の現状をどうにかできる策を考えきれず内心ヤキモキする
そのベルと同タイミングでアイズも現状に焦る
アイズ「…………せめて、何でもいいから得物があったら」
両者の思考が、変えられない今をどうすることもできないことに苛立っていた
その現状が変わる一手を最初に打ったのは
ヘスティア「ベル君!これ使って!」
大叔────ヘスティアだった
今日ベルと再会した時から隠し持っていた布で覆われた物を、ヘスティアはベルへ目掛け投擲、その風圧で巻かれてた布が剥がれ落ち、中からは一本の短剣が飛び出す
ベル「!」
それを目にした瞬間すぐベルは、持っていた神武解をアイズ目掛け力の限り投擲する
一方、モンスターに苦戦したアイズの視界にどこからともなく飛んできた見覚えのある短剣が目に、瞬時に跳躍し短剣を受け取れば
アイズ「『テンペスト』」
風を展開し短剣に纏わせ、それに伴い神武解の能力である雷を発生させ
モンスターへ突っ込む
それと同時に、ベルを追いかけついにベルと同じ高さまで上り詰め拳を叩き込めようとするシルバーバッグ
だが
ベル「────良い武器だ」
飛んできた拳を、それよりも前に受け取った短剣片手にバク宙で回避し片腕をシルバーバッグの腕に乗せ着地しながら更にバク転しシルバーバッグの背後に回り込めば
アイズがモンスターを貫き消し飛ばすのとベルがシルバーバッグの頭部を切断したのは 同じタイミングだった
ヘスティア「やったねベル君!」
ヘスティアが大喜びでベルにダイブしてくれば、それを避けることもせず受け止めるベルだったが、先ほど投げた武器の回収もかねてアイズの下へ行けば、無事討伐完了の末ロキと合流していたアイズ達と顔を会わせ、またどうでもいい喧嘩をする主神たちを差し置いて話し出すベルとアイズ達
ベル「無事届いたみたいでよかったよ姉さん」
アイズ「いいタイミングで投げてくれて勝てたよ」
レフィーヤ「グ、ググググ(私なにもできなかった!!アイズさんの役に立てなかった!!)」
ティオナ「あの短剣ベルが投げたんだ!なんかアイズが使ってる飛天みたいだね」
ベル「まあ似てると言うか、兄弟剣みたいなものですので」
ティオネ「でも確かアイズの飛天って元々一夏さんが持ってたのをアイズに譲ったんじゃなかったかしら」
アイズ「うん。このベルの短剣、神武解ももとはお兄ちゃんが持っていたのをベルに渡したもの」
ベル「僕たちにとっては、大切な半身で、誓いの証でもあります」
そう言いながら神武解の表面を大切そうに触るベル
ティオナ「誓いって?」
ベル「はい、それは────!」
聞いてきたティオナに答えようとしたその時、地面から先ほどのモンスターと同種が飛び出しベルたちに襲い掛かる
ベルはアイズに神武解を投げ渡し、自身はヘスティアから渡された短剣に持ち替え構え、そばにいたティオナはティオネロキとヘスティアを守るために前に立ちレフィーヤは突然のことで反応できずにいた
そして長い首を伸ばし一同へと襲い掛かるモンスターは
突如頭から下までを切断され絶命する
一同「「「「「!!」」」」
突如出現し襲い掛かったモンスターが目の前で謎の死を遂げたことに困惑する中、ベルとアイズはこの光景に覚えがあった
モンスターが前触れなくまるで何かに斬られたかのような死の光景
すぐにふたりが振り向けば、広場からひとりの黒のローブを着た誰かが指先を向けていた
ベル/アイズ「「!」」
その誰かは指先を解けば頭のフードを剥がす
その下に映った人物は
一夏「仕事から帰ってきたら見たことないモンスターが地上に出てきていたことにも驚いたが、来たかベル」
彼らの義兄にして人類最強の男 織斑一夏その人であった